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    B2B事業のマーケティング組織の作り方[後編]

    最終更新日:2023年06月19日

    INDEX

    B2B事業のマーケティング組織の作り方[前編]では、
    ● B2CとB2Bの事業の違い
    ● マーケティングの考え方
    ● マーケティング担当者の役割
    ● インサイドセールスと営業担当者の役割

    について解説させていただきました。

    後編では、実際に組織構築をおこなう中で問題になりやすい点を4つピックアップして、その解決方法をご紹介します。
    さらにB2Bマーケティングにおいて鍵となる、マーケティングと営業の連携はどのように行うべきか、ノウハウも解説いたします。

    B2B事業のマーケティングを進める上での課題

    課題1:マーケティング投資の承認が社内で通りづらい

    B2C企業の一部としてのB2B事業の活動は、ルート営業を中心とした営業が中心です。特にリピート購入の促進を主眼として活動することも珍しくありません。

    また、RICOHの調査によると、B2B事業を行う中小企業における年間マーケティング施策の予算についても、従業員数30人未満で平均95万円、30~500人でも平均318万円で、十分な予算を確保できていないとされています。

    中小企業の年間マーケティング予算
    ※引用:RICOH「中小企業のデジタルマーケティング実態調査資料(2018年)」

    このような状況下において、B2B事業部署がマーケティング投資を行うための予算を確保するには、新規顧客開拓によって新規業種にアプローチし、シェア率を向上した場合の売上や販売数予測を算出するのが効果的です。「マーケティングの有無」によって生まれる利益の変化量を明示しましょう。

    また、担当営業も既存のクライアントへの対応が多い状態では、新規で小規模な取引を数多く獲得したとしても十分なフォローが困難になります。
    そこでデジタルマーケティングを活用し、営業の効率化を図ることも必須となります。代表的な例では、営業担当者を介することなく販売ができるよう、企業間取引向けのECサイトを作成したり、オンライン商談ツールを導入するといった施策が有効です。

    従来のクライアント以外の獲得」と「営業改革」の2つの視点を組み込んで社内提案を行うことで、予算化しやすくなるのです。

    新規施策の実績を利用してマーケティングROI(費用対効果)を試算すれば、予算を継続して確保するための議論がしやすくなります。そのために、ROIを「見える化」するような仕組みをあらかじめ考えておくのも重要です。

    課題2:すぐに成果を出す方法がわからない

    マーケティング組織を新たに作り、平準的な施策運用を行うには、少なくとも1年以上の期間が必要です。しかし、多くのお客様からは「すぐに成果を上げたい」というご意見をいただきます。
    特に、もともとB2B事業専任のマーケティング担当者がいない場合に営業と兼務で担当すると、即座に成果が出ないマーケティング施策は後回しになってしまうことも考えられます。

    そんなときは、成果の早期化を図れる施策からスタートするのが望ましいでしょう。ポイントは、購買に近いプロセスをデジタル化することです。

    施策1:
    すでに見込み客や既存顧客リストのデータがある場合はCRMに取り込み、既存顧客のリピート頻度を上げたり、休眠顧客の掘り起こしを行う。

    施策2:
    営業管理をデジタル化し、営業組織を最適化する。

    ただし、従来の営業活動の流れを変える際には「システムを導入したものの、誰も使わずに終わってしまった」という失敗が散見されます。
    原因として考えられるのは、営業責任者がコミットしていなかったことです。慣れ親しんだ営業手法を変える際に起きる抵抗を最小限に留めるためには、必ず営業責任者との二人三脚で変革を進めましょう。

    課題3:マーケティングのために必要なコンテンツが無い、制作できない

    B2Bマーケティングでは、認知、情報収集、比較検討といったB2Bの購買プロセスに応じて、顧客の課題を解決するコンテンツを提供する必要があります。

    前編でご紹介した購買プロセスは決済まででしたが、さらに先にある商品利用の継続、紹介、発信といったインフルエンスファネルまで含めると、制作すべきコンテンツはサポート情報やFAQ、キャンペーン情報ページなど、さらに多くなります。現在はSNS運用も重要です。

    ところが、コンテンツ制作そのものが、マーケティング組織のハードルとなることが多々あります。
    例えばユーザーにとって有益な課題解決ノウハウ記事をオウンドメディアで発信するべくプロジェクトを進めていたものの、実際にはほかの業務が忙しくコンテンツを制作する時間が取れないといった状況では、施策そのものが滞ってしまいます。

    この課題を解決するには、コンテンツを制作するためのスタッフを専任で割り当てる、もしくはコンテンツ制作の時間を業務時間の中に正式に組み込むといった対策が必要です。

    社内で人員や時間を確保することが難しい場合は、外部の編集者やライターなどのコンテンツクリエイターをアサインし、企業側から必要な情報提供を行ってコンテンツ制作を外注化します。

    ポイントとなるのは、定期的にクリエイターを含めた編集会議を行うことです。外注先に任せきりにするのではなく、月に1~2回は今後のコンテンツ制作の方向性について話し合うことで、自社にとって最適なマーケティングになるようチューニングをしましょう。

    課題4:どのようなシステムを導入したらいいかわからない

    デジタルマーケティングにおいてシステム選定は重要なポイントですが、昨今はCRM一つ取っても数多くの製品があるため、選定には時間がかかります。

    自社に合わないシステムを選ぶのを避けるには、まずシステムの用途と求める機能、誰がどのように運用するのかを具体的に定義しましょう。その上で、3年ほどの中期計画をベースとしながら、社会環境や業務内容の変化、事業の成長に合わせて使えるシステムを検討してください。

    現状の機能比較だけではなく、システムを提供している企業そのものの開発力もチェックポイントです。数年単位でアップデートがほとんど行われていないようなシステムは、結局別のシステムに置き換えなければならなくなるでしょう。

    業務改善を目的としたシステムを導入する場合は、スクラッチで独自システム開発をするという手法もあります。
    ただ、スクラッチ開発は自由度が高く最適なシステムを組めるというメリットがある反面、開発コストが非常に高く運用までに時間がかかるといったデメリットがあります。
    無理に自社開発するよりも、成功パターンがフレームワーク化されており、スモールステップで導入もしやすいSaaS製品を選ぶのが望ましいでしょう。

    マーケティングと営業が上手く連携する方法

    ここまでご紹介したようなよくある課題を解決し、B2Bマーケティング活動を通して接点を持った見込み客を営業にパスできるようになったら、マーケティングと営業がいかに上手く連携するかがKPI達成の鍵となります。

    一般的には、マーケティング担当者が見込み客の状況を把握し、見込み客に課題が発生したタイミングでインサイドセールス、または営業が個別相談に乗るといった状況が理想です。

    その中で、いつ、どんな見込み客を次の担当者にパスするのかを判断するために必要なのが、社内ルールの策定です。
    例えば以下の4つの評価軸を基に見込み客のステータスを判断し、一定の状態になったらパスをします。

    1.企業情報(地域、業種、売上、従業員など)
    2.担当者情報(役職、職務、嗜好のタイプ、社内での購買に対する立ち位置)
    3.行動情報(Webサイトへの訪問、イベント等への参加、メルマガ購読、名刺交換など)
    4.案件情報(予算、決裁者、期間、競合など)

    ルール策定の上で、実際にどのような流れになるのかを見てみましょう。

    1.マーケティング担当者
    自社の顧客となりうる企業、担当者の条件を事前に決めておき、合致する条件の人を見込み客リストからピックアップ。その中でも行動が活発な見込み客をインサイドセールス担当者にパス。

    2.インサイドセールス担当者
    マーケティング担当者からパスを受けた見込み客に対し、電話やメールなどを用いてコミュニケーションを取る。案件情報の確認を行い、案件化の可能性があれば、商談を設定し営業担当者にパス。

    3.営業担当者
    インサイドセールスからパスを受けた商談に対応。
    対応後はマーケティング担当者、インサイドセールス担当者にフィードバックを行う。

    フィードバックを行うのは、各担当者がマーケティングから顧客化までのフローに対する共通認識を持つことが目的です。パスを受けた結果に基づき、評価指標やヒアリング項目の改善ポイントを確認するのも重要です。

    B2Bマーケティングを円滑に進めるために

    マーケティング組織の仕組みはシンプルですが、特に大きな組織の中で新規立ち上げを行うには数々のハードルがあります。他部署との連携など社内調整が必要なことが非常に多く、時間もかかるものですが、「組織を変革する」という強いコミットを持って進めていきましょう。

    プロジェクト進行のために足りないパーツは、我々のような支援企業を上手く活用し、社外スタッフと協業を行うことで補うことができます。

    もし、本記事と同じような悩みや課題を抱いていたら、遠慮なく我々にご相談ください。

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