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    経営アジェンダとしてCRMを再定義する―「Biz CRM For Growth」が描く、顧客戦略の新しい地図―

    最終更新日:2026年04月07日

    経営アジェンダとしてCRMを再定義する―「Biz CRM For Growth」が描く、顧客戦略の新しい地図―

    経営や事業推進を担う皆さまに、顧客との関係性をどうマネジメントすべきか、これからのCRM戦略をどのように捉えるべきかについてお伝えするこのブログシリーズ。

    第1回では、顧客接点の多様化や部門最適化に対するCRMリデザインの必要性をご提示。続く第2回では、組織間の分断とサイロ化による機会損失の処方箋として、マーケティングとITを橋渡しして顧客体験価値を再構築するアプローチをお伝えしました。

    ▼第1回
    求められる企業のCRMリデザイン-顧客体験マネジメントの課題とは? 
    ▼第2回
    CRMのリデザイン~「設計×開発×運用」で顧客体験価値を再構築する

    今回のテーマは、“CRMを「経営アジェンダ」として捉え直す”。数多くの経営コンサルティングの実績を持ち、電通グループのCRM統合サービス「Biz CRM For Growth」のリリースに参画している(株)電通コンサルティングの蓮實に、CRMの新たな捉え方と解決視点を聞きました。

    PROFILE

     

    INDEX

    CRMが「経営ごと化」する背景

    CRMは経営の中枢の課題へ

    これまでのブログ連載では、顧客接点の多様化や部門間の分断といった課題を背景に、CRMの再設計の必要性について触れてきました。今回は視点を変えて、「経営環境の変化に対してCRMをどう捉え直すべきか」について、聞かせていただけますか。

    はい。私たち電通グループは昨年、現場のマーケティングツールと捉えられがちだったこれまでのCRMの在り方を改めて捉え直しました。そして新たに「Biz CRM For Growth」というサービスを立ち上げています。その背景には、従来の枠組みでは対応しきれない経営環境の急激な変化があります。

    たとえば「BANI」という言葉をご存知でしょうか?これは、Brittle(脆弱性)、Anxious(不安)、Non-Linear(非線形性)、Incomprehensible(不可解さ)というキーワードで構成された言葉です。未来学者のJamais Cascio氏が提唱し、現代の不確実で複雑な社会を表現しています。
    ※参考: IFTF - Navigating the Age of Chaos: A Sense-Making Guide to a BANI World that Doesn’t Make Sense

    コロナ禍を経て、人への共感や寄り添いがより大切になりましたよね。「BANI」は、複雑な人間的感情が高まる中で生存競争を生き抜かなければならなくなった社会全体の環境変化を表しています。こうした環境の中で、企業には顧客との関係性をどう築き、維持していくかが改めて問われているのではないでしょうか。顧客関係管理(CRM)は、もはや現場のツールではなく、環境変化に対応する経営そのものと密接に結びついた「経営アジェンダ」と捉えるべきテーマとなっていると思います。

    経営課題とCRM課題の接近

    具体的には、どのような経営課題とCRMが接点を持つようになってきたのでしょうか?

    そうですね。現代に起こっていることとして、2つの例を挙げてみます。

    サプライチェーン再定義の必要性の高まりとCRM

    一つは、昨今の地政学的リスクなどの影響による、企業のグローバルなサプライチェーン再構築の必要性の高まりです。これはCRMの対象である顧客にも影響を与えます。

    SCM(サプライチェーンマネジメント)を高度化して国際分業の見直しなどを打ち手とすることは、一見、自社の供給体制をどう強化するかという文脈で語られがちです。が、顧客が商品やサービスを調達する構造やニーズをどう理解し、グローバルな視点でどのように支援体制を整えるかを考える必要にもつながります。

    例えば、自社のお客様が商品やサービスをどう捉え、どのように手に入れているかを深く理解する場面があったとしましょう。その場合、単一拠点での顧客との関係性に留まらず、グローバルに広がる自社の各拠点を束ねて、どのように包括的なサポートを提供すべきか、と視野が広がるきっかけとなるのではないでしょうか。こうした視点での顧客戦略は、経営層が担うべき領域です

    AIの進化がもたらす組織体制の課題とCRM

    もう一つの視点は、AIの進化です。AIの爆発的進展により、企業は、今までとは比べ物にならないほど多様で膨大なデータを活用した顧客理解や体験設計が可能になっています。

    AI活用で多様かつ大量のデータからパターンを見出し、それをレコメンドエンジンや動的プライシングに反映させ、顧客体験にフィードバックさせていく。その実現を支えるためのAI人材の育成と組織への適正配置までを含めて考え、実行する。こうしたダイナミックな取り組みを一事業部門だけで担うには限界があります。

    このようなドラスティックな変化に対応すべく部門間の垣根を取り払い、一体の組織としてオーケストレーションを実現するには、AI人材の育成や組織横断的なデータ活用体制の構築が不可欠です。こうしたことはまさに経営のリーダーシップが求められる分野であり、経営層だからこそのミッションだと考えます。

    2つの例のみならず、サステナビリティやESGの進展を背景に、どのように顧客を再定義するか、彼らとのトランスペアレンシー(情報の透明性)を介した信頼関係をどう構築するか、さらには人口減少への対抗として顧客関係をどう強化するかなど、経営の観点で取り組むべきCRM課題は数多く存在しています

    CMOの進化とCROの登場

    そのような状況がもたらす、企業組織内部の変化についても教えてください。

    そうですね。近年、CMO(Chief Marketing Officer)の役割が拡大しています。これまでマーケティング活動の目的は、主にブランドの構築や広告活動などによるリードの獲得が中心でした。しかし、今ではセールスやカスタマーサクセス(CS)と連携して、顧客との長期的な関係構築にまで拡がっており、その役割をCMOが担う必要が生じてきたのです。

    お客様と長期的な関係を築くに至るまでには、セールスとの連携やカスタマーサクセスによる支援など多段階的なプロセスが必要となりますよね。そうした背景のもとCRO(Chief Revenue Officer: 最高収益責任者)という新たな役職が登場しています。マーケティング、セールス、CSを一体の活動として捉えサイロ化を乗り越えていくために、全体を統括するコンダクターとしての役割を果たし、収益自体に責任を持つ存在です。CROは今後増えていくのではないかと語られ始めています。

    CROのようなポジションが注目されているのは、まさにCRMが経営課題として認識され始めた証拠といえるでしょう。実際にCROや類似の職責を持つポジションを設置する企業が日本国内でも出始めています。これらの事象はまさに「CRMの経営ごと化」の顕著な例と言えます。

    経営アジェンダとしてのCRMに応える「Biz CRM For Growth」

    では、ここまで述べられた「経営アジェンダとしてのCRM課題」に対して、電通グループのCRM統合サービス「Biz CRM For Growth」は、どのようなアプローチをするのでしょうか。詳しく教えてください。

    はい。このサービスは、CRMを全社レベルでの顧客戦略として捉え直した上で課題を特定し、戦略の立案から実行までを一気通貫でリデザインして、実行を支援するために開発されました。

    経営アジェンダとしてCRMを捉えた時、組織をまたいだオーケストレーションが必要です。企業には、顧客との関係性を営業やマーケティングの個別活動ではなく、経営レベルで統合的に捉え直すことが求められています。その実現には、経営・事業・組織運営・IT(AI含む)といった、複数の領域を横断した連携が不可欠であり、専門性の高い知識と調整能力、そして実行力が必要となります。

    こうした課題を解決するために、個々の専門領域が得意な外部のサービス会社のサポートを検討する企業様も多いと思いますが、私たち電通グループには複数の専門性を横断的に併せ持つという独自の特長があります。その統合力を活かして、経営アジェンダとしてのCRM=Biz CRMをテーマにした、独自の支援プログラムをご用意しています

    具体的な内容について、説明していただけますか。

    プログラムは、「戦略策定」「体験設計」「伴走支援」「業務高度化」の4つの領域で構成されています。領域ごとにひとつずつ概要をご説明します。

    01.戦略策定 (未来予測および現状を踏まえた戦略の策定・ビジュアライズ)

    まず、経営を取り巻く未来予測や現状分析をもとに、顧客の購買行動に即したCRM戦略を再設計する領域があります。これは、すべての活動の起点となるものです。戦略を可視化し、組織全体が直感的に理解・共感できるようにすることを重視しています

    ここでは、未来予測や現状分析をベースに、お客様の購買ドライバーや行動に適合するCRM戦略のリデザインを行います。そのうえで策定された戦略の実現に向けた計画を設計し、その考え方を、必要に応じて経営層を始めとした組織の誰もが直観的に理解できるようなビジュアルに落とし込みます。

    見落とされがちなのですが、経営アジェンダとしてのCRMにとって「戦略の見える化」はとても重要です。経営戦略は往々にして概念的であるため、見る人によっては無味乾燥なものと受け取られたり、理解が進まないことで自分ごと化しにくくなりがちです。この問題を解決するために、クリエイティブに長けた電通グループの力をご活用いただいています。

    02.体験設計 (心を動かし、行動を生む エモーショナルな体験設計)

    さらに、個々の現場で戦略を実際に実行してもらうためには、戦略を「エモーショナルな体験」にまで落とし込む必要があります。複数チャネルを統合して、業務設計やシステムデザインまで一貫して支援します。電通グループに期待を寄せていただきやすい領域のひとつはここではないでしょうか。

    私たちは、データ分析を起点にロジカルに導かれた施策だけで人を動かすことは難しいと考えています。物事を伝えればお客様が期待通りに行動してくれる訳ではありませんし、これは実行する側にも言えます。 意図を伝えてもすぐに全員が行動に移れる訳ではないからです。経営や事業、マーケティングで陥りやすいこうした状況を打破し、実行力の高い体験を設計するために、電通グループのクリエイティブ力を活用していただいています。

    電通グループには「人を動かす」ことを考え続けているプロフェッショナルが多数在籍しています。その知見を最大限活用し、戦略をエモーショナルな体験に昇華することでお客様の行動変容を促します。その上で、実現に向けて、顧客起点で多岐にわたるチャネルを統合し、全体最適の観点で業務設計やシステムデザインにまで落とし込んでいきます。

    なるほど。経営アジェンダとしてのCRMでは、ロジカルな分析や戦略と同時に、関わる人々が「自分ごと」にできる工夫や、「人を動かす」視点を持つことが大切なのですね。あと2つの領域はどのようなものですか。

    03.伴走支援 (伴走×アジャイルアプローチでの支援)

    はい、顧客起点で体験設計を行ったのち、その実行をサポートするのが3つめの領域です。CRM施策の実行フェーズを支えるために、必要な施策の立案と実装、運用支援に加えて、アジャイルなアプローチで業務・システム運用もサポートします。

    具体的には、Webサイトや各種SNSといった、顧客接点におけるコミュニケーションやプロモーション活動、ロイヤルティプログラムの実装などをご提供します。ここでの電通グループの強みは、単なるマーケティング施策の展開にとどまらないことです。グループ各社の専門性を活かして、活動を円滑に動かしていくための業務プロセスやシステムの運用までご支援する体制を整えています。電通のみならず、ビジネスコンサルティング/デジタルマーケティング/AI・ITシステムの各領域それぞれで強みを有する電通コンサルティング、電通デジタル、電通総研が、アジャイルなアプローチでプロジェクトに伴走し、成果獲得までのプロセスをしっかりと支援します

    04.業務高度化(ビッグデータ・AIによる業務高度化)

    そして、4つめの領域では、ナレッジの共有をはじめとして、ビッグデータの分析やダッシュボードの実装を支援します。ここにはAIを活用した顧客応対業務の効率化やAIエージェントの活用などが含まれます。電通グループでは現在、「AI For Growth」と名付けたプロジェクトを軸に、様々な領域でAI活用支援プロジェクトを積極的に行っています。AIによる既存業務の効率化や高度化を通じて、着実に業務を前に動かしていくために必要なサポートをご提供します。

    単発の施策に止まらず、プロジェクトに伴走するのですね。どのようなサービス体制なのですか。

    ご説明が少し長くなりすみません(笑)。「Biz CRM For Growth」では、4つの領域のソリューションを企業様の課題に合わせて柔軟に工程へと落とし込み、CRM構築を一気通貫で支援します。サービスのご提供にあたっては、マーケティング、プロモーション領域で多くの実績を有する電通をはじめ、デジタルマーケティング/システム/ビジネスコンサルティングの各領域それぞれで強みを有する電通デジタル、電通総研、電通コンサルティングの4社が、専門知見を融合しEnd to Endで経営アジェンダとしてのCRMの実現をご支援しています

    「Biz CRM For Growth」の代表的なオファリング例

    実際にどのようなサービスがあるのか、いくつか紹介してもらえますか。

    はい。「Biz CRM For Growth」では、代表的なシチュエーションを想定したオファリングをご用意しています。アプローチは「トップダウン」と「ミドルアップダウン」の両面があるのですが、ここでは特にトップダウンアプローチの代表例を2つご紹介します。いずれも経営アジェンダとしてのCRMに取り組み始める際にご活用いただきやすいものとなっています。

    ① AI時代のCRM領域におけるKPI策定支援

    AIの活用が進むと、取り扱うデータやマネジメントのサイクルが大きく変化します。ですので、経営にとって、環境変化にあったKPIへの刷新に取り組むことは大変重要です。そこで私たちは「データ取得のスピードや深さ・広さがどのように変化しているか」「それに伴ってショートターム化するマネジメントサイクルの中で、求められるKPIとは何か?」という問いのもと、新たなKPIの策定プロジェクトをご提案しています。

    新たなKPIの策定を入口にすることで、CRMに関するデータ収集プロセスやインフラの整備、マネジメントの仕組みづくりが進み始めます。 AI時代におけるCRMの構築・運用にまでつなげていくことができます。

    ② マーケティング横断組織化/チェンジマネジメント

    これは、電通グループにこれまで数多くご相談いただいたテーマを改めてオファリング化したものです。

    多くの企業で、マーケティングに関する業務や機能が重複し、複数の組織に分散して配置されているケースが見受けられます。そこで私たちはまず、CRMに関する「組織上の機能不全」の洗い出しをご提案しています。組織運営上で非効率な状態を発生させると同時に、顧客体験を分断させている原因を洗い出し、「あるべき顧客体験」を起点に組織・体制がどうあるべきかを考えるご提案を行っています。

    再設計された「あるべき顧客体験」の設計図を手にすることで、部門間の権限移譲を含めて、機能する活動の設計が進み始めます。さらに自律的な運営を行うための仕組みづくりにつながるので、企業が自走できる体制を整えていくことができます。

    おわりに:CRMを経営の羅針盤に

    では最後に、読者へのメッセージをお願いします。

    みなさまの会社では、CRMは経営アジェンダになっていますでしょうか? CRMは、もはや現場任せのツールではなく、経営の未来を描くための羅針盤です。変化の激しい時代だからこそ、顧客との関係性を軸にした経営戦略が求められています。「Biz CRM For Growth」は、電通グループの知見を結集し、皆さまの次の一歩を力強く支援したいと願っています。

    「Biz CRM」では、ご紹介したメニューの他にも多数のオファリングをパッケージとして取り揃えています。予測不可能性が高まった中で次の一歩を踏み出す際のパートナーとして、ぜひ、私どもに機会を頂戴できればと存じます。

    ありがとうございました。

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