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    d-cepパートナーインタビュー Vol.2 植物由来プラスチックも新開発!電通グループがサステナブル素材に挑戦

    最終更新日:2024年03月22日

    d-cepパートナーインタビュー Vol.2 植物由来プラスチックも新開発!電通グループがサステナブル素材に挑戦

    サーキュラー・エコノミー実現のトータル・サポートに向け、新たに発足した「d-cep(電通サーキュラー・エコノミー・パートナーズ)」。循環モデルの構築に欠かせないさまざまな分野のトップランナー企業・団体を、電通が中核となってオーガナイズする強力なワンチームです。このインタビューシリーズでは、毎回1社のパートナーを取り上げ、ご提供可能なソリューションやサーキュラー・エコノミーへの想いをご紹介。第2回に登場するのは、プロモーション視点からクライアント企業のサステナブル素材の調達やプロダクト化の実行を支援する「電通プロモーションプラス」です。

    ※d-cepがお届けするソリューションの概要については、こちらの記事をご参照ください。

    d-cep

    電通プロモーションプラス(旧・電通テック)は、DX・CXを起点にプロモーション領域全般の課題解決を担うプロフェッショナル集団です。プロモーションとサステナブル素材という一見遠そうな2つの領域が結びついた理由や、電通プロモーションプラスならではの強み、新たな取り組みとして自社で開発に取り組んだ新素材とは? 気になるテーマを、同社のSDGsコンサルタントで電通Team SDGsメンバーでもある津田まやと、同じく電通Team SDGsのコンサルタントの堀田に、編集部がインタビューしました。

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    セールスプロモーションの専門家集団が、なぜ素材領域に?

    電通プロモーションプラスでは、サステナブル素材の調達やその素材を使った製品開発などのソリューションを、2020年から本格的に提供開始しています。まず率直な疑問として、なぜセールスプロモーションの専門会社がサステナブル素材の領域に足を踏み入れたのでしょうか?

    津田:今から10年ほど前の販促業界と言えばいわゆる「おまけブーム」の全盛期。当社も多いときには年間1億ピース程度のノベルティを作っていましたが、まだエコやサステナブルなどの意識はそれほど強くありませんでした。しかしながら2015年の国連でのSDGs採択後、国際会議でCO2排出量の具体的な削減目標の設定がなされたり、国内で脱炭素についての注目が高まったりしたことで、プロモーション分野でもじわじわとサステナビリティを意識する流れが出てきました。その流れで、2、3年前からはクライアントの方々からも「ノベルティの素材をサステナブルなものに切り替えられないか」といったご要望をいただくようになりました。

    セールスプロモーションにおいても、サステナビリティが無視できない時代になってきたのですね。

    津田:そうです。それで最初は、国内のお取り引き先や、当社の海外拠点とのネットワークを活かして、ノベルティに適したサステナブル素材の調達からチャレンジを始めました。今では調達だけでなく、この後詳しくお話する植物由来プラスチック「PLANEO(プラネオ)」の開発も行っています。

    堀田:業界課題としてサステナブル素材の調達は必然だったとはいえ、セールスプロモーションの会社が素材の自社開発まで手掛けているのは驚きですよね。私も初めて聞いた時、「えっ、同じ電通グループ内で素材の開発までしている人たちがいるの?」とてもびっくりしました。私はもともとプロダクトデザインに携わっていた人間なので、電通グループの会社が素材開発をしていることの意外性が余計に気になって……それでいつものように、コンコンとドアをたたいて「素材開発をしてるって聞いたんですけど、教えてください!」と会いに行き、d-cepのパートナーに加わってもらいました。

    メーカーであれば、新規事業として新素材を開発しようという流れは自然ですが、セールスプロモーション会社が素材開発をするというのは……

    堀田:社内ベンチャーと言えるくらい新しい試みですよね。実は、電通プロモーションプラスの素材開発は、広告業界よりも素材メーカーや化学メーカーの方々からの注目度が高くて、知り合いのそうしたメーカーの方から「最近、電通で新しい素材をつくっていますよね?」って興味深く聞かれることも本当に多いです。

    津田:そうなんですね! なんかうれしいです(笑)

    企業ごとの課題に最適なソリューションを提案・実行

    そうした素材メーカーではない電通プロモーションプラスだからこそ、サステナブル素材の調達や開発において何か強みになる部分はあるのでしょうか?

    津田:サステナブル素材をビジネスの川上・川下という視点から考えたとき、例えば素材開発をされているメーカーの方々は「自社の素材の特徴を活かせば、このようなものを作れますよ」という川上のシーズを中心に考え、顧客企業に提案されるのではないかと思います。それに対して私たちは、もともと販促やマーケティングを本業としているので、「消費者の期待に応えるために、素材をどう使って、どのようなプロダクトをどう届けるか」という川下のニーズから考えることができます。例えばサステナブル素材を使ったサンプル品を作るときも、社内の営業・プラ二ング部門からさまざまなクライアントや消費者のニーズなどをヒアリングし、参考にして開発しています。サステナブル素材の開発から調達、そしてそれを使ったものづくりやサービス開発といったところまでを、電通グループとして一貫してサポートできるという強みはあると思います。

    堀田:ノベルティとして使うにはどんな素材が適しているのか、クライアントにはどういうニーズや課題があるのか。そうした視点を出発点として逆算的に素材開発にアプローチしているのは、通常の素材開発と比べてとてもユニークな点ですし、それがメーカーの方々には新鮮に映るのだと思います。また、普通は自社開発した「PLANEO」をいちばん売りたくなるものですが、あくまでも課題解決ファーストで、他の素材のほうが適していれば迷わずそちらを提案する。そんな柔軟さもクライアントの方々にはうれしい部分ですよね。

    課題から逆算アプローチをしてサステナブル素材をご提案できるとのことですが、電通プロモーションプラスでも、前回の記事で紹介したMaterial ConneXion Tokyoのように取り扱い素材を選びやすいよう分類されているのですよね。

    津田:はい。d-cepとして調達できるマテリアル素材として、いま24種類のメニューを用意しているのですが、堀田さんと私で各素材を「石油由来プラスチック代替」「再資源化、再生素材の活用」「食品残渣活用」「ロングライフ」のテーマから細かくカテゴライズして、「どういった課題を解決したいか、実現したいか」という目的に合わせて最適な素材を選ぶための資料をご用意しました。

    調達可能なサステナブル素材例

    堀田さんがよく「サーキュラー・エコノミーやサステナビリティに取り組みたいけど、何から始めたらいいかわからない企業が多い」と話されていますが、こうした指針があれば企業もソリューションが選びやすいですね。

    津田:さらにサーキュラー・エコノミーの視点で言うと、サステナブル素材を使ってプロダクトを作るだけでなく「その後どう回収してリサイクルするか」ということも考えなければなりませんが、d-cepならそのソリューションも合わせてご提供できます。エンド・オブ・ライフまで考えたソリューションを必要とされている企業には、私たちがきっとお役に立てると思います。

    堀田:サステナブル素材の選定・調達からプロダクト化、プロモーション、そして回収についてのご要望にまで対応できる“エグゼキューション力”は、広告やプロモーション分野で培ってきた経験が活きる、まさに電通プロモーションプラスならではの大きな強みですね。

    自社開発の100%植物由来プラスチック「PLANEO」とは?

    冒頭からお話にあがっている自社開発素材「PLANEO」についても、そろそろ詳しくお聞きしていきたいと思います。まず「PLANEO」とは、どういった素材なのでしょう?

    津田:植物由来プラスチックであるPLA(ポリ乳酸)に、同じく植物由来の添加剤を混錬することで改質し、従来のPLAに比べて流動性を高めた素材になります。流動性とは簡単に言うと、ペレット(加工前形状の素材)を加熱して成型用の型に溶かし入れたときの流れ込みやすさのこと。「PLANEO」は従来のPLAに比べてさらさらと流れやすく、PLAでは難しい細かい機構やデザインが再現しやすいというメリットがあります。例えばこうしたトレイの凹凸部分(※写真下参考)などもきれいにくっきり仕上がるので、プロダクト・メーカー様からも評価していただいています。

    PLAより流動性が高まったのことが第一の注目点とのことですが、他にもお客様が注目される点はありますか?

    津田:一つは、100%植物由来だということですね。というのも、実は植物由来プラスチックは石油系プラスチックに混ぜて使われることも多いので、「植物由来なら100%が当たり前」というわけではないのです。実際に今年の秋に「PLANEO」をドイツの展示会に出展したときには、「100%なのか?」と何度も確認される方が多くいらしたと聞いています。100%植物由来なのでもちろん石油系プラスチックに比べCO2排出量も大幅に抑えられ、数値としては約70%のCO2排出量抑制効果が確認できています(※)
    ※原材料で比較した場合。株式会社ウェイストボックス CO2排出量調査により算出。算出方法:LCA=Life Cycle Assessment(資源採取-原料生産-製品生産-流通・消費-廃棄における環境負荷を定量的に評価する手法)

    もう一つは、タイの自社拠点を中心とした生産体制を確立しているため、安定供給ができることです。今グローバルでは日本国内以上にサステナブル素材への切り替えが活発になっていて、素材の需要が非常に高まっています。PLANEOのベースに使われているPLAは様々な用途に使われており、例えばシェールガスの採掘などにも使われているので、実際にPLANEOの採用を検討されているメーカーの方から「PLAに切り替えようと思ったらシェールガスの採掘に使われている影響で調達できなかった」という話を聞いたこともあります。

    堀田:へぇ~~! シェールガスの採掘にもPLAが使われているのは知らなかった!

    みんなが一斉にサステナブル素材へ切り替え始めているから、素材自体がこれからますます調達困難になる……それは盲点でした! 供給が安定するのは大きなメリットですね。ところで、気になるコスト面ではどうでしょうか。

    津田:一般的に植物性由来プラスチックは石油系プラスチックに比べて価格が高いので、「PLANEO」についてもやはり石油系よりは素材コストが上がってしまいます。

    堀田:ただ、「PLANEO」は先ほど津田さんが説明したように流動性が高いので、成型におけるロスを低減できますし、生産スピードのアップも期待できるというベネフィットがあります。これまで石油系プラスチックを使っていた企業が、いきなり「PLANEO」に切り替えるのは少しハードルが高いかもしれません。でも現在PLAなどのバイオマス系素材を使っていて、製造における課題を抱えていらっしゃる企業には、その課題が改善できる可能性が十分あります。実際に私たちがサステナブル関連のあるイベントで「PLANEO」を紹介した際には、「PLAを使っているけど成型がうまく行かなくて困っている」という企業の方からPLANEOに対するお問合せをいただきました。

    津田:「これからサステナブル素材の製品づくりに挑戦してみたい」という企業に対しては、私たちの得意とするノベルティからサステナブル素材へ切り替えるというご提案もしています。通常の商品の素材を切り替えるのはかなり大掛かりな試みになるので、まずはノベルティなど小ロットのプロダクト化にトライしてみる。これはサーキュラー・エコノミーへの取り組みを社外に対してアピールするという意味でも企業にとって大変意義があることだと思っています。

    堀田:そうですね、そうやってブランディングとして活用していただけるといいですね。先ほどもお話ししたように、d-cepでは企業の目的や課題に合わせて「PLANEO」以外のソリューションもご提案することができるので、例えばノベルティなどを入り口に幅広く課題をご相談いただけたらと思います。

    ビールやコーヒーの搾りかすが、植物性プラスチックに変わる!

    そして電通プロモーションプラスではもうひとつ、開発に携わった植物由来プラスチックのソリューションがあるんですよね。

    津田:はい。バイオプラスチックの研究開発を行う株式会社事業革新パートナーズと共同で、知財・技術開発などを同社が、マーケティング部分について当社が担うかたちで、大麦残渣(大麦の搾りかす)から植物由来プラスチックをつくり出す技術を推進しています。詳しくはこちらの記事で紹介されていますが、ビールを作る時に大量に発生する大麦の搾りかすからヘミセルロースを抽出し、そのヘミセルロースを事業革新パートナーズの独自技術によって植物由来プラスチックに精製するというソリューションです。

    堀田:このソリューションがユニークなのは、自社製品の製造時に発生した食品残渣を廃棄処理するのではなく、再びノベルティなどに活用していくことで、新しい循環ループが構築できる点です。サーキュラー・エコノミーへのアプローチとして、消費者にもわかりやすいですよね。

    ビールの搾りかす以外にも応用できる技術なのでしょうか?

    津田:はい。この技術で使われるヘミセルロースは糖から抽出されるので、ビール大麦以外にもコーヒーやワインなど、糖を含む残渣さえあればいろいろと展開できる可能性があります。食品残渣を捨てずに活用する方法を探しているメーカーは多いと思いますので、こちらもぜひご相談いただきたいです。

    販促方法一つにも、サステナブルに対する企業姿勢が表れるから

    サステナブル素材の活用について具体的なお話が聞けて、読んでいる方もイメージが広がったのではないかと思います。今後のサーキュラー・エコノミーの推進に向け、特にこんな企業に注目してほしい、相談に来てほしいという考えはありますか?

    津田:最初の話に戻りますが、数年前からセールスプロモーション領域においてもサステナナビリティやサーキュラー・エコノミーへの関心が高まり、さまざまな企業が取り組みを模索しています。その中でデジタル化の波は大きく、これまでモノでお渡ししていたノベルティを、デジタルコンテンツに変えて提供するケースも多くなりました。一方で、モノでしか伝えられない価値やメッセージがなくなることもありません。どの方法を選ぶかは企業それぞれの選択ですが、もしモノを介したコミュニケーションを選択されるならば、どうすればよりサステナブルにできるのか、ぜひ私たちにご相談いただきたいと思います。

    モノかデジタルか、モノならどれだけサステナブルな素材を使っているか。そうした選択に、企業の姿勢が本当に表れる時代になっていますね。

    津田:企業が“自分たちのあるべき姿”をしっかり踏まえ、そのうえでソリューションや素材を選択していただくことが、これから社会的にもますます必要になっていきます。個人的には、今のサステナビリティやサーキュラー・エコノミーへの関心が、ブームで終わってほしくないと願っています。「うちはサステナブル素材しか使いません!」とドラスティックな宣言をするのはさすがにまだ難しいのですが、気持ちとしてはそれくらい強い思いがありますね。

    堀田:でも、2050年くらいにはそれが当たり前かもしれませんよ。「え、昔は石油系プラスチックでこれ作ってたの?」と驚かれたりして(笑)

    津田:そうですね(笑)。もしそうなったら、今やっていることが少しでも実を結んだことになってうれしいですね。

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    d-cepがお届けする主なソリューションについてはこちらをご覧ください
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    d-cepパートナーインタビュー Vol.1はこちらから
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