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    CRMのリデザイン~「設計×開発×運用」で顧客体験価値を再構築する

    最終更新日:2026年02月26日

    CRMのリデザイン~「設計×開発×運用」で顧客体験価値を再構築する

    経営や事業推進を担う皆さまに、顧客との関係性をどうマネジメントすべきか、これからのCRM戦略をどのように捉えるべきかについてお伝えするこのブログシリーズ。今回は「マーケティングとITをどう橋渡しするか」という観点から、課題と解決視点をお伝えします。

    顧客接点の多様化とデジタル投資の拡大が進む一方で、『CXに資金を投じているのに成果が見えづらい』『データ統合をしたが施策に活かせない』という声は後を絶ちません。背景には、行き過ぎた部門最適化とサイロ化したシステム、そして運用・改善が組織横断で機能していない構造があります。

    このブログでは、電通グループの統合サービス「Biz CRM For Growth」において、IT専門組織の立場で顧客体験価値再構築の役割を担う「電通総研」の岡部から、CX向上が成果につながらない課題の背景や事例に触れつつ、Design(設計)/Develop(開発)/Deliver(運用)の3つの視点で顧客体験価値を再構築する実践の枠組みを解説します。

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    INDEX

    なぜ今、CX向上の取り組みは成果につながりにくいのか?

    CRMのリデザインにおいて重要な取り組みのひとつがCX(カスタマー・エクスペリエンス)の向上です。CX向上に取り組む企業は増えていますが、部門間の連携不足や、テクノロジー統合の課題、予算・リソース制約などが障壁となり、なかなか成果につながらない企業も多いようです。さらにそこに顧客インサイトの不足や、旧来の業務プロセスの硬直化が重なり、CX向上に向けて積極的に投資したものの、「顧客体験の一貫性」の担保につながらない状況が生まれています。

    わたしたちがこれまでご支援してきた多くのクライアント企業様の事例を見ると、CX課題の背景には3つの共通した要因があります。

    1. 組織間の分断とサイロ化

    CXは本来、マーケティング、営業、カスタマーサポート、ITなど複数部門が連携して顧客接点を統合的に設計・運用することで価値を発揮します。また、大規模な組織を持つエンタープライズ企業では1つの事業やブランドだけでなく、複数のポートフォリオや顧客接点があるため、効果を最大化するためには、会社全体で1つのCXをデザインすることが望ましいのです。

    しかし現実には、部門間の連携が限定的で、各部門が独自のKPIやシステムを運用する「サイロ化」状態に陥っています

    例えば、マーケティング部門は広告やSNS施策に注力し、営業部門は販売プロセスの効率化を追求、IT部門はシステム開発と保守業務に集中するなど、追いかける指標や評価軸が異なるため、究極の目標は同じでも顧客体験全体を俯瞰した意思決定が難しいのです。この結果、顧客は企業と接するチャネルごとに異なる体験を受け取り、結果として一貫性のないブランド体験が生まれています

    2. ソリューションの多角化と飽和状態・部分最適なソリューション選定

    近年、CX向上の実現を支援するソリューションは急速に増えています。MA(マーケティングオートメーション)、CDP(カスタマーデータプラットフォーム)、SFA、CRM、AIチャットボットなど、ソリューションのカテゴリが細分化しています。ソリューションの選択肢が豊富にあると、成功例や導入実績が断片的な情報として入ってくるため、企業は、いつのまにか「導入すること」自体を目的化していたり、単に「実績が多い」という理由だけでソリューションプロダクトを選んだりする傾向があります。

    さらに、各ソリューションを提供する外部のベンダーは、コンセプトや機能の面でますます差別化を強めており、より特定の領域の課題解決へフォーカスし始めています。そのため、企業がソリューションごとの違いを理解せず、また、全体最適を考慮せずに安易にソリューションを導入してしまうと、先に指摘した「組織間の分断とサイロ化」という事態に陥ることになります。

    結果として、データは統合されても施策に活用できず、「システムがあるが使いこなせない」「データはあるが使えない」状態が常態化していきます。

     3. ビジネス部門とシステム部門の協力体制の不在

    CX向上を成功させるためには、ビジネス部門が描く顧客体験のビジョンと、システム部門が担うデータ基盤・運用設計を密接に連動させる必要があります。しかし、実際の現場では両者の間に深い溝があります。双方の視点を兼ね備えた人財を自社で採用・育成することは非常に難しいテーマです。

    部門間のギャップを認識せずにプロジェクトを進めてしまうと、例えばビジネス部門は「スピード重視」で施策を求める一方で、システム部門は「安定稼働とセキュリティ」を優先するなど、意思決定のプライオリティがばらばらになり、結果としてプロジェクトのスピードが鈍化してしまいます。

    さらに、IT投資の稟議や予算配分の制約がここに加わると、「やりたいこと」と「できること」の乖離が広がっていき、どこか中途半端なシステムが完成してしまう、あるいはプロジェクト自体が迷走し、場合によっては頓挫してしまうなどの、残念な結果に終わることも少なくありません。ビジネス部門とシステム部門の協力体制の不在は、非常に大きな阻害要因となっているのです

    事例にみる『分断』の構造

    では実際に、ビジネスの現場では具体的にどのような課題が生じているのでしょうか。ここで典型的なケースを仮想事例として2つご紹介します。

    事例1 縦割り組織による機会損失(アパレル業界)

    アパレル市場では、年齢やライフスタイルの変化によって、一人の消費者においてもブランドスイッチがよく発生します。しかし、多くの企業では、ブランドや事業部ごとに顧客情報を管理しており、顧客データが分断されているのが現状です。

    例えば、あるアパレル企業の場合、ブランドAは「ファッションに目覚めた10代」、ブランドBは「トレンドに敏感な20代」、ブランドCは「コンサバティブなファッションを好む30代」、といったターゲット層を設定し、それぞれがSNS施策、店舗施策、口コミ施策などを個別に展開しています。

    本来であれば、消費者の年齢やライフスタイルの変化に合わせて自社の他ブランドへの移行を促して、末永く自社のブランドを愛してくれる顧客と繋がっていくことが企業としての価値の最大化につながります。しかしこの場合、ブランドごとに各種施策・予算管理・システム管理が行われており、ブランド・部門間の連携が限られているため、企業側から顧客に対して適切な提案がしにくくなっていました。結果として、顧客はその時々でブランドスイッチ(他社ブランドを含む)を行っており、この企業はクロスセルやアップセルの機会を失っています。

    さらに、各ブランドの担当部署が独自のシステムで顧客データを管理しているため、システムがサイロ化し、システム部門の運用負荷が増大。加えて、リソースもブランド単位で分配されるため、全体最適ではなく個別最適に陥り、マーケティングROIが低下するという課題が顕在化しています。

    事例2 データ統合の目的化による活用不全(自動車業界)

    ある自動車メーカーでの例をあげると、事業部Aが「見込み顧客データ」、事業部Bが「顧客データ」、事業部Cが「購買データ」、さらにグループ会社や関連会社が「走行距離データ」「メンテナンスデータ」「保険データ」「分析・予測データ」をそれぞれ管理していました。

    この企業は、こうしたデータを共通IDで統合し、顧客データ統合管理基盤を構築しました。ところが、施策や活用面を考慮せずに統合を進めた結果、データは活用されないまま眠ってしまったのです。

    ターゲット層として「ファミリー層」「DINKS層」「初心者層」「シニア層」「レンタカー層」「クルマ愛好者層」のようなペルソナを設定していましたが、各層に対するデータのユースケースや実現性が十分に検討されていなかったため、施策実行まで辿り着けませんでした。また、データはあるものの、施策に必要な粒度や構造が十分に検討されておらず、その都度、追加開発が必要に。結果として、多額の投資を行ったにもかかわらず、マーケティング施策に結びつかないという事態に陥りました。

    この事例が示すのは、「統合ありき」ではなく、活用目的を明確化し、施策設計とデータ設計を同時に進める必要性です。データ統合はゴールではなく、顧客体験価値を高めるための手段であることを再認識することが重要です。

    こうしたお悩みを踏まえ、私たち電通総研は、顧客体験価値の向上を目的に、分断されたCX・CRMを再統合し、事業成果につながる構造として実装するための提案を行っています。次章からその概要をご紹介します。

    Design/Develop/Deliverが再構築のカギ ~電通総研の視点~

    「CRMの統合」に必要なアプローチ ~電通総研の視点から~

    私たち電通総研は、部署・事業部間を横断し、企業全体で顧客体験価値を「設計・開発・運用」する枠組みを提供しています。その特徴は、データ基盤の活用を前提に、組織・システム・プロセス・ルールを一体化し、顧客の課題解決のフェーズに合わせて仕組みを再統合して、事業成果につながる構造として実装、さらに継続的にアップデートしていくプロセスを創り出す点にあります。

    企業のCXやCRMを統合し、顧客接点の統合マネジメントを行うこと=「Biz CRM」に向けて、3つのフェーズから再構築にアプローチします。そのポイントをご紹介します。

    Design(全社視点のグランドデザイン)

    設計フェーズでは、経営戦略・事業戦略・ITの現状と課題を俯瞰し、全体最適のIT戦略を策定します。価値マップ/サービスマップ/システムマップを構成し、ロードマップとグランドデザインを描くことが第一歩です。

    さらに、施策実行のユースケースから逆算したデータ定義や同意管理設計を行うことで、後工程での追加開発を最小化します。ここで重要なのは、「どの顧客体験を、どのチャネルで、どのデータを使って提供するか」を明確にすることです。

    Develop(目的起点のソリューション選定と開発)

    開発フェーズは、CX戦略を実現するための基盤構築とソリューション選定の要です。電通総研は、CDP(カスタマーデータプラットフォーム)、DWH(データウェアハウス)、MA(マーケティングオートメーション)、SFA、CRM、AIなどの各領域において、多様なソリューションを扱える強みを持っています。

    しかし、ここで陥りやすい罠があります。それは、「製品ありきで選定してしまうこと」です。市場には魅力的なツールが溢れていますが、目的や全体最適の視点を欠いた導入は、スタートから大きな間違いを招きます。例えば、CDPを導入したものの、施策ユースケースが曖昧でデータ活用が進まず、追加開発が頻発するケースは珍しくありません。私たちは、ユースケース主導でソリューションを選定し、拡張性・ガバナンス・再利用性を担保することを推奨しています。

    さらに、Privacy by Design(情報システムやビジネスプロセスの設計段階からプライバシー保護を考慮し、実装するアプローチ)を前提に、法制度やセキュリティ要件を満たす設計を行います。ここでは単なる製品導入ではなく、「企業のCX戦略を実現するための最適な組み合わせ」を目指します。特定のツールありきではない、目的を意識したご提案も行います

    Deliver(変化に対応する運用体制)

    運用フェーズは、CX価値を持続的に高めるための「変化対応力」を企業に根付かせる重要な段階です。市場環境や消費者行動、技術トレンド、法制度は常に変化しており、一度構築した仕組みを固定化するのではなく、継続的なアップデートを前提とした運用設計が不可欠です

    電通総研では、単なる保守運用に留まらず、KPIの定期的な見直し、業務プロセスの再設計、インフラの再構築、新ツールの追加連携を、複数年にわたるロードマップに沿って支援しています。

    また近年、企業によっては運用フェーズのアジリティ(変化に素早く対応できる柔軟性)を高めるために内製化を志向するケースが増えています。こうしたニーズに応えるため、私たちは「ベンダーロックイン」を避け、より効果的な内製化を目指した支援体制を整えています

    これにより、企業は外部依存から脱却し、自社内で柔軟に改善・拡張できる体制を構築することが可能になります。私たちは、複数年にわたるロードマップに沿って、顧客内での内製化を成功させた実績のもと、「伴走しながら自走化を実現する」というアプローチで、長期的なCX価値の最大化を支援しています。

    Design/Develop/Deliverを実践したプロジェクトユースケース

    3つのアプローチを行った事例として、ある製造業様におけるオンライン販売プロジェクトのケースをご紹介します。このプロジェクトは、業界に先駆けてオンラインチャネルでの販売を実施するという前例のないものだったため、しっかりとしたアプローチに基づく設計や実装が求められました。

    このケースでは、顧客に訴求する価値の定義や顧客体験設計を検討することから着手し(Design)、その実現のために業務が滞りなく回るような業務設計およびシステムの基盤の構築を行いました(Develop)。その結果、下図のような統合された仕組みを構築することができ、さらに今も継続的なサービス提供活動に伴走して(Deliver)、事業のグロース支援を行っています。

    マーケティングとITを橋渡しして顧客体験を再構築しよう

    顧客接点の統合マネジメントを行うには、マーケティングとITの両軸を橋渡しすることが不可欠です。電通グループは、マーケティング戦略やクリエイティブ戦略の立案、デジタル・リアル両面での実施を担う電通/電通デジタル/電通総研 他グループ各社が連携し、ITの深い視点を持ちながら顧客体験価値を再構築する役割を果たします。
    私たち電通総研は、電通グループのIT専門組織として、グループ各社と連携しながら、企業の基幹システムからCRM/データマネジメントの領域までIT観点で深く入り込んできた実績と知見をもって、独自の価値を提供します。

    アプローチポイントを改めて確認すると、次の通りです。
    Design 経営戦略とIT戦略を結びつけ、全社視点でのグランドデザインを描く
    Develop CDP、DWH、MA、CRMなど多様なソリューションを扱い、目的起点で最適な組み合わせを実装
    Deliver 変化対応力を高める運用設計に加え、内製化支援や複数年ロードマップの伴走で企業の自走化を実現。

    このブログシリーズでお伝えしている電通グループのソリューション「Biz CRM For Growth」は、顧客視点で全社をつなぎ、CRMの統合マネジメントを支援するサービスです。統合的なCRMを実現するために、マーケティングの理想像を描くだけでなく「理想を現実のシステム・運用に落とし込み、企業変革を持続可能な仕組みとして実装すること」を支援します。生活者に強い電通とシステムに実績のある電通総研が密に連携する電通グループが、総合力を活かしてクライアントの皆さまの自走化に向けて伴走します。

    マーケティング、クリエイティブ、テクノロジー、コンサルティングを融合し、顧客接点の統合マネジメントを軸にして、企業変革活動に伴走する「Biz CRM For Growth」。
    その全体像についてご興味のある方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてみてください。

    第3回は、「経営アジェンダとしてのCRM」の捉え方について、電通コンサルティングの蓮實が解説します。

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