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    Z世代の発想でサステナビリティ経営はどう変わる? ~Z世代起業家の成功事例からヒントを探る~

    最終更新日:2023年11月29日

    Z世代の発想でサステナビリティ経営はどう変わる? ~Z世代起業家の成功事例からヒントを探る~

    ここ数年、多様な分野で注目されている「Z世代」。電通でも、サステナブルネイティブと呼ばれる彼らの視点や発想に注目し、さまざまな協業を行っています。

    その一つが、Z世代の視点を活かして得られた新たな知見を、企業のサステナビリティ経営や事業推進、組織変革などにつなげる支援サービス「REVERSE CONSULTING for SUSTAINABILITY」(リバース・コンサルティング・フォー・サステナビリティ)です。

    Z世代とサステナビリティ経営の親和性については、以前こちらのブログで、編集部からの質問に、田中理絵(電通 サステナビリティコンサルティング室)がお答えしました。今回は、実際にZ世代の経営者の視点や実例を、Z世代の起業家である山内萌斗さんを招いて開催したDo! Solutionsウェビナーの内容からご紹介いたします。

    PROFILE

     
     

    INDEX

    【はじめに】サステナブル経営で注目したい「Z世代の3つの視点」

    Z世代×サステナビリティの可能性

    「Z世代」とは1990年代半ばから2010年ごろまでに生まれた世代を指す言葉で、情報化社会の中で多様性やSDGsについての学校教育を受けてきたことから「デジタルネイティブ」であると同時に「サステナビリティネイティブ」とも言えます。

    昨今、企業の間でZ世代への注目が集まっていますが、その多くはZ世代をマーケティングの対象としたもので、Z世代の視点を企業経営に活かす取り組みは日本ではまだ多くありません。そこに着目し、電通では、Z世代の視点からサステナビリティ経営へのヒントを探り、事業推進や組織変革に活かす「REVERSE CONSULTING for SUSTAINABILITY(リバース・コンサルティング・フォー・サステナビリティ)」を立ち上げました。

    Z世代が持つ「3つの視点」を、サステナビリティ経営のヒントに

    私たちが、特に注目したのは、Z世代が持つ3つの視点です。

    ①今までの延長線上で物事を考えない
    ②堅実志向
    ③自分がやりたいことで、周りも幸せならうれしい(自己犠牲の貢献はしない)

    これらの価値観についてはこちらの記事でも詳しくお話していますが、経済的・社会的にも将来への不安が叫ばれている時代に育ってきたZ世代は「今のままでは未来は良くならない」とわかっている世代。将来のリスクに敏感で堅実志向である一方、柔軟な発想で未来を変えたいと考える人が多いことも特徴です。そして社会貢献に義務感や責任感を持つというより「そのほうが自分が幸せ」という発想がベースにあります。

    こうしたZ世代の特徴的な視点を活かすと、一体どんなビジネスが生まれるでしょうか? その興味深い例として、ここからは2023年7月にDo! Solutionsで開催したウェビナー「新事業を軌道にのせたZ世代の視点とは? Z世代の価値観と『サステナビリティ×ビジネス』の本質」から、サステナビリティビジネスを手掛けるZ世代の起業家、株式会社Gabの山内萌斗さんのセッションをご紹介します。

    【Z世代はこう考える】「Z世代の視点」で新規事業に成功! ~ウェビナー事例より

    「社会課題解決の敷居を極限まで下げる」Z世代の起業家、山内萌斗さん

    山内さんは2000年生まれのZ世代。大学1年生の時にアメリカのシリコンバレーを訪れ、現地の若い起業家たちが「自分」ではなく「人類」を主語に未来を語っていることに衝撃を受けました。そんな視座の高さに影響を受け、人類の存続に不可欠な「must haveな事業」をつくりたいと、大学2年生で株式会社Gabを創業。「ありがとう量の最大化」をビジョンに掲げ、「社会課題解決の敷居を極限まで下げる」というミッションのもと、ゲーム感覚ゴミ拾いイベント「清走中」、エシカル消費の国内NO.1プラットフォーム「エシカルな暮らし」、SNSコンサル兼運用代行の3つの事業を展開しています。

    社会貢献は「目的」ではなく、より大きな目的のための「手段」

    山内さんの事業発想でユニークなのは、社会貢献を事業目的ではなく、事業の手段ととらえていることです。山内さんがGabで成し遂げたいことは「ありがとう量の最大化」であり、特定の社会課題解決を目的にしているわけではありません。

    例えば、エシカル事業の一環として取り組んでいる、ホタテの貝殻をアップサイクルしてネイルポリッシュ(※ネイルカラーの一種)を開発・販売する事業を例に見てみましょう。

    山内さんはホタテやネイルそのものに興味があったわけではなく、エシカル消費を世間に広めて感謝を生み出すという大目的の達成する手段の一つとして、ホタテの貝殻問題に着目しました。山内さん自身の視点がホタテ中心ではないため、同じようにホタテの貝殻問題そのものには関心がない層の視点を理解して施策を設計できるというメリットがあります。さらに、ホタテの貝殻ネイルの事業に区切りがついたら、エシカル消費拡大につながる別の事業にも軽やかに挑戦できる、という柔軟さがあると山内さんは言います。

    さらにウェビナーの中で、山内さんはご自身がソーシャルビジネスを進めるうえで大切にしている3つの具体的なポイントを紹介しています。

    ポイント1: SDGs領域外の成功事例を柔軟に取り入れる

    一つ目のポイントは、SDGs領域での事業はまだ成功事例が少ないため、領域外の成功事例を踏襲したアレンジをするということ。例えばゲーム感覚ゴミ拾いイベント「清走中」は、小学生がゲームバラエティ番組「逃走中」に熱中していることにヒントを得て、「小学生が熱狂する世界観×ゴミ拾い」を掛け合わせることで生まれました。「既存のマーケットで熱狂を生み出しているものと、特に熱狂を生み出すことなく置き去りにされてしまっている社会課題を組み合わせることで、多くの人に受け入れられるビジネスが作れる」と山内さんは話します。

    ポイント2: SDGs貢献以外の「消費本能や直感」に着目する

    二つ目のポイントは、SDGs貢献だけでなく、生活者の心の中にある本能や直感に着目すること。山内さんが例に出したのは、「エシカルな暮らし」における消費者とのコミュニケーションです。

    「エシカルな暮らし」はエシカル(倫理的・道徳的なこと)に関心の高い層をターゲットにECやリアルショップを展開していますが、購買につなげるには、ただ社会貢献性や環境貢献を訴えるだけでなく、購買行動における本能的欲求「かわいくて、便利で、高いと感じない」に応えることが大切だと山内さんは説明します。特に最後の価格への納得性(“高いと感じない”)は、堅実志向の強いZ世代にとっては重要なポイント。「なぜ価格が上がるのか、裏側まで透明性を伝えると納得感が生まれ購入につながりやすい」と言います。

    ポイント3: 楽しすぎてSDGsに気づかないくらいがちょうどいい!

    最後に山内さんが挙げたポイントは、楽しすぎてSDGsに気付かないくらいがちょうどいいということです。先ほども例に出た「清走中」では、ゴミ拾いイベントに数多くの小学生が熱中して参加していますが、参加者は完全に「ゴミ拾いをしている」ではなく「宝探しをしている」という意識になっているそうです。「こうしたイベントでは“社会的に正しいことをしているぞ”というPRをしてしまいがちですが、大切なのは見せかけよりも実態。実態としてゴミをゼロにできていれば、その過程や演出に“真面目で正しい感”や“SDGs感”は一切必要ない」と山内さんは言います。

    【まとめ】Z世代の事業運営の目線から「ヒント」をもらい、上手く取り入れよう!

    アジャイル型のスタイルもぜひ参考に

    いかがでしたか? Z世代の起業家・山内さんの活動内容は、わかりやすく「サステナ系の新商品・サービス開発をしたいとは思うものの、一体どうやればいいのか……」と組織の中で焦りを感じる人にも手が届き、役に立つ内容だったのではないでしょうか。

    テーマに合う成功事例が見つからなければ、既存の発想を変えて新たなアイデアを組み合わせる。商品やサービスの裏側にある情報をしっかりと伝えることで、価格への納得性を高める。そして何より、楽しんで参加して、幸せになれることを重視する。山内さんのお話には、最初に挙げたZ世代の特徴的な視点「①今までの延長線上で物事を考えない ②堅実志向 ③自分がやりたいことで、周りも幸せならうれしい」がとてもよく表れていると思います。新たにソーシャルビジネスに取り組もうとされている企業の方には、ヒントになる視点があったのではないでしょうか。

    もう一つ注目したいのは、山内さん自身の事業スタイルが「目的(=ありがとう量の最大化)」がまずあり、そのために「手段(=事業)」を選んでどんどん展開していくというアジャイル型であることです。

    例えば「エシカルな暮らし」は、立ち上げ当初はSNSによる情報発信とECがあるだけでしたが、事業を進める中で「納得して買ってもらうには実際に見て触れられる場所が必要だ」と気づき実店舗を立ち上げたそう。しっかり事前計画を固めることはもちろん大切ですが、実行から得られたことを計画に反映しながらアジャイルで動かしていくことも、サステナビリティ事業・経営においては大切なことです。(難しい言葉ですが、求める結果から手段を考える「コーゼーション(Causation)」とは異なり、「エフェクチュエ―ション(Effectuation)」と呼ばれ、すでに持っている資源を生かしながら意思決定する進め方としても注目されています。)私たちの支援サービス「REVERSE CONSULTING for SUSTAINABILITY」でもこのスタンスで、得られた知見をアジャイルで多様なアウトプットにつなげられるサポートを展開しています。

    Z世代の視点に振り回されず、洞察力を持とう

    私たちが提供している「REVERSE CONSULTING for SUSTAINABILITY」の「リバースコンサルティング」とは、従来のように上の世代から下の世代へ、上司から部下へという流れではなく、それを逆転して山内さんのようなZ世代がメンターとなって企業のコンサルティングを行う新しいスタイルです。

    山内さん自身もセミナーの最後に語っていましたが、Z世代の考えや視点だけが “正解”なのではありません。それらはあくまでも、今後の事業や経営を考えるうえでの気づきやヒントの一つ。Z世代の視点を無条件に信じて振り回されるのではなく、未来の世代にどんな視点や価値観が広がっていくのかの洞察力をもつ、という冷静さも必要です

    これからのビジネスをZ世代の視点でとらえなおすことで、きっと新しいアイデアや方法が思い浮かぶはず! ヒントを探るための第一歩を「REVERSE CONSULTING for SUSTAINABILITY」がご支援いたします。Z世代×サステナビリティに可能性を感じた方は、ぜひご相談ください。

    【「Z世代×サステナビリティ経営」相談会を随時開催中】
    サステナビリティ経営や新規事業開発などにお悩みの企業様を対象に、個別の相談会を随時開催しています。Z世代の価値観に可能性を感じた企業様、サステナビリティ経営の新しいアイデアやヒントをお探しの企業様など、今回の記事に興味を持たれた方はぜひ一度ご相談ください。

    <お問い合わせ方法>
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