ビジネス課題を解決する情報ポータル
[ドゥ・ソリューションズ]

    もはや若者だけじゃない!進む主婦や子どものデジタルライフ

    最終更新日:2023年06月19日

    INDEX

    高校生がダンス動画を配信、大学生がネットビジネスを起業などなど、昨今、若者のデジタル行動に関する話題があふれています。そして、デジタルやITの最新トレンドはとかく若者だけの話と思われがちです。
    しかし、今や主婦層や小さな子ども(※)に至るまでその潮流は広がり様々な新しいタイプのデジタルライフが始まっています。そして、その潮流は主婦や子どもを対象としたマーケターにとって見逃せないものになっています。
    ※乳幼児から小・中学生までとします。表記は「子ども」「子供」「こども」などがありますが本稿では「子ども」で統一します。

    あなたが思う以上に進んでいる、主婦と子どものデジタル化

    年々低年齢化する子どものスマホ利用

    子どもがスマホを初めて使い始める年齢はどんどん早くなっています。電通メディアイノベーションラボでは、橋元良明氏(東京大学名誉教授、東京女子大学教授)と共同で実施した調査で、ゼロ歳から12歳までの子どもを持つ母親に、子どもがスマホを利用開始した時期の年齢についてたずねました。その結果から、年齢ごとのスマホ利用率とその利用率に達するまでの年齢ごとの推移を算出しました。(※自ら操作せず動画や写真を見ていても利用と定義)

    【図1】をご覧ください。たとえば、一番右の12歳児について見てみますと、その約4人に1人がスマホを利用するようになったのが10歳頃でした。これに対し、8歳児では6歳の頃4人に1人に達しています。さらに見ると、なんとゼロ歳児では利用率は、すでにほぼ同水準の24.0%です。

    つまり、4人に1人に達する年齢がどんどん早くなってきています。言い換えるなら、スマホの利用開始年齢は年々前倒しの傾向にあるのです。

    【図1】 年齢ごとのスマホ利用率

    主婦の生活に浸透したデジタルライフが背景に

    子どものスマホ利用が進んだ大きな背景には、母親である主婦層のスマホ利用拡大があります。そして、スマホに限らず、パソコンやタブレットなども含めデジタルデバイスの浸透は主婦の生活も大きく変えています。電通が行ってきたオリジナル調査(2017~2019年の定量・定性調査)から、その一端をご紹介しましょう。

    <主婦とスマホ、タブレット>

    スマホの浸透は買い物に出る主婦に変化をもたらしました。たとえば、家電店を訪れた主婦は、目に止まった商品について売り場でスマホから価格比較サイトをチェックするようになりました。ファッションの購入では、店頭で実物を「下見」したあと帰宅してからネットで商品のスペック等を再確認し買う、といった行動も現れました。(このことを示す「ショールーミング」という言葉も誕生)

    また、生後間もない赤ちゃんのいる主婦は、夜になると寝かしつけという大仕事が待っています。その間は寝室の照明も落とさねばならず、昔だったら何もできませんでした。ところが、現代の主婦には照明なしでも楽しめるスマホがあります。赤ちゃんを腕枕で寝かしつけつつスマホを操作し、友人の育児ブログを読むなどして時間を有効に使っています。

    話はスマホに限りません。タブレットを活用する主婦も増えています。

    タブレットは、たとえば主婦のキッチン生活を変えました。私たちの調査によると、主婦の2人に1人以上がキッチンでクックパッドなどの「レシピ関連サービス」を使っています。タブレットの良さは、大きい(ゆえに遠目でも読める)ことと、レシピとしてキッチンの壁に立てかけられることです。昔の主婦は、料理本のページを切り取ってマグネットで冷蔵庫に貼り付けたりしていました。

    インタビューでは、料理のためだけにタブレットを購入したという主婦もいました。他方、クラシルやDELISH KITCHENといった「レシピ動画」としての存在感を前面に出すサービスも台頭し、スマホ片手に調理する主婦も増えています。

    タブレットはテレビやパソコンと比べ持ち運びに便利で、スマホに比べ画面が大きいため、ドラマなどの動画を寝室で楽しむなどにも活用されています。私たちの調査では、タブレットを所有する主婦はネット動画を見る率が一般より高くなる傾向が出ています。

    <有職主婦と専業主婦>

    現代では働く主婦が非常に多くなっています。外に出ることの多い有職主婦は、美容のためヘアサロンを24hいつでも予約できるアプリを活用しています。何万点もあるヘアスタイルカタログを参照し、ブログ等で評価の高いお気に入りのスタイリストを指名します。

    有職主婦は時間に追われるため同時並行行動も増えます。たとえば、アイロン掛けやストレッチなどをしながらスマホでラジコ(radiko.jp)を聴いているという人がいます。透明の香水ケースにスマホを入れ風呂場に持ち込み、入浴中に映画などの動画を楽しんでいるという人もいました。職場の仲間と「クーポン共同購入サービス」で、レストランの割引やエステを利用しているという声も聞かれます。また、ネットオークションの利用率は有職主婦の方が主婦専業の1.3倍というデータもあります。

    一方、主婦専業の場合は倹約マインドが高い傾向も見られ、たとえば、ちらしアプリのShufoo!(シュフー)で日々の特売情報をチェックしたり、他の主婦がネットで公開している家計簿を見て参考にしたりしています。また、「知恵袋」系のネットサービスで野菜の上手な保存法を質問するなど、暮らしのヒントを求めネット空間をさまよう姿も多く見られます。

    子どもの生活へスマホを投入し始めた主婦たち

    乳幼児からスマホを使用!その理由は?

    ゼロ歳児でも約1/4がスマホに触れているということを書きましたが、背景としては、主婦が忙しい子育てや家事の中でスマホを「子守り」のツールとして使い始めたという要因も挙げられます。

    ワンオペ育児で忙しい毎日の中、ついついスマホに子守りを頼ってしまうという主婦たち。その様子は、以下のような発言から生々しく伝わってきます。

    “家事で忙しいとき、子どもにスマホを渡してしまう。たまには自分自身のご飯をゆっくり食べたい、と思うときとか…”

    “病院、電車、といった公共の場、あるいは知人との食事の場で子どもを静かにさせるためにスマホの画面を見せたのがキッカケかな”

    “寝かしつけのオルゴール代わりにスマホを使い始めた。「赤ちゃん 眠る」などと検索すると、そういう感じの曲が流せます”

    子どもの生活へのスマホ導入ヒストリー

    そんな主婦たち。子どもに触らせるスマホは最初のうちは自分自身のスマホですが、子どももだんだん大きくなってくると本人専用を求めてきます。同時に、親としても「居場所が分かるように」あるいは「連絡がつくように」本人用スマホを持たせる必要性が生じてきます。

    スマホに移行する前に一旦ガラケーやキッズ携帯を渡すパターンもあるものの、やはりしっかりしたGPS機能が欲しいなどのニーズも高まり、結局両者の都合が合致して専用スマホにいたることが多いです。

    また、知育のためスマホを導入するというパターンも見られます。たとえば、アンパンマンが「これ、なあに??」と質問するアプリとか、足し算の勉強が知らず知らずのうちに出来てしまうアプリなどが使われています。情操教育のため、タブレットで子どもへ「クラシックを聴かせている」とか、「フォニックス(英語の綴りと発音の関係性をもとに正しい読み方の学習を促進させる手法)の動画を見せている」といった話も聞かれます。

    子どもの中で進む新しいデジタルライフ

    子どもは、スマホで何をしているのか?

    では、子どもはスマホでどんなことをしているのでしょう?

    【図2】に見る通り、子どもたちの50%以上はYouTube(YouTube Kids含む)を見ています。親の手を引っ張り「アンパンマン!」「トーマス!」と人気キャラクターの名前を呼び続けて、スマホを見たいとせがむ子もいます。(注:人気キャラクターといっても、正確にはその人形を使って遊んでいるような動画が対象)。私たちの調査によると、スワイプやピンチイン・ピンチアウトといった操作も1歳くらいからは難なくできるようになり、見たい動画へと飛んでいくといったことも行っています。

    【図2】 子どもがスマホで行っていること(行為者率、母数=スマホを使う子)

    粘土を使った創作の動画や、動物のミニチュアを作るようなかわいい動画などを見る子も多いです。YouTubeを手本にお絵描きを覚える子もいて、母親からはこんなコメントが・・・

    “絵を描くのにYouTubeで上手い人の動画を見ている。コピックと言う高いペンがあるので、「いつかこういうのを使いたい」と言いながら練習しています”

    「カメラ機能」もまた、乳児たちのお気に入りです。0~1歳くらいでは、親が撮った自分の写真や動画を見るのが大好きな子が多く、1歳児では自分が撮られた画像を「見たい!」と訴える子や、自撮りのできる子さえいます。やがて小学生にもなると、「SNOW」「ピクスアート」などのアプリで写真の加工も始めます。

    物心つくころからは、スマホのゲーム利用もぐんぐんと上がってきます。(前掲【図2】参照)ゲームの内容は、幼児では「ツムツム」「ピアノタイル」「お絵描きを練習できるゲーム」など。小学生になると、スマホでの読み物も増えてきます。「LINEマンガ」「ピッコマ」などでコミックを楽しむほか、こんな声もありました。

    “ホラー小説を読むのが好き。TELLERと言って、夜中に通知が来たりする”

    以上を振り返りますと、主婦にとってスマホは「子どものお守りツール」となっている一方、子どもの側からはスマホが「格好のおもちゃ」となっているようです。

    電通の『子どもメディアレポート』について

    今回ご紹介した内容も含め、過去3年間に渡る調査をもとに、この度『子どもメディアレポート』をまとめました。

    前半で乳幼児から小学生のメディア接触をまとめ、後半では部活・塾などと段々忙しくなってくる中学生の情報行動をカバーしています。前述の橋元良明教授との共同研究に基づく極めて信頼性・客観性の高いデータとなっており、このレポートだけで子どもを取り巻く環境について様々なファクトやインサイトを得ることができます。子どもターゲットのマーケティングをご担当される方をはじめ、さまざまな用途において是非ご利用いただければ幸いです。

    PROFILE

     

    電通グループがご提供する
    関連ソリューション

    オーディエンスインサイト

    オーディエンス(メディアの受け手側)の情報行動特性に関して、マーケティング戦略立案に役立つインサイトを提供。

    詳しくはこちらをチェック!
    このページをシェア Facebookでシェア Twitterでシェア LINEでシェア リンクでシェア URLをコピーしました

    関連ブログ記事

    登録無料

    mail magazine

    ビジネス課題を解決する
    ソリューション情報を
    メールでお届けします!