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      PRMが日本企業を救う 海外の先端事例とプロセス

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      INDEX

      前回の記事では、PRMの基礎について解説しました。そこで述べたように、PRM(Partner Relationship Management)は、ベンダー(製造元・販売供給元)が販売パートナーと良好な関係構築をめざす概念です。米国ではマーケティング・テクノロジー業界において、多数のベンダーがシェア拡大にしのぎを削ってきた歴史があり、PRMのノウハウも体系化されています。米国は紛れもないPRMの先進地といえるでしょう。今回は米国におけるPRMの事例、米国式のPRMプロセスなどについて解説します。なお、前回の記事をお読みいただいてから本記事を読み進めることで、より理解が深まりますので是非、ご一読ください。

      PRMを取り巻く環境

      まずはPRMを取り巻く環境について見ていきましょう。マーケティングやセールスといった分野を扱う出版物『CMO Digest Partner Relationship Management (PRM)』 (※)の中で、フォレスター社のグローバルチャネル担当主席アナリストを務めるジェイ・マクベイン氏が、PRMツールの売上高上位の業種を紹介しています。
      ※Nimish,Vohra. 2019. CMO Digest Partner Relationship Management (PRM): 2019. Regalix Inc.

      彼によると、売上が高い順に、テクノロジー/通信、製造、保険と続くそうです。テクノロジー業界は物流をあまり考える必要がないこともあり、PRMと非常に相性が良いといえます。また、製造が2番手に来ていますが、メーカーは古くから販売代理店システムを活用しており、PRMの考え方をスムーズに導入できたのでしょう。

      PRM売上高上位の業種

      続いてPRMの市場規模を見てみましょう。マクベイン氏の紹介によると、コンサルタントやセールス&マーケティング会社、デジタルエージェンシー、システムインテグレーターなどがPRMのエコシステムに含まれてます。ソフトウェアとサービスを含むと8億5000万ドルに上るとされ、2023年には16億5000万ドルになると予測されています。
      ※ただし、これらはいずれも新型コロナウイルスのパンデミック前の数字です。今後の推移を注意深く見守る必要があります。

      また1200万人以上のユーザーがPRMシステムにログインしていることも紹介されており、PRMベンダーの従業員数も近年増加傾向にあるようです。
      ※Nimish,Vohra. 2019. CMO Digest Partner Relationship Management (PRM): 2019. Regalix Inc.

      これらの数字を見る限り、PRM市場は成熟しつつあるといえそうです。ただし、PRMシステムの多くが米国産であり、日本においてはPRMの概念が完全に浸透しているとは言い切れません。PRMを学べる場も日本にはまだ少なく、成長余地のある分野といえるでしょう。

      米国におけるPRM事例

      米国ではどのようにPRMに取り組んでいるのでしょうか。例を見てみましょう。

      パートナーとの関係構築および全体の売上増を目指す上で重要となるのが、パートナーのトレーニングです。MSP(マネージドサービスプロバイダ)として知られる企業「Trace3」のマーケティング&パートナーリレーション担当上席副社長、サンディ・サルティ氏は、『CMO――』の中で、自社の経験からパートナーごとに異なるトレーニング(オンボーディング)プログラムを作成すべきだと指摘しています。少なくとも複数のプログラムを用意して、パートナーによって使い分けることにより、企業としてのリスクが低減できると述べています。

      また同社は、パートナーを管理する専任のリーダーを置いて、パートナーの成長計画の策定、(自社の)ビジネス戦略に関する教育などを提供しています。リーダーを置くことで、パートナーとの良好な関係構築が実現しているという、好事例と言えるでしょう。

      PRMでは、パートナーのパフォーマンスを計測する指標設計もカギとなります。適切な指標を設定しなければ、パートナーの状況を把握することができないからです。同社では総売上高、純利益率、チャネルにもたらされた案件数、取引のしやすさなどの指標を使用しているそうです。

      「取引のしやすさ」は、組織同士の相性の良さとも言い換えられます。ビジネスのフローや文化は企業ごとに異なります。カルチャーフィットできているか否かは、ビジネスの拡大を左右するものです。PRMに取り組む上ではぜひ取り入れたい指標です。

      米国式PRMのプロセス

      続いて、米国式のPRMプロセスについて見ていきましょう。大まかな流れは以下の通りです。

      まず、PRMの全体設計が必要です。どういった目的で取り組むのか、どうやってパートナーを募集・採用するのか、パフォーマンス指標は何か、どのようにトレーニングするのかなど、一つひとつ決めていきます。パートナープログラムを取り入れるのであれば、このタイミングで設計しましょう。PRMに取り組むにあたっての細かいルール策定も忘れないでください。

      続いて、パートナーとの関係づくりです。パートナーを募集するにあたり、どうやって潜在パートナーに情報を届けるのかといったマーケティング的な視点も必要になってきます。パートナーの採用にあたっては、明確なルールを決め、慎重に進めるべきです。所在地や専門分野、ビジネスの相性といった要素を見て、総合的に判断しましょう。PRMシステムで管理すると、効率のいい、かつ適切な判断が可能となります。

      採用後はパートナーのプロフィールを管理します。プロフィールは、状況に応じて適宜変更を加える必要があります。プロファイリングを終えたら、トレーニングに進みます。事例でご紹介したように、いくつかのパターンを用意しておきましょう。PRMシステムでトレーニング履歴を確認すると安心です。なお、トレーニングについては、パートナー側で課題が生じたタイミングで都度実施することが一般的です。トレーニングを経て、数か月後にはパートナーとしての活動がスタートします。

      ベンダーはその後、営業支援を行います。たとえばPRMシステム上に提案書のひな形、製品カタログといった資料を置き、パートナーが自由にダウンロードできるようにします。リードに関するフィードバックを送ることもあります。

      かつてのベンダーと販売代理店の関係であれば、販売を委託した後は、任せきりになっていました。しかしPRMはプロダクトをエンドユーザーに届けるまでの流れを隅々まで管理できます。まさに販売戦略の理想的な形といえるわけですが、適切なプロセスを踏まなければ当然十分に機能しません。全体設計を含めて、専門家やPRMシステムのベンダーに協力を依頼することが最適解といえるでしょう。

      パートナープログラム見直しの理想的タイミング

      パートナーの採用、トレーニングには時間も労力もかかります。一方で、外的環境の変化やパートナー組織内部の事情などにより、パフォーマンス指標の数値が悪化することもあります。ベンダー側は、PRMシステムによってパートナーのパフォーマンス指標を常に確認し、場合によっては関係性を見直す必要性も出てきます。ベンダーもパートナーも、関係性は常に変動するものだと理解しておくべきです。

      パートナーのパフォーマンス指標については、収益やパイプラインなどが評価対象になることが多いようです。パートナーごとに行動特性は異なります。数値が悪化したパートナーに対して、ベンダーが自分達の考えを改めて共有したり、課題解決のためのトレーニングを提供したりすることが重要となります。

      重要なのは、パートナーが何をしているのかの透明性です。PRMシステムによって営業の状況を共有することで、オープンな対話が可能となります。結果、パートナーがどのような状況にあっても、ベンダー側は適切な営業支援を提供できます。

      それでも数値が改善されなければ、パートナープログラムのランクを変更するなど、関係性見直しのタイミングが来たといえます。また、組織の事情などで、パートナー側から関係解消・見直しを打診されることもあるでしょう。この場合も当然、関係性の見直しのタイミングです。

      パートナーを単なる「販売代理店」と捉えてしまうと、物事はうまくいきません。ベンダーの思想やビジョン、マーケティング戦略や営業戦略を共有し、「戦略的パートナー」として関係を築くべきなのです。

      PRMが体系化されている米国

      ここまで、米国におけるPRMの事例やプロセスなどを見てきました。PRM先進地の米国では、PRMのプロセスや細かいルール設定のノウハウが体系化されています。これらは、およそ20年にわたる試行錯誤の末に生み出されたものばかりです。もちろん、プロセスやルール設定については業界や企業規模によって大きく異なる可能性はあります。しかしながら、PRMを設計する中で迷った際、米国の知見は大変参考になるといえるでしょう。

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