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      妹が、オッカケになっていた。/Withコロナ SNSが作り出す「新しい日常」#1

      こんにちは、バズ・アナリストの谷内です。
      みなさま、Withコロナ生活をいかがお過ごしでしょうか?
      少しずつですが、いろいろなものがガラッと変わったように感じる今日この頃ですね。
      そんな「新しい日常」とSNSとの関わりについて、これから定期的に書いていこうと思います。よろしかったら、お付き合いください。
      私もまた、みなさまにとって新しい隣人となれますように。

      妹が、オッカケになっていた。
      (Withコロナ SNSが作り出す「新しい日常」#1)

      数年前に帰省すると、妹がオッカケになっていた。某アイドルの横浜コンサートから帰ってきたばかりだという。深夜バスで「行って、観て、帰ってくるだけ」という超ハードスケジュールだったらしい。妹に、そんな大変な思いをしてまで、会いに行きたいアイドルグループが出来たことに驚いた。
      「巻き起こせ~♪ タワシィ~、タワシィ~♪」
      食器を洗いながらハミングしている。旅の疲れもなく、すこぶる上機嫌だ。オッカケの熱量とは凄いものだなぁ、と感じ入らざるを得なかった。すでに妹の日常は、「年に数回の彼らのコンサートがあってこそ、毎日の仕事や家事だってがんばれる!」ものとなっているらしい。

      『人生というのは、どのくらい「無我夢中」の時間を過ごせるか、で決まると思う。』とおっしゃったのは大島渚監督さんだった。「夢中になれる何か」や「誰か」を心に宿せば、生きていく力も湧きやすい。退屈な日常を忘れさせてくれる「何か」や「誰か」…。
      けれど、それに近い存在なら大抵の人が持っている気がする。
      そこで質問。
      みなさんは「誰か」を、YouTubeでチャンネル登録していないだろうか?
      あるいは、Instagram、Twitter、TikTokで登録していないだろうか?
       「毎日、大食いに挑戦するYouTuber」
       「つぎつぎ、新製品を開封して試すYouTuber」
       「オシャレな料理を食べ歩くInstagramer」
       「さまざまな“踊ってみた”に挑戦するTikToker」
      そんな「誰か」を登録しながら、私たちは毎日を営むようになっている。そして、彼らからの配信を、どこか心待ちにしながら暮している――。

      私も、そう。
      2020年。コロナで家に閉ざされて過ごした。そんな日々の中で、いろいろなYouTuberさんに出会い、登録するようになった。
      一人でキャンプ場に出掛け、ご飯をつくり、コーヒーを淹れて飲むようなYouTuberさんを登録した。リモート会議やウェビナー用機材を「使ってみた」と情報共有してくれるガジェット系YouTuberさんも登録した。経済状況のこと、世界情勢のこと、新刊の書籍、アニメや映画を熱く語るYouTuberさんも、どんどん登録していった。
      気がつけば、彼らからの配信を心待ちにする毎日だ。生活のすきま時間にビデオをチェック。その日の配信がないと気にかかったり、何日間も配信が途絶えると不安に感じるようになった。あの人はどうしちゃったんだろうと。で、ふと思う。
      「あれ? これって一種のオッカケ?」
      はじめは、なんとなくYouTubeからお薦めされるだけの人だった。それが何度も見かける存在となり、「もしよかったらチャンネル登録してね」の甘言にハマり、習慣化して行く。そして、たまに「うっわ!」と思わず唸るような神回があると、人に薦めたくなる。生活にハリをもたらしてくれる新しい隣人たちを、つい自慢したくもなる。
      「最近、ちょっとハマってるヤバイYouTuberがいるんだよね~!!」と。

      しかし、現実には、それを人に薦めることは、あまりない。
      たとえば私の場合、
      ・「おやじキャンプ飯
        の圧倒的な無言感とか、
      ・「ぼっち女のソロキャンプ
        の妙に知り合いっぽい艶めきだとか、
      ・「Bertram - Craft and Wilderness
        の原始時代すぎる野営っぷりだとか、
      等を熱く語れば語るほど、人にはドン引かれることを直感するからだ。
      テレビ番組とは違って、「みんな向けのコンテンツ」には仕上げられていない。
      同じような物好きだけが好む「同人誌」的なもの。私がエッジなものを好む傾向もあってか、マニアックなもの、サブカル的なものほど「これはテレビ番組じゃムリ!」とハマってしまう。
      うかつに人に薦めるのは危険だ。
      あくまでも自分向けの楽しみとして、心ひそかに、彼らからの配信を待っている。

      毎日楽しみに待ってはいるけれど、オッカケとは違うかなと思う。
      どちらかというと、昔のテレビ番組を待っていた、あの感覚に近い気がする。
      たとえば、「毎週土曜の8時」といえば、みなさんどんなテレビ番組を思い浮かべるだろうか? かつて「8時だョ!全員集合」「オレたちひょうきん族」「めちゃイケ」などの番組があって、楽しみに待っていた時間だった。
      そういえば、あの頃は誰もが1週間のテレビ番組表を頭に叩き込んでいた。ビデオもネット配信もなかったから、チャンスは一度っきり。お風呂に入るタイミングも計算しながらのスリリングな視聴だった。
      あの感じ。
      それが、今はやや緩い。なんとなく定刻に配信されてくる動画を、なんとなく自分の都合がいい時間に再生すればいい。けれど「あ、そろそろ配信されてくる時間」という習慣化された期待は共通しているように思う。
      「必ず18時に配信するTikToker」「だいたい20時に配信するInstagramer」「22時台が多いYouTuber」たちがいて、彼らの訪れを心待ちにしながら暮している。

      一方で、オッカケてるより、オッカケられている気もする。
      テレビ番組は「見逃せば終り」だったけれど、いまはフォローしていると、向こうが通知してきてくれる。Instagramのストーリーズでもない限り、動画やコンテンツは何日間も私に再生されるのを待っていて、再生し終わるまでリスト上に在り続ける。
      さらにご丁寧なことに、私が再生したら、ちゃんと再生回数にも反映されるし、動画にコメントしたら、ちゃんと返信コメントしてくれるYouTuberさんも割と多い。
      交流が生まれると、私にとってそのYouTuberさんが少しだけ特別な存在になる。
      かといって干渉されすぎると、煩わしくもなる。
      配信者さんとの相性もあるし、配信時間や頻度の心地よさも重要で、出来るだけ「自分に向いている人」を選んで、毎日に採り入れている

      2021年。
      リモート中心で会社に行かない日々が一年となり、リアルに会う人は家族とご近所さんばかりとなった。その代わりとしてか、リモートで知り合った人、ネットで登録した人との毎日が始まった気がする。
      そのつながりには、性別も、年齢も、国籍も、あまり関係ない。
      よく接し、よく顔を見せてくれる人は近い気がするし、会話などが弾めば親しい気がしてくる。なにより、毎日顔を見せ、声を聞かせてくれる、あの安心感
      「ハイ! みなさん、こんにちは~ 〇〇です!」
      彼らの訪れは、「対面に乏しくなった日常」をざわつかせる。
      リモートで閉ざされた生活に吹き込む、つむじ風のようだ。
      「巻き起こせ~♪ タワシィ~、タワシィ~♪」
      私も今、つい口ずさみながら、配信動画と暮している。
      気が付くと、SNS配信者たちと私のオッカケ・オッカケられが「新しい日常」になっていた。

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