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    NIKKEI BtoBマーケティングアワード2021受賞企業特集|NECが取り組むマーケティング・営業のデジタルシフト<前編>

    最終更新日:2023年06月19日

    INDEX

    2020年春からの新型コロナウイルスの感染拡大を受け、企業は対面による営業活動や、セミナー・展示会といったイベントの実施が難しい状況におかれています。そのような中、日本電気株式会社(NEC)は、その状況をむしろチャンスと捉え、マーケティング・営業のデジタルシフトを加速。「自社イベントのオンライン化」「マーケティング部門と営業部門の戦略レベルからの連携」「オンラインセールスの教育展開とコミュニティの形成」といった取り組みに挑戦し、成果に繋げていることが評価され、「NIKKEI BtoBマーケティングアワード2021(※)」の優秀賞を受賞しました。今回は、その取り組みの詳細や、どのようにして課題を乗り越えたのか、そのポイントについて、NEC IMC本部の中島拓也様、田中絵美様に、電通B2Bイニシアティブの押山(電通デジタル)が伺いました。

    ※日本経済新聞社が創設。「NIKKEI BtoBマーケティングアワード」では、新たな時代のマーケティング活動における創造性や新規性、経営へのインパクトなどを基準に審査し、様々な取り組みを表彰している。詳細はこちら

    ※所属・役職及び記事の内容については、2022年3月末取材当時のものとなります。

    PROFILE

     
     
     

    かねてより取り組んでいた教育プログラムを通じて、営業活動のオンライン化に対応

    コロナ禍を「デジタルシフトへのチャンスである」と捉えたNEC

    押山:「NIKKEI BtoB マーケティングアワード2021」優秀賞の受賞おめでとうございます。受賞のポイントとなった取り組みについて伺う前に、IMC本部のミッションや主体となる活動領域について、改めてお聞かせいただけますでしょうか。

    中島:NECは、社会公共事業であれば「NEC Safer Cities」、エンタープライズ事業であれば「Value Chain Innovation」など、事業ごとに異なるブランディングを展開しています。私たちの所属するIMC本部は、注力テーマに沿って、デジタルマーケティングを推進する役割を担っており、今後は2025中期経営計画に即した注力テーマに沿って活動を行っていきます

    具体的には、ブランド力向上のための施策はもちろん、営業部門と連携しつつ、デジタル活用で獲得したリードを基に新しい商談の機会を創出し、売上に繋げていくなど、お客様と営業部門のハブ役として、業務を行っています。

    押山:そんなIMC本部が、マーケティング・営業におけるデジタルシフトに注力することになった背景として、コロナ禍の影響が大きかったということですが、具体的にどのような影響があったのですか?

    中島:まず営業については、それまで毎日のように行っていた対面の営業活動がほとんどできなくなりました。加えてマーケティングについては、セミナーや展示会などのイベント、さらにショールームの運営も中止せざるを得ない状況でした。当然ながら私たちとしては、こうした状況で何も手を打たないわけにはいきません。そこで、営業活動とイベントをオンライン化すべく、一気に舵を切る決断をしました

    営業活動のオンライン化。課題はお客様とのコミュニケーションにあった

    押山:長年行ってきた対面による営業活動やイベントをオンライン化する上では、難しいポイントもあったかと思います。そうしたポイントをどのように乗り越えたのでしょうか?

    中島:特に、営業活動をオンラインに切り替えるにあたっては、お客様とのコミュニケーションに難しさを感じる営業が少なくありませんでした。一方でIMC本部では、インサイドセールスへの取り組みで得られた知見を基に、教育プログラムの整備を2019年度からスタートしていました。このメニューを営業部門にも展開したことで、営業のコミュニケーションに関する課題解決に繋がったと考えています。

    押山:コロナ禍が始まる前から、マーケティング・営業のデジタルシフトに取り組んでいたということですか?

    田中:はい。NECでは、労働力人口の減少による働き手不足などの顕在化しつつある社会課題を解決するため、デジタルシフトを進めていました。インサイドセールスにおける教育プログラムの体系化もその取り組みのひとつです。

    ソフト・ハード両面からコロナ禍に対応することで、スピーディなマーケティングを実現

    押山:ソフト面では、教育プログラムの展開によってコロナ禍への対応を進めたということですね。ハード面での対応についてもお聞かせいただけますでしょうか。

    中島:目立った動きを挙げるとすれば、オンライン型イベントプラットフォームの導入ですね。当初、ウェビナーを実施する際には、Web会議システムなどを活用していたのですが、参加受付やアンケートなどは別のシステムで行う必要があり、煩雑でした。

    そこで、オンライン型イベントプラットフォームを導入することで、ウェビナーをはじめとするイベントの運営を一元化することができました。さらに、そこに紐づくデータを営業部門にフィードバックする仕組みも構築したことで、よりデータドリブンな活動が可能になりました。

    押山:運営面はもちろん、データ連携もスムーズになったことで、よりスピーディなマーケティング・営業活動が実現できたということですね。

    営業部門の基本戦略に、マーケティング部門が寄り添い、伴走することで連携

    情報収集の手段が営業経由からWebへ移行

    押山:ここからは今回、受賞のポイントのひとつとして挙げられていた、マーケティング部門と営業部門の連携について、詳しく伺えますでしょうか。

    田中:2020年以降、感染症対策としてリモートワークを導入する企業が増加したことで、お客様の情報を収集する手段として、営業を頼らず、Webなどのデジタルな手段を活用する機会が増えました。今後もこの傾向は加速していくと考えられます。

    NECでは、この大きな流れに対応しつつ、より多くのお客様との関係を構築し、商談機会を創出・醸成していくため、「いかにして戦略的にデジタルマーケティングやインサイドセールスを営業プロセスに組み込むか」といった検討をマーケティング部門と営業部門が一体となって行っています。

    ペルソナ設計やカスタマージャーニー作成を通じて、営業部門の戦略を補完

    押山:具体的に、どのようなかたちで連携を取っているのでしょうか?

    田中:基本的には、NEC内の各業種の営業部門が持つ戦略に沿って「マーケティング部門がどのように寄与できるのか」といった考え方で連携しています。

    具体的には、マーケティング部門と営業部門がワンチームとなってペルソナ設計やカスタマージャーニー作成を行い、それに沿って営業活動も含めた施策を計画的に実行していく流れですね。その際には、他業種における成功パターンを横展開することもあります。

    押山:なるほど。営業戦略をベースとして、マーケティング部門がそれに寄り添いつつ伴走していくようなイメージですね。

    中島:業種によっては、営業の予算ギャップから逆算してデジタルマーケティングの施策を検討するようなアプローチにも取り組んでいます。具体的には、新規商談の創出を目標値として、お客様の課題解決につながるソリューションの仮説を立て、お客様調査などのデータを基にマーケティング・プランを組み立てていくような方法です。こちらも、マーケティング部門からのアイデアを出しつつ、営業部門の合意の上で施策を作り上げ、実行に繋げています。

    オンライン化へのアプローチでは、現場へのヒアリングが不可欠

    押山:多様なソリューションを扱っているだけに、業種ごとに柔軟なアプローチをしているということですね。そうしたアプローチを共通化することはできないものなのでしょうか?

    中島:もちろん、共通化できた方がベターだと思います。ただ、デジタルシフトの過渡期といえる現状では、オンライン化が営業活動に及ぼす影響は、現場へのヒアリングなしには見極められないというのが正直なところです。加えて、業種ごとにお客様の商慣習やプロセスが異なることもあり、それらを無視して共通化してしまうと、営業活動が上手くまわらないことが予想されます

    こうしたことから、現状では個別業種ごとでのアプローチが基本となっています。この取り組みを経て、各部門の状態が見えやすくなってきたことは間違いありません。そこで、「どの部分は共通化できるのか」といった議論を交え、今まさに“To Be”を描き始めているという状況です。

    カスタマージャーニー作成を通じて、施策の優先度を整理

    押山:マーケティング部門と営業部門が連携する中で、共通して効果を発揮した取り組みとしてはどのようなものがありますか?

    田中:例えば、新規商材の新しい売り方を確立する際にマーケティングの戦略が役に立ったと実感しています。プロダクトライフサイクルを鑑みて、「いかにお客様が求めている情報を、適切なタイミングで届けるか」「この業種に一番刺さる施策は何か」といったマーケティングのプランニングが重要だと感じています。

    押山:具体的には、どのようなプランニングを行うのでしょうか?

    田中:営業部門・製品部門・マーケティング部門の3者で達成すべき目標を掲げた上で、カスタマージャーニーを作成します。お客様の心理や行動を整理することで、おのずと打つべき施策と優先度が見えてきます
    その上で年間計画を作り、目標達成に向けてPDCAを回しています。

    コミュニケーションの工夫とゴールの共有が課題解決に繋がる

    押山:現場の声を重視したカスタマージャーニーを意識しているということですね。一方で、マーケティング部門と営業部門が連携する上では、実務面での課題もあると思います。乗り越えるポイントはどこにあるのでしょうか。

    中島:一番のポイントは、やはりコミュニケーションにあると思います。中には、オンライン化された営業活動や、マーケティング特有の表現に馴染めない人もいます。そうした場合、違和感をなくすようなコミュニケーション上の工夫が不可欠です。たとえば「カスタマージャーニー」で伝わらないようなケースでは、「営業提案シナリオ」と表現を変えてみたりしています。

    田中:もうひとつのポイントは、なんのためにマーケティングを実施するのか、目的やゴールを共有することですね。ゴールを定めていない状態では、戦略が立てられず手段先行になってしまい、成果も中途半端となってしまいます。ゴールを設定することで、マーケティング部門と営業部門が一丸となって戦略的に施策を打つことができ、全員が「自分ごと化」して活動に取り組むことができると考えています。

    NIKKEI BtoBマーケティングアワード2021受賞企業特集|NECが取り組むマーケティング・営業のデジタルシフト<後編>では、マーケティングプロセスや指標、そして教育プログラムについてお伺いしております。

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