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    循環する経済ってどういうこと? 「サーキュラー・エコノミー」の基本を解説

    最終更新日:2024年03月22日

    循環する経済ってどういうこと? 「サーキュラー・エコノミー」の基本を解説

    2030年までのSDGs目標の達成に向け、世界中で持続可能な社会づくりの取り組みが加速しています。日本政府は「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指す」と打ち出し、アメリカは地球温暖化対策の世界的枠組みである「パリ協定」への復帰を決定。企業もこれまで以上の対応が求められる中、注目されているキーワードの一つが「サーキュラー・エコノミー」です。今回はその概要や取り組みのポイントについて、電通Team SDGsのSDGsコンサルタント・堀田がわかりやすく解説します。

    INDEX

    日本人の9割が知らない!? 持続可能な社会のキーワード

    理解率、約8%――。これは、電通・電通総研が行った「サステナブル・ライフスタイル意識調査2021」において、「サーキュラー・エコノミーの内容を理解している」と回答した日本人の割合です。アメリカやドイツ、中国、インドなど、調査対象となった12カ国の平均が約39%であるのに対し、とても低い数字だということがわかりました。「聞いたことがある」と回答した人の割合でさえ20%ほど。これを読んでいる人の多くは、もしかするとここに当てはまるのではないでしょうか?

    サーキュラー・エコノミー浸透度(海外比較)

    日本でサーキュラー・エコノミーが浸透してくのは、これからが本番。その動きに出遅れないよう、まずはサーキュラー・エコノミーを正しく理解することから始めましょう。

    リサイクルやリユースとは何が違う?

    サーキュラー・エコノミーは、直訳すると「循環型経済」。国際的なサーキュラー・エコノミーの推進機関であるエレン・マッカーサー財団では、その3大原則を下記のようにまとめています。

    <サーキュラー・エコノミー3原則>
    Design out waste and pollution(廃棄物や汚染をなくす)
    Keep products and materials in use(製品や素材を使い続ける)
    Regenerate natural systu (自然のシステムを再生する)
    エレン・マッカーサー財団HPより

    廃棄物をなくし再利用をする点では、すでになじみのあるリユースやリデュース、リサイクル(いわゆる「3R」)と同じように思われるかもしれません。一体何が違うのでしょうか?

    廃棄を前提としない

    3Rとサーキュラー・エコノミーの大きな違いは、廃棄を前提としているか否かです。下記のイメージ図をご覧いただくとよく分かりますが、3Rは真ん中のリサイクリングエコノミーに該当し、生産と消費における資源の再利用を考えたモデル。最終的には廃棄されます。それに対しサーキュラー・エコノミーは、原料調達の段階から再利用していくことを前提とし、従来廃棄されていたものも原料として再活用し、できるだけバージン材料を投入せず循環させていくモデルです。

    経済モデルの仕組みを表したイメージ図

    ※出典:オランダ政府「From a linear to a circular economy」を加工して作成

    「5R」を内包するモデル

    廃棄を前提としない循環型モデルにおいては、3Rに加えて「リフューズ」「リペア」という2つの概念が必要になります。

    ※出典:経済産業省「資源循環政策の現状と課題」を加工して作成

    リフューズ
    廃棄のもとになるものを買わない/もらわないようにすること。容器の廃棄が出ないよう詰め替えのある商品を選んだり、一時的に使うだけのものはシェアやレンタルサービスを活用するなど、生活者の消費行動が前提条件となります。

    リペア
    修理をしながらものを長く使い続けること。あらかじめ修理可能な製品設計を考え、アフターサービスを用意しておくなど、生産者側の対応が欠かせません。

    「リユース」「リデュース」「リサイクル」の3Rに、「リフューズ」「リペア」を加えたこの概念は「5R」と呼ばれ、これらの視点がすべて含まれて初めてサーキュラー・エコノミーが構築されます。

    なぜ今、サーキュラー・エコノミーが注目されるのか

    サーキュラー・エコノミーがグローバルな注目を集める第一の理由は、もちろんそれが環境負荷を抑えることにつながるからですが、もう一つ重要な観点があります。それは、環境負荷低減と経済成長の両立を目指すモデルだということです。

    資源コストも最小にできる

    原料を廃棄しないサーキュラー・エコノミーは、経済システムへの新たな資源の投入を最小化でき、さらに投入した資源を使い尽くすこともできるビジネスモデルです。つまり環境負荷を抑えると同時に、投資コストも抑えることができるのです。

    新たなサービスの展開につながる

    また、製品を売り切る発想のビジネスモデルから、シェアやレンタル、リペアといった新たなサービスを含んだビジネスモデルへと拡張させることができます。サーキュラー・エコノミーの構築を軸に新規事業やイノベーションも生まれ、企業に新たな収益拡大の可能性をもたらします

    SDGsやサステナブル社会実現のアプローチとなる

    昨今、国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みを強化する企業が増えています。サーキュラー・エコノミーは、SDGs実現に向けた有効な手段の一つになり得ると言えるでしょう。
    なかでも「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」や「12.つくる責任、つかう責任」とは親和性が高く、また「17.パートナーシップで目標を達成しよう」は、このあとお話しするサーキュラー・エコノミーにおける協業の重要性の話にも大きく関連します。

    サーキュラー・エコノミーの構築 4つのポイント

    それでは、企業が実際にサーキュラー・エコノミーの構築を目指す際、どういった点が重要になるのでしょうか。ここでは基本的な4つのポイントをご説明します。

    1. 循環視点を持つ


    最初の話のおさらいになりますが、サーキュラー・エコノミーの原則は「廃棄を前提としないこと」。単に新しい環境配慮型素材を取り入れるだけでなく、それをどのように再利用し、循環させていくのかという視点が大前提になります

    2. 利用者からの回収網を構築する

    製品や素材を循環させるためには、一度利用者の手に渡った製品を回収し、再び原料へと戻す工程やそのままリユースしていく工程が必要になります。ここが、これまでの製品売り切り型ビジネスとの大きな違いです。

    3. 他社と協業して進める

    私たち電通Team SDGsがサーキュラー・エコノミーに関するご相談を受ける際、よく聞くのが「自社だけでは回収網を構築しきれない」というお声です。
    全体としての経済モデルであるサーキュラー・エコノミーは、環境配慮型の素材をつくる素材産業、製品をつくり流通させる動脈産業、製品を購入・利用する使用者、そして製品を回収・リサイクルする静脈産業と、複数のステークホルダーが連携し合うことで初めて成立します。そのため、一企業が自社内だけで構築するのは非常に難しく、他社との協業が不可欠になってきます。

    4. 社内外への発信を行う

    サーキュラー・エコノミーへの取り組みがまだまだ活発ではない今、取り組みや効果を社内外へ広く発信することは、他社や他業界にも取り組みを広げるきっかけとなります。また、持続可能な社会を目指す企業姿勢のアピールにもなり、ブランドイメージの向上に、さらには消費者や社会の価値観の変革にも寄与していくことになります。

    簡単ではないけれど、取り組む意義も可能性も大きい!

    最後に、構築に向けた大まかなステップを下記の図にまとめました。一つひとつのご説明は別途eBook「はじめてのサーキュラー・エコノミー QUICKガイド」をご用意しましたので、詳しくはぜひそちらをご覧ください。

    サーキュラー・エコノミー構築の基本ステップ

    サーキュラー・エコノミーはビジネスモデル全体に関わるものですから、その構築には一定の時間とコストを要します。企業の掲げる環境ビジョンやSDGs施策とも密接にかかわるため、それらを鑑みたうえでしっかりと目標やパーパスを設定する必要がありますし、テーマに合わせて適切なソリューションを選択、あるいは新規に開発していく必要もあります。そしてポイントでも述べた通り、社内外に取り組みを知ってもらい、他社や生活者を巻き込んで一緒に構築していかなくてはなりません。
    また、「誰でもすぐに始められる」ものではないため、なかなか一歩を踏み出せない企業様も多いかもしれません。しかし、環境負荷低減と経済成長を同時に目指せることから、取り組む意義は十分。信頼できるパートナーとしっかり手を組むことで、自社だけではできないイノベーションの可能性も広がります

    私たち電通も、これからさまざまなかたちで、日本のサーキュラー・エコノミーの先駆的取り組みをサポートしていきたいと考えています。サーキュラー・エコノミーにご興味のある方は、ぜひ一度ご相談いただければと思います。

    サーキュラー・エコノミー eBook ダウンロードページへ

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