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    専門家の発想で新規事業を成功へ導く「Expert Idea 500」とは?仕組みと活用のポイントを紹介

    最終更新日:2024年01月11日

    専門家の発想で新規事業を成功へ導く「Expert Idea 500」とは?仕組みと活用のポイントを紹介

    「Expert Idea 500」とは、電通がMIMIR(ミーミル)、VISITS Technologies(ビジッツテクノロジーズ)の2社とタッグを組んで提供する事業創出支援ソリューション。100名以上のエキスパート(専門家)から500案以上のアイデアを集め「これだ!」と思える事業案を創出します。MIMIRが持つ3万人の専門家データベースからエキスパートを選定し、そのエキスパートたちが相互評価したアイデアの優劣をVISITS Technologiesの持つ独自技術で見極めることで、「有望な事業領域はどこか」の最適解の発見と、スムーズな合意形成を支援するサービスです。

    エキスパートの知見に最新の評価アルゴリズムを掛け合わせることで生まれた、他にはないこのサービス。一体どういった仕組みとプロセスで、企業の事業開発をサポートしていくのでしょうか? サービスの詳細から活用するメリット、さらには事業開発における心得まで、各社の代表にたっぷり語っていただきました。

    Expert Idea 500の概要説明eBookはこちら

    PROFILE

     
     
     

    INDEX

    事業創出の2大お悩みは、「アイデアが出ない」・「評価できない」

    エキスパートによるアイディエーションと相互評価結果をもとに、事業創出を支援するExpert Idea 500。他にはないユニークなソリューションですが、どういった経緯で開発されたのでしょうか?

    伊神:電通ではさまざまな企業の新規事業創出をサポートしていますが、よくご相談いただく課題としてアイディエーションに関するものがありました。大きくは二つあって、一つは自分たちの専門領域以外に挑む新規事業において、的確なアイデアが出せない。もう一つは、社内公募などで数は集められても、それをうまく評価できない。電通としても、その課題をサポートできる支援パッケージが必要だと感じていました。

    松本:具体的なサービス開発が始まったのは、数年前に弊社VISITS Technologies(以下VISITS)が電通向けに自社技術のプレゼンテーションをしたことがきっかけです。VISITSはこれまで定量化することが難しかった「正解のない問い」に対する意見、アイデア、価値観等を数値化する技術を提供し、企業変革の支援をしているのですが、先ほどの課題に「この技術が使えるのでは?」と電通の方から声をかけていただきました。

    川口:その流れで、エキスパート事業を手掛けるMIMIRにもお声がけいただきました。弊社では3万人を超える専門家データベースを活かしたナレッジプラットフォームの運営を行っており、その知見とネットワークを今回のExpert Idea 500に活用しています。

    良いアイデアを集めるには “仕込み”が肝心

    Expert Idea 500の大きな流れとしては、「アイデア創出」→「評価絞り込み」→「事業化」となっていますが、詳しく見ると下記のように6つのステップに分かれていますね。

    ステップに添って詳しくお聞きしていきたいのですが、まずはエキスパートの選定から始めるのでしょうか?

    伊神:いいえ、その前にまず、新規事業を立ち上げる目的やゴール、社内で課せられているミッションなどをヒアリングして整理し、新規事業の方向性をまとめるところから始めます。アイディエーションを行う前に、まずしっかりと方針を立て、それに沿ってどんなエキスパートにどんな質問をするかを具体的に決めていきます。

    アイデアを出してもらうための“仕込み”をしっかりやるんですね。

    伊神:「誰に聞くか」=「事業の進みたい方向性」とも言えるので、そこを整理することでエキスパートを的確に選ぶことができます。ただここで気を付けたいのは、絞り込みすぎても逆にアイデアの幅が狭まってしまうこと。目指す領域に隣接する分野や、あえて少し離れた分野のエキスパートを選定することもあります。具体例は出せませんが、仮にモビリティ関連の事業を目指していても、目的によっては医療やエンターテイメントのエキスパートを選定することもあり得ます。関連分野を満遍なく網羅してアイデアを集めようとすると、大体100人くらいのエキスパートが必要になりますね。

    3万人のデータベースを贅沢に活用し、エキスパートを選定

    100人のエキスパート……! とても普通に集められる数ではないですね。そこでMIMIRさんのデータベースの登場ですが、どういったエキスパートの方々が登録されているのでしょうか?

    川口:分野としては本当に多岐にわたっていて、3万人のエキスパートが登録されているのでかなりの事業分野をカバーできます。登録の基準としては、現役でビジネスに関わっている方、あるいは過去にビジネスでの実績のある方としています。というのも、我々が普段お受けしている企業ニーズは事業開発や企業の意思決定に関するものがほとんどなので、ビジネス感覚が求められるからです。現在はすそ野を広げエキスパートの方ご自身で登録することもできますが、特に品質が求められた初期のデータベース構築時は、紹介制として我々がお声がけした方かご紹介いただいた方に絞っていました。

    それは信頼できますね。エキスパートのみなさんは、やはり事業開発やアイディエーションに積極的な方々ばかりでしょうか?

    川口:そうですね。ある分野ではエキスパートであっても、自分の知見を外部にどう活用できるかを知る機会はなかなかありません。社外プロジェクトへの参加をきっかけに世の中がどんな知見を必要としているかを知ることができるので、発見や刺激を求めて協力してくださるエキスパートの方はとても多いですよ

    伊神:エキスパートの参加意欲という点では、問いの立て方やインプット方法によっても意欲が大きく左右されます。問いを立てるときに一番気を付けたいのは、ただ「アイデアをください」と依頼するのではなく、背景をしっかり伝えること。こういう世界を目指している、こういう社会課題を解決したい、という部分を説明し、共感していただけるような文面をお渡しします。

    川口:背景を伝えるのはとても重要ですよね。質問を設計すればするほど、つい聞きたいことだけをダイレクトにぶつけてしまいがちですが、自分たちの目指す世界や前提条件をしっかり伝えると出てくるアイデアや情報の質が全然違ってくるといつも実感します。

    伊神:一定のゆるさを持たせることで、アイデアの幅が広がるんですよね。でも逆に、技術に関する情報は誤解なく具体的に伝える必要があるので、イラストをつかって図解したり、説明動画を作ったりすることもあります。

    まずはエキスパートたちの中で、もっとも信頼できるアイデアを決める

    ここまで聞くだけでも、よくあるアイデア公募とはまったくレベルが違うことが分かりますね。ちなみに100人一人ひとりにインタビューするわけにはいかないと思いますが、どんな仕組みになっているのでしょう?

    松本:エキスパートのアイディエーションと相互評価、およびその分析については「VISITS forms」という我々のプロダクトで実施します。まずエキスパートの方々にURLをお送りし、オンライン上のフォームにそれぞれのアイデアを書き込んでもらいます。その後、出てきたアイデアを別のエキスパートの方に無作為に振り分け、あらかじめ設定しておいた評価基準に従って点数をつけてもらいます。先のSTEP図でいう「レビュー」の部分ですね。エキスパート同士の相互評価の結果から、エキスパートたちの中でもっとも信頼性の高いアイデアはどれかを分析します

    相互評価の分析というのは、点数の加算方式やランキングとはどこが違うのですか?

    松本:多数決の単純な評価とはまったく違い、この分析には当社が持つ特許技術「CI技術(コンセンサス・インテリジェンス技術)」が使われています。これはアルゴリズムによって“信頼度”を計算する技術で、Googleの検索結果をイメージしていただくと分かりやすいと思います。Google検索では引用件数が多いサイトを「信頼性が高い」と評価して上位に表示させていますが、それと同じように「エキスパートたちの中ではこのアイデアが信頼できるとされている」というコンセンサスをアルゴリズムによって導いているのです。
    ここでのポイントは、これが決められた母集団における相対的なコンセンサスであるということ。Expert Idea 500では母集団がエキスパートのみなので、一般の人が混ざって評価するより精度は高いと言えますが、それは絶対的な答えを出すわけではなく、相対的なコンセンサスです。

    アルゴリズムに人の分析を加えることで、進むべき道筋を可視化!

    とはいえ100を超えるアイデアが出てくるので、アルゴリズムによる評価はその後のアイデアの絞り込みにとても参考になりそうです。

    伊神:エキスパートから出していただいたアイデアに対しては、さらに電通のプランナーの視点でも評価や分析を行い、事業の方向性を絞り込んでいきます

    松本:アルゴリズムに電通プランナーの方の分析を加えることで、事業化に向けて進むべき道が見える「地図」を完成させるイメージです。その地図があるとないとでは、アイデアを得てから事業化に進むときの安心感や成功率が全く違います

    事業創出に向けて、かなり強力な材料が手に入りますね。その後は電通で、事業化に向けた具体的なサポートを進めていく……という流れでしょうか?

    伊神:そうですね。ここまでで世の中におけるアイデアの有望性や新規性が見えてくるので、それに対し「自社だったら」という視点を加えて議論を深めていきます。自社のアセットが使えるか、企業として取り組むべき方向性にマッチしているか、などを考えていくのですが、大量のアイデアと方向性マップがあるのでクライアントの方々のテンションも上がりますね。「このアイデアはもっとこうするといいよね」「一度ボツになったアイデアが意外と使えるかも!」と、ワクワクしながら次に進んでいけます。

    社内バイアスを外すためにぜひ活用を。ただし注意点は……?

    Expert Idea 500の詳細がとてもよく分かりましたが、どんな企業にこのソリューションを役立ててもらいたいですか?

    伊神:エキスパートの方々から外部の発想を注入できるのは、社内のバイアスを外すためにも非常に効果的です。従来のビジネスから抜け切れない企業さまにぜひご活用いただき、発想力の幅を広げるきっかけにしていただきたいと思います。

    川口:歴史ある大企業では、社内の知見は蓄積されていても社外との接点は案外ないことも多く、ぜひエキスパートネットワークを基盤としたExpert Idea 500を活用してほしいですね。ただ一つお伝えしておきたいのは、これはアイデア提供するサービスである一方で、アイデア自体には価値がないということです

    アイデア自体には価値がない……と言いますと?

    川口:新しい事業を考える際、何か良いアイデアさえ出れば解決だと思うのは大きな誤解で、そこに自分たちの“意志”を乗せていかに実行していくかが一番大事なんです。Expert Idea 500によってそのきっかけを得たり、自分たちがそもそも考えていたアイデアを検証・上申するための材料としてエキスパートの意見を参照したりと、意志を乗せた使い方をしてほしいですね。

    先ほど伊神さんが話していたように「自社だったら何ができるか/どうしたいか」という視点を加えながら議論を進めることが大切なんですね。松本さんはいかがでしょうか?

    松本:私が企業の方々とお仕事する中でよくあるのが、社内のビジネスコンテストをやっているけれど形骸化してしまい悩んでいるケースです。社員がどれだけ考えてアイデアを出しても、評価する上層部の方々が、過去の経験にもとづいて採点してしまう。だから参加者は納得感が持てずやる気を落としてしまうし、回数を重ねるごとに事務局も数を集めることがKPIになってしまいます。そんなとき、例えばExpert Idea 500で集まったアイデアを社内で共有して、それをベースに「もっと良いアイデアはあるか?」と社内コンテストを実施するのも面白いかもしれません

    伊神:それは本当に良い機会になると思います! 実際にExpert Idea 500では、社員の方にエキスパートと一緒にアイディエーションに参加してもらうことができます。すると社員の人たちからは「エキスパート以上に実現性の高いアイデアが出てくるけど、新規性に欠けるな」とか、逆にエキスパートのアイデアは「実現は難しそうだけど挑戦のしがいはあるな」とか、かなり顕著に傾向が表れるんですよ。

    川口:私も自分自身でこのアイディエーションに参加してみたことがありましたが、相互評価の結果を受けて、改めて自分のアイデアを振り返って考えられることがすごく面白かったです。

    松本:学びの効果というのは本当に大きくて、実は弊社のCI技術は、最近学校教育においても活用されています。それは優秀なアイデアを決めるためではなく、相互評価で上位に上がったアイデアに対して「あなたはなぜそのアイデアが良いと思ったの?」とディスカッションし、多様な視点から新たな学びを得るためです。ビジネスで活用するなら当然アウトプットとして事業化につなげることが重要ですが、そのプロセスにおいても、社員の教育や視座の変化、成長などにつながるメリットがあります。実は事業創出であると同時に、ダイバーシティ&インクルージョンの観点を含んだ育成の機会でもあるんですよね

    アイデアに“意志”を乗せ、アジャイルに実行&学習しよう!

    Expert Idea 500の活用方法が広がるお話をありがとうございました。最後に、これから新規事業に取り組み方々へのメッセージやアドバイスがあれば、ぜひお願いします。

    川口:先ほどの繰り返しにはなってしまいますが、やはりアイデアさえあれば大丈夫だと思うのは危険なので「そのアイデアをもってアウトプットをどう整理するか」に重きを置くことが大事だと考えています。目的は事業化であれ、社内活性化や人材育成であれ、アイデアにみなさんの確かな“意志”をのせて実行に進んでほしいと思います

    松本:企業でビジネスを立ち上げようとすると、経営計画やコスト回収をロジックでがっちり固めることに時間を使ってしまいますが、その計画の多くはそのまま行かないもの。ビジネスはロジックで実現できるほど簡単ではありません。「顧客の心がどう動くか」という根幹さえ無視しなければ、あとはアイデアをベースに仮説を立て、どんどん実行してフィードバックから学習することのほうがよほど重要です。特にマーケティングや伝え方はいくらでも試せるものだと思うので、そこはまさに伊神さんをはじめとした電通のみなさんにいろんな支援を期待できるのではないでしょうか。

    伊神:ありがとうございます。電通では、もともと得意としてきた広告クリエイティブ、ブランディングはもちろん、事業計画の立案、組織づくり、デジタルの仕組みづくりなどのソリューションを幅広くご提供できますし、このExpert Idea 500を組み込んだ「Future Craft Process」という一気通貫の事業創造支援ソリューションもご用意しています。是非、お気軽に私たちまでご相談いただけますと幸いです。多様なアイデアをもとに次を考え続け、一緒に事業創出の実現へと進んでいけたらと思います。

    本日はたっぷりとお話しいただき、どうもありがとうございました!

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    また、Expert Idea 500の概要紹介資料や、ウェブ電通報での紹介記事もご用意しておりますので、併せてご確認ください。

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    未来の事業を、専門家のアイデアの力で創り出す Expert Idea 500
    ウェブ電通報記事
    専門家の力で未来の事業やサービスを導き出す。「Expert Idea 500」による未来の描き方。

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