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      営業前に負けている?MAでできる捕捉率を上げるための仕組みづくり[後編]

      営業プロセスを可視化する「The Model」を提唱し、マーケティング、インサイドセールス、営業が連携して取り組むことを推奨するセールスフォース・ドットコム。今、B2B企業、B2C企業のB2B部門が知っておくべき、営業、マーケティングのあり方について、株式会社セールスフォース・ドットコム ソリューション営業本部 Pardot営業部 副部長 広瀬 佑貴氏に、株式会社電通 梅木 俊成がうかがいました。

      PROFILE

       
       

      日本の従来の営業スタイルにデジタルセンサーを加える

      梅木:外資系企業、特に北米から日本進出してきている企業のマーケティング支援をしていると、役割が分業化されているのと同時に、マーケティング、インサイドセールス、営業が連携して動いていることを実感します。比較すると日本企業は、問い合わせ対応、リード獲得、初訪、提案、クロージングまで、営業担当が一通り担当することが多いですよね。営業が1つの企業に対して関係を深めていく、従来の「義理・人情・接待」、私はこれをGNSと呼んでいるのですが、そのやり方を否定的に指摘する有識者が多いように見受けられます。

      私は、北米式のやり方が正しくて、日本式のやり方が間違いとは思いません。B2B営業については、従来のやり方にプラスオンで「デジタルセンサー」を加えることで、日本国内の営業がより進化すると推測しています。デジタルセンサーにあたるのがMAやSFAだと思いますが、どうでしょうか?

      広瀬:まさにそうだと思います!今までの日本の営業のやり方にデジタルセンサーを加えるというイメージはピッタリだと思います。「前編」でも触れましたが、欧米ではMAがマーケティング業務を自動化、効率化できる点で注目されてきたのに対し、日本ではトラッキングで見込客の本音がわかるという点に注目が集まりました。このように、MAの市場成長も日本と欧米では少し異なるかたちで進んできました。なんでもかんでも欧米のやり方が正しいとするのではなく、ある意味GNSの良いところは残しつつ、その上でデジタルセンサーを加えていくことが私も重要だと思います。そしてこのセンサーは営業だけでなく、マーケティング、カスタマーサポートにおいても顧客理解のために活用されていくでしょう。

      MA導入するなら、3段階で考えよう

      梅木:ところで、デマンドジェネレーションを、1人が担当するのは荷が重いですよね。コンテンツ制作、集客、リード情報獲得、リード育成など、業務範囲が広すぎます。MA導入にあたって、組織体制を整える必要があると思いますが、セールスフォース・ドットコムとしてはどのようなやり方を勧めていますか?

      広瀬:コンテンツ制作や体制などに悩むと思いますが、最初はシンプルに見込客の状態を中心にセグメントしてやるべきことを考えるようにお勧めしています。まず、土台として次の3つのペルソナを作り、それぞれをターゲットに、ステップ1-ステップ3で活用します。

      ・今すぐ自社の製品・サービスの導入を検討している(ステップ1の対象)
      ・競合を含めて検討している(ステップ2の対象)
      ・将来的に検討している(ステップ3の対象)

      MA導入のステップMA導入のアプローチ

      ステップ1は、待ちのアプローチです。営業のメール開封や自社のコンテンツ閲覧などをトラッキングして、自社の製品・サービスを検討しているタイミングを逃さないで、アプローチします。

      ステップ2は、攻めのアプローチです。見込客と接点を持つために、定期的にメールを配信して関係を作り、見込客が導入を検討するタイミングで自社のことを想起できるような状態にします。

      ステップ3では、さらに攻めのアプローチで、見込客の購買プロセスを進めさせる施策を打ちます。カスタマージャーニー設計をしてナーチャリングコンテンツを用意し、見込客の購買プロセスを自社に有利なように進められるような関係を作っていきます。

      梅木:ステップ1では、今あるリソースを最大限活用して作業を減らし、まずは可能性のある見込客を追えるようにして、成果に結びつけるわけですね。これなら始めやすいですね。

      パーフェクトにやろうとしないこと

      梅木:広瀬さんの示したステップでも同様ですが、私は最近スモールスタートではなく、「スモールサクセス」という言葉を使うようにしています。スモールスタートだと、ハードルは低いのですが、始めただけで満足してしまいます。「よくわかってないけどまずはMAを導入してみよう!」とか、手段と目的の逆転が起きやすいと感じます。スモールサクセスという考え方で進めれば、まずは売上の規模が少なくてもいいので、どのような成果を出したいがための手段なのかということを明確にしながら進めることができます。後で修正することも想定して「大きく描いて、まずはスモールサクセス」が大事ですね。

      広瀬:成功体験によってモチベーションが上がるのでスモールサクセスは重要ですよね。成果が出ないと途中で息切れしてしまいますから。社内に十分なリソース(ヒト、モノ、カネ、情報)がない中で、いきなりパーフェクトなことを実現しようとして成功した事例はないと思います。まずはパーフェクトを目指すのではなく、トラッキングを通して見込み客の情報を把握するなどできることから実施すべきです。そこで可視化されたデータには、スモールサクセスの種が必ずあるはずなので。

      また、よく「MAツールを導入したのにメールの発射台としてしか使えていない」という声も聞きますが、これまではできなかったトラッキングができるようになったのですから、確実にその会社のマーケティングは前進しているはずです。今後ますますMAは普及していくので、今からトラッキングが標準でできる仕組みにしておかないと、トラッキングを活用した施策にもチャレンジできなくなってしまいますし、その後の進化にもついていけなくなります。

      梅木:実は、メールも送れていない、なんていうこともありがちですよね。まずは、ステップ1のできることから始めて成果を出したいですよね。

      インサイドセールスがリード(見込み客)を生きたものにする

      梅木:続いて組織の話として、インサイドセールスの話を聞いてみたいのですが、従来のテレアポは、知らない会社にいきなり電話するような形でしたから、受け手に嫌われました。しかし、インサイドセールスはマーケティング部門が獲得したリードに対して電話やメールでアプローチして、営業に引き渡す前に受注確度を高めるような役割と理解しています。やはり営業(フィールドセールス)とは別にインサイドセールスを置いたほうが、効果がありますか?

      広瀬:営業が提案する前に、顧客のニーズ、確度を確認するプロセスはあったほうが効率的ですし、営業とは別に専門の部隊がいたほうがいいですね。MAを使えばユーザーの行動からシステマチックにリードのスコアリングができますが、システムだけでは分からないことも沢山あります。確度確認や課題のヒアリングなど、相手をより深く理解するためにワンクッションはさんでコミュニケーションをするインサイドセールスの役割は重要だと思います。

      営業とマーケティングはどうすればわかりあえるのか?

      梅木:MAという言葉が流行り始めた2014年から、マーケティング部門がオウンドメディアや展示会を通して獲得したリードを育成して、一定のスコアに到達したら営業部門に渡すということが始まりましたが、そのリードに営業が対応してくれないという悩みを相談されます。逆に営業側にその理由を聞くとリードの確度が低いとか、目の前の売上を追うために忙しくて対応している時間がないということが多かったです。この点いかがですか?

      広瀬:営業部とマーケティング部が対等の立場で話し合える組織体制になっていればこのような問題はほとんど発生しないと思います。この時重要なのは、お互いに達成すべき共通のゴールと、それに向けた指標を明確化することです。相互に貢献しあっていることが数値化されて曖昧にならなければうまく連携できるのではないでしょうか。ただ、日本企業の場合、営業主導の色が強い傾向があります。最終的に対面でクロージングして受注をしたほうが偉いという文化です。これを解決するには、マーケティング部門のデマンドジェネレーション業務の価値と営業業務の価値を同等にするための評価制度を整備する必要もあります。外勤だけが汗水流して頑張って、内勤は社内で楽をしているわけではないので。ただ、日本の場合、実際に営業が対応する業務範囲が広いことは事実ですので、組織作りの初動段階では、マーケティングチームは営業側の立場をしっかりと理解し対話していくことも重要です。

      もう一つ別の軸の問題として、マーケティングのツールと営業のツールが分断されていて、データを連携できていないことがあります。私も前職でお客様が展示会で獲得した名刺データをSFA(顧客管理システム)に入れて、MAツールに入れ直すという作業を手伝ったことがあるのですが、想定以上に大変で苦労した経験があります。

      ツールが連携していないと、マーケティングと営業で情報の共有ができません。マーケティングから「料金ページを見て、スコアがあがっているホットリードがある」と営業に渡すと、「その人は昨日商談した人です」と返された、なんていうお話もあります。営業のデータも、マーケティングのデータも双方でチェックでき、双方の活動を理解しあえれば、より効率的に動けるようになります。

      梅木:部署によって顧客データ管理にばらつきがあることは課題ですよね。マーケティングと営業だけでなく全部署で共通する顧客データ管理が必要だと思います。営業部署では独自に顧客管理ツールを持っている、経理部門では独自の経理システムに顧客情報が入っている、全社では名刺管理システムにも顧客データが入っている、マーケティング部署では複数のウェブ解析ツールが入っているがクッキーデータ等が属人的に管理されている、でも共通キーになるものは無いということは日常茶飯事です。

      広瀬:経営層が積極的に導入を推進して責任を持っている企業は、うまくいくことが多いと思います。経営層がコミットして、会社の根幹になる基幹システムからMAツール、SFAまで連携できるようにしておくと、一連の流れを追う形で成果を確認できます。ただし、全事業部で一気に推進すると検討プロセスにも多大な時間がかかるので、スモールサクセスの話にも通じますが、まずは特定の部門、商材だけで推進して、徐々に広げていくのも成功への第一歩ですね。

      セールスフォース・ドットコムと電通がコラボレーションしたら何ができるのか?

      梅木:基幹システムまで含めて連携となると、会社の深いところまで入り込む必要があります。電通は広告のイメージが強いと思いますが、最近はクライアント事業の成功のための手段としてDX:Digital Transformation領域(またはDBT:Digital Business Transformation)への取り組みを強化しています。つまり業績改善のためにデジタル技術とデジタルビジネスモデルを用いて組織を変革させる取り組みです。その推進の戦略立案や具体的な打ち手としての組織構築支援、成果指標設計、データマネジメント、メディア計画や展示会オペレーションなどのご相談を受けることが増えています。B2B事業支援の新たなメニューを開発していて、順次発表していく予定です。

      セールスフォース・ドットコムとしては、電通とコラボレーションすることにどのような期待をしていますか?

      広瀬:電通が長年にわたって培ってきた、オンオフ統合ソリューションに対して期待があります。特にオフライン領域、これは我々にはないものです。CRMという観点では我々のビジネスはお客様のデータを獲得してからのコミュニケーションを中心とするビジネスですから、その前の段階の認知獲得、集客のところで、双方の得意分野が噛み合うでしょう。さらに、その後の導入支援、運用支援でも、組織横断で案件を動かす、電通だからこそできる対応力を期待しています。

      梅木:B2B企業やB2B事業を強化している企業のためにセールスフォース・ドットコムと引き続き積極的な取り組みをさせて頂ければと思います。本日はありがとうございました。

      ※当記事は2020年7月15日時点の情報を元に記事を執筆しております。

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