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      中間管理職って、楽しい?現代の課題に向き合った社員3人のハンブルリーダーシップ的気づき[後編]

      INDEX

      電通ダイバーシティ・ラボが2020年1月に発表した「ハンブルリーダー養成講座」。ハンブルは「humble=謙虚な」の意味で、ハンブルリーダーとは部下の声に耳を傾けて、自らの弱さも話すことで、信頼性や生産性の高いチームを目指すリーダーを指します。従来の強いリーダー像とは一線を画す、新しい時代のリーダー像です。

      こちらでは、電通社員として日々の業務をこなしながら、ハンブルリーダー養成講座の運営に携わる3人にインタビュー。その後編では“固定化された社員像”に苦しみ、それを克服したクリエーターによる、「ハンブルリーダーの考え方に通ずる気づき」を紹介します。

      前編はこちら

      スーパーマンを目指さずに、成長も諦めない仕事のあり方

      PROFILE

       

      ある調査では正社員の8割超が「管理職になりたくない」と答えています(※1)。また女性の管理職の割合は外資系企業17%・日系企業8%と、政府目標の「2020年までに30%程度」を大きく下回っています(※2)。管理職をとりまく環境に、いまどんな課題があるのでしょう?

      K:私は16年以上も同じ部署でクリエーティブ職に就いていますが、現場にいてやっぱり実感するのが、ある程度のコミットが求められることです。会社の評価軸がそれなりに時間や労力を費やさないと達成できないものになっていて、評価を得るには「何かを手放してでも、仕事にバリバリ打ち込む」といったスタイルが1つのロールモデルになっています。仕事が楽しいので、頑張れてしまう、というのもありますし。

      でも、実際にそれをやり続けるのは、いわゆるスーパーマンやスーパーウーマン以外には難しいものがあります。時代的にも、そこまでする必要があるなら出世しなくてもいいや、という人もいるのかもしれませんね。特に女性は出産や子育ての関係で、よりハードルが上がりやすい。それが調査の数字に出ているのではないでしょうか。

      実は私も、30歳で第1子を生んで産休・育休を経て職場復帰した時、そうしたロールモデルを目指して火の玉のようにがんばって働いたことがあります。でも子育てをしながらのコミットには限界もあり、目指す通りにできない自分に大きないらだちや嫌気を覚えていました。

      そんなふうに自分にどんどんプレッシャーをかけて働き続けた結果、ついには疲れ果ててヘトヘトになってしまいました。仕事に対するワクワクもなくなってしまった。そうして目指すべき所を見出せない「モチベーション迷子」になってしまったのです。
      ※1 出典:マンパワーグループ調べ
      https://www.manpowergroup.jp/client/jinji/surveydata/20200316.html
      ※2 出典:女性管理職「2020年30%」目標は達成できそうか(=エンワールド・ジャパン調べ)
      ※以下のサイトを参考にしました
      https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2003/09/news105.html

      目指すべき自分にロールモデルは必要なかった

      それにはどう対処されましたか。

      K:きっかけの1つになったのが、ある人のこんな言葉でした。「ロールモデルなんて、いらないんだよ。特定の1人や特定の人物像を目指すと、常にそこと比べ、ここが劣っているとか、追いつかないと思って疲弊してしまう」と。要するに、人はみんな1人1人強みも弱みもバラバラで、それぞれに理想の形があるはずなんだから、1つのロールモデルに縛られる必要なんてない。みんな違うんだから、そもそもロールモデルなんてないと。そんなお話でした。

      誰も真似する必要はないと。

      K:ある1人の全てを真似する必要はないということです。特定の誰かを目指すのではなく、先輩も後輩もひっくるめ、この人のここがすばらしいなというところだけを謙虚に取り入れていく。人の要素を切り分けて、いいとこ取りしていくみたいな形ですね。この考え方であれば、誰かとムダに比べることから解放されて、かつ成長し続けられる。そしてお仕着せの評価軸に振り回されないから、モチベーションを自律的に設定していける。それに気づいたんです。

      そして、この考え方はハンブルリーダーシップとも繋がると考えています。というのも熊谷晋一郎先生*は「自立とは、依存先を増やすこと」とおっしゃっています。一見、何かに依存しなくなることが自立だと思いますが、むしろ依存先を増やすことが「特定の何かに頼らなくても生きていける=自立」を生むという考え方です。まさに私の仕事も、ロールモデルという1つの評価軸の“呪縛”から逃れ、いろいろな評価軸をとりいれることで、楽になりました。

      *東大先端研 熊谷晋一郎准教授。ハンブルリーダー養成講座は、熊谷氏の「当事者研究」の考え方をベースにしている。

      現代の管理職をとりまく課題の解決にも繋がっていきそうです。

      K:そもそもリーダーに求められる資質自体が変わってきているのかなと思います。これまでは、出世するには「コミット+政治力」みたいなものが重要でしたが、やっぱりそれだとみんな疲弊していきます。また、それがクリエーティビティの成長を止めることにも繋がっていたのではないでしょうか。

      マインドを開くことで成長し続けられる

      クリエーティビティの成長が止まるとは?

      K:やっぱり1つの価値観だけで長年やっていると、古くなってくるんですよね。学べることもアウトプットも、限られてくる。またひとりでできることの限界もあります。

      その点ハンブルの考え方を身につけると何がいいかというと、たとえば私なら若い子からデジタルのことなど、わからないことをいろいろ教われたり、他局の人に何か面白い仕事ないかな?と声を掛けたことで実際にこうしてハンブルリーダーシップのお仕事をいただいたりできていることです。要は、マインドを閉じないで開くことができる。

      そんなふうに周りの人から影響を受け、自分の足りないピースを補完してもらいながら学び続けられるハンブルリーダーシップは、自分のクリエーティビティを伸ばしていくのにすごく役に立つと感じています。

      ライターとしてもすごく共感できる話です。それなりに年月とキャリアを経ると変に自信も出てきて、アウトプットの方向性やプロセスが凝り固まりがちです。

      K:「成功体験」というのは、ある意味すごく怖いことでもあると思います。1回成功すると、ついそこにしがみついてしまうんですよね。あれをトレースすれば、また成功できるだろうなと。でもそれがクリエーティビティの成長や拡張を止めかねないうえに、今は物事がどんどん複雑になっていて、これまでの成功体験が通用しないケースも増えています。

      だから自戒も込めて、そういうバイアスはどんどん取り払っていかないといけないと感じています。特にマーケティングやコミュニケーションに携わる会社は、そうしないと今後生き残れないのではないでしょうか。逆にハンブルをもっと身につければ、今の部署にもう10年いても成長し続けられるかもしれない。そんなふうに思いながら、ハンブルリーダーシップに携わっています。

      前編で触れた「管理職研修の効果」や「若手のモチベーション」、後編で触れた「固定化したロールモデル」など、いま多くの会社が直面する課題のソリューションに、ハンブルリーダーシップはなり得ます。今後「ハンブル」は、年次、キャリア、属性に縛られず、個人が持続的に成長していくためのキーワードともなるでしょう。

      ハンブルリーダーシップの最新事例やメソッドは『ハンブルリーダー養成講座オフィシャルブログ』で紹介しています。そちらもあわせてご覧ください。

      ※当記事は6月15日時点の情報を元に記事を執筆しております。

      ハンブルリーダー養成講座Vol.1

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