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      今こそ、アートの力をビジネスへ【第1回】 興味はあるけど、いまいち半信半疑な「アート思考」

      ビジネスにおいて、「アート思考」という言葉をよく耳にするようになりました。なんとなく魅力的に感じているけれど、ぼんやりしていてよくわからない……。そんな方に向け、このブログではアート思考型ビジョン創造プログラム「ビジョンスケッチ」を提供する電通 美術回路が、ビジネスにおけるアート効果についてたっぷり3回に分けてお話しします。

      INDEX

      描けていますか? 仕事におけるあなたのビジョン

      「私、このままで大丈夫?」
      「自分が本当にやりたい仕事ってなんだっけ?」

      VUCA(※)と呼ばれる先行き不透明なこの時代、仕事をしながらふとそんな不安を覚えるのは、きっとあなただけではないでしょう。たとえばコロナ禍で在宅ワークが増え、自宅で一人パソコンに向かうとき。オンラインの向こうには同僚や顧客がいても、部屋にいるのは自分一人。これまでの働き方とは異なる孤立した環境に身を置いていれば、「個」としての問題意識が今まで以上に高まるのも自然なことです。

      一方でビジネスの現場では、過度なデータ主義や形式的な合意形成が蔓延。世の中のいたるところで「主体性を身につけよう」「明確なビジョンを持とう」なんて叫ばれているのに、いざ目の前の仕事となると、自分のやりたいことや考えをうまく表現できない。そんな矛盾やジレンマを抱えるビジネスパーソンは、決して少なくありません。

      ※不安定(Volatility)、不確定(Uncertainty)、複雑(Complexity)、曖昧(Ambiguity)の頭文字から成る、変化が激しく先行き不透明な社会状態を指す言葉。

      「アート」がジレンマ打開のヒントになる?

      こうした背景の中、ここ数年ビジネス業界においてよく聞かれるようになったキーワードの一つが「アート思考」です。この記事を読んでいるということは、おそらくあなたもこの言葉に惹きつけられた一人。未来に対して何かしらの行き詰まりを感じる状況下、それを打破するヒントの一つとして、アートの力やアーティストの思考回路が注目されているのです

      でも、私たちの多くは「アート」と「ビジネス」を、どこか相反するまったく別のものだと理解しています。真逆に思えるからこそその影響力に惹かれる一方、あなたもまだ、半信半疑ではないでしょうか。「そうはいっても、別にデザインを考えるわけじゃないし」「アートに関する事業をやりたいわけじゃないし」「結局、感性を鍛えるってことでしょう?」……。ビジネス一般において、本当にアートは有効な影響力を持ち得るのでしょうか?

      その疑問に答える、あるデータがあります。
      下記のグラフは、アートによるビジネスへの効果を調べるため、複数の一般企業の従業員の方々に協力いただき美術回路が実施した定量調査の結果です。青いグラフがアートに関わる取り組みをしている企業、グレーが特に実施していない一般企業。それぞれの従業員に対し、アートによる効果を独自の指標でスコア化して比較しました。
      その結果、ブランディング、イノベーション、組織活性化などビジネスにおけるさまざまな局面において、アートに関わる取り組みを実施している企業の平均スコアが上回っていたのです。

      「アート効果」合成評価指標スコア平均の比較

      ※電通 美術回路調べ。調査の詳細は『アート・イン・ビジネス』(電通 美術回路 編/有斐閣)にてご紹介しています。

      なるほど、実際アートはビジネスに有効らしい。そうわかっていただいたところで、ではその「アート思考」とは一体何なのか、どうすればビジネスに活かせるのか、もう少し詳しく考えていきましょう。

      「アートとビジネス」に関する情報はたくさんあるけど……

      インターネットで「アート ビジネス」と検索すると、たくさんの記事や関連書籍が見つかります。それらの情報を見ていくと、大きく2つのグループがあることが分かります。

      1つめのグループが、いわゆる「教養系」の情報です。美術史や名作絵画をわかりやすく解説したもので、「ビジネスエリート層にはアートの教養が不可欠であり、あなたも身につけませんか」といった内容のものがこのグループに含まれます。「アートをビジネスに活かす」と聞いて多くの人がパッと思い浮かべるのは、もしかしたらこちらの内容かもしれません。

      2つめのグループは、「思考系」の情報です。「アートに触れることで、アートの思考法を取り入れ、自分自身の感性や創造力を高めていきましょう」といった趣旨の本がこのグループに該当します。この後者のグループで取り上げられる思考法は、総称して「アート・シンキング」あるいは「アート思考」と呼ばれ、近年ビジネスの世界で注目を集めているのはこちらのグループです。

      どちらのグループも、ビジネスパーソンとしての力を上げるには役立ちます。ただ世の中に溢れるこうした情報に接していくうちに、私たち美術回路として以下のような問題意識が芽生えるようになってきました。

      疑問1:アートに触れた “そのあと” はどうすれば?
      「アートにたくさん触れることで、右脳を鍛えて感性を豊かにしよう」という発想は決して間違っていません。しかしそれは、アートという大きな力の限られた側面にしか着目していないのかもしれません。普段アートに接し慣れていないビジネスパーソンにとっては、アートを見たり触れたりした“そのあとのサポート”が、もう少し必要ではないでしょうか。

      疑問2:その視点、偏ってない?
      また、アート側の視点とビジネス側の視点、どちらかに偏らないよう気を付けたいところ。両者の視点をうまく融合するような、バランスの取れたアプローチを考慮することも大切です。

      疑問3:デザインとの違いはなんだろう?
      さらに、「アート」とよく似た言葉に「デザイン」がありますが、同じように思えても実は根本的な目的から異なります。その違いを明確にしないまま話を進めてしまうと、読者も「なんとなく同じようなものかな?」と認識してしまうかもしれません。

      もやもやしたアートではなく、具体的かつ本質的な「力」を知ろう

      つまり、アート作品やアーティストの発想・思考、それらがもたらす影響(力)にきちんと向き合い、アート思考の本質を解釈していくことが非常に重要なのです

      もしあなたが、すでにアート思考という言葉を聞いたことがあり、実際に関連する本や記事も読んでいて、それでもまだ「アート思考って結局なんだろう?」「どうすればビジネスとつながるんだろう」ともやもやしているとしたら、それは上記のような「アートの捉え方の曖昧さ」が原因になのかもしれません。

      まずはアートの本質的な力を理解し、アート思考とはどういったものかを定義する。美術回路では、それを「アートをビジネスに活かす」ために不可欠な大前提だと考えます。そして思考法や効果を明確にするからこそ、誰もがアート思考を積極的に実践でき、自らの力として“ものにできる”ようになるのです。

      <美術回路はこう考える!:アートをビジネスに活かすために>

      1. アート思考とは何かを定義する
      まずはアートの持つ力を正しく理解し、アート思考とはどんなものかを言葉で明確に定義します。

      2. アートとビジネス、両者の視点からアプローチする
      アーティストやアート関係者、さまざまなビジネスシーンで活躍する人、両方の視点からアートを見つめ、ビジネスとのつながりをフラットな目線で探ります。

      3. 自ら「アート思考」を実践し、自分の力にする
      実際にアートに触れ、ときには創作することで、アート思考を体得します。その経験が、ビジネスへの応用力へとつながります。

      私たちは誰だってアーティストになり得る

      こうした考えをベースに、アート思考の定義をまとめ、その実践方法を提供するのが私たち美術回路のアート思考型ビジョン創造プログラム「ビジョンスケッチ」です。アート作品との対話や思考のフレームワークを通じてアート思考を自分の中に取り入れ、ビジネスへと波及させていくことを目指す電通 美術回路オリジナルのプログラム。数々のビジネス現場を経験したクリエーティブディレクターやマーケティングプランナーはもちろん、アーティストやアートキュレーターも講師に招き、実践的なプログラムを提供します。

      詳しいアート思考の定義やプログラム内容は続く第2回、3回で詳しくお話しますが、1回目の今回は、最後に現代アーティストであるオノ・ヨーコさんのある言葉を紹介して終わりたいと思います。

      「アーティストはひとつの心の状態で、誰でもアーティストでありうる」(※)

      アートとビジネスの関係が注目される一方で、やはりアーティストというと、私たち、とくにビジネスパーソンとは関係ない特別な世界の人たちのように思われがちです。しかし、オノ・ヨーコさんは“誰でもありうる”と断言している。この言葉を聞くと、なんだか自分にもできるような、ワクワクした気持ちになりませんか?

      閉塞感を持ったビジネスパーソンが「個」として自分らしい世界を作っていこうと思うとき、「アート思考」は必ずその手助けをしてくれます。今まさに、この言葉を信じる時代がやってきているのかもしれません。

      ※出典:『オノ・ヨーコ 人と作品』飯村隆彦著(1992)講談社文庫

      PROFILE

       

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