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      DXを制するものがマーケットを制する!消費財メーカーとリテールによる競争と共創

      流通再販モデルから、流通小売と競争&共創するモデルへと変革が進む、消費財メーカー。この変革において、柔軟なデータ連携を実現するアーキテクチャが重要になると考える日本マイクロソフト社と電通グループ。以前から、消費財メーカーを対象にしたDXの企画から運用までのサービス開発を協業で進めています。

      このセッションでは消費財メーカーの事例を交え、変革のポイントを解説しました。
      日本マイクロソフト社からは、リテールインダストーリーマネージャーとして同社の流通業向け戦略策定や市場開拓を担当されてきた藤井創一(ふじい・そういち)氏と、電通グループで長年にわたりデジタルサービスの開発やデジタルマーケティングに関わる組織の立ち上げに携わってきた、電通デジタル執行役員/デジタルトランスフォーメーション領域担当の八木克全(やぎ・かつまさ)が登壇しました。

      以下に、Do!Solutions編集部がセッションの内容をまとめます。

      「People Driven Marketing® 実践ウェビナー2020」概要はこちら

      消費財メーカーがDXを必要とする背景

      セッションの冒頭では、米国で起きている大手流通会社の急速なDXが、消費財メーカーを巻き込んでいる現状が考察されました。
      例として紹介したのは、アメリカの大手小売業であるウォルマート社のニュース。全米の約65%に当たる3,100店舗でスタートしたカーブサイドピックアップ(※)やカウンター受け取りのサービスが、アマゾンに勝っているといいます。コロナ禍の影響で、一部地域ではアマゾンのデリバリーが2週間待ちだったこともありましたが、対するウォルマートは順調に新規顧客を獲得していきました。
      ※カーブサイドピックアップ…顧客がインターネットで注文した商品を実店舗で、ドライブスルーのような形で受け取ることができるサービス

      大手流通の急速なDXが消費財メーカーを巻き込む

      八木:現在、ウォルマートは売上高41兆円で小売業1位、アマゾンは12兆円で2位です。ECではアマゾンが1位ですが、ウォルマートは2018年7月の4位から2020年2月には2位まで順位を上げました。また、アプリユーザーランキングに目を移すと、ウォルマートは5,800万ユーザー。これは全米の携帯保有者の4分の1がインストールしていることになり、2019年6月の段階ですでにアマゾンを抜いています。

      これらのデータは、一見すると消費財メーカーのDXとは関係ないように見えます。しかし、ウォルマートの顧客のうち約84%がプライベートブランドを購入しているというデータがあり、その要因を探っていくと、アプリ購買などのリテールDXが強まっていることがわかると言います。

      大手流通の急速なDXが消費財メーカーを巻き込む

      八木:消費財メーカーが顧客を理解して、顧客が望む商品や体験を提供できないと、プライベートブランドをもつリテール事業者に飲み込まれてしまいます。そのため、消費財メーカーは、いますぐできるところからDXに取り組まなければいけないと考えます。

      大手流通の急速なDXが消費財メーカーを巻き込む

      ナイキとアマゾン、消費財メーカーとリテール業者の関係

      続いて、近年の消費財メーカーとリテール業者の関係を象徴する例として、ナイキとアマゾンが挙げられました。

      八木:ナイキとアマゾンは、2017年にパートナーシップを組んだのですが、2019年に解消しています。その理由は非公表ですが、パートナーシップを結ぶ際にナイキが出した条件から仮説を立てることができます。パートナーシップの目的は、「消費者体験向上の努力をすること」「ナイキ以外のナイキ商品販売制限」「模造品取り締まり強化」と発表されてましたが、アマゾンがコントロールしづらい「消費者体験向上の努力をすること」が必要なくなったか、うまくいかなくなったことが考えられます。
      そこからもう一歩踏み込んで、顧客のカスタマージャーニーとバリューチェーンの企画・製造から調達・運営・販売・カスタマーサクセスを考えたときに、ナイキとアマゾンの間でどんなことが起こっていたのかを推測します。

      最近のアマゾンは商品を購入してもらうだけではなく、顧客接点を使って、消費者のリビングルーム自体を売り場に変えてしまおうという取り組みをしています。そしてD2Cの販売マーケットプレイスをEC上に設け、そのロジスティックスの機能をバリューチェーン側に展開しています。

      amazonの戦い

      八木:一方、ナイキは、ナイキランクラブやナイキトレーニングクラブを開設し、実際に商品を使ってもらうといったオフラインの顧客接点を通して、アパレルやスニーカーなどの商品に興味を持ってもらうという取り組みをしています。

      NIKEの戦い

      八木:これらをまとめると、アマゾンは購入体験・購買体験を高度化し、商品サービスに興味を広げている。一方、ナイキはサービスや商品を使ってもらうことから自社のサービスを展開し、興味を持ってもらったところで商品購入へと広げている。つまり、これまできれいに棲み分けられていたバリューチェーンの境目がなくなってきているといえます。

      消費財メーカーとリテールの競争と共創

      今後ますます活発になることが予想される、消費財メーカーとリテールの競争と共創について、3つの視点から考えることができると八木は話します。

      八木:1つ目はコラボ。これは共創です。これまで商品開発からマーケティング、使用体験の向上、顧客対応やアライアンスなどは、主に消費財メーカーの役割だったと思います。これからは、たとえば使用体験の向上が判明してリテールに伝えたとすると、リテールが持っている情報にもとづいて需要予測をするケースが増えるでしょう。一方的に流れていた情報が行き来することで、単純なコラボとは異なる“共創”につながります

      2つ目は、リテールのプライベートブランドによるバリューチェーンの伸長との競争です。消費財メーカーはリテールのプライベートブランドの伸長に向き合っていると思いますが、それに対して、消費財メーカーは「こういう風に使うと便利ですよ」というサービス利用のサポートもパッケージにして販売する。あるいは、ユーザーの興味喚起を積極的に行うことで、リテールのプライベートブランドよりも高い単価で売るような商品を作れると思います。

      そして3つ目は、消費財メーカー側がリテール側に入っていくタイプの競争です。これは顧客対応やアライアンスのセクションと、商品開発マーケティングセクションが関わり、商品やサービスを購入してもらうことが考えられます。これまで、消費財メーカーが持っていた営業企画がリテール向きであることから、この部分を新たにつくっていく必要が出てきます。

      これらを実現するためには各部門がもっているデータを統合し、それを組織全体で見ていく必要が出てくると八木は指摘します。つまり、「顧客に新しい価値を創造するためにバリューチェーンで競争&共創する」ためには、「複数の選択肢を可能にする柔軟なデジタル基盤」が必要だといえます。

      どこで競争をし、どこで共創をしているのか 

      さらに続けて、新しい価値を創造するためのバリューチェーンにおける競争と共創について、図を使って詳しく解説します。

      どこで競争しているか/どこで共創

      八木:市場を既存領域と新規領域、自社事業を既存領域と新規領域にわけると、いまの消費財メーカーとリテールというのは、「流通再販モデル(図左下)」の中で戦っているということになります。ちなみに、ナイキの例は、「全ジャーニー価値創造のモデル(図右上)」に該当します。これは、独自の存在感を持っているかなどが問われるので、簡単ではありません。そして、リテールのプライベートブランドによるバリューチェーンの伸長との競争は「購買競争の高度化(図右下)」。そして最後に、消費財メーカーによる購買体験提供の競争「使用体験の高度化(図左上)」ですが、これは消費財メーカーが強く、カスタマーサクセスにつながるチャンスになります。

      競争に勝ち、共創を加速させるプラットフォームベンダーのノウハウ

      このマトリクスをもとにした取り組みは、業態ごとにスピードや地域差があるため、顧客の特徴を把握しながら、それぞれを同時に進めていく必要があると言います。しかし、この実現に向けて難しいのが、データをどう取得するのか、取得してもどう活用するのかというところです。

      このあと八木からバトンを受けた藤井氏は、この課題について、プラットフォームテクノロジーを提供しているベンダーとしてもまったく同じ認識があると述べました。

      藤井:マイクロソフトは、プラットフォームベンダーとしては珍しく流通業の専任組織を持っています。最近のトピックスとしては、やはり小売業が大きくトランスフォーメーションしていこうという流れにあることです。当社でもさまざまな企業と複数年のパートナーシップを結び、チャレンジも成功も共有しながら、アライアンスというかたちで両方のリソースを投下しあって、プロジェクトを支えています。

      「Coca-Cola 2019 : Joint engineering」

      藤井氏は、具体的なプロジェクトの一例としてコカ・コーラを挙げます。グローバルに展開する同社とあって、膨大な販売データをマーケティングし、効果的なキャンペーンに利用しています。これまで難しかったマーケティング手法ですが、最新のテクノロジーを使うと非常に迅速で安価にインテグレーションでき、リアルタイムにデータを見ることができる時代になっていると言います。

      藤井:こうした進化を受け、マイクロソフトでは小売業や消費材製造業メーカーに向けて、デジタル基盤やデータをもとにした「インテリジェントコンシューマグッズ」と「インテリジェントリテール」を実現していくために、それぞれに4つのピラーを立てて顧客のDXを支援しています。

      マイクロソフトの流通業(小売・消費財製造業)向け取組

      そして、すでにマイクロソフトのDX支援を受けている国内先進事例も2つ紹介されました。

      藤井:1つ目は、エースコック様の事例です。今後の商品開発にあたって、マーケットの反応をしっかりと見たいということで、2020年2月に渋谷に期間限定の無人店舗を立ち上げました。仕組みづくりについては、Microsoft Azureのテクノロジーと、Smart Storeアーキテクチャ及びオープンソースコードを使うことによって、短期間かつローコストで実現できました。

      エースコック様との取り組み

      藤井:2つ目が、ツルハドラッグ様そのお取引メーカー様との事例です。店内あるいは店外にいる消費者のデータを集めて共有し、新しいマーケティングテストや販売方法、価格設定などを戦略的に設定するマーチャンダイジングの高度化につなげる取り組みです。高度なクラウド/AI/IoT技術を活用し、オリジナルのマーケティングプラットフォーム「Tsuruha Ads Platform」を開発し、取引先との協業で販促施策推進を目指しています。

      ツルハ様及び取引先メーカー様との取り組み

      こうした事例を通して、藤井氏はマイクロソフトに期待されている役割として、「高度で包括的なデジタルプラットフォームや技術関連情報の提供」「国内外のDX事例情報やナレッジの提供」「最新ソリューション、またはそれを有するパートナーエコシステムの提供」「デジタル人材の育成」があると挙げました。

      藤井:DX は、これからもずっと続いていくものです。“消費者市場の変化”が常態化している前提を踏まえて、スピーディーに改善しなければなりません。だからこそ、デジタルフィールドバックループや、さまざまなプラットフォーム製品を包括的に用意、設定しておかないと行き詰まってしまいます。DXはデータが中心であるという話が論点として出てきていますが、その前提条件としてデータ中心のアーキテクチャを意識してデザインしておく必要があるでしょう。

      小売・消費財製造業との取組を通じた重要性認識 「デジタルフィードバックループ」

      データを中心としたフィードバックループも実現する「DX基盤アーキテクチャ」

      プラットフォームベンダーのノウハウを活用したデジタル基盤の構築は、「クラウドテクノロジーで迅速かつ柔軟なシステム実装」「包括的なデジタル基盤に顧客と取引先を接続し、データとインテリジェンスにもとづく継続的なアクションを実現する」ことを可能にします。その結果、消費財メーカーのDXはしっかりと事業収益につながるかたちで実現できると言います。

      日本マイクロソフト×電通のソリューションでDXの実現を支援

      日本マイクロソフトと電通グループがそれぞれの強みを活かすことで、消費財メーカーのDXにさまざまな効果を生み出せると八木は話します。

      八木:マイクロソフト社の強みは、最新のデジタルプラットフォームやグローバルで蓄積した最新事例が挙げられます。また、電通グループの強みは、サービス企画・開発やサービス・UX運用組織の構築です。両社の強みを掛けあわせることで、「DX企画支援」「最先端の情報の提供」「実際のプロジェクトの推進」「内製化するためのデジタル人材の育成」をトータルでカバーし、プロジェクトの構想計画フェーズの初期段階から素早い立ち上げを支援することができます。さらには全体戦略の策定、そして実際に仮説を立ててプロトタイプを作り、ユーザー評価をし、技術を組み合わせていくこともできます。マイクロソフト社と電通グループのタッグで、消費財メーカーDXの成功確率を高めるための支援をしてまいりたいと思っています。

      マイクロソフトと電通グループで提供するサービス

       

      Webinar Report

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