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      ユーは「脱皮しない蛇」ですか?/Withコロナ SNSが作り出す「新しい日常」#2

      こんにちは、バズ・アナリストの谷内です。
      コロナ禍で始まった「新しい日常」とSNSとの関わりについての、雑感シリーズの第2回目です。
      よろしかったら、お付き合いください。(前回分はこちらです

      ユーは「脱皮しない蛇」ですか?
      (Withコロナ SNSが作り出す「新しい日常」#2)

      みなさんの中に、YouTuberをやられている方はどれぐらいいるだろうか?
      恥ずかしながら、私はまだだ。
      たしかこちらの記事で読んだのだと思うが、いろいろなマンガ家を見てきたベテラン編集者に
      「どんな人が、マンガ家として成功するか?」
      という質問が寄せられた。
      その答えが「マンガとの距離が近い人」だった。ぐずぐず考えずに、突き進める人が伸びるものらしい。
      普通の人だとこういうケースが多いそうだ。
      ― ある程度、絵が上手く描けるようになるまでは、まず絵を練習しよう。
        それが出来たら、次はストーリー(原作)を書いてみよう。
        それから、いよいよマンガ賞に応募しよう…
      と悠長に考えない人が成功しやすい。

      逆に、絵が下手だろうが、ストーリーが稚拙だろうが、お構いなしに
      ― 思い立ったら、即、描き始める!
        完成したから、ただちに、出版社さんに持ち込める!
      といった、常に目的に近い行動をする人が伸びやすいらしい。

      YouTuberも、そうなのだろう。
      アレコレと考えすぎない。手元のiPhoneで、YouTuberのマネをして、一発撮りでさっさと撮って、いきなり投稿できるメンタルを持った人の方が、登録者数を伸ばしている気がする。
      即断、即行。
      始めてみて、もし登録者数が思うように伸びなかったら、「じゃ、どうすれば伸びるか、人気のYouTuberさんに聞いてみよう!」と動けてしまう。
      石橋を叩いて渡るタイプの人からすると「そんなの、偉いYouTuberさんが相手にしてくれるわけがないでしょ!」とか「もっと慎重に!」と諫めたくもなる。
      だがYouTuberでの活動なんて、もともと個人のもの。意気投合すればたちまち仲良くなるし、いきなりコラボもあり。個人の「持ち味」「企画」「編集」の力でどこまでやれるか勝負。作家性の部分が大きく、個人競技に近い感じ。

      一方のテレビ番組は、団体戦だ。大勢の協力と調整と資金がないと厳しい。
      まず「企画」があり、それに沿っていろいろな人やお金を巻き込んで膨らんでいく。
      個人の力だけで「池の水ぜんぶ」を抜いてしまうことは難しいし、ワールドカップのような「世界規模のスポーツ大会」を個人だけで中継するのも非現実的だ。各界プロの協力と、多方面への調整と、資金調達が相まって実現されていく。
      広告やCMも、そう。
      構造的にはテレビ番組と同じ。たかが数秒、数分間のCMであっても、大勢の協力と調整と資金に支えられている。

      個人発のYouTuberと、組織発のテレビ番組・CM。
      いまは垣根が曖昧になりつつあるけれど、かつては違っていた。
      個人発の動画なんて、ないも同然だった。それもたった10年前ほどの昔だ。
      アマチュアのカメラマンは大勢いても、「動画撮影・編集・配信」まで行っていた人はごく少数派。マニアックな趣味とされていた。
      YouTuberが話題になりだした2010年頃でも、まだそんな時代だった。個人で「動画撮影・編集」を行い、さらにそれを「アップロードして公開」しようとする人なんて、ガチすぎるほどの趣味人。スマホも普及していなかったし、ガラケーの動画なんて「モザイク処理ですか?」ってぐらい粗かったのだから。

      ところが、まぁ、なんということだろう…
      たった10年で、人々は見違えるように動画を操れるようになった。
      スマホで撮影・編集し、YouTube等で無料公開でき、興味や気の合う人と交流できる場が、SNSを中心にたちどころに整備されていった。しかも、世界規模で。
      早い、安い、楽しい、動画の革命。
      そんな革命が起き、新たな才能が次々に現れてきた。最初期にはまだ、テレビ番組の芸能人さんの真似事のようなしゃべりや企画に、素人臭さも溢れていたと思う。
      しかし、それも次第に「YouTubeらしい動画様式」と思えるフォーマットに昇華されていった。

      ヒカキンさんは、現代の手塚治虫さんだと思う。
      手塚治虫さんは「マンガというのは、こう描けばいいんだよ」という後続の手本となった。欧米先行のコミック形式を、日本市場に合うようなマンガへと変換してくれた存在だった。そんな手塚さん的存在のYouTuber版が、ヒカキンさんだったような気がする。
      今、私たちの頭の中にある「YouTuberっぽい」動画イメージには、多分にヒカキンさん由来のものが多い。海外の人気YouTuberを参考にしながらも、一人語りで、カメラ目線で、あの編集スタイルで、「ブンブンハロー YouTube!」と誰にでもコピりやすいフォーマットを確立した。
      日本の子供たちに愛され、親御さんたちからも信頼されている。
      「子供に見せても大丈夫」という動画サイトが世の中に現れたことは、ヒカキンさんの最大の功績だろう。「ネット動画とはヤバイものだけではない」という社会的認知獲得は、後続輩出の礎となった。
      そして10年ぐらいが経ち、0歳代だったキッズもティーンになり、ティーンは20代になった。彼らのほとんどが今ではスマホの達人。動画で育ち、SNSで学び、「将来の夢はYouTuber」と胸を張る。「好きなことで生きていく」「大人はわかってくれなくても平気」という、思春期ならではの磁場に満ちていた。2019年までのYouTuber界には、昭和の頃のマンガ・カルチャーのように「若者だけの遊び場所」という認識が生まれかけていたと思う。

      ところが2020年、状況が変わった。
      若者だけでなく、大人もYouTubeを見るようになった。
      コロナ禍のリモート勤務で、大勢の大人が自宅にこもることになった結果、YouTubeなどの動画共有サイトの視聴時間量が、各世代で大きく伸びた。在宅生活は時間に満ち、誰もが「なにか面白いもの」を希求した。
      つまり、コロナで家に居なきゃいけなくなった大人たちが、わんさかYouTubeをみるようになった。
      それはYouTube/YouTuberにも変化を引き起こした。
      大人向けの動画が増え、大人向けのYouTuberが増えていった。結果、私までがYouTuberに親しむようになった。
      けれど、私はまだ「見る阿呆」どまり。動画を投稿する側、「踊る阿呆」にはなれていない――。

      「脱皮しない蛇は死ぬ」というニーチェの言葉が頭をよぎる。
      いつまでも変わらないままの自分でいたら、待つのは衰退のみ。新時代へあわせた成長のためには脱皮のような自己変革が必要だよ、ということらしい。

      だから、最近、少しそわそわしている。
      こんなブログを始めたのも、そんなせいかもしれない。
      「いきなり、YouTuberデビューなんて無理! まずはブログから。で、ちゃんと書けるようになったら、動画を撮り始めてみよう…」と思いながら。

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