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    広告宣伝部門の業務改革~新たなチャレンジを創出する業務効率化の方法~

    最終更新日:2025年04月22日

    広告宣伝部門の業務改革~新たなチャレンジを創出する業務効率化の方法~

    広告宣伝部門は、企業のマーケティングやブランディングを担い、時代環境の変化や自社の改革を踏まえて常に新たなチャレンジが求められている部署です。しかし、新しいことに取り組む余裕を生み出すには、これまでの業務をもっと効率化する必要があると感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

    クリエイティブな性質を持ち、イレギュラーな業務が増えがちで、業務が際限なく広がりやすい広告宣伝部門は、業務効率化が難しいと思われがちです。しかし、適切な手法を用いれば効率化を進めることは可能です。

    そのコツは、部門全体での効率化を考えるだけでなく、個別の業務に具体的な改善策を落とし込むこと。固有の課題が多く一般化した対応だけでは難しい広告宣伝業務のプロセスを細分化し、課題を可視化することです。

    このブログでは、製造業の企業様の業務効率化を多く手掛け、近年では様々な業種・部署の業務効率化や改革の支援を行っている電通総研 シニアコンサルタントの上原と勝田が、広告宣伝部門の業務効率化について解説します。

    PROFILE

     
     

    INDEX

    広告宣伝部門が抱える課題

    SNSの台頭により、業務負荷が増大傾向

    近年、SNSの急速な普及により、広告宣伝業務の負荷が増大しています。
    コンテンツを制作・配信するだけでなく、それを次の施策に活かすためのデータ分析や改善案の作成作業も、業務量の増加を招いています。また、従来の広告媒体に比べてSNS広告宣伝業務で要求される業務サイクルが非常に速いため、通常業務と並行して行うことが現場の負担増につながっています。

    さらに、マス広告とデジタル広告を組み合わせた戦略や、そのコミュニケーション・デザイン戦略、ブランド戦略など、多くの部署と連携する戦略性の高い業務が増え、業務領域がどんどん拡大しています。

    広告宣伝業務の業務効率化が求められている

    こうした変化は、広告宣伝を担う部門が本来取り組むべき、クリエイティブで創造性の高い業務に割くべき時間を圧迫してしまうリスクにつながりがちです。業務負荷の増大という課題を克服し、新たな挑戦に向かっていくためにも、広告宣伝を担う部署の業務効率化は非常に重要です。

    広告宣伝業務の特徴と課題

    では、広告宣伝を担う部署にとって業務負荷が高くなりがちな特有の現象・特徴とはなんでしょうか。

    社内外のやり取りが多く、調整業務に追われがち

    広告宣伝部門の特徴の一つは、業務を遂行する上で連携する人が多岐に渡り、社内外との調整業務や確認業務が多く、各種の相談ごとへの対応業務に追われがちな点です。それらの業務は個別に対応が必要なため、今の業務をそのままRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を用いた単純な自動化に適応しづらい面があります。

    また、自部門内だけでなく、他部門や外部の関係者と一緒に決めていく業務が数多くあるため、調整の工数や待ち時間が多くなり、担当する人の業務負荷や心理的な負担が大きくなりがちです。

    専門的な業務が多く、機動的な人員配置や業務の見直しが行いにくい

    広告宣伝に関する業務は社外の広告宣伝業務関係者との接点が多く、彼らとの人的ネットワークや専門的な知識や作法が求められるため、担当者の育成に時間がかかります。そのため、計画的に人財を教育し成長させる取り組みが必要になり、業務量の変動に応じて機動的に人員を増やすことが難しい面があります。

    また高い専門性が求められるため、広告宣伝担当者が固定化しがちで、部門独特の文化や作法が醸成されやすいという傾向もあります。私たちが支援した企業の例では、社内で経験を積んだ社員が他部門から広告宣伝部門に異動した際、文化や作法に馴染むのに時間がかかり、苦労されていたというケースがありました。

    このような環境では、慣習として続けられている業務が多くなりがちで、その必要性を根本から見直す必要があるケースも少なくありません

    外出や立会いが多く、一人ひとりの業務を管理することが難しい

    広告宣伝の担当者は外部の人との仕事が多く、撮影立会いや制作現場での確認業務を社外で行うことが必要なため、他部門と比較して外出が多くなりがちです。また、一人の担当者や少人数での対応が求められることも多く、上司が部下の仕事を管理しにくい状況が生じます。そして先に述べた広告宣伝を取り巻く近年の環境変化は、上司が部下の業務を逐一把握したり理解することを難しくすることに拍車をかけています。

    このように、広告宣伝業務は個人ごとの業務になりがちな環境にあるため、業務を効率化するには個々の業務の効率化だけに留まらずに、マネジメントレベルで従業員が働きやすくなる仕組みづくりが必要になります。

    広告宣伝部門の業務効率化の目的と成功ポイント

    新たなチャレンジに向けた業務時間の創出

    広告宣伝部門の業務効率化の目的は、新しい宣伝手法に取り組むための時間を確保し、成果を高めるための新たなチャレンジに取り組む時間を創出すること、そして成果を上げながら働く一人ひとりの生産性やウェルビーイングを高めることです。

    しかし、広告宣伝部門の業務は、これまで見てきたように、社内外の人とのやりとりが多く発生し、専門性が高く、担当者一人で個別に対応をすることも多いため、一律に業務を削減するような形では、効率化が難しいという特徴があります。

    個別業務を理解し一つ一つに丁寧な打ち手を

    このような点から、広告宣伝部門の業務効率化を実現するためのポイントは、現状の個別業務を正しく理解すること、そしてそれら一つ一つに対して丁寧に打ち手を考慮し、実践・評価していくことにあります。

    事例にみる「業務効率化」のプロセス

    この章では、実際に広告宣伝部門の業務効率化に取り組んだ事例を通じて、そのプロセスをご紹介します。

    業務効率化によって新たなチャレンジに向けた業務時間を創出した事例

    ある大手飲料メーカー様の宣伝部では、生活者の変化に対応するため、新しい宣伝手法に取り組むための時間確保が課題となっていました。従来型の広告を続けるだけでは十分な宣伝効果を得ることができず、宣伝効果を高めるための新たなチャレンジに取り組む時間を創出するために抜本的な改革が求められました。

    このケースでは、以下の手順で行いました。

    プロセス1:業務を行動レベルに細分化し可視化

    まず、現在宣伝部で遂行されているすべての業務を洗い出し、業務ごとに行動レベルへ細分化する取り組みに着手しました。ひとつの業務を構成するすべての行動を洗い出して、その前後のつながりやかかわる関係者に至るまで、すべてを一覧できる業務行動フロー図を作成しました。

    さらに、フロー図上の行動にかかわっている関係者の個人単位の行動を分析し、その作業量や内容を洗い出していきました。

    その上で、すべての業務行動について、現状のどんな行動にどのくらいの時間をかけているのか、何が行われているのかを把握し、分析するためのファクト(負荷になっている可能性のある行動と実態など)を整理していきました。

    業務フロー図(イメージ)

    プロセス2:行動判定軸を策定し、各行動を評価。改革の方向性を決定

    次のプロセスでは、業務行動の「判定軸」を策定し、それをもとにすべての行動の評価を行いました。

    このケースでは、業務実態から「組織としてすべき行動か×目標を達成するために必要な行動か×判断基準が複雑か」の三軸で評価することが適切と判断し、どの行動にどのような手を打てば効率化できるかを検討しました。これによって、業務行動の効率化・置き換え・廃止などの方向性が示唆され、それに基づいて業務効率化施策案を立案しました。

    改善施策案とその実施にむけた社内承認では、可視化された業務フローや課題のファクトによって打ち手の効果を想像しやすくなったことから、提案に対する意思決定がスムーズに行われました

    プロセス3:改善施策案を現場メンバーと検証し、施策をアップデート

    プロセス3では、宣伝部の業務改善案を具体的な現場メンバーと共に検討。業務目的に照らした必要性の観点で評価し、改善施策(自動化、統合、廃止、変更、維持、発展など) を決定していきました。

    例えば、必要性はあるが人力で行う必要性が低い行動については、「半自動化」のしくみを導入(Excelのマクロを用いるなど)。また、既に自動化が取り入れられていた(マクロ化されていた)業務も、結果のチェック行動に多くの時間が費やされていることを特定していたため、自動化ツールの使い方を含んだ行動の見直しを行いました。

    このケースでは、評価軸に則った行動評価を行っていたことで、部門特性に応じた改善方針の作成がスムーズになり、迅速に実際の改善行動に落とし込むことができました。その結果、50余りの具体的な効率化施策が策定され、業務全体の約10%近い削減に相当する時間、新しい広告宣伝効果を追求するための時間が創出されました。

    改善効果算出(イメージ)

    プロセス4:組織マネジメント課題を明確化し、具体的な改善施策を提示

    さらにこのケースでは、業務効率化の取り組みが、マネジメント上の課題の抽出や、その改善提案へとつながっていきました。「効率化した業務が簡単に元に戻らないためにはどうしたらいいか」という根本的な問題を検討し、現場とマネジメント層との認識の不一致や、コミュニケーション不足といった問題点を特定していきました。

    そして、諸問題の連関を表す問題構造図を作成し、持続可能な業務効率化を実現するために必要な、組織マネジメント課題を可視化しました。これに基づいて、意思決定プロセスの簡素化や、コミュニケーション方法の改善など、組織の長期的な成長につながる施策の設計・実行を支援しました。

    問題構造図(イメージ)

    業務効率化が難しいと思われがちな広告宣伝部門。その業務効率化の課題は、一社一社、部門ごとに内容が異なります。個別部門の時間効率化は、個別の仕事環境や文化まで把握した部門マネジメントの改革、そして次なる成長を生み出す新たなチャレンジへつながっていきます。この取り組みをみなさまもぜひ検討されてみてはいかがでしょうか。

    業務プロセス改革の豊富なノウハウを持つコンサルタントが担当します

    本ソリューションを提供する電通総研は、コストに厳しい製造業界の多くの大手企業様から、業務効率化支援の領域で、評価をいただいております。業務効率化による生産性向上に最も厳しい目をもつ製造の現場で、長年業務効率化プロジェクトを積み重ねてきたノウハウや考え方を活かすことで、製造関連部門以外の業務効率化においても、実行可能な施策立案を柔軟にご提供します。

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