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    心に響く、企業トップメッセージのつくり方。対話を通じて思いを引き出す。

    最終更新日:2025年03月10日

    心に響く、企業トップメッセージのつくり方。対話を通じて思いを引き出す。

    国や企業のトップの言葉が、世界中へ瞬時に拡散されるこの時代。さまざまな社会課題や経営アジェンダに対する取り組みや企業からの発信を、社内外のステークホルダーが注視しています。メッセージを的確に編み上げ、届けることさえできれば、言葉は企業価値の向上につながる最強のコミュニケーションツール。どうすればそんなメッセージを発信できるのか、電通メッセージング・パートナーズのメンバーである庄形がお話しします。

    PROFILE

     

    INDEX

    コロナ禍で痛感した「言葉の力」。しかし今の日本では——

    トップが直接語ったメッセージが、社会や歴史を動かした。そんな例は、枚挙にいとまがありません。第二次大戦下で兵士と国民を鼓舞したウィンストン・チャーチルの名演説、人類初の月面着陸を実現に向かわせたジョン・F・ケネディの「月に人を送る」スピーチ、「I have a dream」で始まるキング牧師の伝説的演説……。個人的に印象に残っているのは、コロナ禍で国民に発せられたメルケル元ドイツ首相や、英国の前女王エリザベス2世の演説です。遠く離れた国に暮らす私にもグッとくるものがあり、感染拡大と向き合う人々の行動喚起にもつながった。社会を動かす言葉の力を改めて感じさせられました。

    しかし同時に、私の中にある課題意識が生まれました。今の日本で、こうしたトップメッセージを語れる経営者がどれだけいるだろうか? メッセージ発信を支援できるパートナーはいるだろうか? と。

    トップメッセージの重要性に気づきながらも、「どんなメッセージを」「どのようにつくって発信していけばよいか」、迷っている企業はきっとたくさんいるはず。今日はそんな企業の経営層やコミュニケーション担当のみなさまが、少しでもよい方向に進んでいけるお話ができればと思います。まずは「どんなメッセージが人々を動かすのか」といった話から始めていきましょう。

    力強いトップメッセージに共通する5つの要素

    企業のホームページや統合報告書などを開けば、必ずと言っていいほど「トップメッセージ」や「代表挨拶」が掲載されています。しかし残念ながら、たとえ響きのよいきれいな文章で書かれていても、トップの思いが伝わらなかったり、他社との差が感じられなかったりするものも少なくありません。

    こうした常套句的なトップメッセージと、先に挙げたような名スピーチでは、何が違うのでしょうか? 私たち電通メッセージング・パートナーズでは、企業価値向上につながるメッセージには、次の5つの要素が求められると考えています。

    1.何を伝えるのか、の先、何を変えるのか。

    事業成長、拡張を目指す上で、経営者には「何かを変えたい」という明確な目的なあるはずです。メッセージを考える際には、「何を伝えるか」という漠然としたスタートからではなく、より具体的に「何を変えたいのか」まで踏み込んで伝えることが重要です

    さらに言えば、求める変化や行動は、伝える相手によっても異なるでしょう。「誰(顧客/従業員/株主・投資家/共創パートナー)」の「何(意識/行動)」を「どのように変えるのか」。そこが明確になればなるほど、そのトップコミュニケーションは強いものになります。

    2.スタンスを示す。

    VUCAの時代と言われて久しい現代。わかりやすい正解がない中で、それでも企業や組織はどこかに向かって進まなければなりません。AかBかのスタンスを明確に示すことは、そこに共感し賛同する仲間を獲得することにつながります。逆にスタンスを示さなければ、誰からも相手にされない存在として忘れられることになってしまうでしょう。

    ケネディ大統領はアポロ計画に関する演説の中でこう言いました。「我々は月に行くことを選択する」(“We choose to go to the Moon”)。この上なく明確なスタンスの表明ですよね。この演説により、宇宙開発に関心を持つアメリカ国民の数を大幅に増やしたと言われています。

    3.自らの夢・希望を語る。

    「I have a dream」で始まるキング牧師の演説が「I have a plan」だったら、世界は動いたでしょうか? 人が共感するのは、壮大なプランや戦略ではなく、案外「自分はこうしたいんだ、こういう未来がつくりたいんだ」という個人的な想いだったりします

    誰がやっても同じではなく、あの人がこういう思いでやっているから一緒にやりたい。そんな右脳的な部分も、メッセージを強くするためには必要ではないかと思うのです。

    4.相手が聞きたいことを言う。

    「プレゼンは自分が言いたいことを言う場ではなく、相手が聞きたいことを言う場である」という話があります。これはそのままトップコミュニケーションにも当てはまるでしょう。一見、1~3のポイントと逆のことを言っているようにも見えますが、「相手が聞きたいことは何か」を突き詰めて考え、「自分が言えること・言いたいこと」との接点を見つける作業こそが、メッセージ開発においては非常に大切なのです。

    5.有事の時こそリーダーシップを。

    冒頭に挙げた名スピーチの例からもわかるように、戦争やパンデミックといった有事のときこそ、人はトップの言葉を求め、トップの言葉によってその後の展開が大きく変わります。組織のトップやリーダーがそのコミュニケーション能力を試されるのは、まさに有事の時だと言えるでしょう。

    しかし、有事に発信したメッセージを受け止めてもらえるかどうかは、普段から相手との信頼や関係性が左右します。有事に響くメッセージを伝えるためにも、平時のコミュニケーションから大切にしていきたいものです

    メッセージは、編み上げるプロセスこそ重要

    以上の5点を押さえていれば、おのずとそのメッセージは、聞く人の心を掴む力強いものとなっていくでしょう。とはいえ、それをトップ自身が一人で言語化するのは決して容易ではありません。いくら強い思いや信念を持っていたとしても、ステークホルダーごとに語る内容を変えたり、「相手が聞きたいこと」を的確に掴んだりするには、自分以外の視点を持たなくてはならないからです。ここからは、そうした力強いメッセージを「どうつくればよいか」、プロセスのポイントをお話したいと思います。

    結論から言ってしまうと、不可欠なのは「対話」です

    スピーチの名手にも、隠れたパートナーがいた

    スピーチに長けているとされる大統領や経営者にも、多くの場合、メッセージを編むパートナーとしてスピーチライターがついています。オバマ大統領には二人のスピーチライターがついていましたが、いずれもスピーチライターが用意した草稿を関係者やオバマ大統領自身が細かくチェックし、何度もやり取りを重ねながら完成させていったと言われています。逆に言えば、もしそうしたプロセスがなく、与えられた原稿を大統領が読み上げるだけだったら、血の通ったメッセージにはならなかったかもしれません。

    トップのメッセージは、対話を通じて編み上げるプロセスを経て、力強いものとなっていきます。そうした対話ができるパートナーの存在こそ、日本企業のトップにも必要なのではないでしょうか。こうした考えから発足したのが、まさに私たち「電通メッセージング・パートナーズ」なのです。

    メッセージを共創する「電通メッセージング・パートナーズ」とは

    「電通メッセージング・パートナーズ」は、経営トップのよき対話相手となり、経営の根幹に関わるメッセージの開発と、マルチステークホルダーの心を動かすコミュニケーション推進をサポートするチームです。

    メンバーはコピーライターやプロデューサー、PR出身とさまざまで、実際のスピーチ原稿やアウトプットを書くこともできます。ですが、強く強く念押ししておきたいのは、私たちメッセージング・パートナーズは「メッセージの代筆家ではない」ということです。「とにかく効果的なメッセージを提案して」といった一方通行のご依頼には、残念ながら応えることができません。なぜなら、メッセージの核はほかでもない“経営者の中に”あるものだから。

    私たちが行うのは、対話セッションを通じてそうしたトップの思いを引き出し、その内容を整理しながらさらに対話を重ね、トップご自身の言葉にどんどん落とし込んでいく……そんな作業です。一方的にメッセージ案(message)を提案するのではなく、メッセージを編むプロセス(=messaging)を共にする、そんなイメージを持っていただければと思います。

    メッセージの核を引きだす“対話型セッション”

    こうしたセッションの中で活用するのが、電通独自の「インスパイアリング・メソッド」です。これは視座・視野・視点を変えて物事を見つめることで、「いや、実はこう思っているんだ」「こういうことも考えていたんだ」といった本音や発見を引きだす刺激剤のようなもの。その刺激を我々のような第三者の立場から提供することで、今まで見えていなかったメッセージの価値にも気づきやすくなります。というのも、企業にとっては当たり前すぎて言語化されてこなかったことが、実は世の中にとっては大きな価値を持つことがたくさんあるのです

    目的に合わせたアウトプットもご提案

    もちろん「電通メッセージング・パートナーズ」では、対話セッションから引き出したメッセージを世の中へとカタチにして届けるアウトプットの制作もサポートします。発信形式は目的によってさまざまで、ミッション・ビジョン・バリューの形に落とし込むこともあれば、トップが実際に話すスピーチ原稿にまとめたり、社員への手紙やメッセージ動画に仕立てたりすることも。メッセージの「届け方」についても、さまざまなご提案ができると思います

    力強いメッセージとともに、社会をより良い方向へ

    メッセージング・パートナーズとしてご支援をするなかで、企業様から「経営者の言葉で従業員のモチベーションや行動が変わった」「新しいアイデアがどんどん出てくるようになった」といった嬉しいお言葉をいただくことがあります

    個人的な話になってしまいますが、私が電通で仕事をするモチベーションは「仕事を通じて世の中が1㎜でもよい方向に動いてほしい」というもの。既存のやり方の延長線上では答えが見えない難しい時代ですが、メッセージングを通じて企業が少しでも良い方向に変われば、それは世の中全体が良くなることにつながるでしょう。そこに私は、とても大きなやりがいとよろこびを感じます。

    強い思いはあるのに、従業員や顧客にうまく伝えられていないトップの方。先代に遠慮して、自分の考えや個性を出しきれていない2代目、3代目の方。これからスタートアップとして、自らのスタンスや夢を社会に発信していきたい起業家の方。さまざまな思いを抱える経営者の皆さまに、メッセージングを通じて伴走していけたらと思います。

    「言葉の力」で企業価値を高めたい、そんな方はぜひお気軽に「電通メッセージング・パートナーズ」までご相談ください

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