課題解決マーケティング情報サイト
[ Do! Solutions|ドゥ・ソリューションズ ]

      エキスパートが事例を分析!「寄り添い型のCRM」で目指すカスタマーサクセスの本質とは

      たくさんの商品やサービスから、消費者は自分に合ったものを選べる時代。企業にとっては、消費者から信頼を得ることがCRMに必要です。しかし、マーケットや消費者の行動が目まぐるしく変わるいま、CRMの原点に立ち戻り、考え直すことが求められています。

      このセッションでは、長年にわたりクライアントのデジタルマーケティングを支援している、電通デジタル ビジネストランスフォーメーション部門 部門長補佐の魚住高志(うおずみ・たかし)が、これからの時代にマッチした「寄り添い型CRM」について事例を交えながら紹介。日本のおもてなし文化にも通底するカスタマーサクセスについて、その組み立て手法も含めて解説しました。
      以下に、Do!Solutions編集部がセッションの内容をまとめます。

      「People Driven Marketing® 実践ウェビナー2020」概要はこちら

      すでに始まっているカスタマーサクセス志向

      ともすれば商品の売り込みを優先しがちな企業からユーザーへのコンタクトにおいて、効果的なカスタマーサクセスを行っている企業があります。

      魚住:最初にご紹介する事例は、Amazonの取り組みです。Amazonでは、蜂蜜と乳幼児向けの製品を同時に購入した顧客に向けて、「Amazonあんしんメール」を配信しています。このメールには、「乳幼児に蜂蜜を与えるとボツリヌス症の発症の危険性があるので気をつけてください」という主旨の注意喚起が記してあります。

      人によっては、おせっかいとも捉えられかねない案内です。しかし、乳幼児を育てている、もしくは関連している顧客に向けて、望ましくない事態の予防や対処までを見据えた注意喚起は、結果的に顧客からの評価につながっていると言います。

      Case. 休眠客に契約を継続するかを確認し、反応がなければ自動解約

      魚住:続いての事例は、ネットフリックスです。ネットフリックスでは、しばらく視聴をしていない休眠客に対して、契約を継続する意思があるかどうかの確認をし、反応がなければ許可を取らずに自動解約するサービスを行っています。自社の収益性を下げかねない取り組みですが、まさに顧客視点でありカスタマーサクセスに近い事例を象徴しています。

      Case. 休眠客に契約を継続するかを確認し、反応がなければ自動解約

      既存市場に参入するサービスプラットフォーム企業は、このような取り組みを通じて顧客の信頼と接点を構築。この動きは、既存市場に属する企業にとって今後ますます脅威になると分析します。

      魚住:これまで顧客は製品に対して、「どの製品が最も優れた機能を有しているか」を重視して製品を選んできました。しかし、いまは顧客志向の振る舞いをするサービスプラットフォームに顧客視点を奪われている状況です。たとえば、「どこのサブスクリプションサービスが最もメーカーの品揃えを揃えているのだろう」という視点に切り替わっていく可能性があります。つまり顧客がメーカーよりもサービスで製品の購入を決めていくことで、これまで培ってきたブランドが消失するリスクにもつながってしまいます。

      起こりうる危機

      ここで、カスタマーサクセスという言葉の意味をあらためて確認します。

      魚住:カスタマーサクセスとは、直訳すれば顧客の成功」です。購入したモノやサービスを顧客により良く使ってもらうことで、顧客との信頼を構築し、その結果として事業成長が達成されるという思想です。従来B2Bの領域で使われていた言葉で、SaaSサービスを提供している企業が自社のソリューションを提供することにより、顧客の成功まで伴走することで競争力が向上していくという考え方でした。それが、B2Cの領域にも派生したと考えられます。

      顧客との信頼関係のループでカスタマーサクセスを実現させる

      これまでのマーケティングは、「顧客にモノを売ることが企業のKPIにつながる」という考え方をベースにしていました。それに対し、魚住は異を唱えます。

      魚住:日本の伝統的なおもてなしといえば、「目配り、気配り、心配り」であったはずです。それがいつのまにか、クーポンに代表されるような“金配り”活動になっていきました。これはある意味思考停止の状態であり、本来のCRMの意義である、顧客に寄り添ったおもてなしに戻していく必要があるでしょう。

      原点に立ち戻り、カスタマーサクセス志向のマーケティングの全体像を描くことで、従来のマーケティングとは異なるマネジメントが見えてきたという。

      魚住:製品を購入いただいた後に、顧客の信頼を築くための活動が日常の中で行われる、という状態がカスタマーサクセスマーケティングです。信頼のベースが描けた後に再び興味に戻り、再購入いただくというループを描くかたちです。よく「アップセル・クロスセルを繰り返してロイヤルティが高まっていく」という構図をみますが、個人的には「ロイヤルティが高まるからこそ、アップセル・クロスセルされていく」と考えています。

      カスタマーサクセス志向のマーケティング全体像

      とはいえ、クライアントからは、「そんな悠長なこと言っていられない」「経営者からは、どれだけ売れたのかという点が求められる」という声も聞こえてくるそうです。

      魚住:そんなときは、このループの中で信頼のベースを築くということが、再購入の優先交渉権を得ることにつながる」とお伝えしています。結局のところ関係の循環が健全に回れば、最終的な売上増につながるといえます。

      プロトタイピングからのスタートで「小さくはじめて大きく育てる」

      電通デジタルでは、顧客の信頼と接点に課題を抱える企業に対して、すでに「カスタマーサクセスのプロトタイピング」という取り組みを提案しています。手法としては、小さくはじめて成果を証明し、大きく育てていくという取り組みです。

      プロトタイピング全体像

      プロトタイピングのプロジェクトプランには、3つのステップがあると魚住は説明します。具体的な内容は次の通りです。

      ステップ1

      カスタマーサクセスが顧客にとって、どうあるべきなのか仮説や調査を行います。

      ステップ2

      カスタマーサクセスの取り組みを通じて、長期的にどういうようなKPIを定め、何のKGIを押し上げていくのかというようなことを策定。それに合わせてカスタマーサクセスの一定期間でのプロトタイプを計画します。

      ステップ3

      施策の実行に必要なチームアップをした後、具体的な活動を実行していきます。

      魚住:KPIの策定に関連する顧客ロイヤルティの作り方として、心理指標と行動指標を組み合わせた独自指標を設定しています。長期的視点と短期的視点を組み合わせることで、企業にとっていかにカスタマーサクセス志向が重要で、それがきちんと収益にプラスになっているということを、ロジックを詰めながら進めていきます。

      行動経済学における6つのナッジを利用

      続いて、具体的なカスタマーサクセスの作り方について、次のように説明します。

      魚住:カスタマーサクセスは、ときに顧客が“おせっかい”に感じる働きかけになることもあります。そのような場合を想定して、電通デジタルでは行動経済学を活用した緩やかな介入を行っています。行動経済学には「ナッジ」という考え方があります。これは、人々に強制でなく自発的に、望ましい行動を促すような仕掛けのようなことです。私たちは、ナッジの6原則をカスタマーサクセスの観点から再定義し、プランニングの基礎に取り込んでいます。

      「行動経済学(ナッジ)」 6原則を起点とした施策立案

      実際に、ナッジを活かしてカスタマーサクセスを実現させた企業の事例が紹介されました。

      魚住:JALの「どこかにマイル」は、会員が貯めたマイルをミステリーツアー的に使っていただく旅行パックで、4つの選択肢からツアーを選ぶことができます。これは旅のプランニングを面倒くさいと感じる顧客に向けて、選択する楽しさも残しながら、旅を促すような商品です。まさに行動経済学に基づいた考え方だといえます。

      Case. 面倒くさくない範囲で「選択する喜び」を提供する

      引用:JAL「どこかにマイル」Webサイト

      魚住:もう1つは、自動車保険会社の事例です。翌日に大雨や強風の予報が出たときに、自動車保険会社から顧客に対して、「明日、大雨災害が起こる可能性があります。そのときに、もしあなたの自動車に傷などがついた場合は、保険の対象になるかもしれないので、きちんと申請してください」と連絡を入れるという取り組みです。短期的には収益を圧迫する可能性を含みながらも、長期的には顧客のロイヤルティが高まることが考えられます。

      いずれの事例も、どうやって顧客の日常に寄り添っていくのかを考え、カスタマーサクセスにつなげていることが分かると魚住は言います。こうした事例を踏まえながら、電通デジタルでは、プロトタイピングから企業を支援しています。

      魚住:これからのマーケティングは本来のおもてなしの文化である「気配り、目配り、心配り」に、もう一度戻す必要があると考えています。全社的に行うのは難しいかもしれませんが、真の「顧客に寄り添うCRM」の実現に向けて、お客さまとディスカッションから始めさせていただければと思います。

      Webinar Report

      Google×PDM®で広がる「データテクノロジー×クリエーティビティ」の可能性

      Google×PDM®で広がる「データテクノロジー×クリエーティビティ」の可能性

      Googleが所有しているデジタルトランスフォーメーション技術と、そこに電通のPDM®を掛け合わせることによって起こるシナジーについて解説します。データテクノロジーとクリエーティブの関係はどうあるべきか、実際に取り組むためには何から始めたらいいのか、米国の事例なども合わせて紹介します。

      New Normal時代のマーケティングに必須な3つのキーワードとは?

      New Normal時代のマーケティングに必須な3つのキーワードとは?

      3日間にわたり開催された「People Driven Marketing® 実践ウェビナー2020」。1日目のキーノートで紹介された、電通が取り組んできたPeople Driven Marketing®(ピープル ドリブン マーケティング)の現在地と、今回のウェビナーの全体像についてまとめています。

      エキスパートが事例を分析!「寄り添い型のCRM」で目指すカスタマーサクセスの本質とは

      エキスパートが事例を分析!「寄り添い型のCRM」で目指すカスタマーサクセスの本質とは

      マーケットや消費者の行動が目まぐるしく変わるいま、企業はCRMの原点に立ち戻り、考え直すことが求められています。これからの時代にマッチした「寄り添い型CRM」について事例を交えながら紹介します。また、日本のおもてなし文化にも通底するカスタマーサクセスについて、組み立て手法も含めて解説します。

      DXを制するものがマーケットを制する!消費財メーカーとリテールによる競争と共創

      DXを制するものがマーケットを制する!消費財メーカーとリテールによる競争と共創

      消費財メーカーにおいて、流通再販モデルから、流通小売と競争&共創するモデルへと変革が進んでいます。背景として、米国でどのような変革が起きているのか、大手小売会社であるウォルマートとAmazon、そして消費財メーカーのNIKEの例から解説します。では、消費財メーカーDXの成功確率を高めるためにはどうすれば良いのか?国内事例も合わせて紹介します。

      B2Bマーケティングはなぜ難しい? 失敗と成功を知り尽くすプロが注目する「アクロスPDM」とは

      B2Bマーケティングはなぜ難しい? 失敗と成功を知り尽くすプロが注目する「アクロスPDM」とは

      人によるセールスマーケティングから、マス領域への拡張が進むB2B領域。変貌を遂げているB2Bマーケティングを成功させるための手法、思考法、落とし穴への注意点とは?ABMとPDM®をかけあわせた「アクロスPDM」の戦略について、Sansan株式会社と電通とで行ってきたプロジェクトを例に解説します。

      データの未来。クリエーティビティで、社会と事業を変えていく

      データの未来。クリエーティビティで、社会と事業を変えていく

      卓越したクリエーティビティでデータを駆使し、さまざまな事業課題を解決してきた電通メンバー3名が語る「データの未来」とは?自社のビジョンやブランドがもつ哲学を顧客が必要とするサービスに昇華し、社会をよりよくしていくために真に必要なデータ活用について、具体的な事業開発の事例と共に紹介します。

      REPORT TAG

      新規CTA
      無料

      mail magazine

      最新ソリューションネタを
      メールでお届けします!

      ALL TAG