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ハンブルリーダー養成講座オフィシャルブログ
第一回:あなたの会社は、どんなカタチ?
ハンブルリーダー養成講座事務局のKです。
このブログでは、新しい時代にフィットする働き方やキャリア形成について、最新の事例やメソッドをご紹介しながら考察していきます。
第一回目は、代表的な3つの組織の構造体を取り上げ、それらの長所や弱点を見ながら強い組織とは何なのか考えていきたいと思います。
● ピラミッド型組織
● フラット型組織
● アメーバー型組織
大きな組織を作りやすい軍隊式のピラミッド型組織
今まで大企業と呼ばれていた日本の組織の多くは、トップダウンで物事が決まっていく構造になっていました。(図1) 「ピラミッド型組織」と呼ばれ、全国的に均一な組織を作り、指揮命令系統と責任範囲をはっきりさせて、マニュアル化しやすい組織体です。大きく統制がとれた組織を作るには、便利なカタチとも言えます。
ピラミッド型組織は、個が集団を強いリーダーシップで導いていくような組織では有効なカタチです。けれど、いったん上部のコマが崩れると、ガラガラと組織が崩壊してしまう弱点があります。トップダウン式のため、承認などの経路で立て直しを図るのも時間がかかります。つまりピラミッド型の弱点は、変化に弱いことなのです。
ひとりひとりがプロフェッショナルなフラット型組織
ピラミッド型に対して、「フラット型組織」という構造体も日本にはまだ数少ないですが存在します。図2のように、社長がいて、あとは全員がフラットに活動をしているような組織です。一定の所属のための条件を果たせば、あとは自由に活動してくださいというような、自由放任主義の会社です。
例えばどんな会社かというと、映像ディレクターのような職人集団や、テクノロジストやクリエーターが集まっているような会社をイメージしていただけるとわかりやすいと思います。
フラット型組織には、「管理をしない」という良さとも弱点とも取れる前提があります。なので、ピラミッド型のように大きな統制が取れた組織を作る場合には向いていません。また役割を明確にしないので、専門性があっても自分の領域を限定せずに仕事をしていくことを前提としています。ひとりひとりがリーダーで、「自分の責任は自分で取る!」という心構えが必要とされそうな組織です。
自由と責任のバランス型、有機的なアメーバー型組織
軍隊式のピラミッド型でもなく、自由放任なフラット型でもない、最近注目されている組織体のカタチがあります。それが、図3のようなアメーバー型組織です。
チーム編成や意思決定者を固定せず、意思決定を分散させ互いに影響を与え合う、アメーバーのように柔軟な組織体です。組織階層がないため、年次や役職といった上下関係にも縛られません。自由に意見が言いやすく、双方向のコミュニケーションが取れる風通しの良い組織とも言えます。
チーム全員でアイデアを出し合いながら、クリエーティブに課題を設定して、解決していける。誰かが考えた仮説が間違っていても、環境が変化しても、他の誰かが立てた戦略に目標を変えて行けばいい。変化に強い組織とも言えますね。
その反面、この組織で働くならば、年次や経験にとらわれず相手を尊重する視点を持っていなければなりません。自分の手柄を上げるために、スタッフ同士が足の引っ張り合いをしていては最適解を導き出せません。上司に言われたことをきっちりやっていれば評価される、そんなぬるま湯の世界でもなさそうですね。
アメーバー組織で活躍する人材となるためには、自分の頭で考え、自分の意見を持ち、さらに相手を尊重する視点も備えていることが求められそうです。自由と責任、個人主義と全体主義のバランス型だなと私は感じました。
3つの組織体の強みと弱みを比べてみると
以上のことから、3つの組織体の強みと弱点を筆者の視点でまとめてみました。
ピラミッド型 | ◯大きな統制が取れた組織を作れる △上司の当たり外れで部下が泣く ×変化に弱い |
---|---|
フラット型 | ◯自由が最大限与えられる △自由すぎて、大きな組織に向かない ×相当自覚的に働かないと食いっぱぐれる |
アメーバー型 | ◯自由と責任のバランスがいい △統率するリーダーが大変そう ×企業体として成立が難しそう |
それぞれの組織体はまったく異なるようで、実は共通点もあります。例えば、メンバーの一人ひとりがプロフェッショナルで、自分のやるべきことが命令されなくても分かっているという点は、フラット型にもアメーバー型にも共通します。また、アメーバー型は、ピラミッド型のように組織体としても管理・統制がある程度取れるカタチになっています。
となると、アメーバー型が有効なようにも思えますが、実際のビジネスの現場に当てはめてみるとリーダーがチームを率いるのが難しそうです。
ここで、以下の調査から浮かび上がったリーダーに望まれる特性を見ていきましょう。以下の特性を見て、あなたはどんな上司を思い浮かべますか?
<組織リーダーに望まれる特性(トップ10)>
1、リーダーとして能力を備えている
2、責任感が強い
3、行動力がある
4、説得力がある
5、目標へのコミットメントが強い
6、率先して行動する
7、プレッシャーに強い
8、ビジネスセンスがある
9、自立している
10、能力が高い
出典:淑徳大学 野村浩子教授「リーダーシップと性差とジェンダー・バイアスに関する調査 2019」
ここからイメージされるのは、「頼もしいリーダー」「優秀な100点人材」など……。けれど、ちょっとマッチョな上司なんだろうなぁ。部下にも成果を出せと厳しいんだろうなぁ。いる、いる、うちの会社も。などと私は感じました。ピラミッド型では機能しそうですが、他の構造体ではどうでしょうか?
組織がいかなる構造をとっていても、組織という枠組の中では、問題が起こった時に責任を取るのは上司です。その時、求められるリーダーシップのあり方とは?それについては次回以降、考察を深めていきたいと思います。
社風とは、組織を構成する社員、一人ひとりに宿っている
あなたの組織は、どのカタチに近いと思いましたか? あるいは、どんなカタチの組織
で働くのが幸せだと思いましたか?
組織の在り方に対する個人の価値観は、企業文化や社風にも関わるポイントです。広告会社という仕事柄、いろんな企業の方々とお話をさせていただく機会があります。すると、社員の方々は一人ひとりパーソナリティも担当分野も違うのに、どこか共通するマインドを持っていると感じることが多くあります。個人の中にも社風は宿っていると思いますし、そのマインドを自覚的に認識して、時代に合わせて変えていくことも大事だなと思っています。
ひとつ、筆者が大事にしたい、自分の中に宿しておきたいマインド、 それが「ハンブル」です。ハンブルとは、英語で「謙虚」という意味です。
日本語で受け取る「奥ゆかしい、謙遜心がある」というような意味あいとはちょっと異なるその心のあり方にも、今後のブログでしっかり触れていきますね。
記事をお読みいただきありがとうございました。
さぁ、今日もハンブルでいこう!
コピーライターK
※組織の図解は、スタンリー・マクリスタル,デビッド・シルバーマン,クリス・ファッセル著
『チームオブチームズ』(日経BP、2016年)を参考に独自に書き起こしました。
<ハンブルリーダー養成講座について>
東大先端研×電通×日本エンゲージメント協会が共同開発したマネジメント像を基に、新しいリーダーシップ研修を運営しています。
年代も、キャリアも、人生観も様々なメンバーが集まり、人材が成長し続けられる組織の作り方やサステナブルな働き方についてゲストも交えながら発信していきます。
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