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    事業変革にブランディングの力を!⑤ ~どのような局面でどのように取り組むか(前編) 必要になる4つの局面とは

    最終更新日:2026年05月29日

    事業変革にブランディングの力を!⑤ ~どのような局面でどのように取り組むか(前編)  必要になる4つの局面とは

    これまで4回にわたり、「事業変革のためのブランディング」という考え方を整理してきた当連載。「ブランディングは表現を整えるためのものではなく、事業や組織の行動を変え、ビジネスの成果につなげてこそ意味を持つ」という発想は、いま多くの企業で共有され始めています。しかし一方で、ブランドマネジメントを担う企業担当者からは、次のような声も聞かれます。

    「必要性は分かるが、どのタイミングで本気で取り組むべきなのかが分からない」
    「いざ進めようとしても、どう進めればいいのか正解が見えない」

    そこでここからは、考え方から実践フェーズへと駒を進め、事業変革のためのブランディングが「重要になる局面(第5回)」と「成果につながる進め方(第6回)」について向き合っていきたいと思います。語り手は、電通ビジネス・トランスフォーメーション局(BX局)グロース・ブランディング部長の伊神と同局プランナーの本田、電通コンサルティング執行役員・パートナーの田中が務めます。

    PROFILE

     
     
     

    INDEX

    事業変革のためのブランディングで、直面する壁とは?

    これまでのおさらい

    本題に入る前に、第1回から4回までの内容を簡単に整理したいと思います。
    第1、2回では、電通が独自に行った調査結果を紐解くことで、「事業戦略とブランド戦略の両輪を回して事業変革を進めていく」ことの重要性が明確になりました。そしてその際に「習慣化」という成果指標を念頭に置くことが、確かなビジネス成果獲得につながることを確認しました。
    第1回:事業変革にブランディングの力を!① ~調査から見えた実態と課題を解説~
    第2回:事業変革にブランディングの力を!② ~事業戦略とブランド戦略を両輪で回そう~

    第3回では、ブランディングの実行を阻止するバリアとその打開策について考えながら、事業変革のためのブランディングに必要なプロセスを次のように整理しました。

    事業の本質価値を定義し(ブランドアーキテクチャー)、
    それを事業構造や意思決定に落とし込み(事業価値デザイン)、
    さらに人の行動として“習慣化”することで(習慣化アクティベーション)、
    事業変革を一過性の試みで終わらせず、成長へとつなげていく

    Branding For Growth 推進プロセス

    第3回:事業変革にブランディングの力を!③ ~実践に立ちはだかる障壁とは?~

    そして第4回では、この実装においてはメッセージを語る「Say(=コミュニケーション)」と、実際に動かす「Do(=ファクトづくり)」の両輪でインナーブランディングを回していく必要があることも見てきました。
    第4回:事業変革にブランディングの力を!④ ~「インナーブランディング」に成功のコツあり

    考え方はわかっても、「いつ・どのように」がわからない

    こうした考え方のもと、電通では独自のブランディングプログラム「Branding For Growth」を展開し、これまで数多くの変革プロジェクトをご支援してきました。そして企業様へのヒアリングを重ねる中で、「なぜブランディングが事業変革につながらないのか」「どこでつまずき、何が分からなくなるのか」という課題に何度も直面してきました。

    そうした実践知の蓄積から見えてきたのは、事業変革のためのブランディングには、次の二つの事実が存在することです。

    特に重要性が高まる“局面”がある
    成果につながるための“進め方の型”がある

    今回取り上げるのは、一つ目の「特に重要性が高まる“局面”」についてです。これまでの経験をもとに、事業変革のためのブランディングが特に力を発揮する代表的な局面を整理し、なぜそのタイミングでブランディングが不可欠になるのかを構造的に紐解いていきます。

    ブランディングが必要になる4つの局面

    何か起きなくても、放置すればブランドは劣化する

    まず前提として押さえておきたいのは、ブランディングは特定のイベント時だけに必要なものではないということです。

    市場や顧客・生活者、社会の在り方は、目に見えないかたちで常に変化しています。とりわけ世界情勢が不安定さを増し、技術革新も進む現代では、変化のスピードが一段と速まっています。その中でブランドの意味を定義し直さずにいることは、過去の文脈のまま劣化することにほかなりません。

    つまり、「何もしない」という状態そのものが、相対的な競争力低下を招くリスクになるのです。

    「何が正解か」が特に揺らぐ4つのタイミング

    その上で、ブランディングの重要性が一気に高まるタイミングがあります。それは、経営や事業において“判断軸・意味・行動の前提が揺らぐ瞬間”です。私たち電通BX局が企業経営者や事業推進担当者の方々に行った独自調査では、代表的な局面として次の4つが挙がっています。

    局面1 経営の意思・判断軸が変わるとき
    例:社長交代・経営体制の変更、分社化・独立・ホールディングス化

    局面2 事業や組織の「区切り」を迎えるとき
    例:創業・事業の周年、M&A・グループ統合

    局面3 会社の将来戦略を描き直すとき
    例:中期経営計画の策定、新規事業・事業拡張

    局面4 市場や社会環境が大きく変わるとき
    例:競合参入・技術革新などの市場変化、不祥事・事故などのリスク事案

    このような局面では、戦略や施策を検討する前に、「何を正解とするのか」を揃え直す必要が生じます。単なる施策の見直しではなく、「方向性の再定義」「事業構造の再設計」「行動や文化の転換」が同時に求められるのです。

    4つの局面でブランディングが不可欠になる理由と、ブランディングを行うベネフィットを、さらに深く構造的に紐解いていきましょう。

    局面別に見る「課題・効果・必要アクション」

    局面1|経営意思の転換期には、「共通言語化」が必須

    社長交代や体制変更によって経営トップの意思が変わると、企業の判断基準そのものが変わります。この局面で生じる課題は、方針がないことではなく「解釈のばらつき」です。たとえ新たな経営方針が打ち出されたとしても、それが共通言語として現場に浸透しなければ、社内の解釈がブレたり、従来の価値観が温存されたままになるといった課題が生じ、変革は進みません。

    ブランドアイデンティティやメッセージを刷新するとともに、インナー浸透と行動設計を徹底することで、解釈のズレを解消して意思決定と実行を加速させることができます。

    局面2|事業や組織の「区切り」には、DNAを起点とした再設計を

    周年や経営・事業統合など「区切り」の局面では、「過去の延長では語れない未来」が問われます。特に経営・事業統合時には価値観や文化の衝突が起きやすく、表層的な言葉づくりや施策、仕組みの統一だけでは不十分です。

    必要なのは、自社のDNAを起点とした「次の成長ストーリーの再設計」。事業やブランドの本質価値を見つめ直したうえで、新たな事業価値やポートフォリオを設計し、シナジーを顧客価値へと転換させることがカギとなります。

    局面3|将来戦略の策定時には、社員の行動変容まで視野に入れる

    中長期計画の策定や新規事業への参入時には、「数字」と「施策」に議論が終始しがちです。しかし計画を実行していく社員一人ひとりにとって、ブランドの意味が「自分の行動に翻訳」されない限り、ブランド全体の整合性が取れないまま事業が進んでしまいます。

    そのためこの局面では、ブランドのビジョンを事業戦略にしっかりと落とし込み、かつ社員一人ひとりが共感できるようにすることが重要になります。それができれば、ブランド資産を活かした将来戦略が実行可能になります。

    局面4|市場や社会環境の変化期は、「変わる力」の証明チャンス

    市場や社会環境が変わると、ブランドが顧客から「選ばれる理由」そのものが揺らぎます。従来の価値定義が通用しなくなったとき、単なる対応策では信頼や競争力は回復しません。

    この局面で必要なのは、新しい競争軸の再構築です。ブランドや商品価値はもちろん、ビジネスモデルや社員の行動基準さえも再設計することで、市場の危機を「成長機会」に転換することができます。

    ブランディングが求められる局面まとめ

    以上4つの局面における「課題・ブランディングで得られる効果・必要なアクション」をまとめると、以下の表の通りです。

    局面 生じる課題 ブランディングで
    得られる効果
    必要なアクション
    経営の意思・判断軸が変わるとき 新しい経営方針に対し、現場を含む社内の解釈がバラつきやすい
    従来の価値観が温存され、変革が進まない
    経営方針が共通言語化され、意思決定と実行が加速する ブランドアイデンティティの再定義
    ブランドメッセージの刷新
    インナーへの浸透と行動設計
    事業や組織の「区切り」を迎えるとき 過去の延長となり未来を描けていない
    価値観・文化の衝突が起きる
    表層的な施策にとどまり、全社での統一が図れない
    自社DNAを起点にした成長ストーリーを描ける
    統合の意味を社会や顧客の価値として示せる
    本質価値の抽出と再定義
    事業・ブランドの設計
    文化や習慣の統合
    将来戦略を描き直すとき 戦略が数字や施策に偏り、具体的な現場の行動に翻訳されない
    ブランドとの整合性が取れないアクション(新規事業など)になってしまう
    戦略が共感可能な意味に変換され、実行さらに習慣に移すことができる
    ブランド資産を活かした成長を実践する
    SayとDoの統合
    事業ロードマップ設計
    KPIと行動習慣の設計
    市場や社会環境が大きく変わるとき 「企業や事業の存在意義」や「選ばれる理由」が揺らぎ、既存の価値が通用しなくなる 新しい競争軸・ポジショニングを確立できる
    変化を成長機会に転換できる
    価値・意味の再定義
    ビジネスモデル再設計
    顧客や社員の行動変容

    どの局面にも、Branding For Growthの3プロセスが効く

    すべての局面に共通する本質とは

    ここまで「事業変革のためのブランディング」が特に求められる4つの局面を詳しく見てきましたが、すべてのケースにおいて共通して求められるポイントがあることにお気づきでしょうか。それは、「方向性の再定義」「事業構造の再設計」「行動や文化の転換です。
    そしてこれらのアクションは、そのままBranding For Growthが提唱する3プロセスと重なります。

    Branding For Growth 推進プロセス

    ブランディングは、事業変革を成功させる「経営装置」

    ブランディングは、自社や事業を「説明するための活動」ではありません。価値やビジョンを本質から見直し、ビジネスモデルや社員の行動にまで落とし込む。つまり、事業変革を構想で終わらせず、実装し、習慣化するための「経営装置」です。

    今回のブログでは、その装置を「どのような局面で使うのか」を見てきました。次回は、その装置で「どのように成果をあげるのか」へとさらに話を進めていきたいと思います。
    第6回:事業変革にブランディングの力を!⑥ ~どのような局面でどのように取り組むか(後編) 成功企業が実践する4つの型

    今まさに4つの局面を迎えようとしている企業の皆さまは、ぜひ一度Branding For Growthにご相談ください。

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