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    今、企業が策定すべきパーパスとは?電通パーパス・デザイン 「パーパス・デザイン」が企業/ブランドを強くする #4

    最終更新日:2023年08月22日

    今、企業が策定すべきパーパスとは?電通パーパス・デザイン 「パーパス・デザイン」が企業/ブランドを強くする #4

    INDEX

    これまでのブログ連載で、パーパスは一過性のブームでは終わらない、パーパスは新しい視点や発想をもたらす、そして企業・ブランドを強くすることをお伝えしてきました。
    第1回:パーパスとは?その意味と企業・ブランドを強くする方法を解説
    第2回:「パーパス」ミッション・ビジョン・バリューとの違いを解説
    第3回:「パーパス」企業の成功事例にみる「8つの効果」を紹介

    ではどうやって自社・ブランドにとって最適なパーパスを策定すればよいのでしょうか?もしくは既に存在するパーパスを活かし、自身の強さにつなげていけばよいのでしょうか?

    パーパスをめぐる企業の関心は、“いかに戦略的に設計(デザイン)するか”という次のステージに入っています。
    今回は今までご紹介してきた考え方をもとに私たちが開発したソリューション「電通パーパス・デザイン」の内容についてご紹介します。

    パーパスをデザインする力が問われている

    企業・ブランドの強さにつなげるために戦略的に設計する

    パーパスは一歩間違うと単なるきれいごとや掛け声に終わる危険性があります。企業・ブランドの“強さ”につながらないパーパスは、やがて形骸化してしまうのです。
    そうなることが決してないよう、パーパスをあらかじめ戦略的に設計し機能させていく全体を見渡したデザインが重要だ、と私たちは考えます。これを私たちは“パーパス・デザイン”と名付けました。

    Dentsu Purpose Design

    もちろん、これは決して功利的な動機からパーパスを策定することではありません。社会への貢献、社会価値創造への誠実で強い意思を持つことはパーパス・デザインの大前提です。但し、それだけで競争力を高めることはなかなか難しいのが現実です。

    「電通パーパス・デザイン」の4つの特長

    「電通パーパス・デザイン」の特長は4つあります。

    「電通パーパス・デザイン」の4つの特長

    これから、それぞれについてご説明していきます。
    なお、パーパスには、大きく分けて、企業のパーパスと商品・サービスブランドのパーパスとがあります。それぞれインプットすべき情報や発想のフレームなどは異なりますが、基本的な考え方は同じです。

    特長1:企業・ブランドの課題に寄り添い、最適なパーパスのあり方を考える

    ●狙いの明確化から始める
    企業・ブランドがどのような課題に直面しているかによって、ふさわしいパーパスのあり方は異なります。例えば、組織の求心力強化が急務であれば、従業員の「個人の志」を丁寧に汲み上げ、企業・ブランドの志をそれと共鳴するものにする必要があります。また、自社の事業領域の存在価値自体が低下している状況であれば、現在の事業領域を前提にするのではなく、未来に向けて社会から存在意義が感じられる企業へと自身を変革し事業ドメインを再定義することも視野に入れた検討プロセスが必要となります。

    それゆえ、パーパス・デザインの最初の段階で、狙いを明確化することが重要となります。自社・ブランドが抱える課題と狙いを考える際、前回のブログ(「パーパス」企業の成功事例にみる「8つの効果」を紹介)でご紹介した「電通パーパス・デザイン ベネフィットチャート」やパーパス・ドリブンと称される企業・ブランドの先行事例などを参照することも有効です。

    電通パーパス・デザイン ベネフィットチャート

    ●現行のパーパスの課題を抽出
    狙いを明確化することと同時に、自社の現行のパーパスについても点検することが重要です。「現行のパーパス?パーパスがないから策定するのだが…」と思われる方もいるかもしれません。が、パーパス(社会に対する志・社会的存在意義)は、もともと、どの企業・ブランドにもある程度存在するものだと私たちは考えます。それを探り当てた上で、改めて、その内容を複数の観点から評価します。そのプロセスを通じて、一から新たにパーパスを策定するか、それとも既存の内容をベースに調整・再解釈を行っていくべきか、もしくは、既にある理念や志をそのままパーパスであると捉え、それをより活性化し組織内に再浸透させていくことが必要なのか、などを検討していきます。

    なお、パーパス・デザインは社内の理解や共感を得て進めることが有効です。そこで、なぜパーパス・デザインを行うのか、その背景にはどのような課題や危機意識があるのかといった大前提が共有・共感されることが成功の秘訣の一つであると言えるでしょう。

    特長2:「志す」→「ワークさせる」→「ブランド力につなげる」 の3つのデザイン

    ●3つのフェーズでデザインする

    3つのデザイン

    第2回のブログの中で、「志は『具現化してなんぼ』です」と書きました。
    ここでいう「ワーク(機能)させるデザイン」とは、まさに『具現化』のフェーズを指しています。

    企業のパーパスであれば、社内認知を高めるに留まらず、それを各従業員の目的意識に落とし込んだり、その先にある企業文化として定着させることが重要です。また、パーパスは、経営ビジョン・戦略、人事戦略、事業戦略、サステナビリティ戦略、そして企業ブランド戦略などに組み込んでいくことが必要となります。商品ブランドのパーパスであれば、ブランドチームの価値観に組み込み、既存のマーケティング戦略の基点にします。さらに、新たな商品開発やビジネスモデルへと発想を広げられるとより理想的です。

    「ブランド力につなげるデザイン」では、自社・ブランドのパーパスと共に、それが具現化された形をあわせて社外に発信していくことで、社会から存在意義が感じられる企業・ブランドとしての共感を得て評価されていくことを目指します。
    その際、企業のパーパスであれば各事業の取り組みのほか、パーパスをわかりやすく体現する「シンボル・プロジェクト」を通じて、商品ブランドのパーパスであればブランド・アクティベーションを通じて、パーパスを早期に具現化・可視化することも有効です。そうすることで、社外のみならず、社内のパーパスの理解・浸透をより一層加速させる効果が期待できます。

    これらの3つのデザインは決して独立したものではありません。それぞれのデザインで、他のフェーズにも思考をめぐらせ、発想を行ったり来たりさせながらデザインしていくことが有効です。例えば、ワーク(機能)させることを念頭に志をデザインする、ブランド力につながるようワーク(機能)のさせ方をデザインする、というように。3つのフェーズ全体を見渡した視点を持ち、一気通貫でデザインすること、それが電通パーパス・デザインのこだわりでもあります。

    ●課題フェーズに応じて、必要な部分のみデザインすることも
    もちろん、企業・ブランドによって、どのフェーズのデザインが必要かは異なります。必要なフェーズのみを切り出して、デザインすることも可能です。
    パーパスが話題になって久しいこともあり、既にパーパスの策定は終了し、次の「ワーク(機能させるデザイン」が課題となっている企業・ブランドも多いかと思います。そのために、私たちは「ワーク(機能)させるデザイン」で、既存のパーパスを再活性化していくソリューションにも力を注いでいます。特に重要なのはパーパスを時代にあわせて再解釈したり、社会の動向にあわせて価値を拡張、ふくらましていく発想です。それによって、新たなビジネス機会が生まれたり、ブランドの世界観、ひいては提供すべき価値自体がふくらんでいく、と考えています。

    特長3:“Society-in”&“People-in” 「社会の視点」と「生活者の視点」

    ●新たな視点を取り入れ、従来の考え方に揺さぶりをかける
    「社会の視点」を取り入れることはパーパス・デザインの必須要件です。社会的存在意義を感じられる企業・ブランドになるためには、社会の実態や社会からの要請に対して感度を高めることが必要です。また、新たな視点や物の見方を取り入れ、改めて自問自答することも有効です。パーパス・デザインは、企業・ブランドの原点、資産や強みについて掘り下げて考えると同時に、自分達の従来の考え方に揺さぶりをかける機会でもあります。

    社会インサイト

    ●“Society-in”はパーパス・デザインの必須要件
    “Society-in”---これは、富士ゼロックス元取締役会長である故小林陽太郎氏が時代を先駆け提唱された「ソサエティ・イン」の考え方を参考にしています。

    「『マーケット・イン』をさらに広げて考えると、企業は市場という範囲ではなく、社会が何を必要としているのか、それは商品が売れるか売れないかということだけではなく、家庭の問題であったり、地域との関係であったり、そうした社会の視点に立って活動しなければならないのではないか。そういう視点を『ソサエティ・イン』と呼びます。そういう視点に立てば視野はもっと広がります」 (一部抜粋)(※)
    ※出典:朝日新聞シンポジウム「討論:日本の新戦略『地球貢献国家』をめざして」

    “Society-in”のプロセスでは、未来トレンドや社会の潮流の把握はもちろんですがそれだけでなく、私たちがネットワーキングしている社会課題の専門家(NPOや社会起業家の方々など)やステークホルダーを招き、生の情報に耳を傾けたり、意見交換することをご提案しています。自社内だけで社会価値を思い描いても独りよがりな内容になりがちだからです。社外の目を積極的に取り入れ、しかもインタラクティブな場を創出することで、新しい発想を生み出すことも可能となります。

    ●“People-in”は「生活者の視点」でパーパスを磨くこと
    もう一つのポイントは「生活者の視点」です。ほとんどの社会・環境課題は「人の生き方」「人の暮らし」と関わっていますが、社会課題と生活者課題はともすると別々に扱われがちです。広告会社で仕事をする私たちは、かねてから「生活者インサイト」を得意領域としてきましたが、今、その経験も活かしつつ、社会課題と人の生き方の両面から社会を捉えていこうと考えています。また、社会の視点からだけでは必ずしも浮かび上がってこない「人間にとっての価値」もあります。「真善美」など全ての価値の基盤となるような要素もその一例です。そういった視点も、“People-in”のプロセスで盛り込むことで、幅広い視点からパーパスを磨いていきます。

    特長4:“強さ”につなげる4つの戦略視点

    戦略視点

    ●企業・ブランドの強さにつなげるために必要な4つの視点
    私たちは、先行事例の分析を通じ、パーパスを企業・ブランドの強さにつなげるための4つの戦略視点を抽出しています。それぞれの視点とは以下の通りです。

    ・HIGHER 社会視座・共有価値
    高い視座を持ち、社会ニーズや価値観の変化に応じて、新しい社会との向き合い方を組織に埋め込む

    ・FUTURE 未来への変革意志
    未来に向け、世の中をより良い方向に変革していくベクトルを明確化する

    ・INSPIRE 同志感(共鳴・共創)
    志を「自分ゴト化」させ、社内変革や社外との共創の「エンジン」にする

    ・REAL(言行一致・実効性)
    志を“本気で”実態化することで、社会から存在意義を感じられる企業・ブランドになる

    これらはいずれも、パーパス策定時はもちろんのこと、どのフェーズのデザインにおいても重要な視点です。また、PDCAをまわしていく際の指針にもなります。

    あなたの会社・ブランドに志はありますか?

    これまでの連載にお付き合いただき、ありがとうございました。
    最後になりますが、改めてこの「問い」に立ち戻らせてください。
    「あなたの会社・ブランドに志はありますか?その志は今の時代(社会、生活者)に合っていますか?」
    「志は、ワーク(機能)していますか?そして、最終的にブランド力につながっていますか?」

    コロナ禍で価値観が大きく変化し、先が不透明になっている今だからこそ、現状を振り返ってみることが重要です。

    現在どこに問題があるのか

    私たちがお手伝いできることがございましたら、お気軽にお問い合わせください。
    企業・商品ブランドのいずれでも、必要なフェーズでご支援させていただきます。

    「電通パーパス・デザイン」については、こちらでもご紹介をしておりますので、ぜひご覧ください。

    eBook:「パーパスが“機能する”ために知っておくべきことガイド」をご用意しております。パーパスについて、これから情報収集を始めたい⽅から、既にパーパスをもとに実際に変⾰に取り組んでいる⽅まで、多くの⽅に実践的なヒントをご提供します。

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    これからの企業/ブランドを強くする「電通 パーパス・デザイン」

    企業やブランドのパーパス(社会に対する志・社会的存在意義)を戦略的に設計し、競争力強化やブランディングを支援。

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