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      日経新聞アワード受賞企業に聞く!|ブラザー販売㈱のB2B事業における社内連携5つの成功ポイントとは[後編]

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      新しい取り組みや新しい部署の発足は、従来組織を変革して事業を成長させます。しかし変化を望む人ばかりでありません。既存の部署といかに上手に協力体制を作り上げるかが、新しい部署の成功条件のカギとなります。B2Bマーケティング専任の部署を発足したブラザー販売株式会社が、密接な関係にある営業部とどのように連携していったのか、その軌跡を同社の今村綾子氏にうかがいました。

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      PROFILE

       
       

      まずは成果を上げることで営業部との協力体制を構築

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      ブラザー社内にBtoBマーケティンググループが発足した当時の、社内の反応はどのようなものだったのでしょうか?

      今村:私たち自身もデジタルマーケティングについて学ぶところから始めたくらいですから、他部署にはB2Bマーケティングの考え方や手法は浸透していませんでした。立ち上げ時に営業担当者向けに講習会を開いたのですが、最初の反応は「手応えがあった」というわけではありませんでしたね。BtoBマーケティンググループについて知ってもらったことと、基本的なマーケティング用語が少しずつ通じるようになったという感じです。

      BtoBマーケティンググループ発足の意義を理解してもらうために、どのようなアプローチをとったのでしょうか?

      今村:まずは成果を上げて、存在意義を認めてもらおうと思いました。そのために徹底したのは、質の良いリードだけを営業に渡すこと。「BtoBマーケティンググループが持ってくるリードは大した売上にならない」と思われたら協力してくれなくなります。逆に「BtoBマーケティンググループから回ってくる案件はおいしい」と思ってもらえれば、営業担当者の協力を得られると考えたのです。

      見積が必要になるまで育った案件だけを、営業担当者に渡す。このアプローチが功を奏して、営業担当者からの信頼度は次第に高まっていきました

      代理店を通した販売でも、B2Bマーケティングの効果はあるのでしょうか?

      今村:もちろん、効果はあります。顧客から販売代理店にプリンタの見積依頼が来た場合、販売代理店はブラザー製品を含む複数見積を出したり、その時々で売りたいメーカーの製品を推したりします。しかしブラザーの営業担当者から代理店に依頼した場合は、顧客がブラザー製品を希望しているので、提案するのはブラザー製品に限られます。

      この方法だと提案の選択肢が絞られてしまうので、販売代理店からは嫌がられることもあります。しかしここでも、良質な案件を数多く渡すことで、ブラザーのマーケティングは確度の高い案件をくれると感じてもらえるようになりました。

      それぞれの代理店の強みを活かしてもらえるよう、代理店ごとの得意分野やその先にいる顧客を理解する努力もしています。ラベルプリントに強い代理店、特定の業種からの信頼度が高い代理店など、販売代理店ごとの特性を理解して、案件ごとに適した代理店に案件を渡すようにしているのです。

      同タイミングでスタートした営業強化策に上手に乗ることで連携強化

      営業部、販売代理店との協力体制構築アプローチは成功したようですが、その結果社内の対応はどう変わったのでしょうか?

      今村:いわゆる「おいしい案件」が来ると認知されてからは、BtoBマーケティンググループからきた案件は、代理店営業部のミーティングで共有されるようになりました。それだけ積極的にBtoBマーケティンググループからの案件を取り扱ってくれるようになったのです。

      特にターニングポイントとなった出来事などがあればお聞かせいただけますか?

      今村:営業部で「エンドアタック」という施策を始めたことは、BtoBマーケティンググループとの協力体制強化につながりました。顧客訪問数をKPIとした営業強化戦略でしたが、営業担当者は販売代理店の向こう側にいる顧客の情報をあまり持っていませんでした。そこで活用されたのが、BtoBマーケティンググループが獲得し、SFAで公開しているリード情報でした。エンドアタックリーダーに当たる担当者は感度も高く、SFAで公開しているリード情報をうまく使って良質な案件を回収していってくれました。それを見て、他の営業担当者も追随してくれたのです。

      BtoBマーケティンググループで獲得したリードはMAで管理していて、SFAとはAPIで相互連携しています。SFAで公開している案件情報は、営業担当者が自由に閲覧、活用していいと伝えてあります。そして営業担当者がついたときは、その履歴をMAにも残します。

      成功の背景にある5つのポイント

      BtoBマーケティンググループを立ち上げてその取り組みを社内で定着させてきた訳ですが、工夫したポイントを教えていただけますか?

      今村:おおまかに言うと、新しい戦い方を定着させるということですね。DXという言葉が流行っていますが、デジタルマーケティングの現場においては、普段やっていることがDXだと思います。また、社内の協力を得るためには5つのポイントがあると考えています。このポイントこそが、デジタルマーケティングにおいて成果を上げることができた要因ではないかと感じています。

      【ブラザー販売(株)の成功背景にある5つのポイント】

      1.協力してほしい関係者に夢を見させる
      これが一番大切なことだと思いますが、関係者に夢を見てもらうことです。夢、というと現実離れしているような印象もありますね。むしろ希望、と言った方がいいでしょうか。新しい取り組みを始めるときに、「この施策を行うことでこんなことができるようになりますよ」と成功したときのことを伝えます。経営層に夢を見させて投資してもらわなければなりませんし、営業部にも夢を見させて連携してもらわなければなりません。

      2.ゴールイメージを共有する
      ゴールイメージがなければ人は走れません。新しい売り方と、それによる成果をイメージしやすい形で共有します。どの程度の売上貢献が見込めるのか、そのためにどのような売り方をするのか、具体的に共有できた方がいいですね。このとき、他の部署の仕事を奪う訳ではないことも、きちんと伝える必要があります。営業部の仕事を奪うと受け取られたら、スムーズな連携はできません。

      3.数字で説得力が増す
      かつては展示会なども「なんとなく」対応していた部分もありましたが、明確にMQLや案件創出額などのKPIを設けるようにしました。デジタルマーケティングでは当たり前のPV数やCV数を指標にしても、営業担当者にはどのような指標かわかりにくいという課題がありました。そこで案件創出額など営業が掲げている売り上げ目標に近いところまで寄り添うKPIを設けることで、どの程度の成果が出ているのかを数字で示してアピールするし、施策の説得力が増しました。

      4.キーパーソンの協力を取り付ける
      担当者レベルでの協力は不可欠ですが、組織間の連携を強化するためにはキーパーソンの協力を得るのが早道です。私の場合は営業部の事業部長と部長の協力を得られました。質の良いリードを渡すことによって、担当者レベルでアプローチしつつ、トップダウンでも体制強化に協力してもらえました。

      5.小さくてもいいので成功事例をためていく
      新しい取り組みは、その成果が出るまで「何をやっているのかわからない」と見られがちです。とにかくホットリードを数多く作り出して、小さくてもいいので成功体験を積み重ねていく必要があります。何をやっていてどのような成果を出すのかわかってもらえるまで、忍耐強く続けなければなりません。

      今後は既存顧客にも対応できる仕組みづくりを

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      最後に、今抱えている課題や今後のビジョンについてお聞かせください。

      今村:現状の施策は、新規案件創出に偏っています。今後は既存顧客への提案力を強化して、クロスセルやアップセルにつなげたいと考えています。製品やサービスをより広く、深く使ってもらうことで、ブランドファンになってもらい、カスタマーサクセスに導ける体制を作りたいですね。

      既存顧客がどのようなことに困っていて、どのような機能、サービスを求めているのかを知る必要があります。そのためには、コールセンターや営業部が個別に持っている情報を集約する仕組みが必要ですね。

      社内の関連部署が持っている情報を集約するデータプラットフォームが必要ですね。

      今村:その通りです。今は社内の各部署が、それぞれの都合で異なるツールを使って顧客情報を管理しています。これを一元管理できるようにしようと、社内で動いているプラットフォームを分析しています。どのベンダーのどの製品が使われているのかは、IT部門に聞けばすぐにわかります。しかしそこにどういう情報があり、どのように使われているのかは、現場に聞かないとわかりません。

      また、情報を単純につなげるだけではなく、その情報を使って顧客が喜ぶ仕組みを作らなければ意味がありません。もちろんこの取り組みにおいても、その仕組みがもたらす価値を見出して、経営層に投資してもらえるよう説得しなければなりません。恐らく情報をつなげるだけで数年、活用して成果を出すまでにさらに時間がかかると思いますが、着手できるところから一歩一歩進めていきたいと思います。

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