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      複雑化するSaaSマーケティング|専門チームが全体最適を支援

      複雑化するSaaSマーケティング|専門チームが全体最適を支援

      INDEX

      急速にビジネスのデジタル化が進展する昨今。SaaSを導入する企業が増える中、積極的なマーケティング活動を行うSaaSベンダーが増える一方で、マーケティング課題も顕在化してきました。今回は、「SaaSベンダーを支援する」という視点から株式会社メディックスにインタビューを行いました。

      メディックスは、企業のデジタルマーケティングを総合的に支援するコンサルティング会社です。業界特化型の組織体制を敷いている同社は、BtoB領域・BtoC領域それぞれに深い知見を持っており、特にBtoB領域においては20年以上にわたり、400社以上の支援実績を有しています。さらに同社では、2022年にBtoB領域を専門に支援する「ビジネスマーケティングユニット」内に、SaaSベンダーを専門に支援する組織を新設しました。その背景や具体的な取り組みについて、同社ビジネスマーケティングユニット ユニット長の根口邦彦氏、マネジャーの小松知志氏に伺いました。(聞き手:電通B2Bイニシアティブ 梅木、住岡)

      PROFILE

       
       
       
       

      The Modelを基に営業体制を構築しているSaaSベンダーに見受けられる課題とは?

      「各部門内の個別最適」と「データの連携不足」という2つの罠

      梅木:早速ですが、なぜ今、SaaSベンダーの支援に特化した組織を立ち上げるに至ったのでしょうか。その経緯をお聞かせください。

      根口:このところ、SaaS市場が急速に伸びているということは、皆さまご承知のところかと思います。特に、コロナ禍という特殊な状況下で、企業が業務サービスのデジタル化を推進したこともあり、その成長はさらに加速しています。

      こうした状況を受け、当社でもSaaSベンダーからマーケティングに関するご相談をいただく機会が増えました。一方、実際に支援を行う中で、俯瞰的な視点からSaaSベンダーが行っているマーケティング活動を見ると、共通の課題が見受けられました。こうした課題を解消するにあたり、より充実した支援を行いたいという考えから、部内にSaaSベンダーに特化した専門組織を立ち上げるに至りました。

      梅木:なるほど。私たちとしても、SaaSベンダーのマーケティングについては、今まさに大きな関心を寄せているところです。メディックスさんの視点では、具体的にどのような課題があると捉えているのでしょうか?

      根口:SaaSベンダーにおいては、The Model(※1)を基にした体制で営業活動を行っている企業が少なくありません。このモデルは、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスといった各段階での一連のプロセスを数値化し、それぞれの部門でKPIを定めることで、営業効率を最大化する効果を狙ったものです。

      しかし、実際にThe Modelの仕組みを採用している企業においては、分業制のメッセージばかりが一人歩きしてしまい、各部門内での個別最適に陥っているケースが見受けられます。加えて、各部門間で適切にデータが連携されていないことで、本質的な評価の下でPDCAが回せていないケースもありました。

      梅木:The Modelをはじめ、このところトレンドになっているBtoBマーケティングは、北米企業がルーツとなっています。その手法を日本企業に落とし込む際には、工夫も必要だということですね。

      似たような話でBtoBマーケティングにおいては「MAツールさえ導入すれば全て解決」というような誤解もあります。実際には、手法やツールを導入するタイミングで、それぞれに合わせたKPI設計や組織作りをすることが、やはり重要だということでしょう

      部門内のKPIを達成したとしても、売上増には繋がらない!?

      住岡:話を進めるにあたって認識を合わせておいた方が良いと思うのですが、根口さんがおっしゃったように分業体制によって個別最適に陥ってしまうと、企業にはどのようなデメリットが生じるのでしょうか。

      根口:The Modelにおけるゴールは、売上を伸ばすことにあります。一方でそれぞれの部門が、自らのKPIだけを追い求めて最適化を進めたとしても、売上には繋がらないおそれがあります。

      例えば、マーケティング部門では一般的に、MQL(Marketing Qualified Leads:マーケティング活動によって創出されたホットリード)がKPIとして設定されます。一方で、このKPIが達成されていたとしても、MQLが結果として商談・受注に繋がっていない場合には、売上増は期待できません。こうした状況でも、部門ごとにみると「マーケティング部門はKPIを達成しているから問題ない」といった認識が生まれてしまいます。

      ここではマーケティング部門のKPIについて取り上げましたが、同様の問題は、インサイドセールス部門におけるKPIでも起こり得ます。

      住岡:なるほど。The Modelの構造だけを取り入れてしまった結果ですね。「MQLとは」「SQLとは」といったような指標を、部門の中だけで定義すると、定義付けが緩くなったり、定義そのものがズレてしまったりしてしまう

      根口:もちろん、SaaSベンダーの中でもこうした状況を避けるための組織・評価といった体制づくりを推進したり、最終的なゴールは「KGIや顧客の成功といった本質的な指標である事」についての共通理解を育てるカルチャーを醸成したりといった取り組みがなされています。ただ、当社としても、こうした課題を解消するために、デジタルマーケティングエージェンシーとして価値提供できる点が大いにあると考えています。

      ※1:The Model:セールスフォース・ドットコムが提唱した営業プロセスモデル。詳しくはこちら

      データ連携が施策を一貫させ全体最適につながる

      「誰に」「何を伝え」「どんな課題を解決するか」という共通認識が欠かせない

      梅木:では、SaaSベンダーの課題を解決するためにはどのような取り組みが有効なのか、メディックスさんのこれまでの知見や実績を踏まえてお聞かせください。まずは「分業による個別最適」の課題からお願いします。

      小松:顧客情報やアクセス解析データ、広告データなど、SaaSベンダーが保有するデータを基に、ペルソナやカスタマージャーニー、KPIツリー作成などを行うことで、施策に一貫性を持たせることができるようになり、全体最適に繋がっていきます

      一例として当社では、業種や企業規模の割合、LTVが高くなる顧客の傾向などのデータを基に、顧客モデルを明確にした上でカスタマージャーニーを作成し、各部門間にまたがる最適なコミュニケーション施策やコンテンツ、訴求を上流から設計するといった支援を行っています。

      デジタルマーケティングにおいては、「誰に」「何を伝え」「どんな課題を解決するか」を言語化し、施策選定を適切に進めていくことが欠かせません。その共通認識を持てるという点でも、このアプローチは有効だと考えています。

      SaaSのビジネスモデルに応じたKPIツリー設計

      梅木:そうした支援はThe Modelを採用する多くの企業に有効だと思いますが、中でもSaaSベンダーに特化した支援内容があればお聞かせください。

      小松: SaaSベンダーの場合、フリーミアムや無料トライアルなど、サービスの提供形態はさまざまです。その提供形態によってKPIの重みづけは変わることがありますが、当社ではクライアントのニーズに応じたKPIツリー設計が可能です。
      例えば、MRR(Monthly Recurring Revenue:月次経常収益)から逆算したKPIツリーを用いて、施策の評価を行う取り組みも進めています。

      梅木:私自身、マーケティング支援の現場では、マーケティング部門と営業部門を隔てる「壁」を感じるようなこともあります。特にKPI設計については、マーケティング部門が主導して進めるケースも多いことから、営業部門との軋轢が生じてしまうケースもあります。その点、メディックスさんの支援のように「商談数×商談受注率」という、売上の因数分解から逆算したKPI設計であれば、営業部門の活動にも配慮することができ、結果として全社最適化も進みやすいということですね。

      部門間のデータ連携はもちろん、連携後の分析をいかに施策に活かすかがポイント

      データを適切に連携することではじめて、正しい投資判断ができるようになる

      梅木:では、もう1つの課題として「各部門間でデータが連携されていない」ケースについて、メディックスさんではどのような支援を行っているのでしょうか?

      小松:大前提として、マーケティングデータとセールスデータが繋がっていない状態では、適切なCPA目標やMQL単価目標を設計できず、施策の評価もできないことから、投資判断が難しくなってしまいます。こうした場合には、MAツールをハブとして、マーケティングデータとセールスデータの連携・活用を推進していきます。

      実際の支援においては、私たちが提出するレポーティングによって施策の効果を俯瞰的に評価できるため、スムーズにPDCAを最適化していくことができます。例えば、「媒体コンバージョンで見ると、リード単価が高くなっている」という場合でも、「商談単価は改善している」「商談率も従来と比較して上がっている」といった効果が出ている場合には、その施策に対する評価は全く異なるものになるはずです。

      梅木:なるほど。ただ、実際の支援においては、導入しているツールなどクライアントの環境によって、うまくデータ連携できない場合もあるのでは?

      小松:当社の場合、クライアントの環境によって、構築可能な連携基盤を提案しています。たとえば、MarketoやPardotのようなMAツールと、Sales Cloudを活用しているケースであれば、そこにGoogle、Yahoo!、Facebookといった広告媒体データを連携していきます。これによって、独自のレポーティングを行いつつ、売上に繋がる最適な施策を検討することができます。

      また、MAツールやSales Cloudを未導入のケースでも、広告データやGoogle Analyticsなどのアクセス解析データ、そしてクライアント保有の基幹データを、Google BigQueryでデータ統合し、TableauやGoogle データポータルなどの分析ツールを活用して可視化し、同様の検討が可能です。

      tROASによる自動入札で商談確率の高いユーザーへのアプローチが可能に

      住岡:実際にデータを活用する際に意識しているポイントがあれば教えてください。

      小松:当然のことながら、データ連携そのものがゴールではなく、分析結果を基にPDCAを回しつつ、施策に活かしていく必要があります。

      例えば効果的な施策の1つとして、MQLやSQLなど、商談フェーズが進んでいるリードを、Googleにオフラインコンバージョンとして取り込み、価値の重みづけを行った上でGoogle広告のtROAS(※2)によって自動入札を回していく手法があります。このように媒体の自動入札機能を活用することで、商談確率の高いユーザーにアプローチできるようになります

      住岡:なるほど。広告効果を可視化したからこそ実行できる施策ですね。そこから掘り進めると、組織内でThe Model全体を数字で可視化することもできそうですよね。

      梅木:やはり、The Modelを運用するためには、インサイドセールスや広告によるアプローチなど、MQL、SQLといった数字に至るまでのプロセス、例えばインサイドセールスの架電数や転換率などの細かい中間指標を考慮することが必要と言えるでしょう。


      ※2:tROAS:目標として設定された広告費用対効果を考慮しつつ、CV値を最大化する自動入札戦略

      新たな効果測定モデルの開発により、テレビCMの「分断」も解消したい

      梅木:広告効果の可視化という点では、従来は検証が難しかったテレビCMなどブランディングのための広告についても数字として見ていきたいですよね。

      小松:そうですね、特にSaaSベンダーでは、最近テレビCMに積極的な企業が増えつつあります。ただ、そうした企業においても、効果測定の手法に悩んでいるケースは少なくありません

      梅木:効果測定の観点で「分断されている」と言われがちなテレビについても、最近ではインターネットテレビやコネクテッドTVの普及に伴い、さまざまなデータをデジタルに変換できるようになっていますよね。電通グループでも独自の特許技術を保有していて、新しい効果測定モデルを開発しているところです。こうした部分でも、メディックスさんと協業できたらシナジーがありそうですね。

      小松:なるほど。私たちとしても「CMの効果をデジタルで最大化できないか?」といった相談には課題を感じている部分もあるので、そういった効果測定モデルの開発でご一緒させていただけたら、こちらとしてもありがたいです。

      電通B2Bイニシアティブとのパートナーシップで、さらにBtoBマーケティングの知見を深化していきたい

      協業によるシナジーで、クライアントを成功に導く

      梅木:メディックスは、2020年10月に発足した電通B2Bイニシアティブ(※3)とも、BtoB領域のマーケティング支援においてパートナーシップを結んでいます。

      根口:それ以前にも、大手広告会社から過去様々な問い合わせがありましたが、結果としては実現にいたっていませんでした。今回、電通B2Bイニシアティブのリリースを見て、今までのトラディショナルな広告会社の活動とは異なると感じ、協業のご相談をさせて頂きました

      梅木:電通B2Bイニシアティブとの協業で見据える未来についてお聞かせください。

      根口:近年盛り上がりを見せているとは言え、日本のBtoBマーケティング市場は未だ発展途上だと考えています。そのような中で、弊社と電通B2Bイニシアティブそれぞれが持つ知見やノウハウを共有し合いながらまずは高いクオリティで多くのクライアントを成功に導いていきたい。また、そういった事例を積み重ねていくことで弊社と電通B2Bイニシアティブが日本のBtoBマーケティング市場の発展をリードするような存在になれればと思っています。

      ※3:電通B2Bイニシアティブ:国内電通グループ8社(2022年5月時点)によるBtoB領域特化のグループ横断組織

      ※写真撮影時のみ、マスクを外しております。

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