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B2Bマーケティングにおける「コンテンツ」の重要性|その理由と制作フロー詳説

作成者: D-sol|Dec 25, 2020 5:48:35 AM

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コロナ禍において、イベントや展示会などが中止になっています。こうした中、B2B企業にとっていかに新規リードを獲得するかは大きな課題となっています。

新規リード獲得の施策として注目されているのが、コンテンツです。ここではコンテンツの重要性を説明し、実際にコンテンツを作るためのアクションについても具体例を交えて紹介します。

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営業に行く前に顧客は調べ尽くしている

B2Bの営業は、従来は訪問営業でヒアリング、製品・サービス紹介などを行い、導入の検討をしてもらうことが一般的でした。しかし、情報の収集が誰でも簡単にできるようになったおかげで、顧客は自身が関心をもつ製品やサービスに関する情報について営業担当者に問い合わせをする前に、自分で情報収集をするようになっています。

情報収集の手段は、オンラインコンテンツ、ホワイトペーパー、事例、レビュー、同僚・同業他社からの推薦、セミナーなど、様々なものがあります。営業が初訪問するタイミングで、従来営業が提供していた情報の全体の半分以上を、顧客自らが情報探索やリサーチをすることですでに持っている(※)、という調査データもあります。さらに言えば、情報収集の段階で、競合製品と比較して選定まで済ませてしまっているケースもあり、ここで候補に登らなければ問い合わせすら受けないで、競合に負けてしまうことになります。


※参考リンク紹介:https://www.d-sol.jp/blog/inbound-abm-is-best-marketing-solution-for-enterprise-1

コロナ禍はこの流れを加速させています。オフラインの情報収集がやりにくくなっている中、今後特にオンラインのコンテンツに投資するとしている企業が増えています。

※出典:NewsCread&Sirkin Research:https://thinkcontent.jp/impact-of-coronavirus-on-marketing-teams

B2Bの案件創出の要となるもの

コンテンツは、デマンドジェネレーション(案件創出)の多くのプロセスで、重要な役割を果たします。デマンドジェネレーションは次のようなプロセスに分けられます。

・リードジェネレーション(リード獲得)
・データマネジメント(リードの名寄せ、属性情報の付与、企業名などとの紐付けなどのデータ管理)
・リードナーチャリング(リードごとに最適なコミュニケーションを通してリード育成)
・リードクオリフィケーション(コミュニケーション内容、メール開封やWebサイト訪問などによるスコアリングなどを通したリードの精査、絞り込み)

日本の企業のマーケティング部門ではリードジェネレーションに力を入れているものの、残りのプロセスを経ずに営業に回しているというケースも見受けられます。

コンテンツは、リードジェネレーション、リードナーチャリングで特に効果を発揮し、そのアクセス状況がリードクオリフィケーションにも影響します。特に、MA(Marketing Automation、マーケティングオートメーション)などのデジタルソリューションを導入する場合においては、コンテンツが各プロセスにおいてユーザーの行動を促したり、理解を深めたりするのに効果を発揮することに加え、ユーザーの行動データを元にしたマーケティングを行うデータマーケティングにおいても活用されます。

コンテンツがあるからこそ、ユーザーの行動の追跡に意味が生まれ、マーケティング、インサイドセールス、営業などの会話のきっかけにもなるのです

コンテンツとは何か

マーケティングにおけるコンテンツというと、記事コンテンツ(ブログ)やオウンドメディアを思い浮かべるかもしれません。もちろん、これらは発信の中心となるものですが、それ以外にでも、SNSでの発信、メール配信、ホワイトペーパー(Eブック)、セミナー、イベントなどもコンテンツに含まれます。

正しい顧客に届けるために、ペルソナ(ターゲットとなる顧客の人物像)、バイヤーズジャーニー(顧客の認知。検討。購入決定に至るまでのステップ)を設計し、どのタイミングでどのコンテンツが有効なのか、予め仮説をたてて、適切なコンテンツの種類を作成します。そのために次のようなステップで必要なコンテンツを整理します。

コンテンツ制作のステップ

コンテンツ制作は次のような流れで制作していくことで、見込み客、顧客をひきつけることができます。

1−4までは、特にコンテンツの全体方針設計に、5−6は個別のコンテンツ企画に関わる流れになっています。

1.販売する製品/サービスの特定

最初に行うことは、今後コンテンツを通して発信していく対象の製品/サービスを明確化することです。取り扱っている製品やサービスなどをすべて対象にしてしまうと、内容がバラバラになって、統一性が取れなくなってしまいます。そこで、製品やサービスを絞り込んで、優先度を決めてコンテンツを制作していきます。

製品、サービスを決める時に、企業視点で売りたいものを打ち出すのではなく、市場のニーズやオンラインでの情報収集の傾向を考慮して選定するようにしましょう。

例:B2Bの機械部品メーカー
対象のサービスを気圧センサーに選定

2.ペルソナ策定

ターゲットとなる顧客の具体的な特徴を持つ人物像をペルソナとして策定します。

B2Bの場合のペルソナは、以下のような内容を具体的に落とし込んでいきます。

ペルソナの策定にあたっては、自社にとっての都合のよい顧客像を描くのではなく、実際のデータや営業担当者のヒアリングなどを通して、現実味のある顧客像を描きます

・顧客と直接接する営業、インサイドセールスなどへのヒアリング
・自社の顧客へのアンケート調査、ヒアリング調査、行動観察調査
・セミナー、展示会などの参加者アンケート調査
・アクセス解析ログ

策定したペルソナは、A4用紙1枚程度に情報をまとめて、関係者で共有します。

例:B2Bの機械部品メーカーが策定したペルソナの例 

3.バイヤーズジャーニーの策定

顧客が製品の認知、検討、購入決定に至るまでのプロセスを旅(ジャーニー)にたとえたものがバイヤーズジャーニーです。カスタマージャーニーは、認知前、購入後まで含めていますが、特に購入に関わるプロセスにしぼったものをバイヤーズジャーニーと呼びます。

バイヤーズジャーニーでは、ステップ2で策定したペルソナがどのように問題や課題を認識し、解決策を探し、製品やサービスを選定するかを定義していきます。バイヤーズジャーニーも、データやヒアリングを通して、実際の顧客の行動や心理を踏まえて策定していきます。

例:B2Bの機械部品メーカーが策定したバイヤーズジャーニーの例

4.コンテンツマップの策定

ペルソナとバイヤーズジャーニーができたら、バイヤーズジャーニーの各ステージで、ペルソナがどんな情報を求めているのかを定義します。ステージごとのニーズ、悩み、課題をもとに、最適なコンテンツを配置していきます。

コンテンツマップを作成したら、優先度をつけながらコンテンツを作成します。既存のコンテンツで該当するものがあればそれを活用します。

例:B2Bの機械部品メーカーが策定したコンテンツマップの例

5.アウトラインにまとめる

ここからは記事の際の手順に絞って説明します。記事を執筆するライターとコンテンツの目的の認識合わせをするために、アウトラインの作成を行います。このアウトラインを元に記事を作成していくことで、あとからの修正を最低限に抑えることができます。

アウトラインでは、以下のような内容をまとめます。必ず含めたい項目、内容、キーワードを整理して概要に含めましょう。

コンテンツ提供の目的
コンテンツによって期待する効果
コンテンツの内容
キーワード
タイトル
概要
情報ソース
写真・画像・図版
ライター
編集者
公開予定日
キャンペーン名
コンテンツへの流入経路
コンテンツの提供方法

例:B2Bの機械部品メーカーが策定したアウトラインの例

6.コンテンツ制作

アウトラインが決まったら、ライターのアサイン、進行管理、取材対象者のインタビューセッティング、写真や画像の手配など、必要な作業を行います。

ライターから記事が上がってきたら、アウトラインと齟齬がないか確認し、必要に応じて修正を依頼します。

7.公開

記事を公開するべき場所に公開します。オンラインのコンテンツであれば、URL、公開日などを間違えないように設定してください。

8.効果検証

コンテンツの効果がどれくらいあったのか、コンテンツの目的にあわせて評価し、その結果を次のコンテンツ企画に活かします。

コンテンツ制作の副次的な効果

コンテンツ制作を行うことにより、顧客に向けた情報発信以外にも様々な副次的な効果があります。代表的なものを紹介します。

・社内のコンテンツマネジメントへの効果
コンテンツマップを使ってコンテンツを整理すると、社内にすでに多くのコンテンツがあることに気づきます。これらのコンテンツを最新の情報にアップデートしたり、ペルソナに合わせて情報を精査することで再活用できます。重複しているコンテンツなどがあれば、一本化していきます。

・会社のメッセージの統一
コンテンツとして、メッセージを整理しまとめ、それを公に公開することで、従業員全員が会社としてのメッセージを改めて確認できます。これにより、どの担当者と話しても共通したメッセージを発信することになり、顧客にとっては安心感があります。

・社内の情報共有、教育
コンテンツの制作、管理、閲覧などを通して、入社してから日が浅い従業員の教育に役立てることができます。また、他の従業員にも、最新情報を共有することができます。

・顧客理解が深まる、ニーズ把握
ペルソナ、バイヤーズジャーニーを作成することで、顧客理解が深まります。顧客が何を欲しているのか、どういう情報が役に立つのか、顧客視点から考えることができるようになります。また、ペルソナ、バイヤーズジャーニーを社内で共有することで、全員の方向性を統一できます。

まとめ:成果につながるコンテンツを作ろう

具体例と共に、コンテンツの重要性、コンテンツ制作のステップについて取り上げました。自社の場合はどうなるのか、ぜひこの例をヒントに考えてみてください。

コンテンツは作って終わりではありません。そのコンテンツが顧客を惹きつけ、課題を解決できているのか、またそのコンテンツをきっかけに、資料ダウンロード、問い合わせなど次のステップに進んでいるのか、といった視点からコンテンツを評価していきましょう

特にB2Bの場合は、PV、UUなどではコンテンツを評価しにくい傾向にあります。コンテンツを通して、どれだけの人が次のアクションにつなげてくれているか、導入検討時の参考にしているか、といった点から評価し、顧客の視点にたって必要な情報をコンテンツにしていきましょう。