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      バズ太郎、動きます! #1 はじめて顕微鏡を覗いた人のように

      1.「バズるCM」って、なんですか?

      2010年代の初め、彼は悶々としていた。あるクライアントから「とにかく、バズるCMをつくってほしい」と依頼されたからだ。

      バズるCMですか?

      彼が広告の制作にかかわるようになって長い。だが、意味不明のリクエストに思えたのが「バズるCM」だった。企業や広告にとって大切なこととは何だろう?「商品やサービスが魅力的に伝わるCMを」や「好きになってもらえるCMを」なら分かる。あるいは「売れるためのCMを」でもまだ分かる。

      「うーん……」

      悩んだ彼は、Yahooトピックスや検索サイトの急上昇ランキング、バズムービーの傑作と言われる作品をチェックする毎日をしばらく続けた。PV数・再生回数・急上昇率・リツイート数など「バズるCM」にはいろいろな尺度が存在することが分かった。でも、どれもピンと来ない。いろいろな疑問が、彼の頭の中に沸きおこったままだ!

      「そもそもどんな層(性年代や興味集団)に反応(ツイートや再生)されてるんだろう?」
      「拡散する、炎上する、にはどんな法則性があるのだろう?」
      「大体、どれぐらいのツイート数や再生数があれば多い(バズってる)って言えるの?」

      彼は、各方面を調べまくった。利用可能なソーシャルリスニングサービスも探りまくった。だが、得られるものはどれもデータとして断片的で、複雑な操作を駆使しないと答えにたどりつけない。時間ばかりかかる。

      「なにこれ、超めんどくさいんですけど!」

      テレビの視聴率のように、もっと簡単にスコアがわかるものがあればいいのに……。

      その時、彼は閃いた。

      「ないんだったら、作っちゃう……!?」

      それが『バズウォッチ』という独自バズ集計システムのはじまりだった。開発に5年もかかった。もし、時間を遡って彼に何か告げられるのだとしたら、全力でこう言うだろう。「短気は損気!それがないのは、大変すぎるからなんだよ!」と。

      2.バズの中にうごめくもの

      大変すぎる開発が始まった。2016年のことだった。各方面の奇才が集められて、だんだんと出来上がってくるそれは驚きの連続だった。

      小学生の頃、はじめて顕微鏡を覗いた。近くの池の緑色の水を。それまでは「なんとなくみどり」だったものの正体を見てしまった驚き。動くゾウリムシ、動くツリガネムシ、動くミジンコ……。あの衝撃が体を貫いた。

      「先生、気分が悪くなったので保健室に行ってもいいですか?」

      あのゾワゾワ感。あのファーストコンタクトと、それは似ていた。

      「さぁ、これが日本中のツイートだよ。覗いてみてごらん。たくさんのアカウントが仲良く集まったり、増殖したり、攻撃しあったり、常に関与しあい生きている……」

      バズを可視化できるということは、とんでもなくグロテスクだけれど、とんでもなく明確で、とんでもなく組織的で、とんでもなく面白い。一つのテーマに対して、いくつもの興味集団が現れ、離合集散を繰りひろげる「人の営み」そのもの。

      瞬間的にバズるものがある。長くバズるものもある。いくつかのパターンも見えはじめる。だんだんと、だんだんと。似た興味集団だけではバズが大きくなることは稀。敵対しあう賛成派と反対派、ポジ派とネガ派がぶつかり合うと巨大化もしやすいようだ。「絶賛」と「炎上」なんて、その絶対値の差でしかないことも見えてきた。

      「なぁ……」
      彼は「その法則性」にむかって話しかける。

      「バズってのは何だな。かなり法則的なものなんだな」
      「どんなテーマだと、どんな興味集団が現れるかとか」
      「どんなシリーズ作品には、どんな過去のファンが反応するかとか」
      「前のCMの時にはネガティブだったのに、新作ではポジティブに変わっていたり」
      「いろんなことがアカウントベースで分かっちゃうのって……超ゾワゾワするな」

      ほぼ5年にわたる開発期間をかけ、それは出来上がりつつあった。

      なぁ、バズ太郎。これまでの広告効果測定調査とか、これまでのソーシャルリスニングって、一体なんだったんだろう?」

      バズ解析の世界でちょいちょい垣間見える法則性に、彼はいつしか「バズ太郎」という名前を与えていた。厄介で、気難しい。でも、人恋しいからつぶやきの世界に住むそいつ。バズの中には理(ことわり)があるということを、彼に教えようとしてくれている。

      どこまで近づけるだろうか?つかまえたと思ったら、するりと逃げられてしまいながらも、いつしか彼はその法則性に懐かれる日を夢見始めていた。

      「おいで~、バズ太郎~♪」

      バズをウォッチするということ、それは驚きの連続だ。

      (たぶん、つづく)

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