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    ひととAIが共創する、これからのマーケティング ~生活者変化からマルチエージェント活用まで、電通が提唱するAIマーケティング変革の実践アプローチ~

    最終更新日:2026年07月28日

    ひととAIが共創する、これからのマーケティング ~生活者変化からマルチエージェント活用まで、電通が提唱するAIマーケティング変革の実践アプローチ~生成AIの進化は、企業の業務効率化だけでなく、生活者の情報収集や購買行動にも大きな変化をもたらしています。特に近年は、単一の生成AIを活用する段階から、複数のAIが連携して業務や意思決定を支援する「マルチエージェント」の時代へと移行しつつあります。

    こうした変化の中で、企業に求められるのは単なるAI導入ではありません。AIを前提に顧客接点やマーケティングプロセス、さらには事業そのものを再設計することが重要になっています。

    本記事は、2026年5月28日と6月3日に配信したウェビナー「ひととAIが共創する、これからのマーケティング ~dentsu×AIマーケティング変革の最前線~」の内容をもとに構成しています。生活者の変化、マルチエージェント時代の到来、そしてAI For Growthの考え方を企業のマーケティング現場で実践する dentsu AIMX(AI Marketing Transformation)のアプローチについてご紹介します。

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    INDEX

    AI時代、生活者の意思決定はどう変わるのか

    まず第一章では、統合マーケティングプロデューサー大久利から、AI時代における生活者の変化と、それに伴うマーケティングの変化について解説しました。

    大久利:まず最初に生成AIの普及によって、最も大きく変化しているのは生活者の情報収集行動です。これまで生活者は検索エンジンを使い、自ら情報を集め、比較・検討しながら商品やサービスを選んでいました。しかし現在は、AIが情報収集や比較の役割を担い始めています

    AIは「検索窓」から「相談相手」へ

    対話型AIの利用は急速に拡大しています。従来は調べものや情報収集が中心でしたが、現在では仕事や学習、日常生活の相談相手として利用されるケースも増えています。
    特に若年層では、AIに対して「相談に乗ってくれる存在」「話し相手」といった認識が広がっており、AIは単なるツールから「意思決定を支えるパートナー」へ進化しているといえるでしょう。

    生活者がAIと対話しながら判断を行う行動が増えたことで、企業には、顧客接点のあり方を見直す必要が出てきています。

    ゼロクリック検索がマーケティングを変える

    もう一つの大きな変化が「ゼロクリック検索」です。
    AIが情報収集の入口となることで、生活者はWebサイトを訪問せずに必要な情報を得られるようになっています。さらに今後は、比較・検討から購買までをAIが担う「エージェンティックコマース」の拡大も見込まれています。こうした変化を受け、企業には従来のSEO中心の集客モデルを見直し、AI時代に適した新たな顧客接点を構築することが求められています。

    ブランドの勝ち方は「認知」から「選ばれ方」へ

    AIフィルターによって、購買対象の決定ロジックそのものが変わってきています。人間の役割は「知っているものの中から選ぶこと」ではなく、「AIに提案されたものが本当にそれでいいのかを確認すること」へと変わりつつあります。これまでのマーケティングでは、認知獲得を重視し、「まずはブランドを知ってもらう」ことに力を注いできました。しかしこれからは、人間の記憶に残るブランド、つまり"いつものブランド"と、AIに推薦された際に「本当にこれでいいのか」と確認が必要になる"要確認ブランド"との差がより重要になります。その中で、AIに推薦されやすく、人が改めて確認しなくても自然に選ばれる"いつものブランド"をどうつくるか。それを実現することが、これからのマーケティングの重要なテーマです。

    マルチエージェント時代が企業にもたらす変化

    生活者の意思決定構造が変わる一方で、企業側にも大きな変化が求められています。これまでのAI活用は、個人単位の業務効率化や生産性向上が中心でした。しかし現在は、業務プロセス全体や組織そのものを再設計する段階へと進みつつあります。

    AI活用は「効率化」から「競争優位性」へ

    企業における生成AI活用は急速に広がり、多くの企業で日常的な業務ツールとして定着しつつあります。一方で、成果を生み出す企業とそうでない企業の差も広がっています。その違いは、AIを単なる業務効率化ツールとして捉えるのか、事業変革や競争優位性を生み出す基盤として活用するのかにあります。重要なのはAIを導入することではなく、AI前提で事業や業務をどう再設計するかという視点です。

    2026年は「実用化・業務定着」の年

    2025年が「AIを試す年」だったとすれば、2026年は「実用化・業務定着の年」へと移行しています。企業は単独のAIツール活用にとどまらず、複数のAIが連携して業務を支援するマルチエージェント活用へと進み始めています。市場分析、顧客理解、ブランド設計、ROI予測などを担うAIが連携することで、従来の部分最適ではなく、マーケティングプロセス全体の最適化が可能になりつつあります。

    求められるのは「成長システムの再設計」

    こうした変化の中で、企業に求められているのは単なるAI導入ではなく、顧客接点や業務プロセス、組織そのものをAI前提で再設計することです。マルチエージェントの活用により、複数のAIが連携しながら意思決定から実行、改善までを継続的に高度化できるようになります。これから重要になるのは、AIを活用して持続的に学習・成長する「成長システム」を構築することです。

    マーケティング業務を一気に高度化!電通「AI For Growth Suite」

    第二章ではDXプランナー倉田が、電通の統合AIプロダクトシリーズ「AI For Growth Suite」を例に、その活用方法を紹介しました。

    倉田:AI For Growth Suite」は、商品企画や生活者理解、戦略立案、コミュニケーション設計など、マーケティング業務全体を支援する専門AI群で構成されています。複数の専門AIがそれぞれ提供するデータや知見を循環させ、連携する仕組みを備えており、企画立案から意思決定、実行計画策定に至るまでのマーケティング活動全般を支援し、マーケティングプロセス全体の高度化を実現します。

    「AI For Growth Suite」紹介動画

    従来の商品開発やマーケティングの業務では、アイデア創出、生活者調査、戦略立案、施策設計といった工程ごとに多くの時間とコストが必要でした。しかしAIエージェントを活用すると、これらのプロセスを短期間で繰り返し実行しながら、意思決定の精度を高めることが可能になります。

    ここからは、「AI For Growth Suite」での実施例をもとに、商品企画から戦略立案、生活者評価、実行計画策定までのプロセスを4つのステップに分け、専門AIエージェントがどのように連携して業務を支援するのかをご紹介します。

    Step 1:AIブレストとAIグルインによるアイデア創出

    商品開発の第一歩となるアイデア創出では、専門AIエージェント「AIブレスト」と「AIグルイン」を活用します。

    「AIブレスト」では、テーマを入力するだけで、AIが多様な切り口から商品アイデアを提案。発想が偏りがちな初期段階でも、ビジネスシーンや利用シーンごとに幅広いアイデアを短時間で発散することができます。また、気になったアイデアを深掘りしたり、複数案を比較したりしながら、企画の方向性を整理していくことも可能です。

    さらに「AIグルイン」では、全国15万人規模の電通独自の生活者調査データから作られた「AIペルソナ」へのバーチャルなインタビューを実施。ターゲット像を設定すると、AIが質問設計から進行までを担い、生活者の反応や潜在ニーズを瞬時に収集、回答します。実際のインタビューでは聞きづらい本音や購入理由、商品に対する率直な評価も確認できるため、企画初期段階から生活者視点を取り入れた仮説検証が可能になります。

    従来は会議や定性調査を何度も繰り返していた仮説形成のプロセスを高速に回せることに加え、アイデア創出と生活者理解を同時に進められる点が大きな特徴です。

    Step 2:AI商品プランナー・AI戦略プランナーによる企画具体化

    アイデアの方向性が定まった後は、「AI商品プランナー」と「AI戦略プランナー」を活用し、商品コンセプトとコミュニケーション戦略を具体化します。

    この「AI商品プランナー」と「AI戦略プランナー」は、マーケティングインサイトや戦略策定の経験豊富な電通プランナーの「発想脳」「洞察脳」「企画脳」をインストールした独自のAIエージェントです。電通ならではの生活者理解とマーケティング実務知見を活用し、実践的な企画・戦略立案を支援します。
    「AI商品プランナー」では、ターゲットや提供価値、ポジショニングなどを整理しながら複数の商品コンセプト案を生成。さらに、「AIペルソナ」の評価を参考にしながら有望な案を絞り込み、商品概要や特徴、ターゲット像を整理したコンセプトシートを作成します。

    その後、「AI戦略プランナー」が市場分析や競合分析を実施し、3C分析やPEST分析、4P分析、4C分析などのフレームワークを活用しながら、差別化ポイントや提供価値を整理。ターゲットの心理状態や市場環境を踏まえたコミュニケーション戦略へと落とし込んでいきます。

    従来であれば複数の資料やフレームワークを行き来しながら数週間かけて進めていた工程も、一連のプロセスとして短時間で実施できることが特徴です。また、電通が長年培ってきたマーケティングフレームワークや実務知見を活用できるため、単なる情報整理にとどまらず、実務に即した戦略立案を支援します。

    Step 3:People Researchによる仮想定量調査

    次のステップでは、「People Research」を活用した仮想定量調査を実施します。

    「People Research」は、全国15万人規模の調査データを学習したAIを活用し、生活者ニーズや商品評価を短時間で検証できるAIリサーチツールです。「AIグルイン」が生活者インサイトを探る定性調査であるのに対し、「People Research」は、ターゲット条件に合致する「AIペルソナ」を対象に、購入意向やニーズ、評価理由などを定量的に分析し、仮説の確からしさを検証します。今回のセッションでは、商品コンセプトに対する購入意向や機能ニーズに加え、自由回答をもとに購入理由や改善ポイントを分析しました。

    従来であれば時間やコストを要していた調査プロセスを大幅に短縮しながら、企画段階から生活者の評価を確認できることが大きな特徴です。
    また、単に結果を集計するだけでなく、定量データと自由回答を組み合わせてインサイトを抽出できるため、仮説検証の精度向上や意思決定の迅速化にもつながります。

    Step 4:AIジャーニープランナーによる実行計画策定

    最後に、「AIジャーニープランナー」を活用してカスタマージャーニーを設計します。

    「AIジャーニープランナー」は、これまで整理してきたターゲット像や商品コンセプト、生活者インサイトをもとに、各フェーズにおける生活者の心理や行動を整理しながら、必要な施策やコミュニケーション設計を検討することが可能です。

    また、カスタマージャーニーの作成だけでなく、ターゲット仮説の確認や施策アイデアの具体化、優先度の高いアクションプランの提案までをAIが支援します。「AIペルソナ」からのフィードバックも取り入れながら改善を重ねることで、より実効性の高いマーケティング計画へとブラッシュアップしていくことができます。

    このように、AIは企画や分析だけでなく、実行計画の策定まで支援し、マーケティングプロセス全体をつなぐ存在になりつつあります。AIを適切に活用することで、施策立案のスピード向上だけでなく、関係部署やパートナーとの共通認識形成も進めやすくなります。

    マルチエージェントが実現する新しいマーケティングプロセス

    ここまでにご紹介したプロセスで共通していたのは、各AIが独立して機能するのではなく、連携しながらマーケティングプロセス全体を支援している点です。

    アイデア創出、商品企画、生活者理解、戦略立案、実行計画策定までを複数の専門AIが役割分担しながら連携することで、従来の分断された業務プロセスをつなぎ、継続的な改善を可能にします。「AI For Growth Marketing Agents」は10種類の専門AIエージェントで構成されていますが、これらが連携して、いわばマーケティングプランナーのチームメイトになってくれるのです。

    これは単なる業務効率化ではなく、データや知見、学習結果を循環させながら価値創出を高度化していく仕組みです。マルチエージェントによって実現されるこうしたプロセスは、企業が目指すべき「成長システム」の姿を示していると言えるでしょう。

    そして、この成長システムがAI時代のマーケティング、すなわち、AIに推薦されやすい情報設計と、生活者から継続的に選ばれるブランド価値の構築を可能にし、「AI越しでも選ばれるブランド」の実現を支援します。

    「AI For Growth Suite」には、本記事でご紹介したもの以外にも、さまざまな専門AIエージェントをご用意しています。各エージェントの詳細や活用方法については、こちらからお気軽にお問い合わせください。

    dentsu AIMXが実現するAI変革

    まとめの第三章では、ビジネスデザイナーの横山が、電通が掲げる「AI For Growth」のスタンスと、dentsu AIMX(AI Marketing Transformation)による実践アプローチについて紹介しました。

    横山:これまでお話ししてきたように、AI活用は、単にツールを導入すれば成果につながるものではありません。生活者の変化やマルチエージェント時代に対応するためには、戦略、業務、データ、人材を含めた変革が必要になります。電通では、こうした変革を支援するために「AI For Growth」を掲げ、ひととAIが共創する新しいマーケティングの実現を目指しています。

    AI For Growthが目指す「ひととAIの共創」

    電通が掲げる「AI For Growth」は、AIを単なる業務効率化ツールではなく、事業成長を加速する基盤として活用する考え方です。AIによる効率化と、人ならではの構想力や創造性を組み合わせることで、マーケティング全体の価値向上を目指します。重要なのはAIが人に代わることではなく、人とAIがそれぞれの強みを活かしながら共創することです。

    電通が提供する 「dentsu AIMX」3つの強み

    電通では、こうした考えのもとに、ひととAIが協働する新たなマーケティングの実現に向け、企業のマーケティング変革を支援する「dentsu AIMX」を推進しています。
    「dentsu AIMX」の強みは、「Products」「Partnership」「Professionals」の3つにあります。そしてそれらの強みを組み合わせることで、企業のAI変革を実践レベルまで支援しています。独自のAIプロダクト群、主要プラットフォーマーとの連携、そしてグループ横断の専門人材による支援体制を通じて、構想策定から実装・定着までを一貫して推進します。

    AI変革を成功させるために

    AI時代に求められるのは、AIを導入することではなく、AIを前提に事業やマーケティングの仕組みそのものを再設計することです。良質なデータによって意思決定が変わり、その結果が学習され、業務プロセスや組織行動が進化していく。こうした自律的な知的ループを構築し、事業成長を加速させることこそが、AI活用の本質です。

    ひととAIが共創しながら価値創出を進化させる、新しいマーケティングの時代がすでにはじまっています。各企業や事業部門、課題によってどこから、どう進めていくかはそれぞれですが、一番大事なことは、小さくてもいいので「まず、はじめること」です。技術進歩や環境の変化がさらに加速していく時代、その一歩がこの先の大きなリードになっていきます。事業成長に向けた大きな機会をぜひみなさまと一緒に進んでいきたいと考えています。 

    AIの活用による事業成長をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。

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