対象商品を買った人だけが応募できるマストバイキャンペーン。新商品の発売時、リニューアル時、既存商品の底上げを目的に実施されることが多く、商品の購買をダイレクトに促進できるため、店頭での売上増加が期待できます。ただし、購買が条件となるため、できるだけ多くの人に参加してもらうには工夫が必要です。この記事では、マストバイキャンペーンで応募者数を増やし、キャンペーンを成功させるために押さえておくべきポイントを、電通データ・テクノロジーセンター 平川 真一郎が解説します。
INDEX
スーパーやネット広告などで、このような懸賞を見かけたことはないでしょうか?
「対象商品を購入して点数シールを30点分集めると、必ず景品がもらえます」
「応募ページでシリアルナンバーを入力してご応募ください」
「ラベルに記載したQRコードからポイントを貯めて応募!」
「対象商品を含む合計1,000円(税込)以上お買い上げのレシートを1口としてご応募ください」
これらがマストバイキャンペーンです。マストバイキャンペーンとは、「特定の商品を購入すること」が応募条件となっているキャンペーンのこと。応募する際には、応募条件を満たしているかを確認するために、参加者に商品を購買したことを証明してもらう必要があり、この手続きを「購買証明」といいます。
上の例では、それぞれ「点数シール」「シリアルナンバー」「QRコード」「レシート」が購買証明にあたります。
マストバイキャンペーンに応募するには、必ず対象商品を購買する必要があるので、販促効果による直接的な売上アップが期待できます。スタートダッシュが欲しい新商品の発売時やリニューアル時、売上が低迷している既存商品の底上げをしたい時などに利用されます。
また、マストバイキャンペーンを実施すると、スーパー、コンビニ、ドラッグストアといった実店舗の売上アップにもつながるので、流通・小売の販促支援としても効果があります。
新商品は最初にどれだけ多くの生活者に知ってもらうかが重要。商品を認知してもらい、できれば実際に購買して新規顧客になってもらうためには、広告と同時に販促キャンペーンを実施することが効果的です。商品のカテゴリー自体を今まで利用したことがない潜在顧客を掘り起こすことや、自社の商品に乗り換えてもらうブランドスイッチを起こすキッカケとして、マストバイキャンペーンは有効です。
商品の売上を底上げするには、既存顧客の購買回数を増やし、リピート購買を促進するための施策も大事です。マストバイキャンペーンを実施すれば、期間中に繰り返し商品を購買してもらえることはもちろん、キャンペーン終了後も、商品の良さを実感して気に入ってくれた生活者が継続して購買してくれる可能性が高まります。
魅力的なプレゼントが用意されたマストバイキャンペーンは、当選はもちろん、応募したときのワクワク感も大きいもの。最近では、応募したことや、当選したこと、落選したことをSNSでシェアする生活者もたくさん見られるようになりました。
これにより、実際にキャンペーンに参加した人だけでなく、そのフォロワーにまで広く商品を知ってもらうきっかけを作れるため、ブランド認知度を高めることができます。
また、「春の○○祭り」のように、毎年同じ時期にマストバイキャンペーンを実施するとキャンペーン自体の認知が広まり、生活者に覚えてもらいやすくなり、さらにブランドの認知度向上に効果があります。
さらには、キャンペーンを開催することでブランドへの好意が上がることや、その後のブランドへのロイヤルティの向上も期待できます。
様々な成果が期待できるマストバイキャンペーンですが、先に述べたように、応募する際には参加者に商品を購買したことを証明してもらう「購買証明」の手続きが必要です。 マストバイキャンペーンの購買証明には、以下のような種類があります。
購買証明の種類 | 応募方法 |
---|---|
商品パッケージの一部 | バーコードなどを切り取ってハガキや専用の台紙に貼って応募 |
商品に貼付されたシール | シールをハガキや専用の台紙に貼って応募 |
シリアルナンバー・QRコード | シリアルナンバーをWebサイトで入力して応募 |
商品購買時のレシート | レシートをハガキや専用の台紙に貼って応募、またはレシートを撮影し、写真をアップロードして応募 |
応募のための作業には手間がかかります。切り取った商品パッケージの一部をハガキに貼って応募する方法の場合、ハガキを常備している家庭は少なくなっているでしょうから、ハガキと切手を買い、パッケージを切り取ってハガキに貼り、ポストへ投函しにいかなくてはなりません。
シールを台紙に貼って応募する方法の場合は、応募条件を満たす点数が溜まるまで台紙をなくさないように管理する手間がかかりますし、切手代は生活者に負担していただくことになります。
紙のレシートを撮影してアップロードしたり、シール記載のシリアル番号をWebサイトで入力したりする場合も、手入力による手間がかかります。
商品パッケージを切り取ってハガキに貼ったり、シリアル番号の数字を間違えないように入力したり、レシートを撮影したりするのは、事務作業のようで、それ自体楽しくはありません。
マストバイキャンペーンを実施する目的は売上アップなど様々ありますが、一番の狙いはお客さまに良質なブランド体験をしてもらい、商品の価値を知っていただくことにあります。
商品を利用する瞬間は、まさに生活者の気持ちが一番高まっている「真実の瞬間」(お客さまがブランドや商品と接し、その価値を判断するわずかな時間のこと)で、ブランドの価値や魅力を伝えるまたとない機会です。その瞬間に寄り添える貴重な機会であるキャンペーンの応募体験が、購買証明のための楽しくない作業となってしまうのは、真実の瞬間を台無しにしてしまいかねません。
キャンペーンの応募方法は、参加する応募層に大きな影響を与えます。ハガキや台紙で応募する方法は、昔から利用されている方法ですが、オフライン型に慣れ親しんだ高年齢層に偏ってしまう傾向があり、若年層からは敬遠されがちで、応募数が少なくなってしまいます。
また、一般的に販促キャンペーンに参加するのは、懸賞が好きな方や40〜50代の女性の方が多いため、こうした方々が商品のメインターゲットと重ならない場合、応募してほしい属性の生活者からの応募数が、十分に得られない可能性があります。
ハガキを使って応募する販促キャンペーンを行った場合、抽選・商品発送のあと、ハガキは廃棄されますので、参加者のデータは一切残りません。
仮に、手作業で応募者のデータを入力しても、その後にキャンペーン参加者が継続して商品を購買していただいているのかを検証することは困難で、キャンペーンが直接的、間接的にどれぐらいの成果を上げているのかはわかりません。
販促キャンペーンの応募数を増やすには、景品に豪華な商品を用意するのが一番です。高額な家電製品、高級な飲料品・食品は、スマートフォン・タブレット・スマートウォッチ、ワイヤレスイヤフォンなどの電子機器は、性別や年代を問わず人気で、応募数増加が見込めます。
商品券も人気があります。百貨店、スーパー、量販店で使える商品券や、流通・小売店限定のポイント引換券、ECサイトのギフトカードなどは、自分が好きなもの、必要なものを買えるので、応募したくなる人は多いはずです。
その他にも自社商品の詰め合わせセット、このキャンペーンでしか入手できないオリジナルアイテムなどは、特に自社商品のコアなファンからの応募数を増やせる可能性がある景品になります。
ただし、マストバイキャンペーンは、景品類の限度額が景品表示法で決められているため、いくらでも豪華にできるわけではない点に注意が必要です。
例えば、一社で行うマストバイキャンペーンは、景品表示法では「一般懸賞」に分類されます。一般懸賞では、懸賞の取引価格が5,000円未満の場合、個々の景品類の上限金額は取引価格の20倍、景品類の総額の上限金額は、取引予定総額の2%以内と定められています。
懸賞の取引価格が5,000円以上の場合は、個々の景品類の上限金額は10万円、景品類の総額の上限金額は、取引予定総額の2%以内となります。
※参考:消費者庁HP「景品規制の概要」
キャンペーンへの応募が事務作業のようなわずらわしい手続きではなく、手軽で簡単に応募でき、それに加えて楽しい仕掛けがあれば、応募したいと考えた人のうち、実際に応募する人の増加が見込めます。
例えば、スマホアプリから応募することで、メタバースやAR上でのゲームなどのギミックによるワクワク感や、その場ですぐに抽選が行われて当選がわかる仕組み、何度も繰り返し応募したくなるような体験を提供できれば、応募数増加だけでなく、応募間口の拡大や継続率の向上にも寄与しますし、ブランドを好きになってもらうきっかけを作ることができます。
キャンペーンのターゲットとしている生活者に応募してもらうには、その購買層にマッチした応募方法・応募条件・購買証明方法を選択することも大事です。
商品のターゲットが若年層であれば、ハガキ応募ではなく、Webサイトやアプリから応募できる方法が最適です。
また、広く多くの人に応募してほしいのであれば、少ない購買点数から応募できるような条件設定が有効ですし、コアターゲットのまとめ買いを促進しつつ、その層からの応募数を重点的に増やしたい場合は、購買点数を多めに設定すると良いでしょう。
加えて、ターゲットとなる生活者の購買属性や応募状況を把握し、広告やプッシュ通知などで適切なアプローチができる応募・購買証明の仕組みがあれば、応募数を確実に増やすことができます。
ここまでにマストバイキャンペーンの様々な課題や成功のポイントを述べてきました。それらを踏まえて、私たち電通が実践の中で新たに開発したソリューションが、「SCAN DA CAN」(スキャン ダ カン)です。
SCAN DA CANは、特許取得したAI判定モデルを実装した、まったく新しいデジタル購買証明ソリューションです。
生活者は、缶などの容器のフタを開けて、商品パッケージをスマホで撮影するだけで販促キャンペーンに応募できるようになるため利便性が高く、応募数増加に寄与します。
応募したい人は、缶のフタを開け、スマホアプリで撮影するだけ。あとは、AIが缶特有の個体値(缶のフタを開けた形などの微細な違い)を高精度で判定し、1本1本を違う缶として認識し(ユニーク判定)、ブランドを判定します。購買証明が完了すれば、飲んだ本数に応じてポイントが付与されます。
また、SCAN DA CANでは、撮影時の演出をカスタマイズできます。楽しさや、癖になるような体験を提供できるので、その後の継続した応募が期待でき、応募回数アップにつなげることができます。
※酒類におけるキャンペーンの場合、1日の適度な飲酒量への配慮、及び、休刊日への配慮のため、蓄積できるポイントに上限を設けることを推奨しております。 ※厚生労働省の許容飲酒量
SCAN DA CANは、シリアルナンバーの発行や、シールの印刷・貼付、台紙の準備が不要です。
キャンペーン実施前にユニーク判定とブランド判定を行うAI判定モデルを構築し、あとはキャンペーンサイトに実装するだけで、マストバイキャンペーンを実施できます。
従来の購買証明で必要であった、シリアルナンバーやQRコードの発行、シールの印刷・貼付作業にかかるコストを削減できます。削減したコストを次回、次々回のキャンペーン予算にあてることができれば、これまでの1回分の予算で複数回のキャンペーンを実施できるため、応募総数の確実な増加が見込めます。
SCAN DA CANは、缶を撮影するタイミングをデータとして取得できるので、自社商品を、誰が、いつ、どんな場面で飲用しているのか」という1stパーティデータを取得し、CDP(Customer Data Platform)に蓄積することが可能です。
また、そのデータをLINEなどのデジタルプラットフォーマーのIDと連携させて、顧客の属性や応募状況に応じて適切なコミュニケーションを行い、キャンペーンへの応募を促進するといった施策に活用できます。
SCAN DA CANはリリース以来沢山のお問合せをいただき、続々とマストバイキャンペーンに採用されています。キャンペーンの内容に沿って魅力的な設計をカスタマイズして行ってご好評をいただいております。
ご興味のある方は、まずは無料のeBookをダウンロードし、貴社の販促キャンペーン立案にぜひお役立てください。詳細のご説明もいたしますので、お気軽にお問合せください。