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    インフルエンサーと協業するうえで押さえておきたい5つのTips―インフルエンサー活用は、ソーシャルメディアマーケティングの必須メニューへ―

    最終更新日:2023年06月19日

    INDEX

    1. SNSの時代とインフルエンサーの台頭

    SNS(Social Networking Services)は現代の情報メディアを、そしてマーケティング施策を考えるにあたって、最も重要なテーマのひとつとなりました。さまざまなかたちで語ることができますが、その成り立ちを発信力のある個人がどう変遷していったのか――という視点から読み解くこともできるでしょう。アルファブロガー、ツイッタラー、インスタグラマー、ユーチューバー、TikToker…と。一般的には、それらを統合して、「インフルエンサー」と呼びます。

    三省堂の「今年の新語2017」では、大賞「忖度」に次ぐ第2位に「インフルエンサー」が選ばれるなど、この時期に多くの人に知られるようになったことがわかります。その三省堂によれば、定義は以下のように与えられます。

    経済・流行・価値観などに関して、多くのひとびとに強い影響を持つ人物。特に、インターネットなどのメディアを通して購買活動に大きな影響を与える人を言う。「―マーケティング」

    ここでのポイントは、生活者の購買活動に大きな影響を与えるということです。サイバー・バズ/デジタルインファクト調べによると、2020年のソーシャルメディアマーケティング市場は5,519億円で、「インフルエンサーマーケティング」に関するものは317億円で全体の5.7%(構成比率は第2位)。2025年にはインフルエンサーマーケティングの市場規模は2020年対比で約2.3倍の723億円に達すると予測されています。
    今後の市場の伸びを鑑みても、より重要性を増していくテーマであることがわかります。

    2. 若年層はなぜインフルエンサーを頼りにするのか

    インフルエンサーマーケティングは、若年層ととても相性の良い施策です。
    私の所属する電通メディアイノベーションラボが行った「頼りにするメディア調査(2018年)」の結果からは、世代ごとにどのメディアの情報を頼りにしているのか(メディアの信頼性ではなく、情報源としての重要性について)、その差が鮮やかに見えてきました。

    頼りになっているメディアや情報源

    この図は、表頭に各世代、表側に各メディアでクロスし、赤のバーはネガティブ、青のバーはポジティブであることを示しています。黄色で囲ったセルにあらわれているように、特に若年層ほどSNSを通じてインフルエンサーが発信する情報を頼りにしていることがわかります。

    また、私が担当した別の調査プロジェクト「電通・UUUM共同調査(2018年)」では、なぜ頼りにされるのかについてのヒントが明らかになりました(調査の細かな条件は記事の末尾を参照)。今回は得られた知見をコンパクトにご紹介します。

    各メディア・情報源の信頼性/信頼性スコア

    この図は、インフルエンサーに影響を受ける人々の視点で各メディア・情報源を「信頼性」と「信望性」の軸でグラフ化したものです。前者は、社会的な信用、伝統といったリソースを裏付けとするもので、後者はパーソナルな親しみ、好感、共感性を意味しています。
    ※「信頼性」のスコアについては、調査項目の、サービスやメディアは「広く認知されている」「価値が保証されている」「これからも長く続いていく」のいずれかにONした回答者の割合を用いています。一方、「信望性」のスコアについては、「好感や親しみ」「等身大である」「相性が良いと信じられる」について同様に算出したものです。

    縦軸が信頼性のスコアを指しており、テレビやポータルサイトが上位にきています。そしてテレビ・新聞の公式サイト、新聞、雑誌などが続きます。具体的なスコアは、テレビは信頼性が77.0%、信望性は24.7%。有名ポータルサイトAは信頼性が69.3%、信望性は17.7%。どちらも信頼性では優位となっており、第2象限に位置しています。例えば、日本のどこでも電波が行き届き放送を受信できること、毎日ちゃんと新聞が届くことなど、情報の質はもちろん、それを支える社会的装置の盤石性が影響していると考えられるでしょう(メディアの社会性・産業性の側面)。

    その一方で、信頼性は高くないが信望性は高いものとして、「家族・友人・知人」や店舗での店員との会話、あるいは口コミなどが挙がります。確かに日常的にこうした場で得る情報には一般性はないものの、「私」にとっての親しみや共感を惹起し、情報フィルターをかいくぐって浸透してくるものに他ならないわけです。

    では、信頼性と信望性はトレードオフなのでしょうか?

    そうではないことが第1象限に注目すると分かります。ここに位置するYouTubeクリエイターは信頼性が54.7%、信望性が66.1%。そして、Instagramクリエイターは信頼性が55.1%、信望性が68.5%となっています。信頼性に加え、他のメディアや情報源と比較して信望性が高いスコアとなっており、どちらも特異的なポジションを獲得しています。

    またYouTubeよりもYouTubeクリエイター、InstagramよりもInstagramクリエイターの方が信望性スコアが高いことも、ここでの論旨に合致しています。

    なお、信頼性と信望性は対立するように見えて通底する性質を持ちます。信望性の高いインフルエンサーも、信頼性の高いマスメディアに露出することで、より自身の信頼性を高めるといったサイクルが生まれるのです。

    3. 企業・ブランドがインフルエンサーと協業するうえで気を付けておきたいTips

    では、そのインフルエンサーと企業・ブランドが協業するメリットとは何でしょうか。

    それは、インフルエンサーが企業・ブランドと生活者の中間的なポジションで価値を発揮しているためです。だからこそ、前述の高い信望性スコアにあらわれていたように、企業・ブランド主語では弱くなりがちな共感を惹起する発信が可能となるわけです。

    では、協業する際に気を付けておくべきTipsとしてはどういったものがあるでしょうか。私たちが実施した電通・Facebook Japan共同調査(2018)から見えてきたのは、以下の5つのポイントです。

    1. インフルエンサーに伝えてほしいことは明確になっているか。またそれがオリエンテーション・依頼内容として正確にまとまっているか。
    2. そのインフルエンサーのキャラクターや普段投稿している内容は、こちらが望む「伝えてほしいこと」に効果的に寄与するか
    3. 商品・サービスのことをちゃんと知ったうえで意義ある発信をしたいというインフルエンサー側の熱量を踏まえ、インフルエンサー自身に商品・サービスの魅力を十分に伝えられているか
    4. インフルエンサーは、企業やブランドが思っている以上にファンファーストな姿勢で情報発信を行っている。協業することが、インフルエンサーのファンにとってのメリットや価値につながるか
    5. ファンのことはインフルエンサーがもっともわかっていることを踏まえ、インフルエンサーを信頼して依頼する=口を出しすぎないという向き合い方ができるか

    では、実際に協業を行った場合に、どのように施策の効果を確かめればいいでしょうか。見るべき代表的な指標としては以下のようなものが挙げられるでしょう。

    投稿へのいいね数など:その他、Twitterであればリツイート数やInstagramであれば保存数といったポジティブなリアクション一般
    投稿へのコメント:どのくらいあったかという定量的な視点と、ポジネガどんなコメントがあったかという定性的な視点
    ● UGC数:そのインフルエンサーの投稿を受けてどれだけ自発的にユーザー自身がブランドについての発信(User Generated Contents)を行ったか(二次的、三次的…な情報拡散がどれだけあったか)
    ● DM(ダイレクトメール):その投稿によって気持ちが動き、購買活動などにつながったファンからインフルエンサーに直接連絡がいくこともあり、そのコミュニケーションがどれだけ刺さるものだったのかを把握する一助になる

    この効果指標の考え方はとても大事なので、求める成果ごとにどう指標を使い分け組み合わせていくのか、本連載の第2回でより実践的な話をする予定です。

    4. インフルエンサーとの協業はPromotionだけでなくマーケティングの4P全体に拡張する

    インフルエンサーとの協業は、一般的にはブランドの商品やサービスを紹介してもらうかたちが多いといえます。それは、マーケティングの4PにおいてはPromotionに該当します。
    その一方で、D2C(direct-to-consumer:消費者直販)/DNVB(digitally native vertical brands:デジタルネイティブを起点に生まれたデジタル直販ブランド)という領域への注目度が高まる現状にも目配せをしておく必要があります。いまではインフルエンサーが自身の、あるいはブランドと組んでの商品開発を行うことが珍しくなくなりました。つまり、4PにおけるProductであったり、あるいはオンライン上でそのまま商品を売ってしまうという意味でのPlaceをもカバーし始めているといえるでしょう。ここから、マーケティングの4P(product、price、place、promotion)全体をインフルエンサーが担い始めているという大きな潮流が見えてきます。

    いくつかの調査からは、小さなスタートアップはもちろん、大きな企業もこのD2C領域に投資しているものの、まだ他社と差別化できていないなどといった課題が浮かび上がってきています。
    そのような壁を乗り越えるための取り組みの一つこそが、広がりを見せるインフルエンサーとの協業の実践であり、そうした拡張の在り方は「インフルエンサーマーケティング」のマーケティング的進化に他ならないのだとまとめることができるでしょう。

    【調査概要】
    調査会社:株式会社電通マクロミルインサイト
    調査時期:2018年12月中旬(インターネットでのアンケート定量調査)
    サンプル構成:13〜49歳の男女4,200名。以下の条件を加味。

    ● カテゴリーごとのインフルエンサー推奨の効果を見るため、直近2~3ヶ月に以下27のカテゴリーにおいて継続利用を除き商品を買った人をスクリーニング。
    アパレル、クロージング(服)、バッグシューズ、フットウェア旅行、レジャー、スキンケア製品(洗顔料、化粧水、乳液、美容液など)、メイクアップ製品(ファンデーション、口紅、マスカラ、アイシャドウなど)、ボディケア製品(ハンドクリーム、ボディソープ、ボディスクラブ、ボディクリーム、ボディオイルなど)、香水、ヘアケア製品(シャンプー、コンディショナー、トリートメントなど)、時計、アクセサリー、宝飾品、アイウェア(メガネ、サングラス)自動車、ホテル、旅館、レストラン、グルメ、アルコール飲料(ワイン、ビール、日本酒、カクテルなど)、カップ麺・冷凍食品・お菓子などの加工食品、野菜・魚などの生鮮食品、ゲーム、スマホアプリ、清涼飲料、ヘルスケア、フィットネス(サプリメント、健康食品など)、情報デバイス(スマートフォン、タブレット、パソコン、スマートウォッチなど)、生活家電(冷蔵庫、電子レンジなど)、デジタル家電(テレビ、レコーダー、デジカメ、オーディオ類など)インテリア、家具食器、調理器具スポーツ、アウトドア用品

    ● SNS非利用経験者はスクリーニングの段階で除き、そのうえで「認知」「来店、WEB訪問」「試してみたい」「購入」のいずれかのタイミングで利用したメディア・情報源にWEB・インターネット(ポータルサイト・SNSなど問わず)を選択し、かつそれがInstagram、Facebook、Twitter、LINE、SNOW、TikTok、MixChannel、YouTube、C CHANNEL、ブログ(AmebaブログやLINEブログなど)のいずれかである人を「SNS影響層」(男性が0%、女性が63.0%)と定義。さらに、上記ソーシャルメディアを選択したうえで、「マスメディア(テレビ、新聞、雑誌など)には出ていないが、ネット上では有名な人の発言や投稿」か「世の中で広くは知られてはいないが、特定のジャンルでは有名な人の発言や投稿」を選択した人を「インフルエンサー影響層」(男性が18.0%、女性が82.0%)とし、その他を「一般層」(男性が42.2%、女性が57.8%)と分類した。内訳は、一般層:2,600名、SNS影響層:1,300名、インフルエンサー影響層:300名。

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