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      日経新聞アワード受賞企業に聞く!|発足わずか2年で成果を出したブラザー販売㈱のB2Bマーケティング改革[前編]

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      INDEX

      B2Cの広告戦略とはまったく違うアプローチが求められるB2Bマーケティング。プリンタという家庭でもオフィスでも身近な商材を扱うブラザー販売株式会社は、代理店を通した販売に加えて、自らもB2Bマーケティングに乗り出しました。その結果、2020年「NIKKEI BtoBデジタルマーケティングアワード(※)」にて、「デマンドジェネレーション賞」を受賞しています。人材を育成し、他部署との連携を深めながら、新しい取り組みを成功に導いた足跡を、同社の今村綾子氏に伺いました。
      ※日本経済新聞社が創設。「NIKKEI BtoBデジタルマーケティングアワード」では、新たな時代のマーケティング活動における創造性や新規性、経営へのインパクトなどを基準に審査し、様々な取り組みを表彰している。詳細はこちら

      PROFILE

       
       

      B2Bマーケティングに必要な知見を得るところからスタート

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      従来組織が抱えていた課題など、B2Bマーケティングに取り組むことになったきっかけを教えていただけますか?

      今村:ブラザーの主力製品であるプリンティングソリューションは、一般家庭向けに家電量販店などで販売されるほか、法人向けには販売代理店制度を導入しています。一般消費者向けには製品機能を中心としたアピールを行っていましたが、B2Bマーケティングでは、ブラザー製品そのものの機能だけではなく、お客様の課題に寄り添った提案やサービス価値を知ってもらう必要があります。しかしB2Bマーケティングの経験がなかった私たちには、販売代理店の向こう側にいる顧客の顔が見えていない状態でした。メールを配信したり、そこからのリードをMAツールで管理したりしていましたが、案件引き渡し後のフォローまではできていませんでした。代理店が販売、納品するので、実際に売れたかどうかを追うのも容易ではありません。こうした状況を改善すべく、B2Bマーケティングに取り組み始めました。

      具体的にはどのようなことから取り組み始めたのでしょうか?

      今村:プレセールスの部門に業界別の担当者がいましたが、その組織自体がまだ若く、業界のかゆいところに手が届くほどの知見はたまっていませんでした。そこで各担当者とともに、お客様の困りごとをヒアリングして整理し、過去に行ったアンケートからもニーズを調査するところから始めました

      同じ頃、B2Bマーケティングの本をいくつか読んで勉強し、一番時間がかかりそうなコンテンツ制作にも取りかかりました。まだ部門として独立していなかったので、数人の仲間を引き入れてコンテンツのアイディア出しやオウンドメディアのイメージづくりをしながら進めていきました。B2Bで提供できる価値をわかりやすく訴求できるコンテンツとして、導入事例を多く作りましたね。こうした取り組みを続けているうちに、経営層からもB2Bマーケティング専任組織の必要性を認められ、2019年にBtoBマーケティンググループが発足しました。社長にマーケティングの経験があり、また事業部長もマーケティングの必要性を理解してくれていたことや、チャレンジさせてくれる社風だったのも追い風になりました。「こういう風にやってみたらどうか?」という助言をもらいながら、自由にやらせてもらっています。

      デジタルマーケティングの基盤作りには多額の予算が必要だったのではありませんか?

      今村:2019年の発足までにMAとSFAは既に導入されていたので、改めて大きな予算は必要としませんでした。既存システムとの連携部分にちょっとした開発があったくらいです。今後はCDP(Customer Data Platform)なども視野に入れ、顧客をより深く理解するための投資をしていこうと考えています。

      マーケティング人材の育成、そして営業部との信頼関係構築

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      B2Bマーケティングの専任部署ができたわけですが、人材はどのように集めたのでしょうか?

      今村:ブラザー販売にいるのは、営業職として採用された人材がほとんどです。マーケティングの知識やコンテンツ作成のスキルを持った人を募ることはできません。現在BtoBマーケティンググループには私を含めて7名が在籍していますが、全員、デジタルマーケティングについて学ぶところから始めました。最初は講習を受けて、基礎的な知識を身につけました。

      その後もメンバーには関連書籍を読むなど勉強を続けてもらっていますが、重視しているのは実践経験を積むことですね。本を読んで身につく知識には限界がありますから、失敗してもいいのでとりあえずやってみて、改善していくことで経験として身につけていこうという考え方です。

      人材育成にあたり感じた課題はありますか? またどのようにして解決していったのでしょうか?

      今村:B2Bマーケティングの成功事例はB2C事例と比べてネット上などで公開されない傾向にあり、先輩企業に学べないという問題がありました。また、実際にマーケティング施策を打って売れたとしても、その施策のどのようなポイントが効果をもたらしたのかが、比較対象がないのでわかりにくいという課題もあります。

      B2Cでは瞬間的な購買意欲を高めればいいのですが、B2Bではデマンドジェネレーション、特にリードナーチャリングが肝になります。そしてリードナーチャリングの効果を把握するためには、獲得したリードのその後をトラッキングできるようにしなければなりません。インサイドセールスからは電話をかけたりメールを配信したりして、適切な時期を見計らってフォローを行い、ようやく20%ほどをトラッキング、スコアリングできるようになりました。業種や規模でターゲティングしてコールもできるようになっています。ゴールやKPIを設定して、これからやるべきことが見えている状態です。

      マーケティングと営業の連携で、工夫したことはありますか?

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      今村:BtoBマーケティンググループはマーケティング部の配下ではなく、営業部と同じくソリューション事業部の配下につくられました。営業部と近い場所にいて、一緒にプリンティング事業の基盤づくりをしていきたかったからです。とはいっても、最初から強い信頼関係があるはずもありません。そこで私たちは、営業部に渡す案件を注意深く選別しました。

      インサイドセールスが獲得したリードがいきなりホットセールスにつながることは、あまりありません。適切なタイミングを見計らってコールして、見積が必要な段階にまでこぎつけてから、営業部に渡すことを徹底しました。確度の高い案件だけに絞ることで、BtoBマーケティンググループへの信頼感を持ってもらおうと考えたのです。

      案件を育てるリードナーチャリングが重要とは言っても、7人のチームです。すべてのリードに100%の時間は割けません。案件や顧客をランク付けして、大口受注につながりそうな案件に重点をおいてコールするなど、効率的な動きができるよう気を配っています。

      デジタルマーケティングの強化が優良なリードをもたらした

      BtoBマーケティンググループ発足後、どのような効果がありましたか?

      今村:問い合わせの件数は明らかに増えましたね。特に、無償貸出機についての問い合わせが多くなっています。以前から市場調査の一環として製品の無償貸出は行っていたのですが、それをあえて付加価値として大々的にアピールすることにしたのです。他社には同じような取り組みがありませんから。その結果、多くのリードを獲得できています。
      作り溜めたコンテンツも、ビジネスNAVIというオウンドメディアで公開しています。検索にヒットしやすいコンテンツづくりを目指していて、そこから無償貸出機の問い合わせやホワイトペーパーのダウンロードを通して、リード獲得数の拡大に貢献しています。

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      ビジネスNAVIで得られる知見も多くありそうですね。

      今村:ビジネスNAVIではユーザーの業種を6つにカテゴリ分けしていて、業界ごとのアプローチの方法も把握できるようになりました。最初の1年は全業種に向けてアプローチしてみて、デジタル施策が響きやすい業界と、そうでない業界とが見えてきました。2年目に入ってからは、そこで得た知見を生かして業種ごとにアプローチ方法を変えています。たとえば金融や医療業界には、デジタル施策が通じにくいことがわかり、アナログ施策や媒体への広告の比重を高めています。反対に小売りなどはデジタル施策が響きやすいことがわかったので、デジタルの比重を高めています。

      獲得したリードを業種、売上で区分できるようになり、小口の案件はできるだけデジタルで完結するようにしました。そうすることで大口の案件に力を注げるよう、人や時間などのリソース配分も工夫できます。

      2020年はコロナ禍もビジネスに大きな影を落としましたが、どのような対策を取りましたか?

      今村:そうですね、コロナ禍の影響はもちろんありました。ショールームに来てもらうことが難しい時期には、リード獲得につながるオンラインコンテンツを増やして対応しました。オンライン展示会、オンライン商談会、ウェビナーなどですね。オンライン相談会では有人チャットボットも導入して、お問い合わせに対応しました。

      少し落ち着いてからも、ショールームが混雑しないようにオンラインで来館申し込みを受け付けています。こうした対策も、結果的にビジネスNAVIのコンテンツ拡充となり、リードの獲得数増加に寄与していると感じています。

      後編では、BtoBマーケティンググループが成果を上げるために、社内の営業組織に対してどのように働きかけたのか。ターニングポイントや、成功の背景にあった5つのポイントについて、詳しく伺いました。

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