今、人財採用には、若者の価値観や本音を理解し、マーケティングを活用した「若者基点の採用ブランディング」が求められています。こうした取り組みを実行すれば、自社が若者にとって“選ばれ続ける存在”となると考えます。
このブログでは、2024年9月に開催されたウェビナー『Z世代の価値観&就活のホンネを徹底解説!いま企業に求められる「採用ブランディング」とは』の内容を再構成して、エッセンスをお届けします。
INDEX
まず最初に、電通が独自に実施している「Z世代就活生まるわかり調査」などのデータをもとに、採用のターゲットであるZ世代の価値観や就活における意識をご紹介します。
若者たちは、就職の場面ではどのような意識や行動を見せているのでしょうか。「エントリーする企業選びで重視するポイント」について聞いてみたところ、複数回答可の場合は「給料がいい」が46.7%でトップでした。その一方で、単一回答では「自分の夢ややりたいことに近い業界」が16.3%と最も高くなりました。安定性を意識しながらも、他方では夢ややりたいことを大事な要素だと考えている傾向が見られます。
※理系学生は研究室での専攻や専門性が明確なため、自分のやりたい仕事ができる企業かどうかをより厳しく見定める傾向も。
関連ブログ:理系人財獲得に向けた採用ブランディングにおける、押さえておくべきポイントとは?
「働き方」に関して、出社かリモートかどちらを望んでいるかを聞くと、「出社」を望む声が多くなっています。加えて対面での手厚い指導を期待しており、スキルアップできる環境を求めている様子が伺えます。Z世代は、仕事を人生の全てとは考えないものの、自らの成長の機会には貪欲だという傾向が見てとれます。
Z世代は、就職活動において口コミを重要な情報源と捉えています。活動中にどのように情報収集したのかを聞いてみると、「LINEのオープンチャット」や「ONE CAREER」など、多様でリアルな情報収集が可能なサービスが活用されていることが分かりました。
また、企業認知においては「ゼミ・研究室の先輩・同期」が最も高くなっており、デジタル上の口コミだけでなく、身近な人からの評価や経験談などが重要な判断材料となっているようです。
Z世代の就活に関する意識や本音を把握・分析して就活生へのアプローチポイントをまとめた「Z世代就活生まるわかり調査2024」ダイジェスト・レポートは、こちらからダウンロードできます。
では、こうした若者の本音を捉えて、企業はどのように採用活動を展開していけばよいのでしょうか。ここで企業側に目を向けると、少子高齢化が進み若年層の人口が減少する中で、企業が備えなければならない採用市場や採用活動における課題が浮かび上がります。
今の採用市場は圧倒的な売り手市場などと言われますが、実際に多くの企業でエントリー者数が減少し、求める人財がエントリーする割合も低下し続けています。その上でさらに、内定を出しても辞退されてしまうことも増えています。
こうした課題を捉えて、企業は通年採用や全学年採用、ジョブ型採用などの方法を増やしており、人事戦略における採用方式が年々多様化・複雑化しています。そのためこれまで有効だった採用活動や採用広報の方法が必ずしも成果につながるとは限らなくなっており、採用方法の変化に適した企業認知の獲得やイメージの醸成も必要になっています。
良い人財を獲得するには、人事と広報の連携が重要な時代になっていると言えます。
企業の採用課題を解決するためには、人事と広報の両面から戦略立案して施策を実行していくことが不可欠になっています。実際、採用における成果のKPIを整理してみると、「エントリー数や優秀層の確保」という人事課題と、「企業認知やイメージの醸成」という広報課題は密接に関連していることが分かります。
具体的には、人事面でのKPIである、企業サイトへのアクセス数やターゲット層からのエントリー状況などの定量的な指標、さらにはエントリー動機や口コミ評価などの定性的な指標は、表にあるように広報面での定量的・定性的KPIと密接に関係しています。
採用の成果を上げていくには、人事と広報が連携してこれらのKPIを継続的に測定し、連携して採用活動を行い、活動内容を最適化していく必要があることが分かります。
→ 採用広報とは?メリット、手法、進め方、4つの成功ポイント
人事と広報の連携で成果を上げていくという課題に対応するためには、企業が採用活動を新たな視点で捉え直すことが求められています。その答えとなるのが、マーケティングの手法を活用した「採用ブランディング」です。
採用ブランディングとは、採用活動を人事と広報の2つが交わる新たな経営課題として捉え、マーケティングの手法を活用して企業の未来像を発信していく取り組みです。
採用ブランディングは、「企業の一歩先の未来」を伝え、企業の現在の姿だけでなく、未来のビジョンを示し、その未来に共感する人財との出会いを創出します。
この取り組みは、採用市場への効果にとどまりません。社内の従業員のエンゲージメント向上、さらには企業全体のブランド価値向上にまでつながる重要な経営施策となります。採用ブランディングを通じて、企業は単なる人財確保を超えて、持続的な企業価値の向上を実現することができるのです。
私たちが実践している「採用ブランディング」の基本ステップをご紹介しましょう。
7つのステップで体系的に展開していきます。ターゲットの深い理解から始まり、採用ブランドの開発、戦略立案、制作実行、効果検証を経て、最終的に企業ブランド全体への展開へと発展させていきます。
ここが全ステップの中で最も大事だと言っても過言ではありません。社内外の調査を活用しながらZ世代のインサイトを掘り下げ、ターゲットの心理を的確に捉えることから始めて、入社までの各フェーズで有効な施策を講じるために「就活ジャーニー」を作成します。
「就活ジャーニー」とは、学生が企業を認知してから就職を決意するまでのプロセスを体系化したものです。企業の認知から始まり、興味、共感を経て、最終的な決断に至るまでの各フェーズで、どのような訴求が効果的か、どのような接点が有効かを明確にしていきます。
3C分析のフレームワークを活用し、自社ならではの価値を抽出して「採用ブランド」のコンセプトを開発します。他社と差別化でき、かつ若者に響く独自のメッセージを構築することで、採用市場での競争優位性を確立します。ここでは「未来」「挑戦」といった各社同じになりがちなメッセージではなく、企業固有の価値観や特徴を反映したメッセージを構築します。
ターゲットに向けて情報を効果的に伝えるために、統合コミュニケーション施策を立案していきます。例えば、採用パンフレットは企業の詳細な情報を伝える基本ツールとして、イベントやインターンシップはリアルな交流の場として、SNSや外部メディアは幅広い認知獲得の手段として、など、それぞれに戦略に沿った役割を担わせて施策を設計します。
ここで昨今、特に重要なのは自社WEBサイトの展開です。一般の就活支援サイトは各社同じフォーマットかつ掲載情報に制約があるため、求職者の企業理解が深まりにくいという課題が生じがちですが、自社サイトにはそのような制約がなく、企業独自の強みや世界観を十分に伝えることができます。
また、自社サイト経由でエントリーする求職者は企業への理解度が高い傾向があり、「良質な母集団」の形成につながるため、内定後のミスマッチが起こりにくくなります。
採用活動の効果を最大化するために、効果検証の仕組みをつくります。例えばGoogleアナリティクスを活用したウェブサイトの分析や、就活生への定量・定性調査を通じて、各施策の効果を検証し、次年度の改善につなげていきます。
採用ブランドの世界観や施策の意図、実施方法までを明文化したガイドラインを作成します。これにより、採用担当者が交代しても一貫した採用ブランディングを維持できるほか、人事部門と広報部門が連携する際の共通言語としても機能します。
採用ブランディングに取り組むことで整理された伝えるべき自社らしさを、より広いステークホルダーへも展開することで、採用活動の枠を超えた企業ブランド全体の価値向上につながっていきます。
→ 採用ブランディングとは~「若者基点」で取り組む意味、メリット、進め方を解説
ここまで「採用ブランディング」の実践ステップをご説明してきました。このメソッドは電通で2024年2月に設立された「採用ブランディングエキスパート」のメンバーが、それまでのノウハウを「採用ブランディング by HR for Growth」として集約したものの一部です。
「採用プランティングエキスパート」とは、30社以上の実績を持つ採用コンサルティングの専門チームです。広告業務で培ったZ世代インサイトの把握を専門とするアカウントプランナーや、人事実務経験を持つコンサルタントなど、30名程の多様な経歴を持つメンバーで構成されています。
「採用ブランディング by HR for Growth」は、「採用ブランディングエキスパート」のメンバーが統合的に顧客企業の人事部/採用部門とZ世代のギャップを埋めるブランディングをサポートするサービスです。電通グループの総合力を活かしながら、「Z世代の人財採用という経営課題」の解決に貢献します。
課題に取り組むためのスタートメニューも取り揃えています。ターゲットのインサイトを掴むための調査分析報告会や、企業課題に沿ったオリジナルな勉強会などをご用意していますので、お気軽にお問い合わせください。企業様のニーズに合わせて選択・カスタマイズが可能です。状況や課題に応じて最適なアプローチを提案させていただきます。
お問い合わせは、こちらから。
「採用ブランディング by HR for Growth」のソリューションについての詳しい資料は、下記からeBookをダウンロードできます。