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      SNSは友達を作る場所ではない~「令和 若者が望む未来調査」が浮き彫りにしたリアルな若者像 ~[前編]

      電通 未来予測支援ラボが実施した「令和 若者が望む未来調査2019」。同調査は、1万人への自由回答調査を出発点にすることで、前提や思い込みを取り払ったリアルな若者像を浮き彫りにしています。

      そこで同調査の中から、令和の若者の空気感が色濃く反映された印象的なトピックをいくつかピックアップ。同調査を手掛けた市原敬哲さんに、そこから透けて見える若者の心理や、その背景にあるものを解説してもらいました。

      PROFILE

       

      若者に対する思い込みがひっくり返された

      まずは「令和 若者が望む未来調査2019」がどんなものかを簡単に教えてください。

      市原:令和がどんな時代になるのかをつかもうと、これからの時代を牽引する若者たちを対象に、2019年に実施した大規模調査です。

      まずは2019年(令和元年)6月に、15~29歳の男女1万人に「10年後になっていたい自分」と「10年後になってほしい社会」の2項目について、自由回答形式で記述してもらいました。1万人規模での自由回答調査は、なかなか珍しいと思います。

      その後2019年12月に、6月調査で得られた知見の確認・検証を目的に、15~29歳の男女600人に選択回答式の追加調査を行いました。その2つの調査結果を分析し、まとめたものが「令和 若者が望む未来調査2019」になります。

      調査をしてみて、どんな感想をもちましたか。

      市原:若者に対する思い込みや願望みたいなものが、ひっくり返された感がありました。たとえば若者はやっぱり挑戦的だよねとか、個人主義なんだろうねといった前提が、きれいにひっくり返されたなと。あわせて今の若者のすばらしさが見えてきたところもあったし、意外と我々の世代とあまり変わらないんだなという部分もありました。

      調査結果の中から、特に印象的だったトピックをいくつか紹介ください。

      市原:今回の調査で特に興味深かったのが、テクノロジーに対する意識です。SNSやスマホが当たり前の時代に育ち、その利便性を享受してきた世代にも関わらず、テクノロジーを信じきれていない部分が多分に見られました

      テクノロジーへの想い

      本当のソーシャルは、SNSの外にある

      市原:それを象徴する1つが「インターネット、SNS等で知り合った友人の数」という項目です。半数近くの45.7%が「0人」と答えたのです。また、インターネット上のやり取りでは、気軽さなどのネット特有の利便性への評価が高い一方で、「思い出に残る」「気持ちが伝わる」「約束を守ろうと思う」といった気持ちへの訴えかけは弱い傾向がわかりました。

      これだけデジタルに触れた世代なのでネットで深い人間関係を作っているのかと思いきや、現実はそうではなかった。本当の人間関係はリアルの世界で作るものであり、SNSはそれを補完するものである。多くの若者にとって「本当のソーシャルは、SNSの外にある」。そんな現状が浮き彫りになりました。

      これを見ると、とにかくSNSが盛り上がればいいというようなマーケティング手法は、果たして正解なのだろうか?とも思ってしまいます。彼らが重視するのはリアル世界の人たちと話題を共有することであり、知らない人同士がネットで盛り上がることにどれくらい意味があるのかなと。若者の人間関係の軸はリアル世界にあり、SNSはあくまでそこを盛り上げるためのツールとして使うべきなのではないか。そんなことを考えさせられました。

      同じく印象的だったのが、テクノロジーを「冷たい存在」ととらえていたところです。

      リアルで会う価値が一層特別なものになる

      冷たい存在ですか。

      市原:「AI・ロボットなどの技術発展への期待」という項目に対して、「期待する」と答えた若者が約5割にとどまったのです。あわせてこんなコメントも聞かれました。「AIや機械で選別され、主体的に生きられなくなってしまうことに不安を感じる」「AI技術の進歩で人が働ける仕事がなくなるのは困る」「AIやロボットなどは便利ではあるが、これ以上便利になりすぎては、人間の心が貧しくなりそう」。

      要するにテクノロジー、特にAIに対する不安があり、それを冷たい存在ととらえているようなのです。加えて「ネットで完結できる社会だからこそ、人の関わり合いやコミュニケーションを大切にしようとする社会になってほしい」といったコメントもあり、根底には人の交流や人間らしさを大切にする志向があるように見受けられます。

      コロナ禍で、今はリアルで会う人間関係の価値を、あらためて見つめ直す機会になっています。でも見つめ直す以前に、もともと若者はそういうものにすごく敏感だった。ネットワークで繋がれるからいいじゃないとはならず、人と実際に会い交流することに、そもそも高い価値を感じていた。だからこそ、限られた場でしか人と会えないアフターコロナの世界では、若者の間でそうした体験がより特別なものになっていくのではないでしょうか。

      若者はある種の「集団主義」の中にいる

      他にはどんな傾向が見られましたか。

      市原:しなやかな集団主義」といえるような傾向があったことも、非常に印象的でした。

      先ほどお話しした通り、6月調査では「10年後になっていたい自分」という項目がありました。自分についての話なので、当然ながら自分主体の記述ばかりになると思っていたのですが、意外にも「人・社会に貢献し周囲に必要とされる」「みんなと笑顔で暮らせている」「幸せな家庭を築く」といった、周囲との関係性の中で自分を語る回答が46.4%を占めていました。

      また12月調査で人間関係について聞いた際には、「人と話すときにはできるだけ自分の存在をアピールしたい」が32.5%、「大勢の人が集まる場では、自分を目立たせようとする」が20.6%にとどまりました。一方で「自分の意見を言うとき、みんなに反対されないか気になる」が65.3%、「不愉快な表情をした相手には、なるべく機嫌を戻してもらうようにする」が59.5%にのぼりました。

      周囲との関係性を重視し、人の態度を気にかけ、自分を積極的には押し出さない。これは一種の「集団主義」なのではないかと思いました。あるいは同調圧力が強い状態とか、横並び意識が高いという言い方もできるかもしれません。

      今どきの若者が集団主義とは、意外な感じです。

      市原:そうですよね。ただ、それは従来の集団主義のイメージともまた違うニュアンスのようです。

      たとえば「話している相手が喜ぶことを心がける」は73.2%、「周りの人が助けを求めていれば、率先して手を差しのべる」は64.5%、「人の相談事にはできるだけ耳を傾ける」は79.9%にのぼりました。また「周りと足並みを合わせる」が63.2%だったのに対し、「自分が良いと思うものを選ぶ」はそれを上回る79.7%でした。

      この数字からわかることは社会性を大切にし、空気を読み、相手に寄り添って行動する反面、自分がいいと思うことは率先して行う主体性と自由さをもっている。自分の好きなことやしたいこともわかっている。従来の、より大きなものにコントロールされる形の集団主義ではなく、自分視点のわりと出入り自由な集団主義というか、社会性を損なわない範囲内でしなやかさやゆるさを備えている。そんなイメージですね。そこで「しなやかな集団主義」と名付けました。

      利便性よりも「包摂感」が重要なポイントに

      市原:今の若者は協調性があり、社会貢献の意識や利他意識も強く、自ら進んで行動を起こしていける。そういった意味では、優秀な人が多いと思います。自分中心の若者ばかりだった印象のある我々世代からすると、隔世の感があります。ただしその反面、「自分は社会や人の役に立っている」と感じる人は30.3%にとどまり、彼らの貢献意識が活かされていない現実もあります。そんなところに、今後の若者向け施策のヒントがある気がします。

      どんなヒントでしょうか。

      市原:テクノロジーによって未来を切り開いていこうといったビジョンがよく掲げられますが、今の若者のテクノロジーに対する温度感を考えると、もしかするとそれではジャストフィットしないかもしれない。彼らは利便性よりも、周囲とよりよい関係を築いたり、社会で必要とされていることを実感したいと感じている。いわば、社会からの包摂感のようなものですね。

      だから求められるのは、テクノロジーを通して人間関係や社会とのつながりがよりよくなりますよ、満たされますよというビジョンではないかなと。いうなれば「心による社会の牽引」です。その見せ方が、現状のマーケティングの課題なのかなと思います。

      「令和 若者が望む未来調査2019」が浮き彫りにした、生々しい令和の若者像。後編では、それを浮かび上がらせた「1万人への自由回答調査」を、印象的なコメントとともにフィーチャーします。

      ※当記事は6月9日時点の情報を元に記事を執筆しております。

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