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      ソーシャルリスニングと広告配信が抱える課題を乗り越え、ソーシャルデータからブランドの顧客体験へ

      生活者のさまざまな声が集まるソーシャルメディアやSNS。そこに蓄積されるソーシャルデータの活用は、企業のマーケティングに不可欠なものになっています。電通では、グループ横断プロジェクトチーム「Dentsu Engagement 360」を2020年7月に発足。ソーシャルを軸に新規顧客の獲得から既存顧客の育成まで、ワンストップのマーケティング支援を可能にしました。

      今後さらに重要性を増すソーシャルメディアマーケティングの本質と具体的な活用事例について、電通PRソリューション局部長の郡司晶子(ぐんじ・あきこ)と、電通のグループ会社で生活者主体のデータ活用を推進するDataCurrentのエグゼクティブ・データストラテジスト大驛貴士(おおえき・たかし)が解説しました。
      以下に、Do!Solutions編集部がセッションの内容をまとめます。

      「People Driven Marketing® 実践ウェビナー2020」概要はこちら

      良い顧客体験の創出を阻む要因は「ソーシャルデータマーケティングの分断」

      最近のマーケティングと生活者とのつながりは切り離せないものになっています。そこで欠かせないのがソーシャルメディアやSNSの存在ですが、マーケティングへの活用のかたちは目まぐるしく変化してきた、と郡司は分析します。

      郡司:初期の活用は、SNSの公式アカウントの中の人を起点にバズを起こすキャンペーンがメインでした。この流れは現在も継続されていますが、データをもとに対話や顧客分析をしたり、SNS上でコミュニティを作ったりと活用の幅が広がりました。最近はコミュニケーションの領域に留まらず、商品開発やコマ―スへの活用にまで拡大しています。

      ソーシャルメディア活用の拡大

      それと同時に、ソーシャルデータの活用方法も拡大していると言います。

      郡司:初期はブランドのレピュテーション(評判)をモニタリングする手段でしたが、次第に生活者の生の声を聞くソーシャルリスニングへと移行。キャンペーンの効果測定や、コミュニケーションの戦略立案のためのインサイトを探る手段として活用されるようになりました。さらに現在はソーシャルインテリジェンスというキーワードに象徴されるように、リアルタイムで顧客のニーズとモメントを捉えて、アプローチするためにAIが用いられ、他のデータとの連携が模索されるまでに進化を遂げています。

      ソーシャルデータ活用の進化

      ソーシャルリスニングから抽出されるソーシャルデータからは「生活者の本音」を掴めるため、マーケッターの想像を超える答えが埋もれている可能性があります。そこにこそ、ソーシャルデータの価値があると言います。

      郡司:生活者の本音をリアルタイムで把握できる部分については、これからの顧客体験をつくるのための重要な手段になるはずです。良い顧客体験をつくっていくというのは、つまり欲しいコンテンツ、欲しい情報、欲しいサービス、欲しい商品を、欲しいタイミングで、欲しい場所で提供していくことだと思います。それを実現する手段はさまざまありますが、本音を分析して把握しながらリアルタイムでアプローチしていく点において、ソーシャルデータとテクノロジーの活用は一つの解になります。

      とはいえ、多様なツールが溢れる中で、何をどのように活用すればいいのかわからないケースも少なくないはず。実際のところ、ソーシャルデータマーケティングの業務ではツールや作業が分断されがちです。

      郡司:ソーシャルリスニングと広告配信を例に挙げてご説明します。たとえば、「日焼けしたくない」とツイートしているユーザーに対して、ツイートしたタイミングに合わせて情報を配信しようと計画したとします。しかしいざ実行しようと思ったら、キーワードをツイートしている人が少なく広告配信がうまくできないケースや、配信のタイミングを逃してしまうといった問題が一定の頻度で発生します。そのため、ソーシャルリスニングはあくまでもセグメントや配信のキーワード決めるための参考の情報と割りきり、より可能性の高いセグメントに、より可能性の高いキーワードで情報を配信するまでに留まっています。

      ソーシャルデータ活用の進化

      より高度なOne to Oneによる顧客体験を創出できる可能性がありながらも、ツールをうまく活用できずに機会損失してしまってはもったいないものです。「良い顧客体験を生み出すためには、分断された業務をつなげていく必要がある」と郡司は指摘します。

      そこで、企業がソーシャルデータにまつわるソリューションをうまくつなげて良い顧客体験をつくり、ビジネスの成果につなげるための支援をするべく、電通は「Dentsu Engagement 360」というプロジェクトを立ち上げました。

      Dentsu Engagement 360

      その目的と中身について、郡司は次のように説明します。

      郡司:電通をはじめグループのデジタル系企業7社でプロジェクトチームを組み、ソーシャルメディアマーケティングソリューションの情報とノウハウを一元化した支援を展開しています。ソーシャルパワーをデュアルファネル(※)で、戦略的かつ体系的に活用。企業やブランドとのエンゲージメントに変えていき、さらにそのエンゲージメントを、購入やLTVの向上につなげていくことを目指しています。
      ※企業が抱える「新規顧客の獲得」「既存顧客の育成」という2つの課題への対応を一本化し、連携してマーケティングROIの向上を実現するソリューション。

      生活者を巻き込み、エンゲージメントしながらロイヤルカスタマー化するプロセスにおいて、さまざまなツールやサービスをつないで良い顧客体験をつくっていくことを目指しているとのこと。

      郡司:新規顧客の獲得から既存顧客の育成まで、どの部分が課題であったとしても、あるいは課題が明確になっていない状態だとしても、ご相談に乗れるようにチームを編成しています。

      電通のソリューションでソーシャルリスニングと広告配信の課題克服を目指す

      では、具体的に「Dentsu Engagement 360」はどのようなソリューションを提供しているのでしょうか。ソーシャルリスニングと広告配信における課題とソリューションについて、DataCurrentの大驛が紹介します。

      課題1

      大驛:ソーシャルリスニングから得たキーワードで広告配信しようとしても、対象となるユーザーボリュームが少なく活かせられない「ユーザーボリューム問題」があります。それにより広告のパフォーマンスがすごく上がってしまったり、同じ人に何回も当ててしまったりすると、あまり広告に生かせません。

      課題1のソリューション

      大驛:電通では「ヒストリカルキーワード(以下:KW)ターゲティング」というソリューションを開発。たとえばTwitterにおけるターゲティングでは、特定のキーワードをツイートしたユーザーのみならず、そのキーワードを検索したユーザーや、キーワードに関連する投稿へのコメントやシェアをしたユーザーも対象にできます。通常は過去7日間のキーワードのみ広告配信として利用することが可能ですが、「ヒストリカルKWターゲティング」により、10年分のツイートデータを広告配信に利用することが可能になります。時間軸をさらに深く下げることで、ユーザーボリュームを担保できます。

      課題2

      大驛:ソーシャルリスニングから得たキーワードを広告配信に反映し、ユーザーに届いた時点では遅すぎる「時差問題」があります。こちらもTwitterを例にしますと、ユーザーが特定のキーワードをツイートすると、1日前でも7日前でも関係なくまとめて広告配信の対象になってしまいます。この機能により、ユーザーが情報を求めているタイミングと広告配信のタイミングに時差が生じてしまいます。

      課題2のソリューション

      大驛:これに対するソリューションとして、「リアルタイムKWターゲティング」を開発。最大の特徴は事前に指定したキーワードをリアルタイムで検知できる点です。1度検知したら、10秒ごとに広告配信対象者リストを追加できます。

      そのためキーワード数を多く設定しておくなど、事前にキーワードを増やせば増やすほど配信の機会も比例して増えます。ユーザーの気持ちが冷めないうちに広告配信を行えるメリットはもちろんのこと、検知するキーワードのボリュームをコントロールすることでユーザーボリュームもしっかり管理できます。

      「リアルタイムKWターゲティング」の事例として、大手外資系ファーストフード店の取り組みをご紹介します。目的は、フリーWi-Fiを探しているTwitterユーザーを検知して、最短で広告を届けるというものです。

      たとえば、あるユーザーが「Wi-Fi 重すぎてムリ」というキーワードを入れてツイートしたとします。このときに、あらかじめ「Wi-Fi 重い」「Wi-Fi 弱い」といったキーワードを、電通が開発した「KIZUNA COMMUNICATION(以下、KIZUNA)」というツールに登録しておくと、TwitterからKIZUNAに通知が届き、広告を配信します。TwitterとKIZUNAのデータの受け渡しはAPI連携によって実現しています。

      大手外資系ファーストフード店での事例

      リアルタイムKWターゲティングの仕組み

      リアルタイムKWターゲティングの仕組み

      大驛:ただし指定キーワードの選定においては、Web検索のように「含み」や「ゆらぎ」が考慮されません。そのため、ユーザーのシチュエーションを想定してキーワード数を少しずつ増やしていくことが重要です。

      課題3

      大驛:課題1と2をクリアしたうえでの課題として、よい顧客体験が企業の成果につながったかどうか、不明確で曖昧な「指標問題」があります。一般投稿や広告を含めたソーシャル上での施策をリスニングツールで分析することは可能ですが、正解データではなく、あくまでもユーザーの自己申告に頼りきっている状態です。

      課題3のソリューション

      大驛:Twitter社が提供する「Measurement Pilot」という計測プログラムを活用。広告接触者と購買データやTVCM、接触者データなどを掛け合わせることで、より柔軟な分析を可能にしました。たとえば、具体的にはTwitter広告の配信した人の中から、特定のTVCMに接触した人を計測できるようになります。もちろんその逆も可能です。

      これまでTwitter広告が拡散されバズっている状態に対して、オフライン購買にどれくらい影響しているのか定量計測ができませんでした。しかしMeasurement Pilotを使うことによって、ユーザーのオフライン行動を可視化できます。

      たとえば、TVCMと突き合わせたインクリメンタルリーチの算出をはじめ、位置情報の活用で来店数を測定することで来店1回あたりの単価が浮き彫りになります。このように、Twitterの拡散をより事業成果に最適化していくことができると考えています。

      Measurement Pilotを活用したイメージレポート

      大驛:ソーシャルメディアマーケティングを個別施策ごとの部分最適で終わらせるのではなく、確かな成果を掴んでいただくために、電通グループは「Dentsu Engagement 360」のプロジェクトを通して個々のニーズに沿ったソリューションを提案していきます。

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