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      時代遅れのECとは? ダイレクトビジネスの変遷から成功の本質を探る [前編]

      時代遅れのECとは?ダイレクトビジネスの変遷からEC成功の本質を探る  [前編]

      INDEX

      時代遅れのECとは?

      [前編]
      1.EC温故知新
      2.D2Cはメーカー通販の焼き直しか?
       顧客数×リピート×バスケットサイズのモデルは変わらず
       定期購入という錬金術
       ECプラットフォーマーの登場でかすむ通販神話

      [後編]
      3.メーカー通販からD2Cへ~リピートが成功の鍵~
       今D2Cに求められること…商品のリピートか?ショップのリピートか?
      4.メーカー通販からD2Cへ~サブスクって頒布会か?~
       頒布会とは何か?
       サブスクの裏にある「お客様の今」を知る仕組み
      5.ECで成長する本質を知る

      1. EC温故知新

      D2C、サブスクリプション、ソーシャルコマースなどなど、ECの周辺には絶えず新しい話題がいっぱいです。

      こう見るとECはとても新しいビジネスのように感じますが、実はすでに20年以上の歴史を持つ手法です。例えば、ECの代名詞ともなっているAmazonの設立は1994年。さらにその数年前にはbooks.comやwordsworth.comなどのインターネット書店がドメイン登録していたというから驚きです1)

      インターネット以前も、パソコン通信や専用回線を用いたBtoC、BtoBの電子商取引は80年代には数多く存在しました。さらに広く『通信販売』まで話を広げると、我が国では明治9年(1876年)の「種」の通販が最初2)と言うことだそうで、ダイレクトマーケティングやCRMといった手法は実はマーケティングの中でも伝統的分野であるとも言えます。

      では人々はECに何を期待して参入を続けているのでしょうか?様々なEC事業者とお話していてよく耳にするのが、お客様と直接やり取りができ直接声を聴けるという点。さらには、事業規模も小さいところからスタートし実力に応じて規模を大きくできるという特性。この2つはダイレクトモデルの変わらない魅力のようです。

      これらの普遍的特性は時を経てECの時代となってもなお変わらず、インターネットと出会いD2Cやサブスクリプションといった形態に変化してきたと言えます。兎角テクノロジーに目が行きがちではありますが、その背後の普遍的ビジネス構造のことを忘れてはいけません。

      ECに限ったことではありませんが、事業を興し成長させ、事業を継続するためには、ビジネス環境の変化にも気を配ることは大切です。小さくスタートできる、すなわち参入障壁が低く数多の事業者がうごめくECでは特に重要なことです。

      例えば、動画配信のリーダー的存在のNetflixですが、事業のスタートは通販手法を用いたDVDレンタルでした。当時ウェブで注文するDVDレンタルは一つの成功モデルとされてきました。サブスクリプション型で、ウェブにはレコメンドエンジンを搭載し、とても先端的企業に見えました。

      しかし、動画は配信の時代へ急速に変化。NetflixもDVDを早々に見切ってしまったのですから思い切った判断です3)。一歩判断を間違えれば、Netflixは確実に時代に取り残されていました。ECが時代遅れになってしまうのは、時間が早く過ぎるからではなく、成功体験に縛られ環境変化に気づけないという心のゆるみが原因と言えます。

      2. D2Cはメーカー通販の焼き直しか?

      この10年くらいでしょうか、通販の世界の中では、メーカー通販という言葉がしばしば聞かれました。元々製造に専念し販売を流通小売業に任せていたメーカー(製造業)が、通販というチャネルで直接消費者に商品を販売する。それがメーカー通販です。

      今でいうところのまさにdirect-to-consumer、すなわちD2C、DTCです。でもメーカー通販ではなくわざわざD2Cと呼ぶわけですから、おそらく何かが違うはずです。もちろん同じところもあります。ここでは共通点と違いについて見ていきましょう。

      顧客数×リピート×バスケットサイズのモデルは変わらず

      ECでも古典的通販でも、共通して目指しているのは、お客様からいただく利益の最大化。ECではお客様は生涯のうち何回も買い物をしますので、それらのリピートも考慮した生涯価値の最大化を目指します(※4)

      このお客様からいただく価値は、今完結するわけではなく未来のリピート購入からも発生します。すなわち、今は短期的に赤字であってもリピートがしっかりあれば、事業はいずれは黒字転換し利益を確保できる、ということです。Amazon.comが上場後長らく赤字のままひたすら規模を目指していたのは、生涯価値をしっかり把握していて将来黒字化が可能とみていた、ということの表れです。

      生涯価値は非常に重要な経営上の概念ですが、とても複雑でECの現場で計算するのは大変です。

      そこで通常はシンプルに、
       年間収益 = 顧客数 × 年間リピート回数 × 一回当たり購入単価
      と考えます。

      ごく普通ですね。

      リピートと購入単価(バスケットサイズ)が同じなら顧客数を増やすことに注力しますし、リピート率が低下しているようであれば購入後のコミュニケーションを見直します。

      購入単価アップの施策として、お客様に合わせ買いやグレードアップを促します。クロスセリング/アップセリングと呼ばれる販促です。ECにおいてはレコメンドエンジンが重要な役割を果たします。これまたAmazonはレコメンドエンジンを導入したECとして先駆け的事例となっています。

      定期購入という錬金術

      BS放送を観ていると通販の広告をよく目にします。その中でも健康食品が多いなぁ、と感じる人は少なくないでしょう。サプリメントのような健康食品は習慣的に摂っておきたいものです。すなわち定期的に消費してもらいたい商品です。前述の「顧客数×リピート×購入単価」の公式の「リピート」にピッタリの商材と言えます。

      そこで、どうせ定期的に買うならば・・・ということで提供されるのが定期購入コースです。定期コースでは商品が値引きはされるものの、確実にリピートしてもらえるので通販事業主からすれば収益の安定化につながります。定期顧客はEC事業者にとって金のなる木なのです。

      この定期購入をビジネスの武器にして、同一の商品を繰り返し購入してもらう通販を、単品リピート通販と呼ぶことがあります。定期的に購入する商材としては、前述の健康食品のほかに、基礎化粧品、食品では水、お茶、コーヒー、出汁といったものがあります。ECの時代に入ってもこれらリピート商材を取り扱う企業は大変多いです。

      ちなみに、ダイエット関連商材もリピート商材の一つとされていますが、半年ほど続けてみて…痩せなければやめますし、痩せたら目標達成でやめますし、どこかで離反が確実に発生する少し変わった商材と言えます。

      ECプラットフォーマーの登場でかすむ通販神話

      以前は“通販限定”と打ち出すと大変値打ちがあるように見えたものです。
      しかしAmazonや楽天、Yahoo!といったプラットフォーマーの台頭とともに、ほとんどのものがネットで買える時代。わざわざ通販で買わなくても似たようなものは買えますし、さらに物流網の進歩で翌日には商品は届いてしまいます。わざわざ定期にしなくても、無くなったら注文すればいいのでは?という気持ちにもなります。

      老舗通販企業にとってECは大いなる脅威です。もちろん通販企業もEC化を進め、翌日配送にも取り組んでいます。それでもECの時代に通販専業各社は売り上げを落とし始めています。例えば、健康食品分野の通販・ECでは、売上上位の通販専業29社のうち実に21社が売り上げを落としているというデータがあります5)

      逆に急成長を見せているのがAmazonや楽天(楽天ダイレクト)といったプラットフォーマー系のドラッグストア。ECの便利さの前では、“通販限定”というだけでは戦えない時代となってきているのです。

      さて、我々がD2Cビジネスを成功に導くためには、次にどのようなことに注目すれば良いでしょうか?ブログの後編で議論していきましょう。

      後編へ続く

      ※1:Amazonは設立当初秘密の多い会社と言われていました。なかなかインタビューに答えてくれなかったそうです。以下の本はAmazonの全体像について取材したごく初期の書籍と言えます。Amazon設立期のエピソードが詳しく掲載されていて、Amazonの成長を振り返るに今でも有益な著書です。ロバート・スペクター (2000)『アマゾン.ドット.コム』長谷川真実訳、日経BP
      ※2:日本の通販の歴史について語った比較的読みやすい書籍としては、斎藤駿(2004)『なぜ通販でかうのですか』集英社新書、があります。
      ※3:サブスクリプション型でオンラインで申込、郵便で配達するDVDレンタルスタイルを確立したNetflixの事例が、ケーススタディーとしてまとめられています。Shih, Willy C., Stephen P. Kaufman, and David Spinola. "Netflix." Harvard Business School Case 607-138, May 2007. (Revised April 2009.)
      ※4:生涯価値(LTV)、顧客生涯価値(CLV, CLTV)は、一人の顧客が生み出す利益のことを言います。利益なので収益からコストを差し引く必要がありますし、時間も考慮するため現在価値に換算する必要もありますが、ビジネス現場には難しく利益でなく収益をKPIとすることが多いようです。LTVの定義などは以下を参照。https://en.wikipedia.org/wiki/Customer_lifetime_value
      5:富士経済「通販・eコマースビジネスの実態と今後 2020」の健康食品上位40社には、通販専業29社、メーカー通販9社、プラットフォーマー系2社がランクインしている。売上変化は2018年から2019年の比較。

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