人口減少が進む中で、ひとりひとりのお客様と生涯にわたる関係をつくる「ライフタイムバリュー(LTV)」戦略への注目が高まっています。一方で、たとえば商品単価や購入頻度などの特性から従来のCRMの考え方がうまくフィットせず、「お客さまとの関係をどう育んでいけばいいのか分からない」という声も少なくありません。
そんな中で、商品・ブランドに対して愛着のあるファンを増やし、持続的に売上を拡大させていく「ファンマーケティング」に注目が集まっています。
これまでのファンマーケティングは「余裕があれば取り組む施策」「既存ファン向けの企画」として限定的に捉えられがちでした。そのため、短期効果を求めて頓挫してしまう例も少なくありませんでした。
また、多くのブランドがポテンシャルファン(これからファンになる可能性のある人)への視点が抜け落ちていたり、“ファン基盤のエイジング” (ファン基盤のボリュームゾーンが高齢化し、若年ファンが育っていない)という課題に直面しはじめており、それは事業成長にとっても課題となります。
盤石なファン基盤を維持することは、企業・ブランドにとって重要な生命線。大切なのは既存ファンだけでなく、ポテンシャルファンをどう見つけ、どう関係を育んでいくかという視点です。ファンづくりを局所テーマではなく、「デュアルファネル」(獲得フェーズから育成フェーズまでのマーケティング全体) のテーマとして捉え直し、戦略的に取り組むこと(=ファン育)が持続的なブランド成長のカギとなります。
「Fan Farming CX」は、ファンマーケティングを「マーケティングのデュアルファネル全体にかかるテーマ」として捉え、戦略設計から実行・検証までを支援するサービスです。
特定の施策に偏るのではなく、企業や商品・サービスごとに異なる「ファンとの向き合い方」を設計し、LTV向上や次世代ファンの育成につなげていきます。
Fan Farming CXで捉えるファンは、「既存ファン」と「ポテンシャルファン」の双方です。既存ファンをブランド貢献の高い役割の担い手(パワーファン)へと育むことはもちろん、ファンになるまでのカスタマージャーニーを分析し、ファン化するモーメントを発見することで、ファンへのエントリーポイント=“ファントリーポイント”を押さえたファン育マーケティングにつなげていきます。
ファンマーケティングは短期成果が見えづらく、中長期的な取り組みへの社内合意、成果の管理環境が整わずスタックしがちな領域です。避けるべきは、ファンの解像度や定義、ファン育成の目的があいまいなまま着手し、実装が難航・道半ばで頓挫というバッドシナリオ。そんなつまずきを生まないためにも、独自のリサーチフレーム 「Co-Fanリサーチ」を用いてファンの徹底理解を図ることを推奨しており、ファン育羅針盤の策定からスタートすることを大切にしています。
ファンマーケティングのアウトプットとして「コミュニティ」や「アンバサダー施策」が想起されやすいですが、Fan Farming CXで辿り着く解はそこに限らず、例えばCM出稿が1つの解となるケースもあります。企業・ブランドごとのファン育課題に対応する最適解をファネル全体で探索しながら、アクションの実施/検証をサポートします。
Fan Farming CXでは、ファン育の度合いを進捗管理するしくみも装備しています。安全にデータを共有し、個人情報を保護しながら高度なデータ分析を可能にするデータクリーンルーム (DCR)を活用した「Fan Growth Ground」を整備。デジタル上でポテンシャルファンの状況や育成の進捗を追っていきます。 “ファントリーポイント”を狙った施策への反応から、ファン化の可能性の有無を見極め、 次のファン育施策の最適投資と設計につなげます。
「ファンマーケティングに取り組んでみたいが、何から着手すればいいか分からない」「チームメンバー全員でファンマーケティングの基礎スキルを身につけたい」。Fan Farming CXでは、体系化されたフレームワークを研修形式でブランド担当者に提供し、チーム全体の“ファン育スキル”を底上げするプログラムも備えています。
Fan Farming CXでは、すぐさま実装フェーズに向かわず、プロジェクトを3つのフェーズでデザインし、体系的にワークプランを立てることを推奨しています。
リサーチデータに基づいたファンの分析・理解をもとに、“ファン育”方針策定ワークショップを行い、今後の戦略の土台となる”ファン育指針” を固めます。
1:Co-Fanリサーチの実施
定量調査を起点に現在のファン・パワーの状態や、カスタマージャーニーから「ファンになるトリガーモーメント」を把握し、ファンの徹底理解に基づく “ファン育指針”策定の材料を整理します。
2:“ファン育”方針策定ワークショップ の実施
リサーチから得た示唆をもとに、自社ファンの育成に携わるメンバーを巻き込んだワークショップ(2DAY)を行い、ファン育方針への合意形成を図ります。
3:“ファン育”戦略書の作成
ワークショップで合意した内容を”ファン育”戦略書としてまとめ、チームが立ち返るべき場所を明確にします。
コミュニティ構築などのアクション計画がすでにある場合は、それを踏まえてプログラムをカスタマイズして提供します。また、PDCA環境「Fan Growth Ground」の整備を検討される場合は、それに適したリサーチにカスタマイズして提供いたします。
フェーズ1で合意した“ファン育”戦略書をもとに、 最適な”ファン育”アクションを、デュアルファネル全体で検討し、企画を行います。
フェーズ2で合意したアクションの本格準備・実装を行います。アクションプランに応じたPDCAプランの設計も行います。 コミュニティ開発を進める場合は、独自のワークフレーム「Community Design Copmpass」を用いて設計を支援します。 詳しくはお問い合わせください。
Fan Farming CXをご活用いただくと、ファンになる確度が高い層のエントリーポイント=ファントリーポイントに向けて効率的な投資が可能になり、LTVが高まる可能性のある新規顧客を効率的に獲得することができます。
“ファン育”戦略の策定が、通常のコミュニケーション施策のアイデア創造につながります。例えば、ファンの声からTVCMやLINEの投稿などにすぐに反映できる示唆を得て、思ってもみない解を見出すケースが生まれてくるなど、これまでの画一的思考から脱却したアイデアが実現できます。
フェーズ1のワークショップを活用してファンの評価や期待をつぶさに把握することで、ファン視点の価値が明確になり、ブランド価値の再規定やリ・ビルディングにつなげることができます。
ファンの特徴をAIに学習させることで、“AIファンペルソナ”を生成し、“AIファンミ(AIを活用したファンミーティング)”を行うことが可能になります。仮想ファンを議論の壁打ちパートナーとして隣に置いて、手近に商品・サービスアイデアの創発ができるようになります。
プロジェクトを通じて、社員がファンの生声に数多く触れる機会が増えることで、社員のブランドや自社に対する愛情に火が灯され、インターナル・モチベーションが高まります。プロジェクトの副産物として、多くの実施企業様から喜びの声を頂いています。