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      今さら人に聞けない“パーパス”とは? パーパス・デザイン〜「社会に対する志」が企業/ブランドを強くする〜[第1回]

      EC

      INDEX

      はじめに

      最近、ビジネスをめぐる、あらゆる場面で話題にのぼる“パーパス”。“社会から存在意義を感じられる企業/ブランドであり続けるために”その重要性が、指摘されています。

      一方、パーパスには、社会的存在意義を感じられるようにするのみならず、その企業/ブランドの競争力そのものを高める力もあります。
      「社会に対する志」が企業/ブランドを強くする―私たちはこのことに、より着目して考えることが重要だと思っています。

      パーパスの考え方を導入したからと言って、それだけで良い結果が得られるとは限りません。多くのパーパスは、その企業/ブランドの“強さ”につながらず、結果的に形骸化してしまいます。

      「パーパスが“強さ”につながらない、その理由は何なのか?」

      それは、「パーパスを戦略的に設計し機能させていく全体を見渡したデザインの欠如」です。
      「志×戦略」―「志」を企業/ブランドの競争力へと戦略的につなげていくこと― これが、私たちが考える“パーパス・デザイン”です。

      この連載では、私たちのパーパスに対する考え方や、そこから生まれたソリューション『電通パーパス・デザイン』について、これから4回に分けて、以下をテーマにご紹介していきたいと思います。

      第1回:今さら人に聞けない“パーパス”とは
      第2回:パーパスがもたらす新しい視点や発想
      第3回:パーパスが強さにつながる8つの道筋
      第4回:志×戦略=パーパス・デザイン

      もしかして、こういうことはありませんか?
      ご自分の会社の企業理念を人に説明する際、きれい事過ぎたり、誰にでも言えるようなことだったりして、ちょっと気恥ずかしくなってしまうこと。
      もしくは、最近、企業が社会的なテーマに関して問題提起を行ったり、アクティベーションを展開している事例をよく目にするが、なぜこのような動きが増えているのか気になっている、など。
      実は、これらはみな“パーパス”に関連する事柄です。

      また、社内で“パーパス”を一早く策定してみたものの、次にどう動くべきか悩んでいらっしゃる方もいるかもしれません。

      “パーパス”は十年以上前から欧米で、そしてここ数年は日本でも、多くの企業の注目を集めている概念です。例えば、世界で最も有名だと思われるパーパスの一つに、ユニリーバ社の「サステナビリティを暮らしの“あたりまえ”にする」があります。このパーパスは、同社のサステナブル経営やサステナブル・マーケティングの指針となると共に、提供する各商品それぞれのパーパス・ブランディングのベースとしても位置付けられ、事業の成功を導く要因となっています。(※1)

      私たちはパーパスに関してクライアント企業のご支援を行うとともに、長年グローバルな潮流をウオッチしてきました。そういったことをふまえ、第1回では、パーパスの本質は何か、企業/ブランドにとってどのような示唆があるのか、といった私たちの考え方をご紹介します。

      そもそも“パーパス”とは?

      パーパスは私たちに自問自答を迫る

      『みなさんは何のために働いていますか?』『明日、〇〇(ご自身の会社/ご担当のブラン
      ド)がなくなったとして、世の中にとって何か問題はあるでしょうか?』『生活のためや、家族のため以外に、あなたを今日、職場に向かわせたものは一体何でしょうか?』・・・それがパーパス(目的)です。

      これは、私がパーパスについて説明をする際、最初にお話することです。私はこのフレーズを最初に、ある書籍の中で見つけました(※2)。その後、経営論やブランド論の中でパーパスに関する多くの情報に目を通して来ましたが、最終的に立ち戻るべきは、やはりこの問いかけなのだろうと思っています。

      パーパスは、このように私たちに自問自答を迫ります。
      WHY(何のために)。
      この、問いを絶えずつきつけていく働きこそ、パーパスが企業にもたらす最大の価値ではないかと私は考えます。

      企業/ブランドのパーパスは「社会に対する志」

      パーパスの定義としては、ここにあるような表現がよく見られます。

      Purpose~企業/ブランドの「高い目的意識」~

      近年、SDGsなど、地球環境や社会の“サステナビリティ(持続可能性)”への取り組みが求められる中、企業はその“目的”の中に「社会に対してどのような価値を生み出し、貢献するのか」といった社会に対する姿勢や、「どのような未来社会を創っていくのか」といった、より具体的な意思を込めるようになってきています。
      そのような流れも受け、私たちはパーパスを“社会に対する志”もしくは“社会的存在意義”と定義しています。

      パーパスを新たに策定したり、従来のものを再定義したりすることは、企業やブランドに、新しい志(目的意識)を埋め込み、自身を変革していくことに他なりません。

      “パーパス”ブームの背景にあるもの

      パーパスをめぐる世界的潮流

      ここで、パーパスをめぐる潮流を簡単にレビューしてみたいと思います。過去の経緯を理解することで、パーパスの本質や企業にとっての示唆が見えてくるからです。

      欧米でパーパスへの関心に火をつけたのは、リーマンショックでした。利益の追求を最優先に求められる営利企業は、果たして社会に真に役立つ存在たり得るのだろうか・・・そういった疑問が、当時米国で就職先を考えていた若者達を悩ませたとのこと。また、企業経営者もこれをきっかけに新しい経営の在り方を模索し始めたといいます。

      「企業は社会の役に立てるのだ」と、そこに働く人々のプライドを奮い立たせ、企業を新たな“目的”意識のもと変革へと向かわせたのが、パーパスでした。

      さらに、その頃から徐々に大きな潮流となっていた“サステナビリティ(持続可能性)”へのシフトが、パーパスに新たな役割を与えました。社会の視点をより取り入れて新たに策定された各社のパーパスは、企業/ブランドをサステナブル経営/ブランディングへと導いていったのです。

      生活者の消費行動の面でも、市場の中核を占めるようになっていたミレニアル世代やZ世代の社会意識の高さがブランド選択を左右し始めました。社会の視点が希薄な企業/ブランドはそもそも存在意義が感じられなくなってきたという危機感も、新しい形の、パーパスに基づくマーケティングやブランディングへのシフトを加速させました。同時に、パーパスを起点にした新たなイノベーション(パーパス・ドリブン・イノベーション)も注目されていきます。

      そして、昨年来のコロナ禍が、企業/ブランドのパーパスへの関心を再び熱くしました。「確固たるパーパスを持つ企業は、コロナ下においても社会との向き合い方にぶれがない」とか、「パーパスは企業/ブランドのレジリエンス(困難からの回復力、しなやかさ)を高める働きを持つ」といったことが各所で指摘されています。

      ご存知の通り、今まさに世の中は価値観の大転換期を迎えています。資本主義の在り方自体を問い直す議論も始まり、そこでもパーパスに基づく企業経営に期待が集まっています。
      一人の人間として「何のために働いているか」、また企業/ブランドは、改めて「何のために存在するのか」を再定義すべき時期にきているのではないでしょうか。

      パーパスが注目される三つの文脈 そして企業への示唆

      今までの話をまとめると、パーパスが企業の注目を集めるに至った背景には、以下の三つの文脈があるといえます。

      1. 組織経営の文脈:
      ・若者の社会意識の高まりや仕事に対する価値観変化をふまえた人材確保
      イノベーションの加速化(パーパス・ドリブン・イノベーション)

      2. サステナビリティの文脈:
      サステナブル経営への社会的要請やESG投資の高まりへの対応
      ・新しい資本主義の在り方を模索する議論や、ステークホルダー資本主義への流れを反映した経営へのシフト
      ・消費者の社会意識の変化への対応(ミレニアル世代、Z世代

      3. ブランドの文脈:
      ・パーパスを起点に社会価値とクリエーティビティが融合する新しい形のブランド・エンゲージメント(パーパス・ブランディング

      ここに企業にとって二つの示唆があると私たちは考えます。

      一つは、パーパスは一つの領域にとどまる概念ではないということ。
      組織経営、サステナビリティ、ブランドなど、多様な文脈がある中、どれか一つの方向からだけ見てパーパスを理解したつもりになってしまうと、パーパスの考え方を取り入れる効果が半減する可能性がある、ということです。
      パーパスを導入すべき理由は、その企業/ブランドが抱える課題によって異なります。それを丁寧に見極めながら、自社/ブランドに最もふさわしいパーパスのあり方を考えることが重要だと思われます。

      もう一つの示唆は、パーパスが注目されてきたのは、企業にとってそれがどの文脈であるにせよ、自社/ブランドにとって多大なプラスの効果があったからだ、ということ。

      ともすると私たちは、パーパスを導入することそれ自体を目的化してしまうことがあります。が、企業/ブランドがパーパスを策定する際は、その先のことを考えながら検討することが、当然のことながら重要です。
      社会に貢献する意識を新たにするにとどまらず、自社/ブランドがパーパスの考え方をとり入れる狙い(自社にとってどういう効果を期待するのか。どのように自社/ブランドを強くしていきたいのか。)を十分意識しながら、検討を進めていくとことが肝要でしょう。

       “パーパス”は定着するか、ブームで終わるのか。

      “パーパス”への注目は、社会の大きな地殻変動の始まり

      「パーパスは果たして日本でも定着するでしょうか?」
      企業の方々とお話をする機会や取材の場で、質問を受けることがあります。

      グローバルな視点から言うと、パーパスを重視するトレンドは欧米では既に十年以上続いており、今や企業の経営やブランディングの大前提として定着していることがうかがえます。先にご紹介した、パーパスが注目される三つの文脈を見ても、組織経営の文脈、サステナビリティの文脈については、いずれも多くの日本企業が抱えている課題であることから、今後日本でも欧米と同じ道筋をたどることが予想されます。

      また、グローバルな事業展開を行う企業にはパーパスの知見が多く蓄積されているので、そういった企業が日本におけるパーパスの議論を牽引していく可能性もあるでしょう。もちろん、“パーパス”という英語名称を日本で使用するか否かはこの際あまり重要ではありません。

      “パーパス”をどう受け止めるかで、企業/ブランドの未来が分かれていく可能性

      さて、ブランディングの文脈についてはどうでしょう。商品ブランドのマーケティングのご担当の方々が最も迷っているのは、パーパス・ブランディングが今後日本でどう評価されていくか、ということかもしれません。欧米と日本では文化的背景が異なることもあり、欧米のアプローチをそのまま日本に持ち込んでも、必ずしも成功するとは限らないからです。

      しかし、世界中から広告・コミュニケーション事例が集まるカンヌライオンズ(※3)に応募されている事例を見る限り、このトレンドは決して欧米諸国に限られたものではないことがわかります。それぞれの国で試行錯誤を繰り返しながら、その国の生活者の心のツボを探り当て、ツボの押し方も慎重に調整しながら、独自のノウハウを蓄積していっているようです。そういう意味では、今、日本もまさにその試行錯誤の段階にきていると言えるでしょう。

      パーパス・ブランディングは緻密な戦略と、デリケートな人の心への理解と、社会テーマに関する深いインサイトを合体させたノウハウの塊です。成功すれば、これほど消費者の心に響き、強い絆を構築できる施策はありません。

      日本ではどの企業もほぼ一からのスタートであることから考えると、他社とのブランディングをめぐる競争の中で、どの企業にも一発逆転を狙える、もしくはさらに他社に抜きん出るチャンスがあると言えます。煽るような意図は全くありませんが、定着するか否かを見極めてから始めるのでは、もしかすると少し遅すぎるかもしれません。

      パーパスという考え方の登場は、資本主義、企業経営、マーケティング、いずれの位相においても、大きな地殻変動の始まりと見るべきだと私たちは考えています。後で振り返った時に「ああ、あの時、潮目が変わったね」と語られるであろう時代の分水嶺、それが今ではないかと思います。

      次回は、パーパスが企業/ブランドにもたらす新しい視点や発想について、ご紹介したいと思います。

      なお、このような考え方を踏まえて開発した『電通パーパス・デザイン』については、こちらでご紹介をしておりますので、ぜひご覧ください。

      出典
      ※1:ユニリーバ・ジャパン「会社情報」
      ※2:ジム・ステンゲル著『本当のブランド理念について語ろう』(阪急コミュニケーションズ刊行 2013年)
      ※3:カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル

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