
前回のブログでは、事業変革のためのブランディングに取り組むべきタイミングを「4つの局面」に整理して考えました。第6回となる今回は、それらの局面でいざブランディングを始めようとした際、どういった「進め方」をすれば成果につながるのかを考えていきたいと思います。
語り手は前回に引き続き、電通ビジネス・トランスフォーメーション局(BX局)グロース・ブランディング部長の伊神と同局プランナーの本田、電通コンサルティング執行役員・パートナーの田中が務めます。
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「定義×設計×運用」の3点セットで、成果を出すブランドへ
ブランディングを進めてみたものの……よくある失敗とは?
前回のブログ「事業変革にブランディングの力を!⑤ ~どのような局面でどのように取り組むか(前編) 必要になる4つの局面とは」では、事業変革のためのブランディングが特に求められるタイミングについて以下のように整理しました。
局面1 経営の意思・判断軸が変わるとき
局面2 事業や組織の「区切り」を迎えるとき
局面3 会社の将来戦略を描き直すとき
局面4 市場や社会環境が大きく変わるとき
しかし読者の中には、実際に上記の局面でブランディングを見直してみたものの、うまく成果につながらなかった、というご経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。実際に私たちも、企業の担当者の方々から次のようなご相談をよくいただきます。
● パーパスを刷新したのに、経営や事業判断は変わらなかった
● ブランドを語っても、グループの一体感が生まれない
● メッセージやガイドラインを整備しても、現場で使われない
● 新しいブランドを掲げたが、新しい挑戦が生まれなかった
● 多くの施策を打ったが、「企業が変わった実感」がない
失敗の根本原因は、「定義」「設計」「運用」の欠落
こうした失敗に共通する根本原因は、ブランドが「語るもの」になってはいるが「成果を出すもの」になっていないことにあります。せっかくパーパスやガイドラインをつくっても、それを“仕事の道具”や“判断軸”として活用できていないために、結局言葉だけで終わってしまうのです。
その問題を解決するために効果的なのが、これまで繰り返しご紹介してきたBranding For Growthの3つのプロセスです。

このプロセスにおいて重要なのは、「語るブランド」(Say)から「成果を出すブランド」(Do)への転換です。つまり、目指す姿を描くだけで終わらせず、事業構造や業務レベルにまで落とし込んで設計し、変革が運用できるような習慣を生み出すこと。「定義×設計×運用」の3点セットがそろって、初めてブランディングが“企業成長の駆動力”として機能することを、改めて認識していただけたらと思います。
今回の記事で一歩進めて示したいこと
ただし、基本的なプロセスは上記の通りでも、実際に行うアクションや注力すべきポイントがいつも同じというわけではありません。また、ブランディングを見直す局面の目的や条件が違えば、優先すべきブランドマネジメントの型も異なってきます。そこが、今回のブログで詳しくお話ししたいポイントです。
組織の課題や文化、成熟度、事業が迎える局面などによって、効果的なブランドの使い方は変わります。ここから先では、その違いを整理するための考え方として「4つのブランドマネジメントの型」を提示していきたいと思います。
4つのブランドマネジメントの型と進め方
目的と手段の2軸から、ブランドマネジメントの型を整理
いまの自社状況や課題にとって、ブランディングを効果的に進めるには何を指針とすればよいのか。それを知るために、Branding For Growthでは独自の企業調査を実施し、これまでの実践で得られた知見を加味して、成功企業に見られる“型”を分析しました。
「目的=何のためか(統合・秩序か、変革・創発か)」と「手段=どう統制するか(プロセス・ルールか、思想・原則か)」の2軸から次のようなマトリックスをつくり、代表的なブランドマネジメントの型を4つに分けて整理しています。

なお、前回のブログでは、ブランディングが必要になる「4つの局面」をお伝えしました。 これらの局面はいずれも、企業における「意味」「判断軸」「行動」が揺らぐことで生じますが、その揺らぎにどのように向き合うかは企業によって異なります。例えば全社統合を優先すべきなのか、挑戦の再現性を高めるべきなのか。この「4つのブランドマネジメントの型」は、その向き合い方の違いを整理し、具体的にどう取り組むかの指針を得るためのフレームです。
以下、それぞれの型をご説明します。
1.変革オペレーション型
変革や新規事業をKPI・評価・会議体・意思決定プロセスに組み込み、運用に重きを置くブランドマネジメントです。事業変革を属人化させず、再現性を持たせることで広く習慣化を促すことができます。
具体的に取るべきアクションとしては、
● ブランド判断を組み込んだ会議・投資・レビュー設計
● KPI・評価制度との連動
● 新規事業・挑戦の判断基準化
などがあげられます。ただし、プロセスが過多になるとかえって創造性を阻害してしまう場合があります。また、思想や背景の共有を怠ると「やらされ感」が強まってしまうことも、留意すべきポイントです。
2.統合ガバナンス型
会議体・ルール・承認フローを設計して、全社の判断と行動を揃えるためのブランドマネジメントです。組織再編やグローバル統合などの拡大局面において、一貫性のある成長を支えます。
統合ガバナンス型においては、
● ブランド審査・承認プロセスの設計
● 表現・事業・提携の判断ルール明確化
● ブランド管理組織の設置
などを中心的に行います。ただし、統制偏重になると組織全体の挑戦しようとする気概が一気に萎縮してしまうため、ガバナンスの浸透スピードと柔軟性の管理が鍵となります。
3.思想ドリブン型
思想、美学、信念、価値観への共鳴を起点に、組織の内発的な挑戦を引き出すブランドマネジメントです。個人やチームの裁量に委ね、挑戦や創造を自律的に生み出すことに重きを置きます。
ここで重視される取り組みは、
● 思想・価値観の徹底的な言語化
● 経営・リーダーによる体現
● ストーリー共有・対話の場づくり
など。解釈のばらつきを防ぐために、共通理解や学習の仕組みを合わせて検討することが不可欠です。
4.思想統合型
共通の価値観や信念によって、組織や事業を束ねることを目的とするブランドマネジメントです。文化的一体感と自律的判断を両立させながら、文化としてのブランド定着を目指します。
具体的な取り組みとしては
● 価値観・判断軸の明文化
● 採用・育成・評価への組み込み
● 日常業務で参照される言語設計
などがありますが、思想や概念の話は抽象論に終始しやすいため、業務への翻訳設計がきわめて重要になります。
自社にふさわしいブランディングの進め方を見つける
実際には、「1社1型」とは限らない
しかし実際に私たちが企業様のブランディング支援を進めていくと、1つの型を選択するだけでなく、主軸の型と補助の型を組み合わせるといった方法論を取るケースが多々あります。例えば、全社としては統合ガバナンス型を主軸としつつ、新規事業領域では思想ドリブン型を強める、といった複合的な設計も往々にしてあり得ます。
ブランドマネジメントに万能解はありません。重要なのはどの型を選ぶかという表層的な選択ではなく、自社の目的と課題を解像度高く見極め、それにふさわしい設計と運用を行うことです。
Branding For Growthが「定義・設計・運用」をご支援
Branding For Growthのブランディングプログラムでは、まず企業様への丁寧なヒアリングを重ね、現状の課題や目指すべきゴールをより詳細に可視化させていただきます。自社の状況を自分たちだけで客観的に判断するのは難しい場合もありますので、ふさわしいブランディングの進め方を詳しく知りたいという企業様は、一度Branding For Growthにご相談いただければと思います。
ご紹介した「4つのブランドマネジメントの型」フレームを活用し、自社にふさわしいブランディングの型が何かを探る「診断サービス」も行っておりますので、ご興味のある方は下記の無料の資料をダウンロードください。ご要望に応じて初回は無料で診断・カウンセリングをさせていただきます。
ブランディングはスローガンやCIをつくることがゴールではなく、その思想が事業判断・商品開発・人材育成・組織運営にまでつながり、繰り返され、習慣になったとき、初めて変革を前に進める力になります。その時必要なブランドマネジメントはどんな型で、何を実装し、どのように習慣化していくのか。「定義・設計・運用」が一体となった伴走支援なら、ぜひBranding For Growthにお任せください。




