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    DX化・IT化・デジタル化の違いは? DXは自社の現在地把握から

    最終更新日:2023年06月19日

    今、企業が成長するために不可欠となっているDX(デジタルトランスフォーメーション)。あらゆる分野でDXが注目されるなか、これから推進していく企業にはどのような取組みが必要になるのでしょうか。

    この記事では、

    政府が推し進める企業のDX化とは何か
    具体的にどこからDX化を着手すべきなのか
    DX化に成功している企業はどのようにして進めているのか

    について解説します。

    INDEX

    DXとは

    DXとはDigital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)の略で、「デジタル技術による変革」を意味します。DXの意味は幅広く明確な定義はありませんが、経済産業省では以下のように定義しています。

    DXの定義

    「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」
    ※引用:経済産業省「DX 推進指標とそのガイダンス

    すなわちDXとは、デジタル技術やデータ活用を通して、従来の顧客体験や働き方などのビジネスモデルの根幹を変革することを指します。

    企業を取り巻く環境が目まぐるしく変化する現代において、消費者ニーズに迅速かつ柔軟に対応し、市場における競争力を高めるためには、DXに向けた取り組みが必要です。

    デジタル化とDXの違い

    DXと混同しやすい言葉として、「デジタル化(デジタライゼーション)」,「デジタルとリアルの統合(デジタルインテグレーション)」があります。

    ちょっと、ややこしいですね。

    それぞれに、IT化によるデジタル技術やデータ活用という意味が含まれますが、目指すところが異なります。

    デジタル化(デジタライゼーション)
    普段利用しているサービスに、デジタル体験を付与もしくは一部を代替すること

    デジタルとリアルの統合(デジタルインテグレーション)
    リアルでの体験をデジタルがサポートすることで、既存サービスにおける顧客体験を向上させること

    DX(デジタルトランスフォーメーション)
    デジタル技術やITツールなどを活用してこれまでにないサービスや価値を提供し、ビジネスモデルを変革すること

    もう少し身近な例で、ご説明しましょう。

    顧客体験を例にした3つの違い

    デジタル化
    これまで対面で行っていた商談の一部を、オンラインツールを使った商談でも実施可能にする

    デジタルとリアルの統合
    顧客のwebでの事前の行動を元に、AIがリアル対面での商談の提案内容やコメントをアドバイスし、よりよい顧客体験を提供する

    DX
    自社の提供価値を顧客にお届けするために、技術を使って新しいサービスを生み出し、提供する

    このように、DXは、IT化によるデジタル技術やデータ活用のプロセスを経た先にあるゴールとして位置付けられます

    DX化が注目されている背景

    近年、企業におけるDX化の広がりは加速度を増しており、あらゆる業界・業種において取組みが進んでいます。
    では、なぜDX化が急速に進んでいるのでしょうか。ここからは、DXが注目されている背景について解説します。

    背景1:DX化推進を国が後押ししている

    1つ目の背景として、2018年に経済産業省が『DX推進ガイドライン』や『DXレポート』などを取りまとめ、推進活動を始めたことがあげられます。国の後押しによって、各企業のDX導入への取り組みが加速しています。

    ※参考:経済産業省『デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会』/『DXレポート』/『DX推進ガイドライン』/『DX推進指標』/『DX銘柄・DX認定』/『DXレポート2』/『DXレポート2.1』

    「2025年の崖」の提言から始まったDX化への機運
    経済産業省は、2025年までに多くの企業がDX化を実現できなかった場合、2025年以降に最大12兆円(現在の約3倍)の経済損失が生まれると予測しています。

    この問題が「2025年の崖」です。この問題を解消するために、国によりDX化の推進が提言されたことで、企業においてDX化の重要性が幅広く認識され始めました。

    多くの企業がDX化を推進し、実現させることで、2030年以降には実質GDPを130兆円超に押し上げる効果を生むというポジティブなシナリオも生まれています。
    ※参考:経済産業省『DXレポート

    レガシーシステムによるリスク
    国や企業の間でDX化の意識は高まっています。しかしながら、その実行を阻む要因もあるようです。それはレガシーシステムという問題です。

    レガシーシステムとは、老朽化、複雑化、ブラックボックス化によりDXの初期段階であるデジタル化をしにくい既存のITシステムを指します。

    経済産業省によると、未だにレガシーシステムを抱えている企業は8割を超えており、しかも、そのうちの約7割の企業が、DXの初期段階であるデジタル化においてですら足かせになっていると感じています。

    ※出典: 一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会「デジタル化の進展に対する意識調査」(平成29年)をもとに作成

    レガシーシステムが存在していると、以下のような課題が生まれてしまいます。
    既存システムが部門ごとに構築されており、社内横断的なデータ活用ができない
    既存システムが複雑化しており、データ分析ができない
    既存システムの維持管理コストや現場サイドでの運用上の負担が大きい
    経営者がDXを目指しても、現場サイドの抵抗が大きく実行に移しにくい
    既存システムを操作できる担当者が限定されており、属人化している


    ※参考:経済産業省『DXレポート

    背景2:業種にかかわらずDX化が進んでいる

    ※参考:「顧客の期待に応えられていない」企業が4割も コロナ禍で、DXがさらなる全社重要課題に | プレスリリース | 電通デジタル

    2021年に電通グループが2,000社の企業を対象に行った調査では、既にDXに着手している企業が、全体の8割にも上るということが分かりました。

    すでに多くの企業が業種を問わずDX化に取り組んでいます。

    しかし、DX化に取り組む8割の企業のうち、4割の企業が、自社の取り組みが「顧客の期待に応えられていない」と回答しており、成果を上げるには道半ば、という企業も多いようです。

    これは、逆に言えばこれからのDX化への取り組み次第では、成功を手にするチャンスがまだまだ広がっていると言えるのではないでしょうか。

    ※参考:「顧客の期待に応えられていない」企業が4割も コロナ禍で、DXがさらなる全社重要課題に | プレスリリース | 電通デジタル

    DX化にどう取り組むか ~顧客体験変革という視点~

    DXはどこから始めるべき

    では、成功を手にするために、改めてどこからDX化に取り組めばよいのでしょうか。

    企業のDXは、企業活動の多岐にわたる領域に「変革」をもたらします。
    そのため、「DXの第一歩を何から始めるか」はとても重要であり、その設定を見誤ると、DX化を有効に進めることができません。

    実は先に示した調査では、「変化する顧客の期待に応えられている」と回答した企業ほど、「DXが完了」「DXに取り組み中」とする割合が高くなっています。

    ※参考:「顧客の期待に応えられていない」企業が4割も コロナ禍で、DXがさらなる全社重要課題に | プレスリリース | 電通デジタル

    DXの成功のカギは「変化する顧客の期待にどう対応していくか」という取り組みにあることが示唆されています

    新たな顧客体験の創造を通じた事業・マーケティング活動の変革

    わたしたちは、DXが変革をもたらす主な領域を図のように4つに定義しています。

    ① 顧客体験変革
    ② システム変革
    ③ データと人材変革
    ④ 組織と業務変革

    特に、4つの領域のなかでも、「顧客体験変革」がDXを成功へと導く鍵を握っていると捉えています。

    なぜなら「顧客体験変革」は、DXの成功のカギである「変化する顧客の期待にどう対応していくか」という、図の①~④の取り組みにおいて、成功のための設計図をつくるための一番最初、かつ最も重要な領域に位置づけられるからです

    そして、顧客体験変革に焦点を合わせることで、企業の目指すべきDXの方針について部署間の目線を揃えることができます。そうすることでレガシーシステムをはじめとしたデジタル化における既存ITに関する現場の抵抗や、担当者の属人化も解消される可能性が高まります。

    つまり、「顧客体験変革」の領域に着目することが、DXへの近道なのです

    顧客との接点をデータドリブンにして「マーケティングDX」を推進する

    マーケティングDXとは

    「顧客体験変革」の領域に着目してDXを進めること
    それをわたしたちは「マーケティングDX」と呼んでいます

    マーケティングDXの定義は以下のとおりです。

    <マーケティングDXの定義>
    生活者と自社との接点において、アナログだけではなくデジタルを活用した
    新たな顧客体験の創造を通じた事業・マーケティング活動の変革
    新たな顧客体験を提供するための既存・新規サービス活動

    マーケティングDXは、マーケティングの一手法としてデジタルを用いるデジタルマーケティングとは異なり、事業・マーケティング全体を根本から変革することを意味します。

    マーケティングDXへの取り組みとは、事業・マーケティング活動の変革のために、顧客接点をデータドリブンで設計、デジタル技術から生まれる新たな顧客体験を創造・提供することを通して、既存顧客・新規顧客ともにアプローチをしていくことです。

    データドリブンとは、個人の直感や経験に頼るのではなく、データの蓄積・分析に基づいてビジネスを行うことを指します。
    具体的には、顧客の目線に立ったビッグデータの収集・分析を行って、その結果に基づいた企業活動を行うことです。

    マーケティングDXの取り組み状況

    では各企業の「マーケティングDX」への取り組みは進んでいるのでしょうか。

    電通が行った最新の調査では、回答した企業の86.8%が、すでにマーケティングDXに取り組んでいるという状況でした。そして、取り組みを進める企業、成果が出ている企業ともに増加傾向にあることがわかりました。

    一方で、まだ取り組んでいない企業と、取り組みを始めているが成果が出ていない企業は、約4割にのぼっています

    ※出典:2021年12月電通調査「第2回マーケティングDX調査」

    「マーケティングDX」を成功させている企業に共通するポイント

    マーケティングDXで成果を出している企業には、どのような共通点があるのでしょうか。マーケティングDXを推進するためには、実際に成果を上げている企業の取組みについて知っておくことが重要です。

    調査結果を分析してみると、3つの成功ポイントが挙げられます。

    ポイント1:経営トップ・専任役職者のコミットがある

    ※出典:2021年12月電通調査「マーケティングDX調査2021マーケティングDX調査2021」

    上記のグラフにあるように、マーケティングDXで成果が出ている企業の約7割は、経営トップ・専任役職者がマーケティングDXへコミットしています

    ポイント2:ミッション・ビジョン・バリューが浸透している

    ※出典:2021年12月電通調査「マーケティングDX調査2021」

    マーケティングDXで成果を出している企業の約8割は、「ミッション・ビジョン・バリュー」の3つを社内へ浸透させているという共通点があります。

    ミッション・ビジョン・バリューとは、社員の考え方や価値感を統一し、進むべき方向性を示すために、企業の存在意義や社会的なポジションを言語化したものです

    ミッション:企業が社会において果たすべき使命・存在意義
    ビジョン:企業がミッションをもとに描く、具体的な展望
    バリュー:ミッション・ビジョンを掲げる前提として下支えになる行動・思考の価値基準

    顧客や社会に向けて、組織として目指すべき方向や行動・意識を明確にすることで、経営者層だけでなく、社員一人ひとりが自身の存在意義や役割を認識できるようになり、DX化に取り組む意義や目的が明確になります

    また、組織の意識を統一して、企業一体となってDX化に取り組むことで、システム刷新や社内体制の変化に対する抵抗感を抑え、社員、関わるメンバー一人ひとりが、その意義や目標を理解して取り組み、DX化を推進することができます

    ポイント3:データドリブンで顧客中心に考えている

    ※出典:2021年12月電通調査「マーケティングDX調査2021」

    上記のように、成果が出ている企業の約8割は、データドリブンで顧客サービスを提供しているという結果が出ています。顧客データを収集、分析することで、顧客ニーズに沿ったサービス提供が可能になるのです。

    マーケティングDXを成功させるには、常に顧客を中心に、データドリブンで顧客の体験を設計、提供する必要があります

    このように、マーケティングDXで成果を出すためには、以下の3つの要素が不可欠です。
    経営トップ・専任役職者がコミットしている
    ミッション・ビジョン・バリューが浸透している
    データドリブンで顧客中心に考える

    これらは個別に独立して存在するのではなく、相互に影響しています。そのため、3つをすべて刷新することが、企業におけるDXを成功に導きます

    自社DXの現状を可視化することから始めよう-『DX診断』-

    DXのためのシステム刷新や技術的課題を解決するには、まずは「DXにおいて自社が現状どのような位置にいるのか」、その「現在地」を把握することが必要です

    電通では、「現在地」を把握するために、調査に基づいて成果の上がっている企業の特徴を分析し、DX成功のポイントを指標化しています。
    ビジョン性向:ミッション/ビジョン/バリューの社内への浸透や、変革の4領域(顧客体験・システム・データと人材・組織と業務)の「ありたき姿」が定義できているか
    顧客志向性:顧客接点を中心に。「あるべき顧客体験」が定義され、よりよい顧客体験が提供できているか
    DX進捗度:変革の4領域、それぞれにおける取り組み状況の評価

    この指標に基づいて現状を測定すると同時に、データ・人材の活用方法や、業務プロセスの変革度合いを把握します。
    データを取得する仕組みを整えられているか
    顧客の状況やニーズが把握できるようにデータや人材が備わっているか
    DXに対応した組織、実際の業務プロセスに改変できているか

    これらの視点から、電通はDXの現在地の測定を可能にする調査分析サービスを『DX診断』としてまとめ、企業向けに無料サービスの提供を開始しています。

    DX化を後押しするための企業課題を抽出するDX診断では、上記の3つの観点とともに、システム・人材・業務といった変革領域別のDXの現状も分析し、DXの現在地と課題を可視化します。

    また、診断結果を踏まえて、DXに向けた具体的なプランの提案やサポートを行うことも可能になっており、DXの現在地を共有しながら理想的な顧客体験を実現するマーケティングDXの実装まで支援するソリューションを提供しています。

    DX診断は、 DX化の妨げとなっている課題の把握、また最終的な目標設定や具体的な行動指針を定める際に不可欠なサービスです
    特に、DX化に取り組んでみたものの、期待した結果が得られていないと感じる方におすすめです。みなさんも自社DXの取り組みの現在地を把握するところから、始められてはいかかでしょうか。

    ご関心のある方は、ぜひお問い合わせください。

    DX診断について詳しくまとめたeBookはこちら

    ※参考記事:https://dentsu-ho.com/booklets/450

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