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      EC戦略、その前に!自社のECの強み、弱みを評価するためのフレームワーク[後編]

      人々の購買行動の変化にあわせて新しくEC戦略を考えたい、あるいは既存のEC戦略を見直して、新たなチャレンジをしたいという企業が増えています。しかし、進化し続けるECにおいて今自社がどのレベルにあるのか、どこを目指すべきなのかを把握したうえで、全体戦略を考えているでしょうか。ここでは、EC戦略の前に考えておきたい評価指標について解説します。

      EC評価の全体像を説明する前編はこちら

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      EC戦略を考える前に受けておきたいEC診断

      前編」ではコマース・サクセス・フレームワークの評価指標についてうかがいましたが、コマース・サクセス・フレームワークの概要、目的、活用方法を教えてください

      ネイト:アンケートとインタビューを通して、自社のEC戦略を診断し、強み、弱みを把握するためのフレームワークです。企業は診断結果を踏まえて、EC戦略を考えていくことになります。2018年の春に開発されて、2019年にはグローバルで調査を行った結果を業界のベンチマークとして提供しています。

      世界各国でECを取り巻く環境は異なりますが、グローバルで共通化できる要素を抽出して評価できるようにしています。共通化するにあたってはECで成功するための要件をシンプルな形で整理しました。いきなり高度なゴールを達成しようとすると、難易度が高くて失敗してしまうケースが多いので、まずは現状のスコアをあげるために今できること、改善できることを実施して、ゴールを達成できるように設計しています。

      ECのよくある失敗|原因と対策 EC拡大の時流を逃さないために必要なこと」でもお話したように、ECにはさまざまな落とし穴があります。コマース・サクセス・フレームワークは、自社が陥る可能性のある失敗を見えるようにするためのレンズのようなものです。

      新型コロナウイルスの感染拡大によって、これからECが販売経路として重要になってくることを多くの企業が実感していると思います。オフラインでできていることがオンラインでどれくらい実現できているのか、自社の立ち位置を整理するために、フレームワークは活用できるでしょう。

      アンケートとインタビューで実態を把握して、提案まで行う

      診断はどのように行われますか?

      ネイト:大きく3つのステップがあります。ステップ1はオンラインのアンケートです。20−30分程度で回答できるもので、在庫に関しての取り組み、集客の取り組みなどの質問に答えていただきます。

      その調査結果を受けて、ステップ2ではインタビュー調査を行います。私たちがアンケートを見て疑問を感じたところ、特徴的に見えたところなどを深掘りしてお話を直接うかがい、現在の状況を把握します。インタビューすることで、より正確な状況を確認できますし、法令により施策が行えないような業界特有の事情もご説明いただくことで、理解を深められます。

      アンケート、インタビュー結果から評価を判定したうえで、業界の平均や競合との比較で強み、弱みを明らかにし、これから伸ばしていくべきポイント、ロードマップを整理します。たとえば、現状レベル2にある状況をレベル4にするために必要な改善の方向性、実現するためのソリューションなどのアイデアを提案します。強化できる部分、オポチュニティがある部分を発掘するので、戦略に活かしてほしいです。

      山内:ECのよくある失敗|原因と対策 EC拡大の時流を逃さないために必要なこと」でECが失敗する理由の一つとして、EC全体を横断的に評価できる人が組織の中にいないことをあげました。コマースサクセスフレームワークは、公平かつ第三者的な視点から評価して、自社のECがどういう状況にあるのかを明らかにします。そのうえで、ゴールを示し、そこに向かうための道筋を整えます。

      業界によって異なる平均値。ベンチマークとして活用してほしい

      業界のベンチマークはどのように活用できますか?

      山内:まずは自分が属する業界の結果をベンチマークとして活用して、業界平均より低いようなら平均を目指すとよいでしょう。他の業界の値が高いからといってそこを目標にすると、自業界の規制や法律によって同じレベルを実現できない場合もあります。

      ネイト:全評価軸の5を目指すことがコマース・サクセス・フレームワークのゴールではなく、理想に到達するためのベンチマークとして業界の平均値を使います。業界平均から、自分たちの業界で今できる限界も把握できます。経営者からの「もっとできるはず」という過度な期待に対して、現実的な落とし所を説明するための説得材料としても使えます。

      ただし医薬品業界は、各国で法律やルールが異なるので、グローバルの基準が適用しにくい傾向があります。北米は皆保険制度がない分、医薬業界の規制がゆるいので、ECが発展しています。一方で日本は、医薬品関連の規制が厳しくて、デジタルデータを活用することに制限があります。たとえば、薬の購入者へのターゲティングは、過剰な服用をうながすことになるのでできません。そういった業界は個別に判断することになります。

      山内:コマース・サクセス・フレームワークは、1回評価して終わりというものでもなく、定期的にチェックすることにも意義があります。評価したあと、戦略を考え改善して、半年後どのように評価が変わるのかを確認するためにも有効です。

      豊富なデータを持つ企業がEC戦略で優位に

      EC戦略がうまくいっているのはどういう業界ですか?

      ネイト:コンシューマーに近い業界、つまり間にプラットフォームが入っていない業界ほど、データが豊富でテクノロジーをうまく活用している傾向があります。今、世界でD2C(Direct to Consumer)が注目されているのは、消費者と直接つながることで、よりデータが取得できるからです。

      反対にプラットフォームが間に入っている場合は、消費者との距離がその分遠くなってしまうので、取得できるデータが少なくなりますし、コミュニケーションも薄くなります。D2Cであればフィードバックを直接もらえますし、コミュニティがあれば、ユーザーのニーズを直接聞くこともできるので、スピーディな対応ができます。

      今までの日用品、消費財は、たくさんの人に適合するように開発されてきました。誰にとってもよい商品を、誰もが訪れるスーパーなどの小売店に並べることが、売るための鉄則だったのです。しかし、中には「自分のために作られたもの」が欲しいという人もいます。化粧品を購入する時に、自分の肌のpH値を調べて肌タイプに合う商品を選ぶ、あるいは遺伝子検査をして最適な商品を選ぶというように、自分の体質にあったものを買いたいというニーズがあるのです。このニーズをつかむには、自社のコミュニティなど、ユーザーと近い距離でコミュニケーションできる場が必要なのです。

      山内:日用品、飲料、生活雑貨、家電などはD2Cの方向にチャレンジする企業が多いです。最近は、フットワークの軽いスタートアップ企業が、サブスクリプションでこれらの商品を提供するようなケースも増えています。

      一方で大手企業は、流通の事情などもあって、サブスクリプションに踏み出しにくい傾向があります。たとえば、いろいろなお菓子をすこしずつ詰め合わせたセットをサブスクリプションで提供するサービスがありますが、これを大手の製菓メーカーが始める場合、いろいろな製造ラインと調整して、物流を手配して、と工数が非常にかかります。

      最近は、大企業がこれまで認識していなかった分野から競合企業が現れ、オンラインでシェアを奪われる傾向があります。新しいチャレンジをするには時間がかかるので、それを見越してできるだけ早めに準備を始めたほうがいいと思います。

      これからECを強化するなら受けておきたい!コマース・サクセス・フレームワーク

      どういった企業がコマース・サクセス・フレームワークの診断を受けるべきでしょうか?

      山内:どの業界でもEC戦略を考えるうえでは参考になると思いますので、業界問わずおすすめできます。特にこれからEC戦略に力を入れていくことになるであろう食品、飲料業界におすすめです。

      食品・飲料業界の値食品・飲料業界のECはこれからの成長が期待できる

      ネイト:アメリカではスーパーに行くのは週に1回程度、一度に大量に買うという人が多いのですが、日本では毎日スーパーで新鮮なものを買う人が多いですよね。こうしたライフスタイルに合わせた、日常的な購入代行のサービスは活発になりそうです。

      これまでは、スーパーや小売店に頼りすぎて、自社で購買や顧客データを持ってこなかった業界ですが、今後自社でデータを持つことでできることが広がっていくはずです。

      山内:食品飲料と近いですが、日用品もECの売り場でどういう売り方をしていくか、注目されます。日用品は商品ラインアップが豊富で、店頭に出せているものはごく一部です。一部の人にしか需要がない商品は、メーカーで在庫を抱えていることもあるので、ECルートを確保することで、消費者と商品の出会いも広がるでしょう。日用品のECの売り場をどう作るかが、今後大きな戦略になりそうです。

      ネイト:ラグジュアリーブランドも、これまではECに消極的でした。オフラインだけでなく、オンラインでの特別な体験を模索していくことになるので、ぜひ診断させてもらいたいですね。

      ※当記事は2020年7月15日時点の情報を元に記事を執筆しております。

      EC戦略策定のためのEC分析vol.1

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