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      「ファンコミュニティ」でマーケティングはどう変わるのか? 〜開発者に聞く〜

      ビジネスシーンで「シェア」や「サブスクリプションモデル」といった言葉がよく聞かれるようになりました。そこで今一番ホットな関心ごとは「ファン」であることをご存知ですか?

      企業はインターネットを活用することで顧客との結びつきを強く,継続的に築くことができるようになりました。その中で、短期かつ単発的な売上向上を目指すだけでなく、継続的に顧客と良い関係を築き中長期的な売上を維持するビジネスモデルが注目されています。

      事業の持続可能性を高めるには、「ファン」の存在が欠かせません。多くのファンが支えるブランドは長く消費者から愛され続けます。じつはそれ以上に今ビジネスを取り巻く環境が「ファン」を、そして「ファン化」を求めているのです。

      今回はブランドのファンを顕在化し、ファン同士のコミュニティを育て、マーケティング戦略に活用するPDMファンコミュニティクラウドを開発したお二人、クオン株式会社代表取締役の武田さんと株式会社電通の杉之尾に「ファンコミュニティ活用サービス」について存分に語って頂きました。

      PROFILE

       
       

      ファンでない人をファンにする「ファンコミュニティ」

      杉之尾:まず「ファンコミュニティ」とは何なのか?というところから入らせていただこうと思います。

      武田:ファンコミュニティを構築する際、「うちの商品やうちの会社にファンはいない」と心配される方は結構いらっしゃいます。ハーレーダビッドソンとか、マッキントッシュとか、よなよなエールとか、熱狂的なファンがいる商品やブランド、そして会社じゃないとファンマーケティングはできないんじゃないかという不安です。

      じつはそんなことないんです。ライトユーザーがコミュニティに参加して、だんだんファン化するということもあります。また、ブランドの看板を掲げずに、ライフスタイルや趣味などをテーマにしたコミュニティを設ける方法もあります。ブランドは「Powered by ○○」程度に出すくらいでも、十分にファン化できます。

      杉之尾:そんなに肩ひじはらなくてもファンコミュニティは成立しますよね。そして、「ファンコミュニティ」とはいえ、特にファンしか扱わないということではないですよね。

      武田:商品やブランドに対する無関心層も、コミュニティであれば気軽に参加できます。そして、参加したコミュニティの中でやり取りしていると、グループラーニング効果が起こって徐々にファン化していきます。

      そのファン化したプロセスを分析して、マーケティング全域に生かしていくのがファンコミュニティ活用サービス「ファンコミュニティクラウド」のあり方です。ですから、熱狂的なファンが少ないと思われている商品やブランドにも向いているマーケティング手法だと考えています。

      杉之尾:なるほど。つまり、ファンコミュニティクラウドと言っても、ファンしか扱わないわけではなくて、ファン以外を含めたマーケティングツールであるということですね。

      武田:そうですね。熱狂させるということだけがファンコミュニティではないということですね。日常の活動こそ重要だと思います。

      マスとデジタルをつなぐ「コミュニティづくり」

      杉之尾:マスマーケティングとデジタルマーケティングをつなぐ手法として「コミュニティづくり」の考え方は近年非常に注目を浴びてきていますよね。マーケティングを取り囲む企業環境の変化みたいなところについては、武田さんはどういうふうにお考えでしょうか?

      武田:人口減少が大きく影響しているんじゃないかと考えています。高度成長期には当たり前だった新規顧客をどんどん獲得していこうというビジネスのあり方が崩れて久しいです。その中で、新規顧客の獲得だけじゃなく「既存の顧客のライフタイムバリュー(LTV)を上げていこう」「既存のお客さんとエンゲージメントを育てていこう」というマーケティング発想が求められてきたのではないでしょうか。そうしたなかで注目されるようになったひとつが「コミュニティづくり」なのだと思います。

      杉之尾:LTVについては、人口減少のほかにデジタル化、最近だとDXということばも出てきていますが、マーケティングのデジタル化みたいなところにも「コミュニティづくり」が求められている要因があるのでしょうか?

      武田:あると思います。振り返ると1996〜1998年あたりのインターネット黎明期は、どの企業もホームページを初めて持つというような頃で「ホームページはテレビCMのオマケだ」なんて言われていた時代でした。2000年前半くらいまでそういう感じだったと記憶しています。

      その後、「インターネットを活用して広告する」という意識にシフトして、ネット広告も盛んになっていきました。例えば、Yahoo!の広告枠でブランド広告を出す。あれは鮮やかでしたよね。当時はまだまだ「インターネットなんかよく分からん」と言われていたものに、高付加価値のブランド枠として今までの広告販売と同様のスキームにして販売したわけですから。

      そのうちだんだんと、インターネットマーケティングはOne to Oneの関係構築に関心が向いてきましたよね。その後、「CRMで顧客をセグメンテーションする」といったような話が展開されていきます。しかし、結局のところ、リターゲティング広告以上のコンバージョンを出すのはなかなか難しいということも分かってきた。それが今のコンセンサスなのかなと思います。

      杉之尾:企業サイドの流れを振り返って頂きましたが、一方、消費者サイドはどうでしょう。

      武田:ワールドワイドウェブが登場した時期のユーザーの利用シーンは、「個人が放送局になる」と言われて、みんなホームページを作っていました。そのうちブログが出てきて、さらにブログどうしがトラックバックでつながって、SNSが登場して、ソーシャルメディア全盛の時代に入っていく。そういった歴史背景からみるとTikTokも「個人が放送局になる」ための簡易なリッチメディアというふうに整理できます。

      このような消費者の動きを受けて、SNS上で企業が一個人の顔で情報を発信していく手法が流行りましたけど、それも一部のヒットを抜かせばあまり効果が出なかった。疲労感だけが溜まった担当者の方も多かったと思います。SNSでは、拡散を恣意的に起こすことは難しい、これも今のコンセンサスなんじゃないかと思います。

      杉之尾:そうですね。消費者認知を上げるためにはテレビが効率いいのは分かっている一方、ほかのツールが使いづらいとすると、そこを一貫してつなげるようにプランニングすることがすごく重要な課題になっているんじゃないかなと思いました。

      武田:そう思います。リテールで展開しているメーカーは、通常、マスメディアでCMを打って売り場の面積を確保していくという戦略をとられますが、細かく顧客群で分けたマーケティングを実行しても、メッセージや商品を個別に振り分けられるわけでもないので、結局、消費者をセグメントすることなくマスに展開したほうが、効率がいいという結果になることも多い。手法というよりビジネスモデルの適性の話だと思います。

      杉之尾:そうですね。例えばマスで認知を大きく取るところはテレビでうまくできていて、購買はデジタルで、機械学習でうまくできているよ、という感じでしょうか。それをつないで全体を回していくというスキームが、今求められている段階にあると感じています。そこをファンコミュニティクラウドが解決してくれる。

      ライフスタイルテーマでコミュニティをつくる

      杉之尾:マスマーケティングの良さとデジタルマーケティングの良さを活かしきれていないと感じることも多いのですが、両方の良さを引き出し、つなげていくために「消費者のエンゲージメントを深める」ことが重要だと考えています。

      武田:そう思います。通常、コミュニティが健康的に育つとエンゲージメントの深さと比例してLTVが上がります。

      ファンがすでに顕在化しているブランドはそのブランドをテーマにしたコミュニティを作り、熱量をコアファンからライト層に広げていく。そうでなく潜在化している場合は、「料理」や「掃除」といったカテゴリをテーマにコミュティを展開して、ライト層からコアファンに育成していく方法を取る。テーマをより広く「前向きに生きる」や「SDGsな生活」などのライフスタイルを掲げるという方法も増えてきました。

      カテゴリやライフスタイルをテーマにすると、ライトユーザーだけでなく、無関心層から深い関心層まで幅広く潜在顧客を集めることができます。そして、コミュニティが活性化するのと比例してエンゲージメントが深まっていきます。

      杉之尾:今おうかがいしていて、「コミュニティ」のよさを再認識しました。消費者中心の生活世界を捉えられるのがコミュニティなんだなというふうに。

      CRMは消費者行動を一つの断面、例えば「購買」というデータで切り取っていくことを中心に考えていますが、「コミュニティ」で捉えられる消費者の姿には、LTVを高めることはもちろん含まれるのですけれども、それ以外の様々の切り口、SDGsや趣味や料理といった切り口などを含めて、消費者中心の生活世界を総体的にあつかっています。それってすごいことだと思うんです。

      消費者の「本音の発言」を分析する

      武田:おっしゃる通りだと思います。「コミュニティ」とSNSの違いについても整理を試みたいと思います。SNSは、人を主役として設計していきますが、コミュニティは本人特定性を回避してテーマや価値観で集まれるよう、場を主役として設計されています。GDPR的にいうとプライバシーを保護された状態で集まれるわけです。

      「コミュニティ」には、設定されたテーマがあり、ファシリテーターがいます。テーマに沿ってファシリテートがなされていくので、深い本音の発言が文脈を持ってつながっていきます。ファシリテーターを務めるのはクオンの専門スタッフですが、タイミングやテーマの種類は過去の成功パターンからAIが設計しています。また、ファシリテートには、場が荒れることを防ぐ効果もあります。

      杉之尾:本音の発言による交流が深まれば、エンゲージメントはさらに強まりLTV向上につながっていきますね。一方で、「ファンコミュニティ」を利用される企業はコミュニティメンバーが商品をよく買うようになった、ということで満足頂けているのでしょうか?

      武田:LTVの向上だけでご満足いただけるケースというのは、そう多くあるわけではありません。比較的、高額商品で、数万人のファンがいる場合には、LTV向上で十分なインパクトが得られる場合があります。しかし、コモディティ商品などではそれだけでは足りない。そこで、「本音の発言」を発掘する必要が出てきます。

      杉之尾:「本音の発言」の分析ですか。

      武田:はい。消費者のインサイトです。某化粧品メーカーの例でご説明します。このメーカーさんはもともとコミュニティづくりに熱心で、「コミュニティ」だけで月に1億円規模の売上があがっていて、LTV向上装置としてコミュニティが機能していました。

      ところが、そこで終わらせずに「コミュニティから消費者のインサイトを分析する」ことで、市場に対してその結果を適用させたところ、大きな効果を発揮したんです。

      杉之尾:「コミュニティの分析」が市場におけるマーケティングでも通用した、ということですか?

      武田:はい。シングルソースでデータを追いかけることは、CRMもコミュニティ分析も同じです。しかし、一般的に定量的な数値を扱うのが得意なCRMに対して、コミュニティ分析は定性的な深い消費者の声を扱うことを得意とします。じつは、CRMとコミュニティ分析を連動させることで、市場に対してとても高い効果を発揮するんです。

      「ファンになる理由」を解明する

      杉之尾:CRMとコミュニティ分析の連動は、両方のいいとこ取りをしたマーケティング手法ということでしょうか?

      武田:はい。CRMでモノとモノの間で定量的な相関が見えても、「人間の心」を理解できない限り「なぜ相関が高くなるのか」が分かりません。例えば、鍋用スープを売っている食品メーカーが「鍋用スープと一緒によく買われているのはマイタケです」とか「鍋用スープとチタン製のひげそりが同時に買われていることが統計的有意であることが分かりました」と言われても、その理由がわからない限り、手の打ちようがないということがあります。

      ところがコミュニティのデータと紐付けると、その心の変化があった過程に交わされた会話や、そのユーザーが共感を示した他者の発言などがすべて時系列で分かります。すると、CRMにおける数値分析だけでは分からなかった「なぜその相関が生まれるのか」が見えてきます。「What」に「Why」が加わるので「How」になるというわけです。

      例えば化粧品の場合はセールスサイクルが1.5カ月なので、CRMで分かる購入のXデーから1.5カ月以内に共感を示した発言を集計します。

      某家庭用品メーカーの例では、競合商品から意識的に自社商品を選んでくれるようになったユーザーが、過去にコミュニティで共感を示したコメントと、それ以外のコメントとの違いを統計的に分析して傾向を見たところ、共感を示したコメントの方には、「スパッ」とか「シュパッ」などの擬音が異常値で含まれているということが分かりました。

      詳しく見てみると、それらの擬音が含まれるコメントで語られていたのは「気持ちがいい」という感情だということが分かりました。そこで、テレビCMのメインメッセージを、商品の機能性ではなく、使い心地や「使ってみると快感」という印象にクリエーティブを変えたところ、大ヒットしました。

      コミュニティを分析することで、「ファンになる理由を明らかにして」市場に大きなインパクトを生み出すことに成功した事例となりました。

      vol.02に続く

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