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      デジタルを本業としない企業が生活者向けIoTを手掛けるメリットとは?~IoTNEWS 生活環境創造室が描く未来のインフラ ~[前編]

      「デジタル」や「IoT」の可能性は、多くの場所で語られています。しかし、「では、何から始めればいいのか」と考えると、判断がつかない。特にデジタルをメインの商材にしていない企業からは、そんな声も聞こえてきます。

      その課題に向けた取り組みのひとつが、IoT・AIの専門メディア『IoTNEWS』と電通が協業し2019年2月に設立した「IoTNEWS 生活環境創造室」です。両社のそれぞれの強みを活かしながら、生活者向けIoT事業を新たに始めたい企業の支援を行っています。

      IoTNEWS 生活環境創造室が描くのは、DX=デジタルトランスフォーメーションで訪れる「みんなが幸せになれるデジタルインフラのある世界」だといいます。それにより人々の生活はどうなるのでしょう? そして、それを手掛ける企業にはどんなメリットあるのか。同室長の吉田健太郎さんに聞きました。

      PROFILE

       

      全ては「幸せな未来」を描くことから始まる

      IoTNEWS 生活環境創造室とは、どんな組織ですか?

      吉田:電通の社内ベンチャーに近い形で活動している組織で、主にコンシューマー向け事業を手掛ける企業が新たにIoTやAIを活かした新規事業を立ち上げる際の、企画立案からプロトタイプ作成、事業の動き出しまでをサポートしています。

      IoT NEWS生活環境創造室 「コンシューマーDXスタートパック」のご紹介
      IoT NEWS生活環境創造室のケイパビリティ概念図

      強みはどんなところでしょうか。

      吉田:IoTNEWSと電通の双方の強みを活かしているところです。IoTNEWSには、IoTやAIに関する豊富な知見があります。また取材を通して得た500社以上の企業ネットワークがあり、クライアントが新事業を始めるにあたり、サプライヤーを探すこともできます。一方電通には、生活者に対する深いインサイトと、発想力という武器があります。

      それぞれの強みを組み合わせることで、クライアント企業の新しいIoT事業やイノベーションを強力に後押しする。IoTNEWS 生活環境創造室は、そんな事業体です。

      新規事業のアイデアは、どのように生み出しますか。

      吉田:まずは対象となる事象をとりまく生活者の動向や意識を深く理解し、それを元に「こんな未来になったら素晴らしいな」という未来像を描き出します。未来をきちんと描ければ、あとはそこから逆算し、それまでに何が必要か、どんなことをすればいいかを考える作業になります。

      そうしたプロセスが、一般的なデザインシンキングとはかなり違うところかもしれません。通常のデザインシンキングであれば、目の前に課題があって、それを解決するためにアイデアを考えます。アイデアを生むために、対象と直接関係ないものを持ち出してきて発想の起爆剤にしたりもします。

      IoT NEWS生活環境創造室の存在意義

      DXという「答えのない世界」

      対して私たちの立案セッションでは、一度未来を描き出したうえで、それを実現するのに必要なアイデアを考えていきます。最終的にどうしたいかが具体的に描けていると、本質的なアイデアが自然に生まれやすくなります。また、そうして初めに「未来の生活者ジャーニー」をきちんとイメージしておくと、それが新しい取り組みを進めるうえでの大きな推進力ともなります。

      どんな企業からのニーズが高いですか。

      吉田:たとえば消費財メーカーやハウスメーカーなど、どちらかというとデジタルを商材にしていない大企業が多いです。

      なぜデジタルを商材にしていない企業が、新たにIoT事業を始めたいと考えるのでしょう?

      吉田:いくつか要因があると思いますが、特に大きいのは、やはりDXの流れでしょう。近年、ものを売るためのツールとしてデジタルを使えばいいというのではなく、事業そのものにテクノロジーを入れていかなくてはいけないという流れが出てきています。でも、今までそちらの分野はほとんど何もしてこなかった。そもそも答えがない領域だし、事例もまだ非常に少ない。だから、どうすればいいかわからない。そんな企業が多いようです。

      いいアイデアは生活者の手間がゴッソリ消える

      「事業そのものにテクノロジーを入れていく」とは、具体的にどういうことでしょう?

      吉田:たとえば少し前に、アメリカのあるメーカーがデジタルコンシーラーを発表しました(※P&G、シミ隠し専用小型ジェットプリンタ「Opte Precision Skincare System」を参考出品 - ITmedia NEWS)ーには先端に高精度のスキャナーが付いていて、肌に当てるとシミを検出し、適切な色のコンシーラーを自動で噴射します。シミ部分だけに噴射するので従来より使用量が大幅に抑えられ、仕上がりもよりナチュラルです。

      何より興味深いのは、ユーザーの行動がガラッと変わり得ることです。コンシーラーは人の肌の色に合わせてさまざまな色があり、実際に自分の肌で試してから買うのが一般的です。だから買いに行くのが大変だとか、色を選ぶのが難しくてネットで買いにくいといった声が多く挙がっていました。でもこれであれば、店舗に買いに行く行為も、色を選ぶ行為も、スパッと省略できます。

      ユーザーの手間が大きく減るわけですね。

      吉田:こんなふうにいいアイデアというのは、これまでユーザーに必要とされていた行動プロセスを、まとめて取り払うことができるのです。

      それを示す象徴的な例をもう1つ挙げましょう。電車に乗る時の交通系ICカードです。以前であれば、自動改札にきっぷを入れて通っていましたよね。それが交通系ICカードの登場で、カードをかざすだけでよくなった。でもこの話の本質は、自動改札を通過する行為がラクになったという部分にはありません。

      みんなが手放せないもの=インフラを作る

      切符の料金を事前に確認して買う
      販売機に寄らず勝手に精算

      切符を買うには、券売機の前に行き、路線図で行き先までの料金を調べ、財布を取り出してお金を券売機に入れてボタンを押すというプロセスが必要です。場合によっては、駅員さんに質問もする必要がある。しかし交通系ICカードを手にしたことで、そうしたプロセスが丸ごとなくなったのです。

      もはや券売機の前に行くこと自体必要がなく、駅に着いてすぐに改札をくぐれる。切符の料金を買い間違えることもない。なんなら電車に乗ってから行き先を決めることも可能です。こうして交通系ICカードの登場で、電車に乗るという行為そのものが、とてもスムーズになりました。それを手にすることで、日々の生活がよりよくなるというのを多くの人が実感できたからこそ、これだけ一気に普及したともいえるでしょう。

      確かに、今では交通系ICカードなしに電車に乗ることがかなり苦痛です。

      吉田:そんなふうに交通系ICカードは、今や多くの人にとって、なくてはならないものになっています。それってもはや「インフラ」ともいえますよね。

      私たちがセッションで描くべきは、そんなふうに誰もが毎日当たり前に使うテクノロジーインフラのある未来だと考えています。要は、みんなが使い出したら手放せなくなるようなベネフィットを備えた仕組みですね。それを描き出すには、生活者の動向や意識の本質をつかまなくてはいけない。だからこそ、生活者のことをよく知ることが大切になります。

      その市場はまだブルーオーシャン

      テクノロジーを使ってインフラを作る、という考えにいたった経緯は?

      吉田:テクノロジーって、使える人と使えない人に分かれた状況がずっと続いていますよね。使える人だけが便利になり、使えない人はそのまま置き去りになっていて、そこに大きな格差ができている。使えない人を救おうという取り組みも非常に少ない。それって誰もが幸せになれる世界ではないのではないかな?と感じていて。

      でもテクノロジーを、「使う」ものではなく「察して、やってもらう」ものとして考えれば、逆にそうしたネガティブな部分を埋められると気がついたのです。そうなれば、テクノロジーをインフラとしてどんどん広めていける。しかも、10年後はともかく、今その市場はまだブルーオーシャンでもある……。そんな気づきが原点になっています。

      だからIoTやテクノロジーは、あくまで「手段」にすぎないと考えています。IoTをとり入れることが目的なのではなく、IoTをとり入れて未来の生活者の多くが「これいいね」と思えるインフラを作ることが目的だからです。要は「テクノロジーインフラ」を一緒に作っていきましょう、と。それがIoTNEWS 生活環境創造室のミッションの大きな一つです。私たちはそれを「LIFE DX」=暮らしのDX化とも呼んでいます

      IoT事業を手掛けてLIFE DXを実現することで、インフラを作る側になりましょうと。

      吉田:そうですね。新しいインフラやエコシステムがこの先どんどんできていくかもしれない状況だからこそ、先手を打ったり、そこに対して準備したりすることが、企業にとって非常に大切になるなと感じています。IoTやテクノロジーは、そのためのツールなのです。

      後編では、「みんなが幸せになるデジタルインフラのある未来」がどんなものか、さまざまな例とともに深めていきます。あわせてIoTNEWS 生活環境創造室が、それをどう実現しようとしているかにも迫ります。

      ※当記事は6月2日時点の情報を元に記事を執筆しております。

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